「呪術廻戦」レビュー

ファンタジー
スポンサーリンク

評価 ★★★★☆(67点) 全24話

あらすじ 常人離れした身体能力を持つ高校生・虎杖悠仁は、両親の顔を知らず、祖父に育てられた。引用- Wikipedia

スポンサーリンク

オサレイズム

現作は週刊少年ジャンプで連載中の漫画作品。
監督は朴性厚、制作はMAPPA

もう1つのジャンプ

この作品の原作は週刊少年ジャンプで連載中の漫画作品だ。
週刊少年ジャンプといえば最近は「鬼滅の刃」を社会現象にするほどの
大ヒット作を生み出しており、衰退したと言われたジャンプの
「黄金期」の勢を取り戻しつつ有る。

そんな中で本作品は、そんな鬼滅の刃の「対をなす」存在として注目されている。
劇場アニメは2021年12月24日より上映が開始され、
鬼滅の刃の劇場版とおなじような興行収入になるのでは?と期待されている。

私は「鬼滅の刃」はジャンプ黄金期の集大成のような作品だと評した。
るろうに剣心、ジョジョの奇妙な冒険、NARUTO、ダイの大冒険、
様々な作品の要素を取り込んだ鬼滅の刃は王道を貫き、
友情、努力、勝利のジャンプらしいジャンプ作品だった。

そんな「鬼滅の刃」の対をなす存在になることを期待されているこの作品は
ある種、「もう1つ」のジャンプだ。

特徴的

見出して感じるのは主人公の「髪型」と「髪の色」だ。
サイドを刈り上げて、刈り上げた部分以外は「ピンク」に染めている。
かなり奇抜ともいえる髪の色と髪型はいい意味で過去の
ジャンプ作品の主人公を思い出す。

「遊戯王」の遊戯を始め、ヒカルの碁のヒカルなど
髪型と髪の色が印章に残る主人公は多い。
どこかヤンキーっぽさを感じる主人公のキャラクターデザインは
「BLEACH」の黒崎一護の面影すら感じさせる。

そんな主人公「虎杖悠仁」はオカルト研究部に所属しているつもりの高校生だ。
髪型は特徴的であるものの運動神経の高い普通の男の子だ。
両親はおらず、「祖父」は入院しており、
そんな祖父のお見舞いに毎日のように行っている、いい子だ。

1話のAパートで非常に丁寧に「主人公」を魅せている。
物語の芯、主軸となる存在の彼がどんなキャラクターなのか、
Aパートまるまるたっぷり使うことで「虎杖悠仁」という
主人公に感情移入を生みやすい丁寧な導入だ。

この作品は2クールのアニメでは有るものの、
4クール、いや、それ以上の長期アニメの1話のような
丁寧すぎるともいえる始まりを描いている。

そんな主人公の祖父がなくなり、天涯孤独の身になった
彼の前に「呪術高専」の「伏黒恵」が現れる所から
物語が動き出す。

呪い

この世界には「呪い」が存在している。
人の恨みつらみ、負の感情が怨念を生み呪いになる。
そんな呪いの対策として「呪物」というものが存在する。
強い呪いを秘めた呪物は弱い呪いを寄せ付けない、
だが、年月がたつと呪物の封印が緩み、強力な呪いが解き放たれる事も有る。

主人公をみせ、世界観をみせる。
物語の1話らしい1話を本当に丁寧に見せている。
そんな「呪い」が主人公の通う学校に解き放たれる。
力のないものが呪いに立ち向かっても死ぬだけだ、
主人公もまた特別な力なんて無い。死の恐怖が彼の足をすくめる。

しかし、「祖父」の言葉が彼の脳裏に浮かぶ。

「お前は強いから人を助けろ」

正しくまっとうに死んだ祖父を目にしたからこそ、
「呪い」という正しくないもので死ぬものを彼は見過ごせない。
自分に呪いを払う力がなくとも、彼は友のため、
祖父の遺言という自らにかかった「呪い」で立ち向おうとする。

