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「終末のワルキューレ」レビュー

1.0
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評価 ★☆☆☆☆(16点) 全12話

アニメ「終末のワルキューレ」 PV1

あらすじ 人類の誕生から700万年。進歩の兆しがない人類を見限った神々は、1000年に1度開かれる「人類存亡会議」にて、人類に「終末」を与える決議を行った。引用- Wikipedia

パワポスライドショー

原作は月刊コミックゼノンで連載中の漫画作品。
監督は大久保政雄、制作はグラフィニカ。
Netflix独占アニメとして配信され、2021年秋には地上波などでも放送された。

人類滅亡

1話冒頭から神々が「人類滅亡」について話し合っている。
神々の選択によって人類は「終末」を迎え人類は滅びてしまう。
人同士が争いあいあい、自然を破壊する罪深い人類は神にとっては醜く、
神々の殆どは人類を滅ぼすべきという結論を出している。
しかし、ワルキューレの1人である「ブリュンヒルデ」はそこに待ったをかける。

「神VS人類」の最終闘争であるラグナロクを行い、
その結果によって人類が滅亡するかどうかが決まる。
神と人類のタイマン、13VS13の人類滅亡をかけた戦いが
この作品のストーリーだ。

非常にシンプルでありながら面白い作品だ。
様々な力を持ち創造主たる神に人類が勝つなど絶対に不可能であり、
ラグナロクはただの「戯れ」だ。
やるだけにすぎない、ただの延命処置ともいえる。

選ばれた人類は「歴史上」の人物だ。
呂布、アダム、佐々木小次郎etc…
もしかしたら、英雄や伝説上の人物の彼らならば神に勝てるかも知れない。
一縷の望みをかけて、神と人間の戦いの狼煙が上がる。

テンポ

ただ序盤からテンポの悪さはかなり気になるところだ。
1話では世界観と設定の説明、そして呂布とトールとの戦いが始まる。
そんな試合を見ている人類、神々もおり、彼らがいちいち反応をする。

呂布関連の関係者のキャラクターが呂布について語ったり、
審査員である「ヘイムダル」の説明が入ったりと、
とにかく外野の説明や台詞が異常に多く、なかなか試合が始まってくれない。

いざ試合が始まっても両者はすぐに動かず徐々に近づき出す。
そんな姿を見てまた観客である人類や神々が反応する。
ナレーションによる状況解説も異様に多く、そのせいで
テンポが致命的なまでに悪くなってしまっている。

2話以降も戦っているキャラクターが何か技を出したりするたびに
観客が反応をする

「あの人間を認めてやっと言うことです!たかが人間にアレは使わない!
 そう!トールハンマー!」

こういうバトルモノは解説者的なキャラクターがいる場合が多いが、
その解説概要に多いせいでバトルシーンのテンポがあまりにも悪い。
メインキャラクター以外のガヤがあまりにも多すぎるせいで全く試合が進まない。

回想回想また回想

それだけならいざしらず、2話以降は
戦ってるキャラクター同士の回想シーンまつりだ。

例えば2話ならばトールにどんな過去があり、
どんな神なのかというのをほぼ2話Aパートまるまる使っている。
そんな回想の後に試合が描かれたかと思えば、Bパートからは
呂布の回想シーンが始まってしまう。

そのエピソードが面白ければいいが、キャラクターによっては
別に面白くもない回想をたっぷりと見せられる。
スポーツアニメなので決定的なシーンになる前に
キャラクターの過去回想が入ることがあるが、
あれをイメージしてもらえばわかりやすい。

この作品のメインキャラは有名な神々や歴史上の人物だ。
ある程度、多くの人が「基礎的な知識」としってしっている
キャラクターが多く、わざわざバックボーンを語らずとも
共通認識として一般的な、ある意味記号的なキャラクターだが、
そんなキャラクターの過去回想をたっぷりと時間を掛けて行っている。

