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スポ魂アニメの原液「メダリスト 第2期」レビュー

メダリスト 第2期 スポーツアニメ一覧
画像引用元:©つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会
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評価 ★★★★★(80点) 全9話

TVアニメ『メダリスト』第2期PV第1弾|OP主題歌:HANA「Cold Night」

あらすじ バッジテスト6級にも合格したいのりは、全日本フィギュアスケートノービス選手権のノービスAへの予選、中部ブロック大会にエントリーする。 引用- Wikipedia

スポ魂アニメの原液

本作品は『メダリスト』の2期。
1期から制作スタッフの変更はないものの、
見放題配信がディズニープラスのみとなった。
(Amazon Primeで有料配信、YouTubeで最新話の1週間無料配信などは有)

1期

1期は非常に王道なストーリーだった。
自信のない少女がフィギュアスケートを始め、
努力を重ね、コーチとともに結果を残していく。
気持ちいいまでの「スポ魂」が描かれていた。

そんな1期から続く2期だ。
全日本選手権への出場をかけた中部ブロック大会に出る
「いのり」、そして同じ大会に出場する多くのライバルたち。
そこに、かつてのおどおどしていた少女の姿はもうない。

「コーチ」のような熱血魂を宿した彼女は、
ムキムキに大会へ挑もうとする(笑)

だが、「いのり」と違って彼女のライバルたる「光」は、
中部ブロック大会には出ず「全日本」に備えている。
ライバルが待ち構える全国大会へ行くために、
いのりは勝ち進むことができるのか。

2期は1話から多くの新キャラが登場する。
普通なら、その多さに混乱してしまいそうなところだが、
本作品は「いのり」の行動やセリフ、
彼女がコーチを見習いながら他者と接していく姿を通して、
自然と新キャラたちの印象を刻んでいく。

制作側も新キャラの多さは自覚しているのか、
「OP」や「ED」でも彼女たちにきちんとスポットを当てている。
1期から続く丁寧な作りは、2期でも変わらない。

そんな多くのライバルたちを前に、
「いのり」は証明しなければならない。
自らが誰よりも凄い選手であることを。
オリンピックのメダルを取れる選手であることを。

見方

2期は大会が中心になる。
だからこそ、その大会での演技の「見方」をきちんと説明してくれる。

ジャンプの組み合わせ、構成、キス&クライ、点数の付け方。
そして、上位5人だけが全国へ進めるというルール。
そういった基本を自然に見せてくれるからこそ、
大量に登場する新キャラ一人ひとりの演技にも注目できる。

年端もいかない少女たちが氷上で舞い、跳び、ときには転ぶ。
指先1つ、目線1つ、滑る1秒1秒に、
彼女たちの日々が詰まっている。

本来なら、まだ掘り下げの浅い新キャラの演技に
そこまで感情移入できるはずがない。
しかも「4人同時」に新キャラの演技が描かれる場面すらある。

それでも目が離せない。
そこが決して妥協ではなく、
本気で描かれていることが画面から伝わってくるからだ。

1期と変わらず、演技シーンはCGで描かれている。
その滑らかさ、CGだからこその「軽さ」が
フィギュアスケートの演技と非常に相性が良い。
そこにアップや氷上の表情を見せるカットをきちんと挟むことで、
動きだけでなく、キャラ一人ひとりの演技の印象まで強烈に残る。

さらに、モノローグによって演技中の彼女たちの心情が語られ、
それを見守る観客やコーチの「思い」と、
見ている側の思いがリンクしていく。

掘り下げの浅いはずの新キャラたちでさえ、
気づけば応援したくなっている。
これが「メダリスト」という作品のすごさだ。

ライバル

多くの選手にはライバルがいる。
そのライバルを超えるために、
あるいはライバルと同じ舞台に立つために、
彼女たちは氷上で戦っている。

かつて天才と呼ばれた少女がいる。
だが、そんな天才を超える天才があっさりと現れるのもまた、
この世界の残酷なところだ。

かつて天才と呼ばれた少女は、
もう1度「天才」になるためではなく、
「勝つ」ために舞う。
振り上げた左手は、
たとえ多くのミスを生んでも、
自らが「挑戦者」であることを象徴しているかのようだ。

一方で「いのり」は、ただ挑戦するのではない。
コーチから求められるのは「完璧」だ。

凄いジャンプを跳ぶことだけがフィギュアスケートではない。
もちろん、凄いジャンプを跳べば注目され、点数も高くなる。
だが、点数の取り方はそれだけではない。

この2期では、そうした競技としてのフィギュアスケートの奥深さが
1期以上に丁寧に描かれている。

美しさ

「いのり」は遅咲きのフィギュアスケーターだ。
始めるのが早ければ早いほど良いと言われる世界で、
彼女は11歳からフィギュアスケートを始めている。
あまりにも遅い。
そして、それは彼女のコーチである司先生も同様だ。

だからこそ、ライバルたちに劣る部分も多い。
高難易度なジャンプを何度も跳ぶことができるわけではない。
派手さだけで圧倒できる選手ではない。

だからこそ「完璧」な演技が必要になる。

あえて最後の1度だけ高難易度な技を組み込み、
それ以外をノーミスでやり切る。
簡単に聞こえるかもしれないが、
フィギュアスケートにおいてミスは当たり前だ。

特にこの年代の少女たちにとって、
ミスは日常茶飯事であり、
いのりの演技までにも多くの選手が転ぶシーンを見せている。

だからこそ「転ばない」いのりの演技が強烈に印象に残る。
がむしゃらに高難易度な技を極めようとするのではなく、
完璧で美しい演技を見せる。

フィギュアスケートは競い合う競技であると同時に、
「芸術性」も競うものだ。
そのことを、このシーンは強く感じさせてくれる。

だからこそ「いのり」の点数に納得できる。
ただ主人公だから高得点なのではない。
そこに至るまでの構成、演技、技術、そして美しさ。
その全てが積み重なっているからこそ、説得力がある。

