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「LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘」レビュー

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評価 ★★★★☆(75点) 全60分

あらすじ 5億ドルを横領したランディの息子ジーンは、その在りかについての鍵を握っていた。引用- Wikipedia

誰もが彼女の舞台の上で踊らされる

本作品はルパン三世の劇場アニメ作品。
次元大介の墓標、石川五右衛門の血煙に続くシリーズであり、
今回はタイトル通り峰不二子が主人公の作品となっている。
監督は小池健、制作はテレコム・アニメーションフィルム


引用元:原作:モンキー・パンチ ©TMS

「峰不二子」さんは今は沢城みゆきさんが演じられている。
増山江威子さんの声も色っぽく、The峰不二子の声といえば増山江威子さんだった。
しかし、そんな増山江威子さんの声に沢城みゆきさんの声は負けていない。
始まって早々に峰不二子は少年と会話をしている。

特に何かそこに「エロス」を感じるような言葉があるわけじゃない。
しかし色っぽい、いや色っぽすぎる(笑)
少年と花のことについて話すだけで、そんな会話なのに色っぽく艶っぽい。

「沢城みゆき」さんの声の艶めかしさとエロスが
なんてことのないシーンでも最大限に現れており、
それが峰不二子というキャラクターにマッチしている。

ビンカム


引用元:原作:モンキー・パンチ ©TMS

この作品のシリーズは毎回、主役となるルパンのキャラクターと、
相対する敵キャラが存在する。
次元大介にはスナイパーのヤエル奥崎、石川五右衛門には怪力男のホークと
それぞれのキャラクターに相応しい好敵手が出てくる。

しかし、この作品の主人公は「峰不二子」だ。
次元大介や石川五右衛門のような凄い戦闘力があるわけでもない、
彼女にあるのは「嘘」だ。
有名な彼女のセリフで「裏切りは女のアクセサリーよ。」というものがある。
裏切りもまた嘘であり、男を騙す、言葉による「嘘」が彼女の武器だ。

他のキャラクターに比べて非常に難しいキャラクターと言えるかもしれない。
そんな彼女に敵対するのは「ビンカム」という男だ。

外見はひどく細身で、長い手足と、冷たい表情、
ヤエル奥崎やホークとは違う「怖さ」のある敵だ。
そんな彼の武器は「呪術」だ。
峰不二子の「嘘」に対する「呪術」という武器。
何ともゾクゾクとさせてくれる好敵手だ。

「ビンカム」は催眠術のように呪術で相手を意のままに操ることができる。
それだけでなく「不死身」に近い肉体をしている。
銃で撃たれても頭部を蹴られても彼はひたすらに追ってくる

5億ドル


引用元:原作:モンキー・パンチ ©TMS

今作の峰不二子はメイドの仕事して子供の世話をシている。
だが、そんな子供の親は「5億ドル」を子供のために横領した結果、
彼は「ビンカム」に狙われ、死ぬ羽目になってしまう。
5億ドルを隠している口座の暗証番号は子供である「ジーン」しか知らない。
彼は暗証番号を教える代わりに仇をとってほしいとルパンたちに頼む。

当然、ルパンたちはその依頼を引き受ける。
そんな中で峰不二子は子供に対し「暗証番号」を聞き出そうとする。
だが、相手は子供だ。峰不二子の魔性は通じない(笑)
色々な言葉を巧みに操り、なんとか少年から暗証番号を聞き出そうとする。

だが、頑なに彼は峰不二子に対し暗証番号は教えない。
「ママ」になってあげると言われても、
少年は「お金目的」でパパに近づいたに違いないと、
少年の前で峰不二子は「嘘」を使い騙すところを見られており、
純粋な彼にとっては峰不二子を信じることなど出来ない。

媚薬


引用元:原作:モンキー・パンチ ©TMS

今作の敵である「ビンカム」は殺人兵器だ。
普段は拘束具をつけられて、必用なとき以外は眠りにつかされ、
命令どおりにしか動かない。
彼はそうやって生きてきた、それ以外に知ることはなかった。

だが「峰不二子という女」に出会ってしまった。
殺されかねない状況の中で峰不二子は彼の顔を撫で、抱きしめ、誘惑する。

「あなたという人間を知りたいの」

彼女の言葉は言われるがままに生きてきたビンカムの心を刺激する。
体を撫でさせ「男」を呼び覚まさせる(笑)
胸の高鳴りを抑えきれず、心を惑わせる。

これぞ「峰不二子」という女だ。
大人になる前の、性に目覚める前の子供だった「ビンカム」の
性を呼び起こさせる。もう、絶対に地上波ではこの作品は放映できない。
「ビンカム」だけでなく子供だった「少年」の信頼も彼女は勝ち取る。
体や心が子供であろうと、彼女には関係ない。目覚めさせるだけだ(笑)


