アクション

割烹!割烹!割烹!「もめんたりー・リリィ」レビュー

もめんたりー・リリィ アクション
画像引用元:©GoHands/松竹・もめんたりー・リリィ製作委員会
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評価 ★★★☆☆(58点) 全14話

TVアニメ「もめんたりー・リリィ」メインPV第1弾【2025年1月より放送予定】GoHands New Animation Project

あらすじ 突如出現した謎の機械・ワイルドハントによって、世界から多くの人間が消滅した。河津ゆりたち5人の少女は、ワイルドハントから手に入れたアンドヴァリを使ってワイルドハントと戦っていた。 引用- Wikipedia

割烹!割烹!割烹!

本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は鈴木信吾、制作はGoHands

髪の毛

1話冒頭から「GoHands」らしさ全開だ。
ぬるぬるに動く作画というのはある程度の制作会社なら
もはや当たり前なのだが、GoHandsの場合はヌルヌルを超えて
バッサバサとよくわからないレベルで動かしまくっている。

特に最近のGohandsは過剰なまでに「髪の毛」を動かす傾向にあり、
他のアニメが100だとしたら1000くらい髪の毛を動かすのがGohandsの特徴だ。
シャンプーのCMでだってここまで髪の毛を動かしていない、
現実よりも動いているのではと感じるほどに動かしまくりな作画と
カメラワークが特徴的だ。

キャラクターが武器を召喚する、そういうシーンでさえ、
細かくカメラを動かしまくり、モウ見ていて目が疲れるほどの
チカチカするレベルの作画だ。

GoHandsといえばKやハンドシェイカーの印象が強いが、
最近は「デキる猫は今日も憂鬱 」や「好きな子がめがねを忘れた 」など
いわゆる日常系の作品を多く手掛けていたのだが、
この作品は原点回帰ともいえる「バトルアクション」だ。

退廃した世界、そんな世界には人類がほぼいない。
いるのは数名の少女たち、彼女たちは武器を手にして
人類の敵である「ワイルドハント」と戦っている。

多くの人類がワイルドハントによって殲滅された世界。
そんな世界で一人少女は歩き回っている。
そこで5人の少女と出会う所から物語が始まる。

怒涛のセリフ回しと怒涛の髪の毛の作画のせいで
独特の「圧」があり、クセは強い。
そのクセの強さは同時にGoHandsらしさに繋がっており、
かつてのGohandsを彷彿とさせてくれる。

割烹

謎のロボットが電気や設備を整備しているが、
そんなロボットの姿は見かけても人類の姿はない。
生き残りはいるのか、この先どうやって生きていけばいいのか、
6人の少女たちにもわからない。

そんな退廃した世界観でも生きていくうえで食べないといけない。
長期保存の効く缶詰を見つけながら日々の飢えを満たしていたが、
それでは心が満たされないのが人間だ。

5人の少女と出会った主人公はただ保存のできる食べ物を
そのまま食べるのではなく「割烹」して食べる提案をいきなりしだす(苦笑)
近未来ポストアポカリプスSFバトルアクションアニメが始まったかと思えば、
唐突に料理アニメになる。

SDキャラによる料理シーンはシンプルであり、
出来上がった料理もあまり美味しそうには見えないのだが、
そんな料理を美味しそうに彼女たちは楽しみ、生きる気力につながる。

こんな世界で、この先どうなるかわからない中で、
誰かと一緒に美味しい料理を食べる、それは幸せだ。
そんな幸せを守るためにも戦わなければならない。
6人の少女はそれぞれ武器を持ち、食べるために、
生きるために、幸せであるために戦おうとする。

6人はともに生き抜こうとするが友達ではない。
いつか死ぬことがわかっているからこそ、いつか一人になることが
わかっているからこそ、友達を失う恐怖を味合わないように友達ではないと
言葉で拒絶している。退廃的な世界で生き抜いている少女たちだからこその
心構えが1話できちんと描かれている。