清々しいまでのジャンプの主人公だ。
正しくあろうと、正義であろうとする。まっすぐで純粋な主人公。
彼は呪いに立ち向かうために、呪いの力を得るために「呪物」を飲み込む。
自らがどうなるかは後回しだ、自己犠牲の精神の考えすらない、
力を得た代わりに彼は、彼自身が「呪物」となってしまう。

祖父の遺言という呪い、自らの身体に宿した呪い、
そして彼自身が持つ「サガ」ゆえの呪い。
呪いというものを知ってしまったからこそ、
自らが闘うために「宿儺」という特別な呪術を取り込んだからこそ、
彼は他の誰にもできないことを、自らの正義を成そうとしている。

見ず知らずの誰かのために、彼は呪いと闘う運命へと足を運び入れる。

呪術高専

序盤はやや淡々としつつ説明描写も多い。
「呪い」の発生条件や等級、主人公が飲み込んだ「宿儺」とはなんなのか。
主人公が通う呪術高専のメインキャラを掘りさげつつ、
何も知らなかった主人公に説明するように見ている側にも
この世界観の説明とキャラの掘りさげと印象づけをしている。

そんな中で主人公に強敵が現れる。
ジャンプ漫画ではお得意な序盤の強敵展開だ。
本来は叶うはずのない相手にまだ「1年生」の3人が挑む。
どこかで見たことの有るような展開ではあるものの、
言い換えれば「王道」だ。

容赦なく襲いかかる呪い、容赦なく欠損する左手や指。

「逃げたい」「死にたくない」「俺はこんなに弱かったのか」

人間として当然持つ恐怖に対する感情。
彼は運動神経が人よりも高く、それゆえに「恐れ」の感情が薄い。
1話の段階で未知の呪いに立ち向かったのも、その「うぬぼれ」ゆえだ。
しかし、4話で彼は実感する。

自らが「井の中の蛙」だったことを、自分の弱さを、
初めて実感する死に対する恐怖。人間が持つ当たり前の感情を、彼はたぎらせる。
恐怖に打ち勝ち、自らの弱さを認め、一歩前に進む。
自らが持つ後悔をバネに、成長し戦う決意をする。
丁寧に、積み重ね、1話1話しっかりと主人公と物語をみせている。

傲慢さ

この作品のキャラはそれぞれ「傲慢さ」をかかえている。
自分本位な、エゴイズムと言い換えてもいいかも知れない。
主人公は祖父の遺言を守り「正しい死」のために他者を助けようとしている、
しかし、その「正しい死」という考えはあくまでも主人公の目線からだ。

何を持って正しいとするのか。
呪いで理不尽に奪われる死は彼にとっては正しくない死だ。
だが、1話で彼のクラスメイトが呪いを解き放なければ
呪いは彼らを襲わなかった、好奇心が彼らを死へ導いた。
その結果、もし死んだとしてもそれは「正しくない死」なのだろうか。

主人公の目線で見れば呪いで奪われる死は正しくない死だ。
例え無免許運転で交通事故を起こした罪人さえも、
彼は呪いから守ろうとしている。
「自業自得」や「報い」というものを彼は考慮していない。
自分が正しい、正義だと思ったことをただなしているだけだ。

他のキャラクターも同様だ。
同級生の「伏黒恵」もまた幸せになるべき善人が報われないことに
不平等な現実が平等に与えられる世に逆らうために戦っている。
それぞれが抱える傲慢さ、エゴイズムがキャラクターを作っており
そのエゴイズムから生まれる不器用さがキャラクターの魅力になっている。

己が抱える正義のために、己が抱えるエゴイズムのために、
呪術師は「呪い」に立ち向かっている。
「呪い」自身もまた人の恨み,、
傲慢さやエゴイズムが徐々に集まって生まれるものだ。

負けないように強くなりたい、己のエゴという名の正義を押し通すために。
それゆえに「修行」する。
力の使い方もわからなかった、呪いも、呪力も知らなかった少年が
より強い力を求め努力する。

