断裁分離のクライムエッジ

評価/★☆☆☆☆(12点)

断裁分離のクライムエッジ 評価

全13話
監督/山口祐司
声優/花江夏樹,福原香織,小岩井ことり,内山夕実,遊佐浩二ほか

あらすじ
女性の髪を切ることが大好きな中学生の少年・灰村切は、ある日の帰宅時に偶然立ち寄った洋館で、長く美しい黒髪を持つ少女・武者小路祝と出会う。祝の髪はどんなことをしても切れない、呪われた髪だった。だが、切がお守りとして携帯する鋏で切ったことで、殺害遺品(キリンググッズ)を巡る殺人ゲームに巻き込まれてゆく。

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あぁあぁぁぁぁ!!!黒髪切りたいよぉぉぉ!なアニメ。

原作はコミックアライブで連載中の漫画作品

始まって早々、主人公がぶっ飛びまくっている。
彼は極度の「髪」フェチでヒロインの長すぎて若干鬱陶しい感じの黒髪を見て、
ハサミを閉じたり開いたりしながら近づく。
彼女の黒髪に触れると、もう無意識でハサミを取り出して切ろうとする始末(笑)
ここまで髪フェチな主人公はアニメ史上初だ。

初対面のヒロインに対し、髪の匂いをかぐわ、なでくりまわすわと
言葉にしてみれば単純だが、異様なまでのアニメ描写が加わり
より変態的な要素が強まっており、強烈なインパクトを与える。

そして、そんなヒロインの髪の毛は普通のハサミではキレず生まれてから1度も切っていない。
彼女は監視されており、学校へも行かず山奥の家に暮らしている。
そんな彼女を監視しているのは「殺人鬼」の道具を受け継ぐもの。
主人公自身もヒロインと係るうちに「殺人鬼を先祖に持ち」「殺人鬼の道具」をもつ1人だと知る
そして、主人公はヒロインの命を殺す。

1話の変態的な導入部分からのボーイミーツガール、
そして厨二病的にも見える殺人鬼の遺品を受け継ぐものという設定や呪いを受けているヒロイン、
更に主人公が受け継がれた道具を使いヒロインが生まれてから切ったことのない髪を切る。
物語の「始まり」の描写が素晴らしく1話で徹底的にこの世界観に引き込まれる。
きちんとタイトルの意味につながる1話は個人的には高評価だ。
しかしながら2話以降は色々な要素が1話の面白さを台無しにする。

まず、戦闘シーン。
血液表現を抑えるためなのはわかるが、
緑や赤みがかったエフェクトがかかったりして画面が単純に見づらい。
表現規制上仕方ないのは分かるのだが単純に逃げているだけで
これならば「黒い影」などでかくしたほうが見やすい。
よく動く戦闘シーンなだけに、そこを素直に楽しみ辛いのは厳しい。

更に言えば、3話以降の戦闘シーンの面白みは薄い。
ハサミという主人公の武器による戦闘シーンがあっさりしており
前述したエフェクトもあり戦闘シーンの面白みはどんどん薄くなる。
動きの面で工夫があったのは2話くらいなもので
3話以降の戦闘シーンは演出不足とエフェクトのせいで見ていて退屈だ

特に血液が流れていないシーンでも青や赤みがかった画面になってしまい
もはや何のためにやっているのかわからない。
DVDでは規制が取れる部分もあるようなのだが、
そういう問題ではなく規制の仕方にセンスを感じない。

ストーリーに関しても・・・とにかく唐突な展開が多く
そこに無意味なセクシーシーンがはさまれることで余計に場面を混乱させる。
いきなり主人公やヒロインに襲いかかったと思えば次のシーンでは
何事もなかったかのようにそこに居たりして、それに関する説明はない。
シーンとシーンの繋ぎが甘く、場面が急に変わる割にそれを補足するものがない。

主人公が戦いヒロインを守る意味も、
敵の組織が「面白いから」というちょっと飲み込みがたい理由がある。
主人公が現れてようやく「ヒロインを殺す」敵の組織が動き出し、
主人公が現れてようやく「ヒロインを殺すため」の敵が現れる。
せめて主人公が現れるまで他の誰かが守っていたとかなら飲み込めるが、
主人公のご登場をわざわざ待って動く敵組織というのは最後まで納得行かない。

