げんしけん

評価/★★★★☆(62点)

げんしけん 評価

全12話
監督/池端隆史
声優/大山鎬則,斎賀みつき,雪野五月,檜山修之,関智一ほか

あらすじ
「漫画・アニメ・ゲーム」への思いを分かち合えるサークルへ入ろうと決意していた笹原。だが、見学に訪れた「現代視覚文化研究会」=「現視研(げんしけん)」で、根拠のないプライドを崩された笹原は、自分がオタクだと認められず、また「現視研」になじめずにいた

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ヲタクの日常をたんたんと描いています、過度な期待はしないでください

原作は月刊アフタヌーンで連載されていた漫画作品。
2期も放映されており、本作品は1期。

開始早々、アニメ本編ではないOPから始まる本作品(笑)
その作品を見ているのは「現代視覚文化研究=げんしけん」のメンバーだ。
そんな彼らの日常を描くのがこの作品だ。

この作品はいわゆる「オタク」をテーマにした作品だ。
序盤から濃ゆいオタクトークが登場人物の間で繰り広げられる
「あの監督が」「ストーリー構成が」「作監が」
そんな言葉が飛び交う会話を彼らは流暢に行っている。
1話の段階である程度、「この作品はこういう作品です」というのを突き立てられるような
そんな雰囲気を序盤から醸し出す。

更に登場人物も生々しい。ある意味でリアルなオタクと言える彼らはオタクそのものだ。
主人公は同人誌も買ったことのない大学生だったが、
げんしけんに入ったことでオタクが加速していき、1万円近いタペストリーも平気で買う(笑)

「斑目」はオタクの知識が豊富で流暢にオタ知識を披露しつつ、ガリでメガネでいじわるという イヤミっぽいオタクの象徴のような存在だ。
「田中」は大人しい太っており紙を後ろで結んでいるコスプレの服作りが好きな人。
「久我山」はどもり口調で陰鬱なオタクの雰囲気を醸し出している。

更にそこにイケメンだが声優やゲームが大好きな「高坂」、
そんな高坂が好きな一般人である「春日部」、
中盤から登場するコスプレイヤーの「大野」など
アニメのキャラクターではあるが実際に居そうと感じさせるほど
生々しいまでのキャラクター設定と描写が序盤から光る。
生々しいキャラだからこそ、ヲタクな日常ストーリーが面白い。

ストーリーは淡々としている。
ゲームをしたり、コミケに行ったり、コスプレしたり、プラモデル作ったり、
本当にヲタクの日常をたんたんと描いているのだが、
それが妙に生々しい会話やストーリー展開なため不思議とキャラクターに感情移入できる。
ただ、これは見ている私たちが「オタク」だからこその共感だ(笑)

登場人物の1人「春日部」の「鼻毛」が出ていることに気づき、
まるまる1話かけて言うかどうか悩んだりする「斑目」との会話劇など
この作品の真骨頂だろうw

二人きりで微妙な関係の二人が特に会話をするわけでもない気まずい空間で「鼻毛」という
絶好の会話のきっかけを見つけるも言うかどうか悩む「斑目」。
この思考は彼がオタクであるがゆえに思考、過去のトラウマからの思考、
「斑目」としての立ち位置やキャラクターとしての行動だからこそ面白い。
たかが気まずい会話と鼻毛という状況でまるまる1話できてしまうのが
この作品のポテンシャルの高さを表している。

全体的に見て10年早かった作品だと実感する。
もちろん当時見ても面白く、いま見ても面白い作品ではあるのだが
「ヲタクの日常もの」という今だったら定番のジャンルではあるのだが2004年という年代には早かった。
淡々としたストーリー展開やある程度オタクでなければ共感できない部分、
更に言えばキャラクターデザインや作画の質など欠点も多い。
大野さんなど初めて見た時はあまりにも「やぼったい」感じのするデザインは
もう少し何とかならなかったかと感じるくらいだ(苦笑)

しかしながら根本にある「オタクな大学生」の日常は生々しくも面白い。
大きな事件は少なくあっても引っ張らない、盛り上がらない話もあり、
淡々とストーリーを展開することも多い。
これがアニメアニメしたキャラクターならば無意味なストーリーなのだが、
「リアリティ」のある生々しいキャラクターがストーリーを展開しているからこそ
そこに現実味があり、共感でき、面白いと感じられる。

そんなオタクな中で普通の女子大生である「春日部」が光る。
一般人という貴重な目線からアニメやコスプレを引いた目線で見つめつつも、
彼氏である「高坂」のためにも少しずつ、少しずつ理解するようになっていく。
たまにはオタクになろうとしたりするのだが、結局オタクに慣れない。
だからこそ彼女は一般的という立ち位置でオタクを理解し、オタクの彼女になっていく。
1期はそんな彼女の物語と言っても過言ではない(笑)

この作品のキャラクターがきちんと「生きている」からこそこの作品は面白い。
古さ故の作画やストーリー構成のゆったりさはあるもの、
2000年代前半では「異質」な感じのする本作品独特の楽しみ方が出来るだろう。
内容自体はここ最近のアニメのような日常もの
だが声優の演技や作画や、ストーリー構成が2000年代前半の空気を感じる。
本当に不思議な雰囲気を醸し出している作品だ。

個人的には最終話の最後に「タイトル」の意味につながるところが
私としては大好きだったりする(笑)