劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語

評価/★★★★☆(70点)

劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語 評価

116分
監督/新房昭之
声優/悠木碧,斎藤千和,水橋かおり,喜多村英梨ほか

あらすじ
見滝原市、鹿目まどかと親友の美樹さやか、先輩の巴マミ、隣町の風見野からやってきた佐倉杏子たちは魔法少女として人の悪夢が具現化した怪物「ナイトメア」退治にいそしんでいた。そんなある日、同じ魔法少女である暁美ほむらが転校してくる。5人の魔法少女とマミの友達であるベベ、魔法の使者であるキュゥべえと一緒に戦い続け一ヶ月、ほむらは私たちの戦いはこれで良いのだろうか、と違和感を覚える。

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これは円環の理に導かれた者と、円環の理に叛逆する者の物語。

本作品は魔法少女まどか☆マギカの劇場版。
前作は総集編だったが、今作は完璧な新ストーリーを展開している。
テレビ本編か総集編を見ていないとついていけないので
見ていない方はそちらから見ることをおすすめします。

なお、本レビューはネタバレを多く含みますのでご注意ください
(wikipediaが物凄いネタバレをかましているのでネタバレとかは
 もはや意味ないかもしれませんが・・・w)

基本的なストーリーはテレビ本編ならびに前作からの続き。
見滝原市では4人の魔法少女が「ナイトメア」と常日頃から戦っていた
そんな戦いの日々の中で同じ魔法少女である暁美ほむらが転校してくる。
そして5人の魔法少女達が協力してナイトメアを倒す日々が始まる・・・

と言われてもワケがわからないだろう(笑)
少なくとも今作の情報を何も仕入れずに上の文章を見た方は、
「え?前作からの続きなのに4人の魔法少女?ほむらが引っ越してくる?
 っていうかナイトメアってなんだ?」
と思ったに違いないwそれは正しい認識だ。

物語が始まり序盤の段階では前作までのストーリーを無視するかのように
「正統派魔法少女」のストーリーが描かれる。
正統派魔法少女なだけあって誰も死なない誰も傷つかない。

例えるならば「もし魔法少女まどか☆マギカの脚本家が虚淵玄ではなかったら」という
ifのストーリーを見ているかのように、
新房監督の演出と劇団イヌカレー空間が織り交ざったシャフトの魔法少女アニメを楽しむことが出来る。

特に最初の戦闘シーンは圧巻だ。まず、それぞれの変身シーンからして違う(笑)
多彩多色なイヌカレー空間の中で思わず笑ってしまうほどプリキュアもびっくりな
魔法少女たちがそれぞれの変身シーンを繰り広げる

そこから更にテレビシリーズでは実現しなかった
「5人の魔法少女が一緒に戦い、合体技を使う」という
ファンの妄想を実現したかのような華麗な戦闘シーンが描写される。
劇場というスクリーンを意識し隅々まで埋め尽くされた戦闘描写が
思わず見惚れるほどの素晴らしい戦闘シーンだ。

敵であるナイトメアにとどめを刺すシーンなど
「お菓子の魔女」が仲間であることを利用した何とも可愛らしい止めの指し方は
NHKで夕方に放送しても一切問題のないシーンだろう(笑)
あのシーンを見たお子様が幼稚園や学校でマネしてもおかしくないくらい
可愛らしいシーンだ。

しかし、違和感を感じるのだ。
「魔法少女まどか☆マギカ」がこんなに正統派なわけがない、
こんなにかわいらしいシーンのばかりなわけがない、こんなに平和なわけがない。
そして「QB」が喋らないわけがないと。

「QB」は平和な魔法少女たちが描かれる中でも画面の隅にちょこんと居座る。
たまにまどかの声などに反応して鳴きはするものの喋らない。
不気味なまでに彼が何も行動を起こさない様は視聴者に不思議な緊張感を募らせる。

その視聴者の妙な緊張感や違和感を「暁美ほむら」も感じる。
この世界は何かがおかしい、このまま平和に過ごしていいのか、
このままの日常でいいのか、自分は何かを忘れていないのかと。

中盤からは「魔法少女まどか☆マギカ」ならではの不気味さが顔を出し始める。
街の住人の顔が普通ではなかったり、見滝原市からいくらあがいても出れない現状に気づいたり、
「お菓子の魔女」がこの世界にいる不自然さに気づいたり・・・
暁美ほむらは実感する、この世界は「魔女が作り上げた世界」なのだと。

それに気づいた彼女は戦う。
彼女は思い出す「まどか」が自分たちを救うために自分を犠牲にしたことを。
だからこそ彼女が犠牲になってまで作られた世界に「魔女」がいることに苛立ち、
彼女は無鉄砲な行動を繰り返す。
魔女はどこにいるのか、誰がこんなことをしているのか、
自分の目の前の「まどか」から彼女の「真意」を聞いたことで余計に彼女の行動は暴走する。

その行動は結果として「魔法少女同士の戦い」につながる
この戦闘シーンの演出は素晴らしい。
巴マミの能力と暁美ほむらの能力、この2つの能力がぶつかり合う様は
思わず息をするのも忘れるほど画面から目が離せない激しい戦闘シーンだ
魅せる、魅せられる、魅入られる、魅せまくる、魅せつけられる
思わずそんな言葉が一気に頭の中に溢れかえってくるほど
素晴らしい高揚感を生んだ戦闘シーンだ。