時には自らの「正しい死」の概念の迷うことも有る。
「死」とはなにか、「死生観」のようなものが
この作品のテーマあの1つなのだろう。

五条 悟

彼は主人公が通う「呪術高専」の先生だ。
そして同時に「作中の最強キャラクター」だ。最強故に傲慢、傲慢故に最強だ。
この世界において傲慢さは力の象徴でもある。
自らが認めない限りは彼は誰にも己を触れさせない。
最強だから五條悟なのではなく、五條悟だからこそ最強なのだと
いわんばかりの己のエゴイズムを全開にする戦闘シーンは圧巻だ。

飄々とした態度で敵が目の前に居ても冗談を吐きまくり、
主人公が今までであったどの敵よりも強い敵を目の前にしても
「弱い」と字け笑うほどだ。

カリスマ性の有るキャラクターの存在は人気作には不可欠だ。
呪術廻戦におけるカリスマは「五條悟」であり、
そんなメタ的な要員ですら自らの「傲慢さ」に取り込んでるフシが有る。

普段は目を隠している彼が本気を出す時だけその目を晒す。

領域展開

この作品はいわゆる「能力バトル」の側面も備えている。
HUNTERHUNETRやBLEACH,過去の人気ジャンプ作品でも
数多く行われてきた能力バトル、そんな人気ジャンルにおいて
それぞれの作品がそれぞれの特色を兼ね備えている。

「領域展開」こそがこの作品の特色だ。
自らが持つ呪力を拡大させ、その領域に敵を引き入れることで、
己のエゴイズムの中に収めることができる。
その領域の中にいれば自らの力は向上し、攻撃は絶対相手に当たり、
相手の技の威力を抑えたり無効化することができる。

身勝手の極みだ(笑)
己の身勝手さ、傲慢さに引き釣り込み自分のしたいようにする。
そんな「領域展開」を「五条 悟」が使えば、
敵はただただ何もできなくなる。無抵抗に「死」を待つのみだ。

そんなチート級の強さを見せることで、
主人公がどう成長し、変化していくのかという
期待感も募らせる。

厨ニ感

いい意味でこの作品は「厨ニ感」全開だ。
五條悟というキャラクターもそうだが、キャラクターの名前やあ、
キャラクターたちの極端とも言えるキャラクター描写や、
どこか遠回しだがポエミーになる一歩手前な台詞回しが
この作品を彩ることで「センス」と「おしゃれ」さを感じさせてくれる。

この作品の空気感、呪術廻戦という作品が醸し出す「雰囲気」そのものが
この作品の魅力そのものだといわなんばかりに、
キャラクターが喋り、動き、闘う。

そんな「オシャレさ」を演出で魅せる。
特に戦闘シーンはスロー演出なんてチンケなものを使わずに、
キビキビと動き回るキャラクターたちをぐりぐりと動く
カメラワークで映すことでハイスピードな戦闘シーンを演出しており、
そこからピタッと止めることで戦闘シーンの終わりを盛り上げる。

静と動、それを意識してるからこその緊張感あふれる戦闘シーンが
見ているだけでシンプルな面白さを目に味合わせてくれる。
「アニメーション」としての面白さをきちんともり立てている。

仲間の呪術師や敵の呪霊がややこしい術式で能力バトルをするのに対し、
主人公はシンプルに「殴る」のみだ(笑)
その対比がいい味を出しており、脳力の説明台詞が多いのは
やや気になる物の、脳力がややこしいからこそ逆に
「厨ニ感」も強く生まれている。

対抗戦

ただ2クール目から一気にキャラクターが増える。
主人公たちが通うのは東京の高校だが、
京都の高校との対抗戦が2クール目から描かれることで新キャラがドバっと増える。
こういった対抗戦では少年漫画原作作品ではありがちな展開だ。

キャラ数の多さも「戦闘シーン」の迫力で補っている部分があり、
戦闘シーンの中でキャラクターの印象付けを行っている。
「MAPPA」の作画脳力があったからこその印象付けではあるものの、
ややキャラの掘りさげは甘く、印象の薄いキャラクターも多い。
そのキャラの印象付けのために回想シーンも非常に多い。

