アルヴ・レズル -機械仕掛けの妖精たち-

2014年1月25日

☆☆☆☆☆(8点)

アルヴ・レズル 評価

25分
監督/吉原達矢
声優/福山潤,喜多村英梨,日笠陽子,成田剣ほか

あらすじ

暖房で赤外線センサーを邪魔してやったぜ!

本作品はアニメミライ2013という企画で制作された4本の短編映画のうちの1本。
他の作品と違い原作小説が販売されている
正式な原作というよりはこの作品を作るための小説なのでアニメオリジナル作品だ

基本的なストーリーはSF。
遠くで離れて暮らしていた主人公と妹、ネットを介し映像で会話をしていた二人だったが
ある日突然妹は告白する。
今主人公が見ている妹の映像、声は全てプログラムであり自分は機械に入っていると。
この機械に入っていれば食事を摂ることなく生活することができ勉強に集中ができる機械だ
しかし・・彼女はある日を境に魂を失い「昏睡状態」になるというところからストーリーが始まる。

見だして感じるのは独特な作画だろう。
光があたっているキャラクターの服や髪にまるで鉛筆で書いたような影ができている演出は
他のアニメでは見ない「影」の演出であることはわかるのだが、
「凄い」や「面白い」ではなく、独特すぎ演出の意図がよくわからない
キャラデザ自体も若干クセがあり、こういっては何だが「同人アニメ」っぽいともいえる
中途半端なセクシー要素も中途半端過ぎて必要性を感じない。

更に他の演出もあまり目にやさしくない。
過去回想のシーンで短時間での光の連写の中で重要そうなキーワードを画面に描写するような演出があり
はっきりいって一時停止じゃなければ読み取れないような長い文章まである。
自己満足全開の演出は見ている側にとって何のメリットもない。

ストーリー的にもSFで「攻殻機動隊」のような要素が多い。
無人タクシーや仮想空間など面白そうな世界観の中でストーリーが展開されるが、
25分という短編アニメの尺ではその世界観や設定の説明をすることに必至になってしまい
それについていくのが必死でキャラクターの魅力やストーリーの面白さが伝わらない

バトルシーンも本当に浅い。
機械のイヌが部屋に襲ってくるというシーンではヒロインが周囲の機械をハッキングしつつ逃げる
という「見せ場」のはずなのだが、赤外線センサーを暖房で邪魔するという
近未来の設定なのに質の悪すぎる赤外線センサーの設定は苦笑してしまう。
最後の戦いも水に濡れて体温を消すという暖房と同じような感じの対処方法で
近未来設定のはずなのに機械が温度差に弱すぎる(苦笑)
それこそ冷凍庫や燃え盛る中というような状況なら納得できるが、
ただの水や暖房でセンサーを狂わせるというのはかなり浅い。

ストーリー構成自体が「2クールアニメ」の1話のような構成になってしまっており、
短編アニメ映画としてのストーリー構成ができておらず
説明セリフのストーリーは作品としての面白さが伝わらなくなってしまっている。
ストーリーを「放り投げた」感じが強く面白みに欠ける作品になってしまっていた

全体的に見て「短編アニメ」向きじゃない内容を無理やり短編に押し込めてしまった作品だ
これが1クールや2クール、もしくは2時間位の尺があれば
もう少し面白さが伝わる内容だったかもしれないが「25分」という短い尺でやれるような内容ではなく、
そのせいで世界観や設定の説明で尺を使いすぎてしまっており、キャラクター描写やストーリーの面白さが浅い。

作画もキャラクターデザインは癖が強く、そのくせが効果的に面白さに影響していない。
戦闘シーンの作画はひたすら動かず戦闘の説明ばかりでアニメーションとしての面白さがない
他の3作品は少なからず「若手アニメーター」の実力を感じることが出来たが、
この作品だけは何も感じない作品だった。

もしTVアニメとしてリメイクされるなら化ける作品かも知れないが・・・
個人的には同じスタッフでは見たくないなと感じてしまう作品だった。