どんなキャラクターなのかというのに過去回想を用いる手段は安易であり、
それがせめてテンポ良く描かれるならば気にならなかったかも知れないが、
この作品はたーっぷりとした尺で描かれるため
グダグダでダラダラなテンポになってしまっている。

原作から回想シーンの多い漫画ではあるようだが、
漫画は読者がそれぞれのテンポで読める、
なんなんらさらっと読み飛ばすこともできる。
しかし、アニメでは製作者が作り上げたテンポで見るしか無い。

もし倍速視聴などをしてもテンポが悪いと感じるであろうテンポで
描かれるストーリー展開は厳しすぎる。
1話あたりお互い1,2回攻撃すればいいほうだ。

2期を想定した作りになっているせいで
1期では3試合しか描かれず、そのせいで話が全く進んでいないような
そんな感覚さえ覚えてしまう。

ぶっちゃけいってしまえば1話を見て2話を飛ばして3話を見ても
話的には何の問題もないほど見れてしまうほど、
無駄な回想シーンが多すぎる。

試合が始まり終わるまでに、
試合が始まる前の対決するものの関係者の描写や反応が描かれ、
いざ試合が始まると対決する2者の回想が描かれ、
少し試合が進むと使ってる武器や技の説明が描かれる。

大抵は神は基本的に「舐めプ」か「力を隠した状態」で試合をしており、
試合が更に進むと実はこんな力を隠してました的な解説も毎度のように入る。
そんな実はこんな力を隠してました的な解説が描かれたと思えば、
実は人類側のキャラもこんな力や…みたいな回想が入る。
その間にも観客という名のガヤは入りまくり、もうテンポは総崩れだ。

いちいち話の腰を折りまくり、見てる側の腰の骨はバキバキだ。
コレ以外のシーンでも間延びしているシーンが多く、
そんなに尺をかけて描く必要がないと思うシーンも
たっぷりと尺を掛けて描いている。

似たような作品だと「テラフォーマーズ」もこんな感じのアニメだったが、
テラフォーマーズよりも酷い。
1話から始まった呂布とトールの試合は4話でようやく終わる。
他者の攻防としては10手ほどでケリがつく試合を4話もかけていれば
テンポが崩れるのは当たり前だ。

作画

1話から同じ構図のシーンが長尺で使われてたり、
作画の使い回しや止め絵の多さは気になる物の、
1枚の「絵」としてみればクォリティは高い。
どこかむさ苦しささえ感じる筋肉の描写や血液の描写など
戦闘シーンも「一時停止」してみてみると絵としては悪くないと感じる。

しかし、問題は「アニメーション」としての面白さがないことだ。
戦闘シーン以外のシーンと同じように止め絵や同じ構図のシーンを
長尺で映したり、1枚の絵を下から上にカメラを動かすことで見せてるだけだったりと
この手のバトルファンタジーアニメとしては「作画枚数」の少なさを
見ていてひしひしと感じてしまう。

演出やカメラワークで誤魔化してはいるが、結局は1枚の絵だ。
アニメは通常、24fps=1秒で24枚の絵を映すことでアニメーションにしているが、
この作品の場合は24秒で1枚なんじゃないかと思うほど作画枚数が少ない。

カクカクで戦闘シーンは「アニメーション」としての魅力がまるでなく、
1枚の絵のクォリティが高いからこそなんとか見れるものになっているものの、
かなりギリギリだ。

話も動かなければキャラクターも動かない。
この作品をアニメで「見る」意味や価値を見いだせない。
呂布VSトール、アダムVSゼウス、佐々木小次郎vsポセイドン、
夢の対戦カードとその試合の流れや展開自体は悪くないのに
それを「アニメーション」という媒体で見せられていない。

なぜか5話でヘルメスがヴァイオリンを演奏するシーンがCGで
描かれているのも謎だ
(おそらく手書きの作画が間に合わないためのCGなのかもしれない。
 最近はやりのエクスアーム方式だ)

