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これは良い質アニメ、これは良いBONES「血界戦線」レビュー

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評価/★★★★☆(70点)/全12話
血界戦線 第6巻 (初回生産限定版) [Blu-ray]

あらすじ
かつてニューヨークと言われた街は、異界と人界とが交差して一晩で変わり果てた。結果、異界ならではの超常日常・超常犯罪が飛び交う「地球上で最も剣呑な緊張地帯」となった街、「ヘルサレムズ・ロット」が構築される。この街は深い霧と超常現象により外界と隔離されているとはいえ、一歩間違えば人界は不可逆の混沌に飲み込まれてしまう。

これは良い質アニメ、これは良いBONES

原作はジャンプスクエアで連載している漫画サク陽イン。
監督は松本理恵、製作はボンズ。
最終話が30分で収まらず2015年春アニメだったが、
最終話が放映されたのは2015年の10月になった。

見だして感じるのは「ああ、ボンズだな」という感覚だろう。
ラーゼフォン、エウレカセブン、鋼の錬金術師、
数々の名作アニメを作った製作会社だからこその
「1話の雰囲気作り」はいかにもボンズらしい作り方だ。

はっきりいって、1話の段階でこの作品の面白さをつかむことはできない。
この作品の1話の作り方は「1クールアニメ」の1話の作り方ではなく、
「2クール」ないし「4クール」作品のような作り方をしている。

わかりにくい世界観や作品の世界観の説明が薄いせいで、
「どんな作品か」がストーリーからは読み取りきれない。
本来、1クールアニメの1話ならば視聴をやめてしまわれないように
わかりやすい展開やインパクトの有るシーン、
説明描写が頻繁に挟まれる場合が多い。

だが、この作品は違う。
説明描写は最低限、作品の世界観は「雰囲気」で察してくれといわんばかりだ。
その「雰囲気」づくりを徹底している。
詳細な世界観?わかりやすいストーリー?そんなのは原作でも読んでくれ、
アニメなのだから「アニメーション」でしか表現できない雰囲気を
楽しんでくれと作品から言われるような圧倒的な作品の雰囲気だ。

特に「音」。
作中で流れる音楽、SE、声優による演技、
アニメーションには欠かせない「音」の圧がこの作品は圧倒的で、
特に音楽は思わず、指を鳴らしたくなるほど印象的な曲だ。

そして声優。
主人公を演じるのは「阪口大助」、
近年、銀魂のせいでメガネな印象が強い声優さんではあるが、
阪口大助さんの「語り」と素直な青年の演技が作品の世界観を後押ししする。

他にも中井和哉、小林ゆう、宮本充、銀河万丈、折笠愛、宮野真守、
藤原啓治、緑川光、大塚明夫、こおろぎさとみ、釘宮理恵、
能登麻美子、置鮎龍太郎、立木文彦etc…
どうだろうか、これこそが「豪華声優陣」と言わんばかりの
ベテラン声優ばかりがメインキャラだけではなくサブキャラも演じていることで
圧倒的な「存在感」を作中の中で放つ。

把握しきれない世界観の中に佇む、圧倒的な存在感のキャラクター。
更にそこに圧倒的な「必殺技」の描写と文字演出を付け足すことで、
この作品に飲み込まれる。
頭の中では混乱している中、耳では圧倒的に楽しませ、
目には強烈な刺激を与える

この分かりづらさは人によっては「うーん」と思ってしまう1話かもしれない。
だが、そんな細かい説明描写を省くことによって
作品に「勢い」をつけ、考えさせる前に次の展開へと切り替える。
「アニメ」としての音と動きの面白さを見せている。

ストーリー的にも2話以降は少し分かりやすくなる。
簡単に解説すると、ある日、異界と人間界のニューヨークが交わった。
ニューヨークは超常日常・超常犯罪街へと変貌し、
その中で主人公は「神々の義眼」の代償に失った妹の視力を元に戻すを探すため、、
世界の均衡を守る秘密結社ライブラに入るというところからストーリーが始まる。

1話がごちゃごちゃしている感じが強く、とっつきにくさがあるものの
2話以降は非常にシンプルな「ファンタジー・アクション」ものだ。
だからこそ、1話から細かい説明を省いてもテンポを崩さずに
ストーリーを進めている。

基本的にストーリーは「1話完結」で物語が描かれる。
細かい説明描写を省くのは1話と同じではあるが、
時にはゲームに勤しんだり、時には異界のモノが巻き起こす事件を解決したり、
時にはボクシングを楽しんだり。

文章で表現すれば1行にも満たないストーリーではあるものの、
毎話、毎話、「壮大」に描かれ、豪華に「演出」されるからこそ面白い。
見終わった後に、思い返すと
「あれ、今回ゲームしてただけだった」と思うのだが、
そのシンプルなストーリーを最大限に着飾ることで、面白く仕上げている。

だが、同時にシンプルであるがゆえに
いわゆる「雰囲気アニメ」であることは否めない。
前述したように見終わった後に思い返すと1話完結のストーリーなため、
話のつながりが弱く、1話1話の話は1話完結にするために浅い。

シンプルなストーリーなのに演出とテンポのせいで
「どうなったか」がわかりづらい展開も多く、
確かに1話完結でサクサクと見やすい反面でで、
サクサクとしてしまったがゆえに「?」となる要素が多くなってしまっていた

全体的に見て1クールでよくまとめている面白い作品だ。
しかしながら、まとめるために最終話が延期してしまったり、
細かい部分の説明を省いたり、アニメオリジナルストーリーを入れまくったりと
原作の面白さを「ふくらませている」部分が非常に多く、
その膨らまし方が面白い時と埋まらない時があり、
映像面での膨らまし方はうまいのだが、ストーリーの膨らまし方は浅かった印象だ。

原作も1話完結らしく、更に1クールである程度纏めるために
「アニメオリジナル」のキャラを二人も追加し、話を膨らましている。
アニメオリジナルストーリーの部分は多く、
終盤はほとんどアニメオリジナルだ。

はっきりいってアニメ化が早かったのではと感じてしまう作品だ。
もう少し原作が進んでアニメオリジナルをいれないでいいくらいのストックで
日曜5時位に4クールぐらいガッツリ見たいと感じてしまう作品なだけに、
1クールで綺麗にまとめている所が評価すべき点であると同時に、
欠点にもなってしまっている。

1話の作り方もいかにも「この後50話続く」作品のような雰囲気であり、
制作会社がBONESであるこを考えると余計に、
この作品を「1クール」に閉じ込めるのは本当にもったいない。
本来のストーリーはまだまだ序章な感じが強く、謎や伏線も残っている

売り上げ的には2期を十分にできる売り上げであり、
原作ストックもまだあるそうなので、
近いうちに2期があるかもしれない。

個人的に予想外の売れた作品だった。
この手の作品は売り上げ的に渋い感じが強く、
売れても5000枚前後で2期は期待できるラインかなと思っていたが、
まさかの全巻1万5000枚前後の売り上げだ。
最終話さえ延期していなかったらもっと売上があったかもしれないだけに、
やらかしたのは痛かった。

アニメーションとして演出が気持ちのいい作品だっただけに
2期があるならば、同じクォリティを期待したい所だ。

「」は面白い?つまらない?

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