クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ 金矛の勇者

☆☆☆☆☆(9点)

クレヨンしんちゃん ちょー嵐を呼ぶ 金矛の勇者 評価

93分
監督/本郷みつる
声優/矢島晶子,ならはしみき,藤原啓治,こおろぎさとみほか

あらすじ
暗黒世界ドン・クラーイの帝王アセ・ダク・ダークは、人間界を支配しようと企んでいた。しかし、闇を打ち払う「三つの宝」と「勇者」の伝説を知ったダークは、「三つの宝」の一つである「銅の鐸」を奪取。残る二つの宝「金の矛」と「銀の盾」を奪おうとするが、一足早くダークの企みを知ったある男によって「金の矛」と「銀の盾」は人間界へ送られる。

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くらい・・・クレヨンしんちゃん・・・映画・・・

本作品はクレヨンしんちゃんの映画としては16作品目の作品。
クレヨンしんちゃん映画の初期の作品の監督をしていた
本郷みつるさんが監督をされている。

序盤から暗い。
BGMもなく淡々と序盤のストーリーが進んでいくのだが、
ギャグがなく淡々と物語を進めてしまう。
更にしんのすけが夜中に不思議な世界に迷いこむのだが、
この世界観も独特な暗さがあり、子どもは「怖い」と感じてしまうだろう。

音楽の無さは物語全体がそうだ。
シーンによっては演出とも言えるのだが、あまりの音楽の無さに暗さが目立ってしまい
その中でストーリーを淡々と描写しているので単純につまらない。
更には「尺稼ぎ」に感じるシーンも多く、シーンの1つ1つが無駄に長い。

ついでにいえばゲストキャラの「小島よしお」ですら怖い(苦笑)
一切デフォルメされず無駄にリアルな小島よしおの顔が画面いっぱいに広がった時は
大人の私でさえも思わず画面から顔を引いた。
ゲストキャラは恒例だし仕方のないものだと諦めているが、
もう少し彼の使い方はなかったのだろうか。
ギャグシーンにすらなっていないのは芸人さんを使う上で失礼とも言える

物語の内容上、暗い部分が多いのは分かる。
今回のストーリーは「暗黒世界ドン・クラーイ」が人間界を支配しようとしている
その影響で人間界に闇が流れ込んでおり、人間たちが荒んでいる。という感じだ。
だが、演出と考えてもシーンの1つ1つが冗長で変な暗さが出てしまっている。
ジメジメっとした陰湿さと言っても過言ではない。

作画的にも残念だ。
アクションシーンで「飛行機」同士による戦闘があるのだが、
「CG使ってます!」と言わんばかりのコテコテな質の悪い3DCGだ。
それまで暗いシーンの連続だっただけにアクションシーンで暗さを払拭できるはずだが、
質の悪い3DCGのせいで萎えてしまう。

更にこの作品最大の欠点は「シロ」をないがしろにしていることだ。
この作品でシロそっくりのクロという犬が出るが、そのせいで霞んでいるわけではなく
単純にないがしろにされている。
終盤のシーンでヒロシが名言風に
「野原だけだから幸せなんだ。俺とミサエとしんのすけとひまわり、
この4人で幸せを作っている」と言い放つのだが、
これまでの作品なら、最後にシロが「ワン!」と吠えて、シロもね!というような
フォローがあるシーンになるはずなのだが、それがない。
家族のはずのシロを忘れてしまっており、しっくりこない。

更にメイン要素である「金の矛」「銀の盾」が終盤の終盤にしか出てこない。
かなりメインの要素であるはずなのだが、「あ、忘れてた」と言わんばかりに入ってくる。
そして「しんのすけ」がその両方を持ってボスに挑む。
しかし、ボスは「同士討ち」という展開になってしまい、
倒すのに「金の矛」「銀の盾」必要だったはずなのだが、必要じゃなかったのでは?と
感じてしまう内容だ。

全体的に見て勢いのない作品だ。
序盤から中盤の「冗長」なシーンの数々をもっとテンポよくすれば、
キャラクターへの感情移入を強めることが出来る事ができたが、
テンポの悪さが「暗さ」と「陰湿さ」を後押ししてしまっており、
映画オリジナルのキャラクターにどうも物足りなさを感じてしまう。
敵のキャラも味方のキャラも掘り下げが甘すぎる。

ギャグに関しても下品さや勢いがなく、この作品で笑えるシーンはかなり少ない。
野原一家以外のキャラクターもほとんど活躍しない物足りなさもあり、
基本的なキャラクターの使い方が雑だ。
ストーリーの盛り上がりも、何を伝えないのかも、最期まで見てわからない。
ココが面白いんだよ、ココが見せ場なんだよ!という点が見当たらない作品だ。

クレヨンしんちゃんの映画を見てるはずなのに別の映画を見ているような
疎外感すら感じる出来栄えだった。