アダムVSゼウス

2試合目の人類の始祖たるアダムと、
人類を作りしゼウスの戦いは意外と動いている。
試合が始まってから余計な回想シーンもあまり入らず、ガヤも少なまで、
作画の使い回しや演出でのごまかしはあるものの、
1試合目の試合とうって変わってきちんと「試合」をみせてくれる。

神の業を見切りコピーするアダムと神の代表とも言うべき全知全能のゼウス。
この両者の対戦カード自体の面白さと試合の展開の予想外さもあいまって
中盤になって初めてようやく
「終末のワルキューレ」という作品のおもしろさを感じさせてくれる。
最初からこのテンポで見せてくれと思うような6話だ。

ただそう思ったのは6話だけだ。
7話からはまた最初の試合と同じく回想シーンまみれ、ガヤまみれ、
作画を使い回しまくり、戦闘シーンの作画枚数も極端にヘリ、
また1試合目と同じように「ごまかす」演出ばかりの戦闘シーンになってしまう。

極めつけはスライドショーだ。
1枚の絵をまるでパワーポイントで作ったようなスライドショーのように
止め絵をつなげ、止め絵の角度を変えて魅せている。
ほぼ音と色がついただけの漫画のようなシーンにはもうアニメーションとしての価値はない。

本来ならばアダムVSゼウスで1番盛り上がるはずのシーンが
スライドショーで描かれてしまっては、もはやこの作品を
「アニメ」として評価することすら出来ない。

総評:アニメで「見る」価値を見出だせない。

全体的に見て酷すぎる作品だ。
神VS人間のタイマン、そんな「ラグナロク」という設定や
基本的なストーリーの流れ自体は悪くない。
予想外な結末や流れを生む神VS人間の戦い自体は面白く、
この手のバトルモノとして本来は面白い作品になるはずだった。

しかし、この作品は致命的なまでにアニメーションとしての面白さがない。
止め絵の連続、作画の使い回し、作画枚数の少なさは
バトルシーンの盛り上がりが生まれておらず、
1枚の絵としてみれば悪くないのだが、その1枚の絵を使って
演出やカメラワークで誤魔化しながらなんとかアニメーションにしている。

他のシーンのアニメーションが悪くとも見せるべきシーンのアニメーションが
しっかりとしていればまだ「アニメ」で見る価値を見いだせるが、
この作品は本来ならば1番盛り上がるシーンですらスライドショーで見せられてしまうため
せっかく見ていて盛り上がってきても、その盛り上がりを維持できない。

原作からの問題点なのかもしれないが、回想シーンが異様なまでに多く、
話の腰をいちいち降りまくる脚本は最悪としか言いようがなく、
神と人間の戦いを見ている観客たちのガヤや関係者の解説や、
リアクションも尺を賭けてたっぷりと見せるせいで
致命的なまでのテンポの悪さになってしまっている。

声優さんたちは実力派揃いであり、根本のストーリーや世界観は悪くない。
それだけに、ここまで「アニメーション」としての面白さを
感じられない歯がゆさが強く、もうコレを言ってしまってはおしまいだが、
このクォリティならば「原作を読めばいい」となってしまう。

2期も制作決定しているものの、
おそらくは2クールを想定したストーリー構成なのは理解できるが、
それにしても、1クールで3試合しか終わっていない。

「人類の初勝利」という区切りの良いところで1クール目を
終わらせたかったのかもしれないが、もう少し全体の
ストーリー進行の遅さはなんとかならなかったのかと思ってしまう作品だった。

個人的な感想:グラフィニカ

制作のグラフィニカはどちらかといえば楽園追放やHELLOWORLDなど
「CG」を用いたアニメ制作を
得意とする会社だ。それなのになぜほとんど手書きで、
ヴァイオリンの演奏シーンだけがCGで描かれたのか。
グラフィニカ制作なら本来は逆のはずだ。

予算やスケジュール、話の区切りや原作との兼ね合い、
大人の都合が色々とあったのかもしれないが、
どうしてこうなったと感じてしまう作品に仕上がってしまった。

2期でどうなるかはわからないが、
せめて1期のようなクォリティにならないことを願いたい。

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