ワルキューレロマンツェ

評価/★★★☆☆(52点)

ワルキューレロマンツェ  評価

全12話
監督/山本裕介
声優/山下誠一郎,清水愛,瑞沢渓,中村繪里子,田口宏子ほか

あらすじ
ヨーロッパのとある大きな街・ヘレンズヒル。その街には、華麗かつ勇壮な戦いで観衆を魅了する馬上槍試合の一騎打ち「ジョスト」の名門校・ウィンフォード学園が存在する。数多くの有名な騎士とべグライター(騎士補佐)を輩出してきたその学園で、水野貴弘は馬の世話をしながら退屈な日々を送っていた。

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馬が俺を待っている!

原作はアダルトゲームな本作品。
アニメ化もした「プリンセスラバー」と同じ会社のゲームのアニメ化だ。

開始早々、画面に引き込まれる。
鎧を着た少女が長い槍を持ち馬に乗り戦う「ジョスト」と呼ばれるスポーツが描かれる
CGを駆使した華麗でありながら迫力のある描写だ
このスポーツは何なんだという見ているものの惹かれる描写を
冒頭から見ている側に激しく叩き込んでくる

だが、そんな冒頭で引きこまれたあとに「あ、これエロゲ原作だ」と思い知らされる(笑)
不自然にはだける胸元、見えまくるパンツと
冒頭で散々激しい「ジョスト」の描写があったにもかからず唐突に差し込まれるセクシー要素が
イイ意味で冒頭の緊張感をほぐしてくれる。
1話の冒頭5分というアニメにおいては大事な部分できちんとこの作品の2つの魅力を
バランスよく描写しており、気持よく見だすことの出来る作品だ。

ストーリー的にはそんな「ジョスト」が中心に展開していく。
このジョスト、アニメ及び原作ゲームだけの「空想のスポーツ」ではなく、
実際のスポーツらしい(苦笑)
実写での実際の試合模様の映像があったのでココに記載しておく
http://www.youtube.com/watch?v=wh5tsGQ9KLQ

そんなジョストをヒロインである「美桜」がやることになってしまう。
彼女はジョストを教える「騎士科」のある学校で「普通科」に属する生徒だ
馬にだって乗ったこと無い彼女がジョストをやめた主人公に教えられ
試合に挑むことになるというところからストーリーが始まる

序盤はヒロインの訓練模様が描かれる。その中で「セクシー要素」を入れまくる
いわゆる下ネタギャグをふんだんに入れつつ、不自然すぎて逆に笑ってしまうパンチラを盛大にいれ
主人公のラッキースケベイベントもふんだんにぶち込んでくる(笑)
もはやエロい、エロくないではなく「ギャグ」になっているため不快な感じはない。
逆に言えばセクシーシーンのはずなのにあまりセクシーさは感じないという欠点も生まれている
アダルトゲーム原作という期待感から生まれる過激なセクシーシーンはほぼない。

更に言えば序盤からキャラクターが多すぎる。
キャラクターデザイン的に「似た顔」「似た髪型」のキャラクターが多く、
横文字で覚えづらい名前が多く「誰だっけ?」と登場する度に思うキャラも多い。
序盤から登場させなくてもいいようなキャラクターもおり、
物語序盤から「ごちゃごちゃ」した印象がある点は残念だ。

ただ、そんなごちゃごちゃした感じを「ジョスト」の初試合で一掃してくれる。
このジョストの試合はお互いに向い合って馬を走らせ、すれ違いざまに相手を槍で突く。
当たった場所によってポイントが決まり、一定ポイントを取るか相手の頭上の羽を落とせば勝ちという
非常にシンプルなものだ。
だが、シンプルだからこそスピード感溢れる乗馬、迫力のある槍、爽快感のある鎧の破壊が
単純だが迫力がある、単純だが熱くなれる、単純だが面白い戦闘シーンを生んでいる。

そう、戦闘シーンだ。
乗馬しながらという一見スポーツにも見える競技ではあるのだが、
描写は「ロボット同士の戦闘シーン」のような重い金属がぶつかり合う面白さがある。
シンプルだからこそ「主人公の考える」作戦がダイレクトに試合模様に影響し、
そしてヒロインがそれに素直に答え、試合を運ぶ。
すれ違いざまの一瞬のみの攻撃シーンは素晴らしい緊張感を生んでいる

