映画

「ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜」レビュー

1.0
映画
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評価 ★☆☆☆☆(18点) 全110分
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あらすじ 岡山県倉敷市児島、瀬戸大橋のたもとののどかな町・下津井で、無愛想な父モモタローと二人暮らしをしている平凡な女子高生の森川ココネ。彼女はいつも昼寝をしていたが、不思議なことに同じ夢ばかりを見ていた。引用- Wikipedia

病気姫

本作品は神山健治監督によるアニメオリジナル映画作品。
制作はシグナル・エムディ。

見出して感じるのは何とも言えない違和感だろう。
「機械の国」という主人公が見る夢の中での世界について、
まるで昔話を語るように主人公が語る。
主人公はそんな夢の世界で「魔法のタブレット」を使い、
機械が勝手に動く魔法を使える。

SFなんだかファンタジーなんだかよくわかない世界観の描写は
かなり癖があり、見てる側が世界観を把握しきれない。
そんな把握しきれない世界観が5分ほど描かれると
主人公は目を覚まし現実の世界では
「東京オリンピック」の三日前で・・・と言う所からストーリーが始まる。

冒頭のつかみとしてはいまいち消化しきれない部分が多く、
作品の世界観に入り込めない。
そんな微妙な導入から「現実世界」での
主人公の環境や現在が描かれる。
そうかと思えばまた夢の世界が描かれる。

これで夢の世界に主人公が実際に行ってしまったり、
夢の世界の出来事が現実の世界に影響を与えたりするならばまだわかるのだが、
この作品における夢の世界は単純に主人公が寝ている間に見てる夢だ。

ナルコレプシー

ややネタバレになるが「主人公が忘れていた」事を
夢としてみているだけにすぎない。
劇中で主人公はタイトル通りに何度も昼寝をするのだが、
そもそも、なぜ何度も昼寝をするかという
根本的な理由付けはされておらず、ただ特技が昼寝というだけだ。

正直、ちょっと病気じゃないのかと思うほど昼寝をする。
「ナルコレプシー」といういわゆる居眠り病と呼ばれる病気があるが、
主人公がその病気だという設定があればようやく納得できるほど寝まくりだ。
「え?このタイミングで寝るの?」と思うほどいきなり寝やがるため、
見てる側は昼寝に何らかの理由があるのかと思いきや特技止まりだ。

「昼寝」という可愛い言葉で済まされないほどの、
ある種の「睡眠障害」のようにも感じるほど唐突に寝てしまう。

主人公

そもそも主人公も可愛げがない。
キャラクターデザイン的なクセも強く「美少女」と呼べるかどうかあやしく、
癖のある岡山弁でしゃべるのも好みの分かれるところだろう。
「なんなーん?」「なになによぉ~?」みたいな
岡山弁は方言の可愛さが出てるとはお世辞にも言えない。

更に知能もやばい。主人公が名刺を渡されて、
名刺の人物の役職と名前を読もうとするのだが、漢字が読めない。
これで読みづらい文字や漢字が使われてるならわかるが、

「取締役専務執行役員 渡辺一郎」

コレが読めない。ちなみに主人公は高3だ(苦笑)
読めない理由に何かしらあるのかと思いきや別になく、
単純に馬鹿なだけの主人公であり、
この馬鹿な設定が必要なのかもわからない。

キャラクターの魅力が薄くストーリーも夢の世界と現実の世界が
寝まくりな主人公のせいで交互に描かれすぎてしまうため、掴み所がなく、
冒頭30分位まで面白みと呼べるものはほとんどなく、
少し疲れ気味ならば間違いなく見てる側が眠ってしまう。

30分をすぎるとようやくストーリーが動き出す。
主人公が知らない所で父親が逮捕されてしまい、
謎の人物が家に来て大切なタブレットを奪われてしまいと、
ようやく30分過ぎてこの作品でどんなストーリーが描かれるのかがわかる。

夢と現実

だが、中盤以降も現実の世界と夢の世界が交互に描かれるため
いちいち本筋の話の腰がおられる。
夢の世界の話は結局、主人公が見てる夢に過ぎない。
父が話してくれた昔話を夢で空想の世界に置き換えてみているだけだ

その主人公が見てる夢に過ぎない夢に主人公の幼馴染まで入り込んでくる。
夢の中でサイドカーで魔法を使って移動したかとおもえば、
夢から冷めれば大阪に居たりする。
現実では主人公のお父さんが開発した「自動運転プログラム」で
大阪に自動的に運転してきたらしいのだが、わざわざそれを夢として魅せている。

寝る理由も主人公がよく寝る子というだけに過ぎず、
夢はあくまでも「主人公の深層意識が見せてるもの」でしかないのに、
なぜ幼馴染と同じ夢を見ていたかというのもよくわからない。
わからないことだらけだ。