対抗戦はあくまで対抗戦なため本筋の話が進んでいるとは言えず、
そもそも主人公は「宿儺」の残りの指を集めるという目的が
一応有り、彼自身が「宿儺」の指のレーダーの役目もあると
序盤説明されているものの、そもそも「探す」より
勝手に敵が持ってきたり、持ってたりすることのほうが多い。

序盤こそ主人公や他のキャラの「人生観」や「死生観」が描かれ、
この作品の呪いという「人の業」とも言える部分との結びつきから
生まれるエピソードが面白く感じられるのだが、
中盤のこの対抗戦はベタベタなありがちな能力バトルストーリーでしかなく、
そんなに感情移入も印象もついていないキャラ同士の戦いは
盛り上がりに欠けてしまう。

例えば「NARUTO」のように勝てば中忍になれるという
目的が有るならばともかく、特にそういう目的が有るわけではない。

終盤

しかし、そんなややあ盛り上がりに欠ける中盤ではあるものの
終盤の盛り上がりはしっかりと有る。
対抗戦に紛れ込んだ格上の「敵」と、そんな敵に対処する生徒たちと「先生」の存在感が凄まじい。
対抗戦と言う命のやり取りのない戦いよりも、
「命」のやり取りがあって初めて「呪術廻戦」という作品が生きる。

例え1人ではかなわない格上の相手でも
仲間とともに、友とともに「勝利」を掴もうとする。
互いの武器を入れ替え、戦い方を常に変え、敵を惑わし、傷をつける。
戦いの中での「努力」が成長を呼ぶ、

友情、努力、勝利。
この作品も間違いなく「ジャンプ」なのだといわんばかりの展開だ。
そんな「熱い」展開を動かしまくりなカメラワークと
くるくると「廻り」ながら闘う姿が立体的に描かれることで
「気持ちよさ」すら感じる。

これが「能力バトル」だといわんばかりの脳力の連発、
余すことなく全開で描かれる能力バトル、
見ている側もこの戦闘シーンを楽しんでいるが、
同時に戦っている彼らも楽しんでいるフシすらある。

ストーリー的には「俺たちの戦いはこれからだ」で終わるものの、
しっかりと2クール楽しませてくれた作品だった。

スポンサーリンク

総評:厨ニ的ジャンプイズム

全体的に見て「ジャンプらしい」ダークファンタジー能力バトル作品だ。
「呪い」という人の業から生まれる存在と、
そんな存在に立ち向かう呪術師たちの物語という芯を描きつつ、
「正しい死」を求める主人公を始め、それぞれの人生観と死生観を持ち、
身勝手とも言えるエゴイズムのぶつかりあいがこの作品らしさを醸し出している。

癖が強く個性的なキャラクターは魅力的であり、
「パンダ」な「パンダ」や「しゃけ」だの「すじこ」だのしか言わないキャラなど癖全開だ。
「五条悟」というカリスマを中心に、印章に残るキャラも多く、
そんなキャラクターたちが魅せる「バトル」の魅力をMAPPAの
作画クォリティで盛り上げている。

いい意味でも悪い意味でも「厨ニ」っぽさはあり、
その部分で好みは分かれるところはあるものの、
2期があるならば「見たい」と感じさせてくれる作品だった

個人的な感想:第二の鬼滅の刃?

鬼滅の刃が「ジャンプ黄金期」の要素を集めた作品ならば、
この作品はもう1つあとの世代、HUNTERHUNTERやBLEACH、NARUTOなどあのころのジャンプの匂いを感じる。

しかし、決してパッチワークではない。
この作品だからこその「死生観」を醸し出すことで、
この作品らしい面白さを煮出しており、私があと10年、
いや20年若ければドはまりしていただろうなという要素ばかりだ。

第二の鬼滅の刃ともてはやされている作品だが、
鬼滅の刃とは「世代」が違う。
そのあたりの好みは分かれるところだが、
10年~20年くらい前の自分に戻ったつもりでこの作品を見ると
思わず「右腕」がうずいてくる作品かもしれない(笑)

「呪術廻戦」は面白い?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください

  1. より:

    普通に面白いけど、話の内容が、「HUNTER×HUNTER」や「NARUTO」に似ていて新鮮味に欠けてしまう。

    5.0 rating