始まりを描いてくれ…「BanG Dream! Morfonication」レビュー

評価 ★★★☆☆(50点) 全2話

あらすじ 「Morfonica」の夏休みを描いたアニメ引用- Wikipedia

始まりを描いてくれ…

本作品はBanG Dream!のスピンオフ作品。 １期から３期には登場していなかったが、 映画ぽっぴんどりーむ！て初登場したMorfonicaが主人公の作品。 監督は柿本広大、制作はサンジゲンと２期から変更はない。 全２話ほどのスペシャルアニメ作品。

キラキラ空間

１話冒頭からキラキラ感全開だ。 「ましろ」が登校する中で見える世界、様々な水生生物が漂い まるで水族館の中でも歩いているかのような空間がきらびやかに描かれている。 いつもの登校、いつものメンバーたち、 彼女の目線を通すと世界はこんなにもきらびやかだ。 そんなファンタジックな冒頭から舞台は夏になる。 夏休み直前、バンドを組んでライブをこなす日々を送るモルフォニカは 「夏合宿」を計画するというところから物語が始まる。 モルフォニカがガッツリと掘り下げられるのはTVアニメでは初だ。 初登場自体は映画作品ではあるものの、 彼女達のキャラクターというのがガッツリとは掘り下げられなかった。 そんな中でこの作品はすでにバンドを組んだ後の時系列ではあるものの、 断片的に各キャラクターの過去が描かれつつ モルフォニカというバンドを描いている印象だ。

変わってない

モルフォニカに入って「ましろ」は変わったと思っていた。 子供だった自分が少しだけ大人に、少しだけ高校生らしくなったと。 引っ込み思案で自分の気持ちを素直に出せない彼女が、 ガールズバンドに入り、ライブをするということは彼女にとって 大きな一歩、そして変化だった。 だが、そんな彼女の今を知らない中学生の頃のクラスメイトは 彼女とたまたま再会し「ちっとも変わってない」と言われてしまう。 変わったと思ったのに、変われたと思っていたのに、 そんな変化を否定されてしまう。 １話冒頭では彼女の心境を描くように 彼女の目線で描かれるきらびやかな光景だった。 だが、１話終盤にそんな世界は淀んでしまう。 彼女の目線で描かれるファンタジックな世界という 演出に最初はやや一歩引いてしまう感じだが、 それが１話の終盤では心理描写だと気づける演出だ。 そんな悩みを仲間に打ち明けることすら彼女は出来ない。 だが、落ち込む彼女をメンバーは励まそうとしてくれる。

歌詞

歌詞とは自分の心を打ち明けるようなものだ。 だからこそ、今の彼女には書けない。 一時的に気が紛れても、過去の自分が、トラウマが、 彼女の心をえぐってくる。 そんな状態だからこそ同じバンドメンバーすら拒否してしまう。 それでも彼女達はマシロに寄り添ってくれる。 彼女達も似たようなものだ、バンドメンバーに出会って、 モルフォニカというバンドを組み、彼女達は変われた。 いや、変わる必要すらなかった。 ありのままの自分を、自分らしさを認められるということを。 それを仲間に出会って気づけたからこそ、今がある。 少しずつ変わっていく、それに自分も他人も気づかないかもしれない。 それを自分自身が少しずつ自覚していきながら前に踏み出す。 この合宿を経ての新曲に寄るライブは モルフォニカらしいファンタジックな演出で彩られており、 モルフォニカというバンドの印象が深まる作品だった。

総評：始まりを描いてくれ…

全体的に見てファン向けの作品であることは否めないものの 全２話という短い尺でうまくまとまっている作品だ。 モルフォニカというバンドが出来た経緯などは語られず、 バンドが出来た後の夏休みの間の出来事ではあるものの、 一人ひとりのキャラクターの印象がしっかりと付く。 メインとなるのはモルフォニカのボーカルであるマシロだ。 引っ込み思案で自分に自信のなかった彼女、 そんな彼女は変われたと思っていた。 だが、結局、中学生の頃とかわれていない、 それをかつてのクラスメイトに言われて落ち込んでしまう。 そんな中でバンドメンバーが彼女に寄り添い、 ありのままの自分を受け入れ前へと進み出す。 物語としてはシンプルではあるもののよくまとまっている。 ただ、彼女達の始まりとなる物語がアニメという 媒体では描かれていないのがどうしても気になってしまう。 それを踏まえてもアプリをやっている人向けのアニメに なってしまっており、キャラクターは良いのに ストーリーが中途半端にしか描かれないのは本当にもったいない。 この作品と映画で、ある程度は彼女達のことを 知ることが出来たものの、できればがっつりと 彼女達、そして２期から出てきたバンドのストーリーを 見てみたいと感じてしまう作品だった。

個人的な感想：歯がゆい…

映画で彼女達を初めてみて気になってすぐにこの作品をみたが、 その気持ちが完全に消化されるわけでもなかったのは 本当に残念なところだ。 時系列的に映画の後のストーリーであり、 できれば映画の前の、彼女達の結成の物語がみたい。 彼女達だけでなく、２期から出てきたバンドも サブキャラとして収まってしまっておりもったいないと感じてしまう。 ソーシャルゲームという都合上、大量のキャラが存在し、 その全てをメインでアニメにして１から描くことは難しいのかもしれない、 気になる方はアプリで！というのはわかるのだが、 できればアニメという媒体でモルフォニカをもっとみてみたいところだ。

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