「夢の世界」を描く必要があったのか?と思うほどに夢の必要性が薄い。
夢の世界で主人公は魔法を使えるが、
使えた所で現実世界で何か起こるわけでもない。
終盤は現実の世界と夢の世界が混じり合ったようになっているのだが、
なぜ「混じり合ったのか?」というのもまるでわからない。

夢と現実の区別がついていない精神障害とナルコレプシーを患っている
主人公の物語を見ているような気分だ。
制作側としては「パプリカ」のようなものを作りたかったのかもしれないが、
アニメーションとしてもストーリーとしてもパプリカの足元にも及ばない。

終盤

終盤のごちゃ混ぜぶりは凄まじく巨大ロボットが現れて
主人公の父親が操縦士し、謎の怪物とのバトルまで描かれる。
それが「比喩的表現」になっているのはわかるが、
現実の世界にも影響があるような描き方をしているため余計によくわからず、
描かれていることが現実の出来事なのか夢のできごとなのかか、
見てる側はどう捉えれば良いのかがわからないままドタバタ描かれる。

こんな緊迫感のある状況で、自らのおじいさんと真剣な話をしてるのに
主人公は眠りこけており、そんな夢の空間に周囲の人物はとりこまれている。
話自体は「自動運転プログラム」をめぐる大会社とのいざこざなのだが、
そんなことよりも主人公の昼寝癖と夢空間のほうが気になってしまう。

結局、制作側の頭の中だけでストーリーが描かれてしまっており、
見てる側が空想という名の考察したり、制作側の頭を覗こうとしなければ、
きちんとストーリーを把握しきれず、
「結局なんだったんだ?」という消化不良が残ってしまう作品だ。

総評:今すぐ病院にいけ

全体的に見て売れる要素を盛り込んだだけの作品だ。
女子高生、異世界、SF、ロボット、バイク、方言など
最近売れたアニメの要素を色々と盛り込んでいる。
だが、その1つ1つの要素がきっちりと掘り下げきれておらず、
ふわっとした設定ばかりでストーリーの面白さにつながっていない。

そもそも作品の根幹にも関わる昼寝が
「主人公の特技」で片付けられてしまうのが
この作品のストーリーの練り込みの浅さをひしひしと感じさせる。

夢の中でのファンタジーな世界観と、現実世界でのSF要素、
夢の世界での魔法が現実世界でのプログラムを表してるのはわかるのだが、
あまりにも違いすぎる世界観をごちゃまぜに描いてしまっており、
それが見てる側の混乱を余計に招いてしまっていた。

唐突すぎるストーリー展開や
夢と現実が交互に描かれるストーリー構成のせいで、
ストーリーも混乱しやすく、いちいち話の腰を折られるため、
交互に描かれるという要素が作品の面白さに出来ていない。

現実世界の話だけで十分にストーリーは分かる。
夢の世界での話が「映画として派手なシーンを作るため」だけの
シーンにしかなっておらず、本筋のストーリーに
必要がないのでは?と感じてしまうのがこの作品の最大の欠点だろう。

結局の所、制作側が描きたいことを描きたいままに描いてる割には
110分という尺に収めきれておらず、その収めきれていない部分が
見てる側にはわからないために最後までよくわからない感じの作品に
なってしまっていた。

個人的な感想:こっちが昼寝しそう

個人的には何の期待もせずに見たのだが、予想以上につまらなかった。
この作品を好意的に受け止めよう、面白いところを探そうとすれば、
考察し面白く感じられる部分があることもわかる。

だが、フラットな気持ちで見始めてしまうと
ごちゃごちゃし過ぎで散らかってるだけの作品に見えてしまう。
いわゆる「質アニメ」な作品だ。

主人公の昼寝に何らかの設定があれば飲み込めたかもしれないが、
どんな状況のどのタイミングであろうと寝まくる彼女に
最後まで拒否感が生まれてしまった。

結局、この作品はどういった層に向けた作品なのだろうか?
子供向けにしては話がややこしく、
一般向けにしてはロボットや魔法などオタク臭さが残り、
アニオタ向けにしてはキャラデザがかわいくない。
男性向けなのか女性向けなのか、両方を狙ったのかもよく分からなかった。

余談だが、スピンオフの作品を見ればもう少し理解できるらしい。
だが、映画を見る人がスピンオフまでみてくれると思ったら
とんだ怠慢だ。

「ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜」は面白い?つまらない?

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  1. 見返したら恥ずかしくなる内容を突然書きたくなったオッサン より:

    あっ!この作品ハズレだ……

    この時点で席を立ちもっと有意義な事に時間を使えていたら、私もひとかどの立場の人間になっていたかもしれない
    映画代という小銭もったいなさで見続けてしまい、結局モヤモヤした気分で映画館を後にして、その後の時間まで無駄にしてしまうから私は凡人止まりなのだろう
    けど、そんな凡人な自分が好きだったりするから結局これからも駄作をモヤモヤしながら見続ける人生を送るのだろう