ちなみにこの割烹要素は毎話ある(苦笑)

他にも生きている人がいるかも知れない、
離れ離れになった人が見つかるかもしれない、
失った記憶が元に戻るかもしれない。
そんな「希望」が彼女たちの中にはあり、だからこそ前に進もうとする。

敵は強敵ばかりだ、圧勝できるほどの雑魚はおらず、
巨大な敵を相手に敵から奪った武器で彼女たちは戦っている。
どんな仕組みで、どんな技術が使われてるのかもわからない武器に
彼女たちは頼るしか無い。

戦闘中でもものすごい量のセリフを喋りながら戦う姿は
かなり独特だ。もしかしたら「喋る」ことで戦いの恐怖を
薄れさせているのかもしれない。普段は明るく前向きな少女たちだ。
だが、いざ「死」を眼の前にすると年頃の少女らしく
彼女たちは恐怖を叫ぶ。

激しく動き回り、怒涛のセリフを吐きながら生きることに足掻く少女たち。
しかし、あっさりと「死」は訪れる。
あまりにもあっさりと、あまりにも軽い。
この世界において人の命は軽すぎる。それを少女たちはわかっている。

そんな死で立ち止まるわけには行かない。
悲しみに暮れていても、何も得ることはできない。
死を受け入れ、腹を満たし、失われた命を背負い、一歩踏み出す。
もう誰も失いたくない、自らも死にたくない。
だからこそ5人は「友達」になる。

百合

序盤をすぎると一人ひとりのキャラの掘り下げが行われ、
同時にキャラ同士の関係性も掘り下げていく。
キャラクター自体は記号的ではある、ギャル、委員長、お姉ちゃん、
引きこもりとわかりやすいキャラクターだからこそ
印象には残りやすい。

ただ、この中盤くらいの掘り下げはややテンポも悪く、
記号的なキャラであるがゆえに印象は残りやすいが、
同時に掘り下げても深みが生まれづらい部分がある。
百合的な要素も匂わせているものの、あくまで匂わせているだけだ。

各キャラの口癖も気になるところであり
「ギルティ」「割烹」「お姉ちゃん」など
かなりオタク的な痛々しさを感じる台詞回しになっている。
特に割烹に関しては強烈な違和感を生んでおり、
シリアスなシーンで決意を決めるシーンですら
「割烹..」と呟く姿はシュールすぎる

このあたりは強烈の好みが分かれるところだろう。
Gohandsでは過去にKで「抜刀!」というセリフがネタにされていたが、
それに近いノリがあり、Gohandsらしいセンスだ。

中盤をすぎると、生存者が見つかり助けに行く展開になる。

生存者

生存者はかなり多く、主人公を除く4人の家族も再会する。
だが、主人公のことを知っている人はいない。
唯一あるのは2話で死んでじまい、1話で初めて出会った
「ゆり」の記憶だけだ。過去にあったことがあるはずがないのに
出会った記憶だけが断片的に蘇り、怪我もすぐに治ってしまう体を持っている。

妹かもしれない存在とは再会するものの、
自らの記憶が戻らず、それどころか「自分」は過去に死んだことが
妹から告げられる。妹自身が主人公の死体を埋めたはずなのに、
主人公は記憶を失い、元の姿のまま今存在している。

かつて自らを殺した敵と相対し、自らの記憶が蘇らえず、
妹かどうかも確信が持てない相手を守るために、彼女は必死になる。
存在を証明するために、今、大切な人を守るために。
それが自分「霞 れんげ 」だと言えるように。

8話の戦闘シーンの作画は本当にえぐい、
高速に動き回る中でビルに突っ込んだかと思えば瞬時に飛び去り、
そんなキャラの姿を追いかけるようなカメラワークのなかで、
キャラクターたちが好き放題に喋りながらの戦闘シーンだ。

