評価 ★★☆☆☆(26点) 全12話
あらすじ 主人公の小谷 花木は、高校入学後に同学年の湾田 光莉がダンスの練習をしている姿に目を奪われ、ダンスに興味を持ち始める。 引用- Wikipedia
真剣タコ踊りバトル
原作は漫画な本作品。
監督は加藤道哉、制作はマッドハウス、
サイクロングラフィックス
ダンスしようぜ!ダンス!
1話冒頭からよくわからないダンスを見せられる。
高校の入学式で主人公がその様子を見ているというシーンなのだが、
曲紹介までされたダンスなのにただ座っているだけの主人公のほうがよく写っている。
座ってるだけの主人公はダンスにトラウマがあり、
吃音症で人前で話すのが苦手な少年だ。
中学生の時の体操の授業でのダンスを笑われた、
そんな経験からトラウマになっている。
主人公は入学早々に「同級生」の女の子である「湾田 」さんが気になる、
彼女はダンスが好きな少女であり、そんな彼女が踊っている姿を
目撃するところから物語が始まる。
この作品はダンスを主軸にしており、
ダンスシーンは「フルCG」で描かれている、バンドアニメやアイドルアニメで
ライブシーンだけCGになることも多いが、それと同じパターンだ。
そんなダンスがこの作品最大の問題だ。
低品質
吃音症な主人公であるがゆえに彼は言葉を話すことが苦手だ。
だが、ダンスは違う。喋らなくていい。
そんなことを「湾田さん」に言われた彼は再びダンスに興味を持ち出す。
この導入、流れ自体は決して悪くない、王道とも言える。
だが、そんな主軸であるはずのダンスがクソダサイ。
モーションキャプチャーで実際のダンサーの動きを取り込んでいるようなのだが、
その動きのダサさ、CGの品質の低さはちょっとドン引きだ。
ここ最近のアニメでは当たり前のようにアニメでCGが使われており、
CGのクオリティは上がっている。
だが、この作品のCGのクオリティは20年くらい前のものだ。
CGというより「ポリゴン」といったほうがわかりやすいくらい、
明らかな低品質なダンスシーンを見せられるせいで、
物語への没入感が一気に下る。
未完成
おそらく制作が間に合っていなかったのだろう。
ダンスアニメのOP&EDなのにダンスをしていなかったりする。
ちなみに7話でようやくEDでは踊りだす、明らかに製作が間に合っていない。
それが作品に現れてしまっている。
原作は漫画という媒体ゆえに止めの絵だ。
そんな1枚の絵で動きをきちんと表現しているからこそ人気な作品になっている。
しかし、アニメはそんな漫画の表現に追いついてないどころか
未完成なものを放送してしまっている。
動きは確かにリアルなのかもしれない、
だが「表情」の書き込みもあまいせいで、余計に低品質なCGが目立つ。
1話だけでなく2話も同じだ、ダンスという体全体で表現するものを
「アップ」で見せるため、手がバタバタしているようにしかみえない。
吃音症な主人公が徐々にダンスを通じて自分というものを
表現できるようになっていくという過程、ストーリー自体は悪くない。
1つずつ一歩一歩、体の動きを意識し、耳で聞いて、
己をダンスで表現していく。
その過程は本当に丁寧なのに踊りを見せられるたびに萎えてしまう。
技術
この作品は本当にきちんと「技術」の解説をしている。
日本のJ-POPやアニソンと海外の曲との違い、
それがどうダンスに影響するのか、本当に丁寧に説明してくれるため、
見ていてわかりやすい。
ストーリーもキャラクターも悪くないのに、
話が進んでもダンスのシーンが挟まるたびにつまづく。
吃音症な主人公が言葉に詰まるように見てる側もダンスのたびに
詰まるような感覚になってしまう。
ダンスシーンも予算か時間の都合上かわからないのだが、
1話も2話もヒロインが踊っている間に何回も
主人公のカットを挟むため、素直にダンスシーンを見せてくれない。
CGダンスを極力短くしたいのは分かるが、
ダンスが主軸の作品でダンスをきちんと見せてくれないのは苛立ちしか感じない。
見ている観客の絵を挟まないところでも、
ダンスをありとあらゆる角度から頻繁なカットで見せてくるため
それがより「ダサさ」を際立たせている。
もう少し落ち着けよといわんばかりに、カメラの切り替えが異常だ。
キャラ自体もタコ踊りのごとくバタバタしてるのに、
そのバタバタをバタバタしたカメラワークで映すため
余計に滑稽になってしまう。
CGのクオリティもそうだが、カメラが下手くそすぎるのが最大の原因だ。
練習
序盤をすぎるとダンス部としてコンテストに出るための練習が描かれる。
まだまだ素人に毛が生えたような素人が仲間たちとともに、
技術を磨いていく展開は悪くない。王道だ。
それと同時に「ダンスバトル」の世界も描かれる。
同じダンス部の幽霊部員が参加しているダンスバトル、
そんなダンスバトルに主人公が唐突に挑まれる。
ダンスバトルは即興で振り付けを考えて踊るものだ。
そんな即興のダンスがダサい。
主人公がまだ技術的に未熟っていうところもあるのだが、
そのせいで余計にタコ踊り感が強くなり、
しかも、中盤になってもしっかりとフルでダンスを見せず、
カットを挟みまくるせいでダンスを素直に味わえない。
バトル相手の先輩のほうがうまいという設定なのは分かるが、
それがアニメーションでは伝わらない。
引きの画とアップの絵、これを使い分けることで本来はメリハリが生まれるのだが、
それができておらずダラーっとしたカメラワークとカットに
意味を感じられない。
そもそもモーションキャプチャーを使ったのが失敗だったのかもしれない。
アニメは虚像だ、現実にはできない動きもアニメでは表現できる。