敵のバックボーンも薄い。
敵は全て「殺人鬼が持っていた道具」を持っており、そのせいで殺人衝動に駆られる
それは共通の設定なので分かるのだが、最初の敵はそれだけで唐突に襲いかかってやられておしまい。
バックボーンが薄いためキャラとしての魅力が薄く、
単にエロシーンを展開しているだけのキャラにすぎないキャラも多い。
明らかにヒロインを殺せる瞬間があるのに敢えて殺さない場合も多い。

キャラ数が多い割に掘り下げの甘すぎるキャラも多く、
1クールという尺では明らかに捌ききれていない
最初のほうに登場したキャラでさえも掘り下げていないので
話の中に思い出したかのように登場してキャラのギャップを描いても
掘り下げていないキャラなので無意味だ。

厨二病設定の多い作品らしく「決めのシーン」というのがかなりある。
1枚絵で見せ場!のように見せるときもあるのだが、
その1枚絵がどうにも微妙でカッコつけているのにかっこつけきれておらず、
主人公がいちいち「断裁分離のクライムエッジ」と名乗るのもしつこい上にカッコ悪い。
かっこいいだろ!決めてるだろ!と見せたいのはわかるのだが、
見ている側と制作側でのかっこ良さのズレを感じずには居られなかった

更に後半にいけば行くほど、シーンの引き伸ばしがひどい。
特に8話は面白みの欠片もない戦闘シーンを同じように繰り返しグダグダだ、
グロいシーンもないのに戦闘シーンで灰色のエフェクトがかかっており余計につまらない。
このシーンはいつ終わるんだ?と思ってしまう作品などめったにないだろう。
同じような展開、同じようなシーン、8話を何回もリピート再生したような感覚になる。
この8話でこの作品の評価は地に落ちた
更に9話冒頭で全話でのおさらいで同じシーンをまた見せる。

ストーリーの内容の前にストーリー構成が死んでしまっている。
中盤以降のグダグダなストーリー展開やセリフとセリフの不自然な間の開け方、
同じようなシーンを繰り返す戦闘シーン、
そんなグダグダど萎え萎えの状態で次の話に行くような展開になる

更に1クールと言う尺と原作が続いていることもあり、もちろん色々投げている。
この投げ方に問題があり、1クールでストーリーに区切りがついていたとはいえず、
本来ならストーリー構成をきちんと考え区切りの良い所で2期へ期待させるというのが
お決まりなのだが、それすらしない。
1期の続きの内容をダイジェスト的に描写し、続きは原作買ってね!と言わんばかりだ
最後の最後で更に萎えさせてくれるとは思わなかった

全体的に見て失敗作だ。
1話こそこの作品ならではの強い面白みを感じることのできたのだが、
それ以降は話が進めば進むほどおもしろみが抜けていってしまい、
青や灰色や赤などのエフェクトをかけて戦闘シーンの面白みは半減してしまっており
変態要素もたまに思い出したかのように描写されるが、1話の衝撃を超えるものはなかった。

もっと貫いて主人公の髪フェチ具合や、過激な戦闘シーン、セクシーシーン、
更に厨二病全開なストーリーを展開すれば印象は違っただろうが、
どれもこれも進めば進むほど控えめになっていってしまい中途半端になっているのは残念だ

根本的にストーリー構成がおかしい。
原作が7巻も出ていることを考えればストック的には十分なはずなのだが
あからさまな尺稼ぎのシーンが目立ち、グダグダっとしたストーリーになってしまっている。
更に伏線のあと、すぐにその伏線を回収してしまうため展開が読めてしまう。
「あの伏線や設定がココで回収されるのか」という物語の面白さの1つが失われている

少なくともメインヒロインの可愛さと主人公の髪フェチ具合は伝わったのだが、
本作品のいい所はそれくらいだ。
いや、あと最終話で日高里菜さんにあのセリフを言わせたのは個人的にちょっと評価したい(笑)

しかしながら、色々なことを考えると恐らく2期は無理だ。
気になった方は原作という声は聞こえてくるが、ここで原作を買ってしまえば
このアニメスタッフの思惑通りのような感じがして癪だ。
1話の期待感が強かっただけに、がっかり感が半端ない作品だった。