B級アニメがB級である事を忘れた結果。「戦姫絶唱シンフォギアGX」レビュー

2015年10月9日

評価/★★★☆☆(43点)

スポンサーリンク

B級アニメがB級である事を忘れた結果。

本作品は戦姫絶唱シンフォギアの3期、物語的に2期で完結している感じあり
3期の予想まではできなかった
1期の出来栄えから、ここまで伸びるシリーズになると誰が予想できただろうか。

ストーリー的にも1話からシンフォギア臭全開だ(笑)
2期から不思議なのだがシリーズが変わるごとに新曲になるが、
なぜ新曲になるかは劇中では一切触れられない。
もはや「ノイズ」がいなくなった世界で唐突に
「墜落するロケット」の救出作業という展開の突飛さに驚く。

更に見だして感じるのはキャラクターデザインの若干の変更だろう。
「作画の粗さ」が1期などに比べるとかなり取れており、
どこか「柔らかく」&「可愛くなった」キャラクターデザインからは
もはや1期1話のB級臭を感じる雰囲気はない。
若干「燃え」よりも「萌え」な感じにシフトしか感じは否めず、
1期や2期に比べて少し幼くなっている

そのせいで日常シーンでのキャラクターの可愛さの威力が破壊的だ。
「半袖」の制服で登校するクリスの姿や「SDキャラ」を用いたシーン、
細かい部分での作画のレベルが明らかに上っており、
「萌アニメ」的な面白さが3期になってから加速度的に増している。

ただ、もはや「お約束」となっている1話のライブシーン。
1期1話では「高山みなみ」さんと「水樹奈々」さんによるユニット、
2期1話では「日笠陽子」さんと「水樹奈々」さんによるユニットと
シンフォギアを象徴するかのようなライブシーンは
印象に残っている人も多いはずだ。

しかしながら、3期の1話のライブシーンははっきりいってつまらない。
2期と同じ「日笠陽子」さんと「水樹奈々」さんによるユニットの為、目新しさはなく
「曲」の完成度も1期や2期の燃えたぎるような楽曲ではなく、
どこか「売れる」ことを意識しているような楽曲になってしまっており、
ライブシーンも予算があるのはわかるが、動きや演出面での面白さは薄い。

更に敵。
2期の段階で本作品の本来の敵である「ノイズ」の脅威はなくなっている
本来はこの作品は「2期」で「完結」している作品であり、
3期をやる上で「新しい設定」を追加してストーリーを展開している。

早い段階で結論づけた評価をしてしまうが、
この作品は「予算を潤沢に使った戦姫絶唱シンフォギア」だ。
2期はそこまで予算は少なくなかったが、1期の予算は少なかった
だが、1期、2期が予想以上に売れ「予算」ができた。
そこで改めて「戦姫絶唱シンフォギア」というB級熱血アニメを
「潤沢な予算」を使ったらどうなるか?というのを3期では挑戦している。

崩れがちだった作画は崩れることのない作画に、
「演出」や「勢い」でごまかしている部分も多かった戦闘シーンは
「演出」や「勢い」に更に細かい動きで描かれる作画の迫力のある戦闘シーンに、
日常シーンでのキャラクターの可愛さなどあまりなかった1期だが、
3期では「萌え」アニメのごとく可愛らしく、
「百合」アニメのごとくキャラクターの関係性が微笑ましく描かれている。

ある意味で練り直しとも言える。
何でもありな「戦姫絶唱シンフォギア」だからこそ
新しい設定である「錬金術」を使う敵を相手に戦うアクションアニメになっており、
その練り直しの過程で「予算」をかけまくって描くことで
今までの「戦姫絶唱シンフォギア」とは少し違ったアニメになっている

1期と3期ではアニメとしての「方向性」が確実に違う。
予算が少ないからこその演出と作画と荒唐無稽な展開と王道なストーリーのアニメが、
予算を豊富に使った王道ストーリー展開のアニメになっており
アニメ全体の醸し出している「雰囲気」が全く違う。

もっと分かりやすくはっきりいってしまえばシンフォギアの象徴である
「B級アニメ」臭が消えている。だが、それが決して悪いことではない。
1期では絶対にできなかった思わず「おぉ!」と唸ってしまうほどの
「超絶アクションシーン」が描かれることも多々ある。
同じようなシーンを1期でやってしまえば荒唐無稽さとB級臭が強すぎて
ギャグにしかならなかった部分を「予算」を使うことで
ギャグではなく素直に「面白い」と思えるシーンへと昇華させている。

1期は「深夜アニメ」らしいB級アニメ
2期は10年ほど前の「夕方アニメ」、
そして3期にして子供向けの「朝アニメ」のような作品になっている。

特にそれを顕著に感じるのは「変身シーン」だろう
プリキュアもびっくりな描き込まれまくったシンフォギア奏者の変身シーンは
予算の限りを尽くした!と言わんばかりの豪華絢爛ぶりだw
逆にあまりに完成度の高い変身シーンに思わず笑ってしまうのは
この作品が「シンフォギア」だからだろう。

しかし、1期と2期と予算的に違う部分や雰囲気は違うものの
「戦姫絶唱シンフォギア」の根本、芯にある「王道」なストーリーは忘れては居ない。
どんなに予算をかけようとも、逆にどんなに予算がなくとも
この「芯」さえブレなければ「シンフォギア」らしさは失われない。

1期や2期では「雑魚敵」でしかなかった「ノイズ」の進化、
雑魚敵が強化されて再度現れるパターンは特撮ものならば王道の展開だ。
「そうきたか!」と思わずシンフォギアらしい王道さに感嘆する
1度は救った世界、倒しきったはずの敵が形を変え強化され目の前に現れる
「王道」だ(笑)

