「処刑少女の生きる道」レビュー

ファンタジー
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評価 ★★★☆☆(55点) 全12話

あらすじ 魔導と呼ばれる概念と、魔具と呼ばれる道具を介して魔法のような力を行使できる世界。そこへ日本という異世界からやってきた迷い人と呼ばれる異邦人は、純粋概念と呼ばれる異能を宿していた。引用- Wikipedia

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時代錯誤?

原作はライトノベルな本作品。
監督は川崎芳樹、制作はJ.C.STAFF

異世界転生

1話冒頭、ありがちな異世界転生が描かれる。
日本人な少年が異世界に召喚されるものの、
なぜか呼ばれたはずなのに追い出され、途方に暮れていると
可愛らしい少女「メノウ」に出会う。

この世界では異世界転移してくるものは珍しくはないようで
迷い人と呼ばれている。
「主人公?」は迷い人として成り上がろうとするものの、
この異世界は「当たり前」のように日本の文化が取り込まれている。
日本語、文化、技術、数々の転移してきた日本人が多くのものを残している。

なろう系でありがちな展開では有るものの、
「主人公?」の設定や世界観の設定は新鮮味があり、
異世界転生者にあふれている世界で「主人公?」がなにをするのか、
ストーリーもいい意味で先が読めない。
なんの能力もないといわれた「主人公?」が何をなすのか。

動力

日本からこの世界に来たものは何かしらの能力を持っている。
「主人公?」も例外ではない、彼は無能力と思われていたが、
それは「無」という概念の持ち主だ。
なんでもなかったことに出来る、いわゆるチートな能力だ。

「邪魔なやつも、嫌いなやつも全部なかったことにすればいいんだ!」

そう叫んだ瞬間に彼はメノウに殺される(笑)
主人公だと思っていた青年は実は主人公ではなく、
この作品の主人公はそんな異世界転生を殺す「メノウ」が主人公だ。

何もしていない、殺されるようなことをしていない少年。
そんな少年をただ「異世界から来た」というだけで殺す。
「処刑人」である彼女はなぜ、異世界から来たものを殺すのか。

1話から物語の設定、主人公の過去が
テンポ良く描かれており、非常にわかりやすい。
変に主人公の過去を引き伸ばすわけでもなく、
1話の段階で明らかにしており、彼女がなぜ処刑人をしているのかも
あっさりと分かる。

そのおかげで主人公への感情移入もしやすい。
そんな彼女が「異世界転移」してきた少女と出会うことで
物語が動き出す。

殺せない

主人公である「メノウ」が出会った少女は「時間を巻き戻す」能力を持っている。
しかも、厄介なことに自動発動だ。
彼女を躊躇なく殺しても、勝手に能力が発動し、殺される前の状態に戻る。
殺したくても殺せない、殺さないといけないのに殺せない。
そんな「アカリ」を殺すためにもメノウは彼女とともに旅をすることになる。

ただ、1話は衝撃的な展開から生まれるフックがあったものの、
2話は世界観の説明やキャラの紹介が多く、淡々としている。
最近のライトノベルアニメというよりは90年代のラノベアニメに近いものが有る。
オーフェンやスレイヤーズなどのいわゆる異世界を旅しながら、
目的に向かいつつ、道中のイベントを描くような形だ。

どこか懐かしい雰囲気がありつつ、同時に最近のファンタジー系の
流行りでも有る「なろう」的な要素も盛り込みつつ、
この作品らしい面白さを作り出している。
その「らしさ」を出すための世界観の練り込みもきちんとしている。

「魔法」ではなく「魔導」という概念、
そんな魔導を使うためには魔具と呼ばれる道具を使っており、
魔具を使わずとも、導力という人が持つ力を使うことで
魔導を使うことが出来る。

異世界転生者はもれなく莫大な動力と純粋概念という凄まじい魔導を持っており、
そのせいで大きな厄災も起きた世界だからこそ、
異世界転生を処刑するものもいる。
こういった世界観をきちんと構築することで物語に説得力を生んでおり、
その説得力を高めるための説明を序盤はしているような感じだ。

異世界人は動力を使えば使うほど力が強くなる。
最初は自らの肉体の状態をもとに戻しているだけだった
「アカリ」だが、彼女は徐々に「時間」そのものを元に戻せるようになる。
彼女のあまりにも莫大な力と、そんな力を持つ彼女をどう殺すのか。
旅路は続いていく。