この8話の戦闘シーンはまさにGohandsだ。
他のアニメではお目にかかれないGoHandsだからこその戦闘シーン、
これがGohandsなんだと制作側の叫びが聞こえるような戦闘シーン、
この8話の戦闘シーンだけでこの作品の価値が生まれている。

自分が何者かを知りたい、そんな思いを抱える主人公の前に
死んだはずの「ゆり」が現れる。

SF

終盤に入るとこの作品の特徴である「SF」要素が強まってくる。
主人公は1度死んだのになぜ生きているのか、
彼女たちの前に現れる自らと同じ名前と姿をした4人と死んだはずの「ゆり」。
地下の施設に眠る大量のカプセルに入っているのは「5人」のコピーだ。

主人公がときおり思い起こす記憶、武器の秘密、
彼女たちのコピーがなぜ存在するのか。
敵であるワイルドハントはなぜ人類を殲滅しようとしているのか。
彼女たちは偽物だ、自分たちが偽物、コピーであるとはしらず、
本来は「人類の敵」となる存在だ。

だが、ワイルドハントや彼女たちを作った存在は計画を中止した結果、
彼女たちは人類の敵とはならずワイルドハントを戦う事になっている。
この惑星は未知の存在の「研究施設」だ。
生命を研究する宇宙人的な存在、神とも言える存在の研究でしかない。
神ともいえる存在が決めたルールが中途半端な状態になっている。

主人公はそんな計画に巻き込まれた「人間」だ。
記憶も失い、体も改造され、命も短くなっている。
それでもお腹はすく、みんなとご飯を食べたいという思い、
割烹をしたいという思いは「自分自身」のものだ。

4人の少女たちは多くの死を背負いながら、歩みを止めない。
守りたいもののために、友が守りたかったもののために戦い続ける。
きちんと余韻の残るラストはアニオリ作品としての
満足感を感じさせるものだった。

総評:スタイリッシュ割烹SFアクションアニメ

全体的に見て実にGoHandsらしい作品だ。
Kやハンドシェイカーといったくせの強いアニオリ作品を
生み出し続けているGoHands制作全開の作画とストーリーと
キャラクター描写は強烈なクセを生んでいる。

作画に関しても異様なほど揺れまくる髪の毛と
戦闘シーンのカメラワークは独特な没入感を生み出してはいるが、
同時に「酔う」感覚すら覚えるほどであり、好みがわかわれる。

キャラクター描写も記号的な部分があり、
「割烹!」を始めとしたキャラの口癖はオタク的な誇張も強く、
セクシーな表現などを含め、人を選ぶ作品になっている。

しかし、1クールで綺麗にまとめ上げたストーリーは
起承転結スッキリとしたものになっており、
設定の開示の仕方はやや雑ではあるものの、
ポストアポカリプスな世界観で自身の存在証明をする
少女たちの物語が1クールでまっすぐに描かれており、
最後まで見ると1つの作品をみた満足感を得ることができる。

作画に関しても「GoHands」だからこその魅力を感じる部分が多く、
それを楽しめるという意味でも意義のある作品だ。
今は人選ぶ作品を多く作り上げているGohandsだが、
もしかしたら10年後くらいには君の名はのような
爆発的ヒット作品を生み出すかもしれない。

個人的な感想:割烹!

抜刀!割烹!と韻を踏んでいるのは意識されたものなのだろうか(笑)
いい意味で印象に残る部分でもあるが、
本当に人を選ぶ作品だ、1話を見て面白そうと思えば最期まで楽しめるかもしれないが、
1話でなんだこれ?と思ったら厳しい。

最終話で新キャラがでてきたが、ソシャゲなどの展開もあるのだろうか?
どことなくソシャゲの前日譚的なストーリーのようにも感じる部分があり、
もしかしたら、今後の展開もあるかもしれない。
2期等はないかもしれないが、そのあたりの展開を期待したいところだ。

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