前作の敵が仲間になり力の「代償」を背負いながら主人公たちを助ける。
1度全ての「シンフォギア」が失われ、強化され復活する。
このわかりやすい「王道さ」はストレートに「燃える」展開につながっており、
数々の熱血アニメや特撮モノを見てきた人ならば
思わず「分かってる」展開の数々にシンフォギアの面白さにひたれるはずだ

だが1期や2期にあった「予測できない展開」というのが3期では減った。
良くも悪くもB級臭が失われプリキュアのような朝アニメになったことで
王道のストーリーがよくあるストーリーに見えてしまう。
これまでは王道な部分を荒唐無稽さやB級臭がつきまとうことによって
「よくある」ストーリー展開にならずに居たが
B級臭が減ったことにより、展開のワンパターンさが目立ってしまっていた

更に主人公である「響」の戦いたくない宣言。
1期や2期でも「話し合い」を推奨してきた響ではあるものの、
歌えない&戦えないというキャラクターではなかった。

一応伏線として「ノイズ」がいなくなった世界で
人助けをシンフォギアで行っていたからこそ、戦うことが嫌になったらしく
主人公が力を使えなくなる展開もまた王道であるが、
その「人助け」の部分の描写が1話冒頭くらいで、
「描き方」が1クールという尺では詰め込みすぎているせいで
いまいち飲み込めない。
「やりたい展開」のためにキャラクターの印象が悪くなるような描写が多い。

正直言って3期は色々と詰め込みすぎている感じが否めない。
予算があるからこそやりたいことが増えてしまい、
それが「1クール」という尺では収めきれておらず、
やりたいことや描きたいことが「分かる」だけに、
見ている最中に分かりやすくそれがこぼれ落ちてしまう感じがもどかしい。

その「やりたいこと」もすでに1期や2期でやってしまっていることも多く
1期や2期のように「素直」に燃えることができない。
1期や2期にはなかった予算を使った「戦闘シーン」の迫力があるからこそ
既にやった王道展開も「燃える」事ができるものの、
中盤以降のは詰め込み具合がひどく、余計な要素が多すぎる。

特に父親関連。
3クール目にして登場人物の「父親」が出て来るが、今更感も非常に強く
新たに現れた敵よりも「後付設定」感が非常に強く出てしまっており
トントン拍子で設定を「消化」するためのストーリー描写が多く、
その最大の盛り上がりである父と娘の和解も
それまでの「父親」の描写が最悪なため素直に感動できるとはいえない。

更に根本的に3期は「敵」の存在感が薄い。
確かに序盤は主人公たちを圧倒するほどの力を持って現れるのだが
それ以上の「インパクト」が一切ない。
1期や2期の敵キャラに比べて圧倒的にキャラクターが弱く、
終盤に現れる「あのキャラ」にあっさりと存在感を食われてしまっている。

根本的にキャラクターが増えすぎていることも原因だろう。
1期、2期と積み重なっていく中でどんどんキャラクターが増えており
「1クール」という尺ではそのキャラクターたちを使いこなしきれず、
一人一人のキャラクター描写が散漫になり、薄くなってしまっている。
1期や2期があるからこそ、ある程度キャラクターへ感情移入できるが
逆に1期や2期のない3期からのキャラクターへの感情移入は薄い。

ストーリー的にも、その「敵」の目的が父親の言葉を曲解した
「八つ当たり」でしかない。
1期や2期もぶっ飛んだ目的ではあったものの、
その「ぶっ飛んだ」目的こそがシンフォギアらしさにもつながっていたが、
ただの「八つ当たり」の復讐ではシンフォギアらしさがない。

終盤のストーリーは非常に散らかってしまっており、
1クールでは収めきれなかった、描ききれなかった要素が
こぼれ落ちていくのをひしひしと感じられるはずだ。
説明セリフも終盤物凄い増えてフラストレーションが溜まったまま
物語が終わったような感覚だ。

全体的に見て「蛇足」かつ「雑」になってしまった。
1期と2期は荒唐無稽や勢い任せのノリでB級熱血アニメだったが、
その「荒唐無稽」さや「勢い」がなくなってしまい、
中盤のわかりやすいワンパターンすぎる展開の数々や、
「やりたい事」のためにキャラクターの印象を悪くしたり、
王道のストーリー展開も「よくある」ストーリー展開でしかなくなっている

これが2クールあればもう少し印象は違ったかもしれない。
増えすぎたキャラクター数ややりたいことの数々が
1クールという尺では収まっておらず、
結局、その「やりたい事」すら中途半端にしか描かれずに終わってしまっている

本当に残念だ。
見る前から「蛇足」な3期は予想できたが、
1話の段階では、その予想を良い意味で裏切り期待値をぐんっ!と上げたのだが
結局、1話以上に「おぉ!」と思える話はなかった。
右肩下がりでだんだん勢いがなくなっていく作品は
見ている最中の疲労感もたまりやすい。

個人的な感覚かも知れないが3期は曲のレベルが下がってしまったのが残念だ。
1期や2期のような燃えるような曲が減ってしまっており、
特に「敵」の絶唱など、「これが絶唱?」という感じの曲になってしまっている

売り上げ的には4期も余裕だろう。
明らかな伏線も残している。
そう考えると今回は4期への「踏み台」ということも考慮できるかもしれない
中盤以降の「主人公」の影の薄さなど分割2クール的な感じに捉え、
4期で3期の評価が相対的に上がるような展開になることを期待したい。