引用元:原作:モンキー・パンチ ©TMS

峰不二子の嘘にはルールが有る。

「出来もしない嘘だけはつきたくない」

彼女の嘘のルールだ。
少年に対しても「帰ってくるよね?」という彼の問いに対し、
彼女は頑なに答えない。「帰ってくる」と嘘をつけばいいだけだ。
だが、「出来もしない嘘」は彼女はつかない。

彼女の生き様そのものを表すような言葉が作中で多く語られており、
「峰不二子」というキャラクターの魅力がより深まる。
ただセクシーなだけのキャラクターではない。


引用元:原作:モンキー・パンチ ©TMS

峰不二子とビンカムのラストバトルは凄まじい。
次元や五右衛門では出来ないような「肉弾戦」そのものだ。

「さぁ、私をモノにしてみなさい。あなたにできるのなら」

挑発的な台詞から始まる戦闘は非常に細かい動きで描かれる。
短剣や短銃を巧みに使い、相手に取り付き、刺しまくる。
「生々しさ」という意味では次元や五右衛門以上だ。
戦闘中に衣服が破けて「ぽろり」してしまうのも峰不二子らしい。

いや、この「ぽろり」でさえ、わざとだったのだろう。
彼女の豊かな乳房が呼吸に合わせて揺れ、ビンカムの視線を誘う。
そして言葉巧みに彼の行動をも誘う、「誘惑」だ。
戦いながらも彼女は「誘惑」している。

彼女を見つめるほどに、彼女に触れるたびに「ビンカム」に毒が回る。
人間にしか効かない強烈なその毒が回り切る。毒の名は「愛」だ。
愛を知らない殺人兵器に「愛」を覚えさせ狂わせる。
人間にとってもっとも危険な毒は愛であり、
愛に狂った人間は愛を向けた相手を殺すことは出来ない。

「愛という名の媚薬」で戦う、これぞ「峰不二子という女」と思うほどの
ストーリー展開は涙目になりながら笑ってしまいそうになるほどの、
素晴らしいキャラクター描写とストーリー展開だった。

総評:峰不二子というキャラの魅力


引用元:原作:モンキー・パンチ ©TMS

全体的に見て「峰不二子」というキャラをコレほどまで掘り下げた作品は
この作品くらいだろ言うと言いたくなるほどの出来栄えだ。
次元大介や石川五右衛門のような銃撃や殺陣を描くことはできない。
だが「峰不二子」が持ってる武器を作品全体で描ききることで、
次元大介や石川五右衛門には絶対にできないシーンを作り上げている。

「峰不二子」というキャラクターはTVSPではただのセクシー要因になりがちだ。
だが、この作品は違う。彼女の生き様とルールとそこから生まれる彼女の戦い方を
この作品ではきっちりと描いている。

彼女が本当に最初の最初からついていた「嘘」のストーリーの仕掛けも素晴らしく、
彼女は騙して最終的には大金を手に入れている。
そんな彼女を見てルパンはこう言い放つ

「俺たちは踊らされちまったな、峰不二子という女の舞台の上で」

何とも憎いルパンのセリフに身震いさえ感じる余韻を残したまま、物語が終わる。
これぞ「大人向けのルパン」だとひしひしと感じる出来栄えであり、
「峰不二子」というキャラクターの魅力をきっちりと深めている。

1度見たら忘れられない、魔性の女の「峰不二子」というキャラクターの魅力を
60分しっかりと味わえる作品だ。

個人的な感想:あの方の影がちらつく


引用元:原作:モンキー・パンチ ©TMS

この作品はやや前作と全前作を見ている前提のシーンが有る。
「ヤエル奥崎」と「ホーク」だ。この作品では彼らが再登場しており、
ヤエル奥崎に至っては一部機械化までされている。

「殺人兵器」を生み出す工場なども描写されており、ますます
次元大介の墓標で出てきた「あの方」の存在を感じさせてくれる。
ここからどうなるかだ。ルパンの話になるのか、
それとも「銭形警部」の話になるのか。

このシリーズが生み出す「ルパン三世」の雰囲気がたまらないだけに、
ずっと続いてほしいとすら思うが、次回作も本当に楽しみだ。

「」は面白い?つまらない?

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