疑念

「メノウ」は過去に異世界人が起こした厄災の被害者だ。
その事件ゆえに、彼女の魂は漂白され、
何もなくなった彼女は師匠に育てられ、いつしか師匠のようになりたい、
師匠そのものになりたいと思うようになる。
幼い頃から「異世界人」を殺すために育てらた彼女。

そんな彼女が旅路の中で徐々に「アカリ」に対して友情を感じるようになる。
最後には殺す存在なのに、彼女を気遣い、彼女に優しくしてしまう。
メノウが所属する「ファウスト」も1枚岩ではない。
自身が信頼していたものの裏切り、組織への不信感。

同時に「アカリ」にも謎がある。
時間を「回帰」している彼女、そんな能力を持つ彼女は
「何度も」時間を回帰している節がある。
自ら彼女に殺される運命に有ることはわかっていながらも、
それでも「メノウ」を慕い、「メノウ」を助けようとしている。

そんなアカリだからこそ、メノウも徐々に自らの信念が揺らいでいく。
90年代のラノベ、なろう、タイムリープ。
話が進めば進むほど様々な要素が絡み合い、
この作品の面白さもにじみ出てくる。

中盤

ただ、中盤からはあまりメインの部分の話は進まない。
「パンデモニウム」という過去に異世界人が起こした事件があり、
そんな事件がおきた街に主人公たちが訪れて
パンデモニウムに巻き込まれていくという感じだ。

序盤は世界観やキャラクターの設定が明かされていく面白さがあったが、
中盤からはメインストーリー部分が進んでいる部分が少なく、
その分、過激な戦闘シーンが増えたことで盛り上がりにもつながっているものの、
ややテンポの悪さを感じてしまう部分がある。

「100回殺さないと死なないパンデモニウム」という
能力の設定自体は面白く、
そんな設定だからこその過激なややグロテスクとも言える戦闘描写は面白い。
制作のJCSTAFFはたまに作画の悪い作品は有るものの、
この作品はきちんとしたクォリティで描かれている。

「タイムループ」してるのに自分が知る過去と違う過去になってしまっているせいで、
うまく物事を進行できない「アカリ」の戸惑いや、
「白の勇者」と似ているといわれるメノウ。
様々な伏線や設定が中盤からは絡み合っているものの、
その伏線や設定が明らかになることはない。

「星の記憶」や主人公の師匠の秘密、日本に帰る方法、
色々な謎が更に追加されたところで1クールが終わってしまう作品だ。

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総評:壮大な百合ダークファンタジー

全体的にみて色々な要素を感じる作品だ。
なろう、90年代ラノベ、タイムリープ、その3つの要素が
複雑に絡み合った作品であり、1話の段階では逆張りなろう系作品に
見えるが、2話以降はダークファンタジーらしい設定の練り込みと、
その設定から生まれるストーリーの面白さを感じさせてくれる。

ただ、その重厚な設定ゆえに1クールではまだまだ序章だ。
戦闘シーン自体のクォリティも高く、たとえ記憶を失っても、
メノウに殺されたいと思うアカリの心理描写の重さや、
設定が明らかになっていくことによる面白さは感じるものの、
やや消化不良は残ってしまう。

6話くらいまでの内容が1クールのラストならば、
区切りがいいラストだったかもしれないが、
12話というストーリー構成ではやや歯切れの悪いラストになっており、
1クールではなく2クールくらいでがっつりとみたかったと
感じてしまう作品だ。

この手の作品としてはあまりキャラクターは多くなく、
道中を邪魔したり、協力してくれる姫騎士や、
影でこっそりささえる「モモ」の存在なども良いスパイスになっており、
キャラクターの魅力やストーリーの面白さが出始めたところで
終わってしまっていることもあり、色々ともったいない作品だった。

個人的な感想:10年前だったら…

10年や20年くらい前だったら、がっつり2クールくらいで
放送された作品だったろうなと感じる作品だ。
1話以外は懐かしさを感じる要素が多く、
かつての「富士見ファンタジア文庫」原作のアニメの数々を思い起こさせてくれる。

そういった意味でも、ある意味での「時代錯誤」な作品だったのかもしれない

「処刑少女の生きる道」は面白い?つまらない?

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