その「嘘」が「外連味」になり、アニメーションへと到る。
リアルさを突き詰めるならその先にあるのは実写でやれという結論だ。
モーションキャプチャーを使っても「アニメの嘘」をきちんと混ぜれば
面白いものになるが、この作品はそれができていない。
シンプルにアニメづくりが下手だ。
コンテンスト
コンテンストで「プロ」のダンスシーンもあるのだが、これも違いがわからない。
いざコンテンストが始まると主人公以外の他校は「止め絵」だ(苦笑)
主人公たちと他校の違いを知りたいのに、それをきちんと見せてくれない。
ただこの中盤の6話での主人公の存在感は凄まじいものがある。
シンプルに身長が高いからこその存在感もあるのだが、
ダンスの動きがきちんとようやくアニメーションで表現されており、
余計なカメラワークが少なく、きちんとフルで見せてくれるからこそ
本当にようやく「ダンス」をアニメーションで表現できている。
このクオリティが1話であれば違ったかもしれないが、
予算かスケジュールかどちらかわからないが、
7話でEDでようやく踊りだしたことを考えれば
スケジュール的な問題かもしれない。
1話のダンスと6話のダンス、受ける印象はまるで違う。
キャラクターたちが成長しているというのもあるのだが、
そういった演出ではなく、単純に品質の問題だ。
話が進んでくるとその品質があがってくるものの、
3話切りどころか1話切りが当たり前の時代では厳しいところがある。
ダンスバトル
そんなコンテンストが終わると本格的にダンスバトルへの世界へと
主人公は足を踏み入れることになる。
8話ではダンス部の部長と幽霊部員がずっとダンスバトルをしているのだが、
この絵面のシュールさはシンプルにやばい。
ダンスバトルというものがそういうものなのは理解しているが、
相手が踊っているのを踊っていない方を「うんうん」と見つめている(苦笑)
これでダンスバトルの魅力が伝わるダンスならばまだしも、
また余計なカットを挟み、余計なカメラワークで、
画作りができていないシーンを見せられるためシュールさだけが際立つ。
ダンスに詳しい人が見ればすごさが伝わる部分もあるのかもしれないが、
詳しくないものが見るとただただ手をバタバタさせて
足をバタバタさせているだけのようにしか見えないのは致命的だ。
幽霊部員と部長のダンスバトルは1時間ほど続いていたようなのだが、
実際は5分も描かれていないため、そのすごさが伝わらない。
中盤あたりから「ダンスの軌道」をみせるときがあるのだが、
それも見せるときと見せない時があり、その差もいまいちわかりづらい。
グループによるダンスではなく、個人のダンス、
より「自分」というものを表現できるダンスバトルの世界に
主人公が魅入られていくという展開自体は悪くない、
1話からずっとストーリーは悪くないのにアニメが下手なせいで
その魅力が100%活かされていない。
高校対抗ダンスバトル
終盤、主人公は高校対抗ダンスバトルのソロの部に参加する。
だが「審査員」を意識したダンスゆえに主人公はミスしてしまう。
1度は敗退するものの敗者復活戦でチャンスを掴む。
そういう展開自体はいいのだが、違いがまるでわからない。
審査基準、なにがどう違って主人公が評価されたのか。
それがアニメーションとして伝わらない。
終盤、主人公が自分をかっこいいと、かっこいいダンスをしようと
意気込む展開は本当に素晴らしいのだが、アニメと言う媒体で
それを表現しきれていないのが本当にもったいない。
ラストの主人公とBボーイな敵との戦いも、
最後のバトルなのにすごさが伝わらない。
最初から最後までアニメとして下手くそすぎる作品だった。
総評:アニメ下手くそかよ
全体的に見て原作は面白いんだろうなということが伝わる部分がある。
だが、そんな原作の面白さをアニメとして台無しにしている。
日常パートの作画は気にならないのだが、主軸となるダンスシーンの
CGは序盤はかなりひどく最近のアニメのCGの水準に達していない。
中盤以降は多少マシになり、6話などは迫力も伝わる部分がある。
だが、中盤以降はダンスバトルというものが主軸になり、
そのダンスバトル自体の絵面のシュールさと、
この作品の最大の問題点である「アニメ」としての見せ方の下手さが際立つ、
構図というものを意識しておらず、無駄なカメラの動きや、無駄なカット割りが
本当に多く、結果として本作品の主軸たるダンスの魅力が伝わらない。
モーションキャプチャーでリアルな動きをそのまま取り込んだのはいいが、
そこから「アニメ」としてのメリハリ、外連味を出すような演出が
できておらず、結果として悪い意味でしか話題にならなかった作品だ。
原作の面白さは伝わっただけに、
ダンスシーンさえなんとかなっていれば作品全体の印象も違っただろう。
本当にもったいない作品だった。
個人的な感想:CG
私個人が同時期に「メダリスト」を見てしまったがゆえに
その違い、アニメとしての見せ方の違いを大きく感じてしまった。
どちらもモーションキャプチャーを使っているのに雲泥の差がある、
決定的なまでに「アニメ」としての見せ方の違い、
実力の違いが如実にでてしまっており、この作品の下手さが際立ってしまった。
私自身が一切ダンスに興味がないため、
ダンスに興味がある人が見れば技術的な面などで
面白みを感じられる部分はあるかもしれないが、
少なくともアニメとしての見せ方は下手すぎる作品だった。
本作品は実写化も決定しており、実写の方も比較で見てみたい。
おそらく実写のほうがダンスシーンはマシになる…はずだ。



