ノブナガン

2016年6月29日

評価/★★☆☆☆(33点)

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アニメーションとしての表現が原作の足を引っ張る

原作はコミック アース・スターで連載中の漫画作品
監督は近藤信宏、アニメーション制作はブリッジ

見出して感じるのはセンスの無さだろう。
ヒロインの少女が自分の部屋で起きるシーンから始まるのだが、
いわゆる「文字演出」的に様々なものの解説やワンポイントとして文字を入れる
だが、それが効果的に作用しているとはいえず、むしろ「邪魔臭い」演出だ
文字演出の演出意図がまったくもって伝わらず、頻繁に出てくるため余計にうざい。

中途半端なシャフトまがいなエフェクト演出などもあり、
その演出の数々が奇抜でもなく、ただ単に「見づらさ」しか産んでいない
そして、その演出は戦闘シーンになると加速度的にウザさを増していく。
シリアスな戦闘シーンなのに邪魔臭い文字演出はそのまま、
この文字演出は日常やギャグの中だけならマダ許せたが戦闘シーンにまで出し、
更に色使いが奇抜になる。

紫、緑、水色、オレンジ。
日常から「侵略体」という怪獣に襲われる非日常になることへのギャップを
日常との色使いの変化で生み出したいのは分かる。
それが一瞬なら「日常から非日常」への変化として受け止められるが、
戦闘シーンは常にこの「見づらい色使い」で描写されるため非常に見づらい。

原作の絵を検索して見て見ると分かるのだが、
原作の絵は非常に「陰影」が強い作品だ。
「黒」の使い方が非常に独特で影と人物をうまく描写しており、
癖はあるものの見応えのある絵だ
だが、だからこそアニメでソレを表現しようとして失敗してしまっている。

原作の「黒」や「白」を奇抜な色使いにしてしまっては
癖はあるが見応えのある絵になはっておらず、
影の使い方に寄る戦闘シーンの迫力も生まれていない。
原作の再現をしようとして失敗してしまっているといえばわかりやすいだろう。
恐らく同じシーンでも原作ならば「かっこいい」と思えるシーンも
変な色使いのせいでかっこよさが出ていない。

奇抜な演出、癖のある演出も面白ければいい。
だが、この作品における演出は「監督の自己満足」でしかなく、面白さに繋がっていない
普通に描けばストーリーに集中できるのに、普通に描けばキャラクターに感情移入できるのに
演出が邪魔をする。

更に戦闘シーン、ひたすら動かない(苦笑)
戦闘シーンにおける「スピード感」が全くなく、
緊迫感のあるシーンなのに淡々とした描写のせいで全く盛り上がらない
作画崩壊こそシないものの、作画の質を維持するためにスピード感を犠牲にしており、
異生物との戦闘が中心の作品なだけにこのクォリティの戦闘シーンはかなり厳しいところだ

そして声優。
主人公を演じているのがこの作品でデビューの新人であり、まだ高校生だ
ハッキリ言って声量不足なうえ演技力不足であり、声質的には主人公にあっているのだが
戦闘シーンにおける「決め」の部分の迫力や叫びの際の力が抜けるような声は
ただでさえ盛り上がらない戦闘シーンを「ずるっ」と滑ってしまうような感覚になるほど
拍子抜けしてしまう。

セリフ量が多く、キメ台詞も多く、迫力のある台詞も多い。
だからこそ新人に演らせるべきではなかった。
新人に演らせるには「酷」な役といえるだろう
日常シーンでの演技は若干クセはあるものの可愛らしく頑張って演技されているだけに、
このような評価をセざる得ないのが残念でならない。

ストーリー的には決して悪くはない。
進化侵略体という宇宙から飛来した侵略生物、
それに対抗するために「偉人の遺伝子」を武器に変える力を持ったホルダーが立ち向かう
バトルストーリー的ストーリー展開は妙な設定や凝り過ぎた設定がなくシンプルだ。
だが、シンプルであるがゆえに本来は奇抜な演出など無くても
ストレートに面白さが伝わる内容なはずだ

そのストレートな面白さが序盤は伝わらない。
前述した奇抜な演出、新人声優、シンプルすぎるストーリー展開が
面白さに繋がっておらず「淡々」とストーリーを進めている感じが強く、
盛り上がり所が少ないうえ、少し丁寧にストーリーを進めすぎている感じも強く
序盤は非常にテンポが悪く、見るのをやめた方も多かっただろう

主人公が力に目覚め、闘うことを決意し、訓練を開始する。
確かに流れ的には3話使う話ではあるのだが、3話使った割には内容が薄く
序盤の最大の盛り上がりどころが4話なだけに、
もう少しテンポを早めれば視聴者を減らさずに済んだかもしれない