しかしながら戦闘シーン以外のストーリーが非常に淡々としている。
前述したように「キャラクター数」が非常に多く、それぞれを掘り下げるストーリーもあり
物語の本筋である「夏の大会」がなかなか始まらず、主人公もなかなか誰のパートナーになるか決めない
色々なキャラクターにスポットを当てたい気持ちはわかるのだが、
本筋のストーリーが進まないもどかしさが強い。
序盤は非常に勢いのある展開だったのだが中盤になるとその勢いが無くなってしまう。

更に言えば主人公の価値。
主人公は優秀な騎手だった経験を活かし騎手のサポートである「ベグライダー」になっている
他のヒロインは主人公が優秀だから自分のべグライダーになってほしいと求めているのだが、
そもそもの優秀さがあまり感じられないうえに、「ベグライダー」って必要?と感じてしまうのだ。
いわゆるボクシングのセコンド的存在というのはわかるのだが、
いまいち「ベグライダー」の必要性がピンとこない。
実際、終盤での試合で主人公以外のベグライダーは出てこない。

更に原作で言えば誰かのベグライダーになればいわゆる「ルート」の決まる展開になるからか
アニメでは誰の「ルート」も選ばない展開になってしまっている。
それ故に主人公の存在価値がなくなってしまい、空気になってしまっている点は残念だ。

3話と4話で2試合したあとに、次にきちんとした試合が行われるのは10話だ。
試合描写が面白い作品なだけにこの中盤のキャラ描写を深めるためのイベントの数々は
確かにシュールなセクシーギャグが面白くもあるのだが、
その反面で流石にそろそろ試合しろよ!と突っ込みたくなるほどだ。
「試合」と「セクシーイベント」がバランスよく描かれていない

故に終盤なんか試合模様が慌ただしくなってしまった感じがある。
せっかく掘り下げたキャラ同士の戦いが短く、確かに1シーン1シーンの迫力はかなりのものがあり
序盤で感じた「ジョスト」の戦闘シーンの面白さは伝わる。
それこそ本来なら1話まるまるかけて丁寧に描写してもいい試合が
半分のAパートだけで終わってしまうのは物足りなさを感じてしまう。
更に肝心の主人公は「馬の出産」に立ち会って忙しいなどちょっと意味不明な展開もある(苦笑)

しかしながら試合は熱い。
反則を誘う作戦、正統派の戦い、雨の中の戦い、槍同士のぶつかり合い、そして結末。
1シーン1シーンが非常に熱く熱を帯びた戦闘シーンを最後の最後まで見せつけてくれる。
だが同時にその間に「馬の出産シーン」がはさまれ、熱が持続しない(苦笑)
更に最後の試合が「ダイジェスト気味」になっている点もちょっと残念なポイントだ
もっと全体としてじっくり試合を見たかったと感じてしまった

全体的に「ジョスト」の作画と演出、試合模様は素晴らしい。
スポーツでありながら戦闘シーンのような緊張感、攻撃が一瞬で終わるという緊迫感、
そしてきちんとした作戦をもって試合が進んでいくさまは見ていて素直に面白く、
迫力のあるCGによるシーンは強い印象を残した作品だ。

しかしその反面で中盤のキャラ描写ばかりのイベントシーンはシュールで面白くはあるのだが、
ジョストをしないモヤモヤや、主人公がなかなか誰のパートナーになるか決めない描写など
その間に挟まれるセクシーギャグの数々はくだらなくて面白いのだが
ストーリー自体はややダレてしまって印象は拭えない。

最終話の「ジョスト」に関してもダイジェスト気味な演出は賛否が別れるポイントでもあり、
ヒロインが騎士として主人公がベグライダーとして活躍するという
やっと訪れた場面なだけにもっとじっくり見たかった。
後1話、全12話ではなく全13話であれば
このもどかしさが解消されてかも知れないだけに本当に残念だ。

ただ1つの作品としてすっきりとストーリーをまとめており、
中盤のダレも「B級アニメ」のようなシュールな面白さがあり、
私個人としては嫌いじゃない作品の1つだ。
長所と短所がが良い意味でも悪い意味でも両方目立っている作品だ
だからこそ短所が目に入っても、長所がそれをうまい具合に補っている

このテの作品で2期の可能性は非常に低く、あとは原作ゲームで!という感じなのだろうが
個人的にはこの作品は「アニメで見たい」魅力を感じる作品なだけに
原作ゲームには手が伸びなさそうだ・・・(苦笑)