選手だけでも、コーチだけでも駄目だ。
両者がいて初めて、フィギュアスケートは完成する。
そう感じさせる素晴らしいストーリーだ。

コーチ

この作品は「いのり」だけの物語ではない。
彼女のコーチである「司先生」もまた主人公だ。
選手の物語とコーチの物語。
その2つを同時に描いているところに、本作品の大きな魅力がある。

かつて司先生が憧れた「夜鷹 純」。
天才的な金メダリストである彼は、
現役を退いてもなお技術が上がり続けている。
選手をやめ「狼嵜光」のコーチをしているものの、
その実力は劣るどころか、むしろ進化しているようにすら見える。

そんな「夜鷹 純」が「司先生」の実力を認めてくれる。
だが、それは単なる賞賛ではない。
司先生は、自らの実力の全てを、
選手生命すら捨てる覚悟で「いのり」に捧げようとしている。

生涯全ての大会で金メダルを取った「夜鷹 純」。
彼は教え子にさえ、同じ道を進ませようとしている。
その絶対的な才能と思想は、恐ろしくもあり、美しくもある。

このコーチ同士のライバル模様も、2期になってますます面白い。
コーチの指導、教え方1つで選手は大きく変わる。
たかが釣り竿で釣り上げているだけのように見える指導法で、
あっさりと高難易度のジャンプを跳べることもある。
だが、それを真似したからといって、
誰もが同じようにできるとは限らない。

1期よりも試合の点数や技術的な部分に踏み込んでいるからこそ、
「司先生」の物語もより熱を帯びていく。

1話1話の密度が凄まじい。
王道のストーリーでありながら、
毎話があっという間に終わってしまうほどの濃さがある。

課題

終盤で、いのりには新たな課題が生まれる。
高難易度な「トリプルルッツ」だ。

なぜ彼女がそれを跳べないのか。
その原因をきちんと描き、
技術的にも解説してくれるため、
フィギュアスケート初心者でも非常にわかりやすい。

ちょっとした跳び方の違い。
腕の位置の違い。
それだけで回転の速度も、ジャンプの成否も変わってしまう。

いのりにとってトリプルルッツは、やや苦手なジャンプだ。
しかし、指導の中で4回転「サルコウ」の可能性を見出す。
より速度があり、勢いのあるジャンプ。
しかも得点は高い。

だが、当然ながら難易度はトリプルルッツ以上だ。

時間がない中で、選択を迫られる。
目の前で見てきた「怪我」の数々。
できなかったときのリスク。
それでもなお「4回転」を跳ぼうとする姿に震えてしまう。

だが、1度成功したからといって、
本番でも成功するとは限らない。
確実に跳べるのか。
それを信じて構成に入れていいのか。

その判断をするのはコーチの仕事だ。
選手には選手の悩みがあり、
コーチにはコーチの悩みがある。
本作品は、その両方をきちんと描いている。

そして、ライバルたちもまた色々な思いを抱えている。
ラストでは、全日本で戦うライバルたちの姿が映し出される。
「ジュニア」を諦め「シニア」に可能性を見出す者もいれば、
全日本での引退を決めている者もいる。

それぞれに物語がある。
それぞれに戦う理由がある。

そんな彼女たちの物語の舞台は「劇場」へと移る。
私達の戦いはこれからだ。
そんな言葉が、これほど似合う2期もなかなかない。

総評:スポ魂アニメの原液

全体的に見て、素晴らしい2期だった。
2期は全9話という構成になっており、
1期の全13話から4話も減っている。
にもかかわらず、1期よりも「濃ゆい」2期になっている。

1期もテンポが悪かったわけではないが、
2期ではさらにテンポ感が上がっている。
そのおかげで、1話1話の密度が非常に濃い。

序盤で描かれる大会では大量の新キャラが出てくる。
しかし、その新キャラたちをただの「モブ」で終わらせない。
演技、表情、モノローグ、他者との関係性を通して、
それぞれの印象をしっかりと残していく。

そして、そんな新キャラたちの演技を見せた後に、
主人公である「いのり」の完璧な演技を見せる。
その構成によって、彼女の実力が見ている側にも強く伝わってくる。

フィギュアスケートの見方や技術面など、
1期よりも解説は多い。
だが、それが説明臭くならない。
物語の中で自然と知識が入ってくるからこそ、
演技のすごさや点数への納得感にもつながっている。

惜しむべきは、見放題配信がディズニープラスだけという点だ。
これほど素晴らしい2期なのに、
気軽に見られる環境が限られているのは本当に惜しい。

ただ、それでも言いたい。
『メダリスト』2期は、間違いなく素晴らしいスポ魂アニメだった。
努力、才能、挫折、挑戦、勝利、敗北。
その全てが氷上に詰まっている。

まさに、スポ魂アニメの原液のような作品だ。

個人的な感想:配信

見放題がディズニープラス限定という点だけは、
最後まで気になってしまった。
だが、それ以外は完璧な2期だった。

1期の熱量をそのまま引き継ぎながら、
魅力的なライバルが多く登場し、
その一人ひとりにきちんとドラマがある。

全キャラのドラマを見たい。
しかし、勝ち残らなければその先のドラマを見ることはできない。
そんな厳しい世界を、アニメでもしっかりと感じることができた。

「いのり」の物語はどこまで続くのか。
司先生は、彼女をどこまで導けるのか。
そして、全日本の舞台で彼女たちはどんな演技を見せるのか。

映画ではどうなるのか、気になって仕方ない。
あえて原作を読まず、この熱量のまま2027年の映画を心待ちにしたい。

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