5話以降はかなり面白くなる。
主人公以外のキャラクターの「癖のある」キャラクター描写は日常の中の笑いに繋がっており
中盤から揃ってくるキャラクターが増えれば増えるほど作品としての面白さも増していく。
それだけに序盤のキャラクターが少ない状況やスローテンポなストーリー展開は
欠点でしか無い。

この作品の面白いところは「能力の使い方が1つ」というところだ。
通常、能力バトルものにおいて特殊能力の使い方は様々であり、
修行したり話が進むと新しい能力に目覚めたりしながら戦闘を派手にしていく
いわゆる「インフレ」していくのが能力バトルものの常だ。

しかし、この作品は能力の使い方は1つ。
必殺技のようなものはあるものの基本的に主人公は「銃を撃つ」
他のキャラクターも「バリアを張る」「敵を踏んで重くする」「切り裂く」と能力が1つだ。
戦闘に参加してはいるものの「バリアを張る」だけで敵を倒せないキャラもおり、
その他にも敵の解析のみの能力など極力シンプルな能力の見せ方と使い方だ
だからこそ面白い

戦闘においてどういう風にその能力を使うのか、仲間とどう協力して敵を倒すのか
シンプルな設定でシンプルな能力の使い方しかしないからこそ
そのシンプルさが組み合わさった時に「面白さ」に変わっている
作品の雰囲気こそ違うものの「ジョジョの奇妙な冒険」のようなバトルの面白さがある

そして敵、敵は地球侵略を目的とした怪物だ。
「進化侵略型」と呼ばれる怪物は学習し進化する。
主人公たちが特別強くなる方法もないのに敵を倒せば倒すほど敵は進化していく
だからこそ、戦闘を積み重ねる度に面白さが増していく
どんどん賢く、どんどん巨大に、どんどん巧妙になっていく敵、
「敵が強くなっている」のを生々しく実感でき、
話が進めば進むほど戦闘シーンの面白さが増していく。

特にラストの戦いは本当に素晴らしい。
主人公の建てる素晴らしい作戦で敵に立ち向かう仲間たち、だが敵は常に進化する。
進化し苦戦するなかで「活路」を見出すキャラクターの使い方、
「能力バトルアニメ」なのに力押し、ご都合主義ではない考えられたストーリー展開は
久しぶりに「王道の能力バトルの面白さ」を感じさせてくれた

だが、そんな戦闘シーンの面白さをアニメーションとしての表現が追いついていない
恐らく予算も少ないのだろう、そんな中で作画があまり崩れないのは素晴らしいが
ソレを犠牲にして戦闘シーンのスピード感や迫力を出すことをしておらず、
「戦闘シーンの内容」だけで面白いだけに、その内容を表現すべきアニメーションが
尽く面白みにかけている。
最高級の食材があるのに使い古したフライパンと錆だらけの包丁で料理してしまった感覚だ

全体的に見て非常にもったいない作品だ。
見れば見るほど、話が進めば進むほど「原作の面白さ」をどんどんと感じていく、
だが、「原作のポテンシャル」の高さを感じるのに
そのポテンシャルの高さにアニメーションとしての表現が追いついておらず、
内容は面白いのにアニメとして面白くない作品に仕上がってしまっている。

偉人を武器にする、宇宙から来た進化する怪物と戦う。
この基本設定をきちんと組み立て、きちんとストーリーの中で活かし
そのストーリーの中にいる「キャラクター」の魅力を話が進むほど引き出し、
見れば見るほど「進化する敵」との戦いのストーリーが気になってくる
序盤は面白さを感じにくいが中盤以降はこの作品の「原作の面白さ」を感じる事ができるはずだ

本当に、本当にもったいない。
きちんとした予算とちゃんとした監督であれば、
この作品は間違いなくもっと面白い作品になったはずだ。
グロとセクシー表現は若干あるものの、
そこまで過剰でないため子供向けアニメとして放送出来たはずだ

原作のストックがあまりないため2クールは無理だったかもしれないが、
きちんと制作されていればオリジナルも交えつつ
「王道能力バトルアニメ」になったかもしれない
売上は400枚ほどと2期は絶望的だ、原作の売上が伸びれば2期の可能性もあるかもしれないが
個人的には「原作」でこの作品をもっと味わいたいと感じる作品だった。

そう考えればこの作品は「原作のPVアニメ」と割り切れば楽しむこともできるだろう。
このサイトの性質上、アニメ作品としての評価は低く高い評価はできないが
「原作を読むきっかけ」として、この記事がこの作品を見るきっかけになれば幸いだ。

個人的にあの最後のシーンからどん底に落とされるような展開になるらしいので
今から読むのが楽しみだ。