そして「暁美ほむら」はこの世界の真実に気がつく。
真実に気づいたら黙っている意味は無いと黒幕である「QB」はしゃべりまくる(笑)
もう彼が饒舌に喋ればしゃべるほど素晴らしまでに下衆い計画を実感させられる
ある意味、物語中盤まで一切喋らなかったからこそ
さすがはQBと言いたくなるほどの黒幕ぶりだ。

そして「暁美ほむら」は選択を迫られる。
QBの計画通りにまどかに助けを求めるか、それとも自らが「魔女」になるか。
当然のごとく「暁美ほむら」はまどかに助けなど求めない、
QBの計画通りにいってしまえば、まどかのしたことの意味がなくなる。
そして彼女は「魔女」になる。

暁美ほむらの魔女は圧巻だ、姿、演出、攻撃、ほむらの叫び。
彼女のそれまで押さえつけていた感情が爆発するように彼女は暴れ回る
潰しても潰しても現れるQBを惨殺しながら、街を破壊する。

そんな彼女を「鹿目まどか」はほうっておくはずがない。
彼女は概念の存在になっても「暁美ほむら」を救うために行動を起こす。
それはハッピーエンドへとつながる素晴らしい展開だ。

円環の理に導かれたはずの「さやか」やお菓子の魔女、
そんな彼女たちや現実世界で生きている「巴マミ」「佐倉杏子」が協力し魔女である
「暁美ほむら」へと立ち向かう。
ハッピーエンドを見ている側に感じさせるほどカラフルな描写だ

その結果、魔女になった「暁美ほむら」もまた円環の理へと導かれる。
それは離れ離れになっていた「鹿目まどか」との再会でもある
物語はここで終わってもよかったはずだ。
彼女は十分に戦った、魔法少女としての役目を終え円環の理に導かれればよかった。

だが、この作品は「叛逆の物語」だ。
魔女が作り上げた世界で暁美ほむらは鹿目まどかの言葉を聞いてしまったがゆえに、
いや、それ以前に「鹿目まどか」が選んだ方法が「暁美ほむら」としては納得していなかった
彼女の居ない世界など意味が無い、彼女が犠牲になったままでいいはずがないと。
彼女を愛してるからこそ、愛ゆえに、愛があるからこそ、彼女は「叛逆」した。

全体的に見て「圧巻」という言葉で言い表すのが正しいだろう。
ハッピーエンドにすることもできた、しかし、真のトゥルーエンドへ至るために
この作品を安易なハッピーエンドで終わらせなかった事は私は素直に評価したい。

こんな締め方をスレば批判の声が大きくなるのはわかっているはずだ。
「引き伸ばし」「まだこの作品で稼ぐ気か」「トンデモ展開の駄作」
そんな言葉がどんどんと出てくるのはこんな展開にすれば出てくる事はわかっているはずだ。
だが、敢えて安易に「ハッピーエンド」にしない、批判覚悟なのだろう。
これはこの作品が人気作だからこそ許される、続編ができるからこそ許される展開だ。

逆に言えばこの作品の続きがなければ私だって怒る(笑)
確かにある意味でのハッピーエンドだ、
死んだはずのキャラクターが全て生き返って、まどかとほむらが一緒にいる。
だが、トゥルーエンドではない。

ラスト間際ではメインキャラが「ほむら」に対して怯えや怒りを感じている。
まどかでさえ「ほむら」の執念にも似た重すぎる愛情を受け止めきれておらず怖がっている。
そんな中でほむらは1人佇むのだ。

ここからどうなるのか、ここからどう物語を締めるのか。
それが重要だ。
あくまでこれは前編後編でいうなら前編の部分なのだ、後編があってこそ初めて生きてくる。

だからこそ続編に期待したい。
まだ製作決定!といった情報もないため定かではないが、
これでやらねばこの展開にした意味が無い。
ハッピーエンドを敢えて回避したのだ、そのハッピーエンドを上回るエンディングを見せてほしい。
私は大きく、強く期待したい

非常に評価の難しい作品だ。
本来なら続編が出てから、それとあわせてトータルの評価をしたくなる感じだが
終盤の展開を除けば「劇場版魔法少女まどか☆マギカ」というタイトルの期待感を裏切らない出来栄えだ
全体の内容というより終盤の展開に賛否両論が出て当たり前だが、
ある意味で、それも魔法少女まどか☆マギカらしい展開だったとも言える

そして何より全体的な作画が素晴らしい。 演出、背景、戦闘シーンなどアニメーションとして見ていて素直に面白いと感じるシーンが多く
もう1度DVDなどでじっくりと見たくなるほど濃厚で見応えのあるシーンの詰まった作品だった。
そういった点と続編への期待感を込めて評価は少し高くした。
あ、ちなみにマミさんだけ、ちょっとセクシーシーンあります(笑)

個人的には斎藤千和の演技力に終始やられた
「可愛らしい演技」「クールな演技」「絶望の演技」「ヤンデレの演技」と
声優・斎藤千和の実力を叩きつけられたような2時間だった。

もう1度見に行く気力はないが、DVDが出たらじっくりともう1度見たいと感じる作品だ。
その頃には続編の情報も出ていれば最高だが・・・
続編待ってます。