ルパン三世 princess of the breeze~隠された空中都市~

2013年11月15日

☆☆☆☆☆(4点)

ルパン三世 princess of the breeze~隠された空中都市~ 評価

90分
監督/金﨑貴臣
声優/栗田貫一,小林清志,浪川大輔,沢城みゆき,山寺宏一ほか

あらすじ
オランダ・アムステルダム上空。多くの宝物を乗せた巨大飛行船で「シャハルタ共和国開国記念レセプションパーティー」が開催された。そこに現れたのは小型飛行船に乗った空賊たち。狙いは巨大飛行船に展示されているある水晶。会場に潜り込んでいたルパンは、お宝を奪うために空賊と争奪戦に。女性空賊・ユティカとのお宝のはいったバッグを奪い合った末、ルパンはバッグごと飛行船から落下してしまう…。無事にパリのアジトにたどり着いたルパンだったが、バッグの中身は赤ん坊、ラームと空のケースだった。

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わーいジブリがいっぱいだー!

本作品はルパン三世のTVスペシャルの第24作品目、
声優に関しては前々作から変わっており、
今作ではキャラクターデザインも若干リファインされた
ネット上では「ルパンの目がキラキラ」など話題になったが
違和感しか感じないキャラクターデザインだ

冒頭、ルパンと空賊のお宝争奪バトルが始まる
その最中、正体を隠している空賊の胸の部分にルパンが触れ
空賊が「きゃっ!」となり女の子であることが分かり、突き落とされる。
使い尽くされたラッキースケベイベントを冒頭からぶち込むことで
この作品への期待感を一気に無くす。

ただ作画に関してはクォリティが高い。
特に女性キャラの描写は「深夜アニメ」のごとくこだわっており、
ツンデレ風なメインヒロインや強気な女性などセクシーな描写が多い
ただキャラクターデザインが「深夜アニメのキャラ」のようなデザインなため
ルパンを見ているのに深夜アニメを
見ているかのようなシーンが多い所は気になる

ストーリー的にはシャハルタ王国に隠された秘宝があり、
それを狙うルパンとシャハルタ人としての魂を守るため戦う空賊、
そして陰謀のある国王サイドと銭形という立ち位置でストーリーが進む

序盤はギャグや前述したお色気要素を入れつつ「解説」のシーンが多い。
シャハルタ王国がどんな王国なのか、空賊がどんな連中なのかなど
自然な流れというよりは説明的なシーンが多く、
説明役のキャラが説明が終わると「とりあえず退場させておく」というような
分かりやすい描写もあり、淡々とストーリーを進めている印象が強い。

更に二番煎じ、ルパンで使ったはずのネタを平気で使ってくる。
特にメインヒロインであるユティカとシャハルタ王国の姫が
そっくりという設定は「ルパンVSコナン」で使ったネタだ。

もちろん、そのままそっくりさんというわけではなく、
物語として重要な設定ではあるのだが最近やったネタを同じルパンで
使いまわすというのは制作陣の底の浅さが知れる。
この設定もうまく使うならまだ分かるが、
姫の掘り下げが甘いせいでその設定すら活かされない

それだけではなくお宝のある場所はラピュタもびっくりな風の壁があったり、
ヘリウムガスで無理矢理大地を浮かせて天空の城っぽくする(苦笑)
どんだけラピュタが好きなんだと思いたくなるほどラピュタ祭だ
ラピュタ以外にもいろいろな作品から取り込んでおり、
よくいえばオマージュ、悪く言えば継ぎ接ぎだらけの内容だ

そもそもキャラクターの掘り下げが浅すぎる。
メインであるルパンや次元はそれなりに活躍しているものの、
五右衛門など「居なくても物語に支障がない」キャラクターになっており
ルパンだから出さないとまずいという義務感で
無理矢理シーンを作ってるようにも感じるようなとってつけたようなシーンだ。

最近の五右衛門はギャグキャラになってる部分はあるものの、
もう少しきちんとした活躍の場所があってもいいのではないだろうか?
彼のギャグシーン自体も対して笑えないうえに、
せっかくの戦闘シーンも妙に描写が軽く迫力にかける

尺稼ぎの追いかけっこや無駄なシーンや妙な間の空くシーンも多く、
その割には余計な部分で尺を取りすぎている。
特に最も余計だったのは「赤ん坊の脱糞シーン」だろう
この赤ん坊は物語で重要な水晶を飲み込んでいるのだが、
それと「うんち」と一緒に出すというシーンが有る

それをご丁寧に大量のうんちと一緒に埋もれている
水晶というシーンを描写してしまう、正直ドン引きだ。
可愛らしいうんちの描写ならまだ理解できたが、思わず「うげ」となってしまうほど
妙に生々しく、大量な「うんち」の描写は必要だったのか?と感じてしまう。

そもそも、この「水晶」、そこそこのサイズだ。
小さな指輪やビー玉ほどの水晶なら赤ん坊が飲み込むというのも分かるのだが、
この赤ん坊が飲み込んだ水晶は装飾品付きで結構でかい。

大人でも飲み込めと言われたら厳しいくらいのサイズで
それをしかも「うんち」と一緒に出す、やや苦戦した描写はあったがすんなり出た
せめて装飾品は最初から外しておくべきだった
正直、もう少し小さい水晶にしないと納得しかねる部分だ

こんな余計なシーンに時間をかけるくらいなら、
他にも描写すべき部分がもっとあった。
特に「洗脳」する能力を持っている敵、
この敵は洗脳する能力を持っている敵という設定以外、何の掘り下げもない(苦笑)

「お前のカルマは何色だ?」と口を開く度に言い登場人物を洗脳するのだが、
彼がなぜそんな能力を持っているのか、
カルマにこだわっているのはなぜ?と思うのだが
そんなことは関係ない、彼は洗脳する能力を持っているというだけの敵だ。

キャラクターとしての存在価値が設定の上でしか生きていない。
洗脳する能力を持っているのにテンプレート的な金の亡者な敵の部下になっている、
そんな便利な能力を持っているならもっと活躍できそうなのだが、
あっさりと死ぬ(苦笑)
一応黒幕的な王子もあっさり死ぬ、本当は黒幕とも呼べないが・・・w

なぜあっさり殺すのか、それは簡単だからだ。
掘り下げたキャラクターならば掘り下げた分の死に際が必要だが、
この作品のキャラクターは掘り下げていないのであっさりと殺せる、
そのほうがシーンとして締るのは分かるが無駄死にばかりだ。
キャラクターの死に何の価値もない。

全体的に見てラピュタがやりたかっただけの作品だ。
まず作る前の前提として「天空の城ラピュタ」をルパンでやりたい、
天空の城として大地を浮かすためにヘリウムガスが取れる国を舞台として、
そのヘリウムガスで浮かせればいい。
ヘリウムガスで浮かぶ場所には宝物があるからルパンが狙うと
「天空の城ラピュタ」をやることが前提でストーリーが出来てしまっている。

そのためルパンである必要のない雰囲気の中でルパンのストーリーが展開してしまい
無駄な逃亡劇で時間を稼ぎ、その逃亡劇の中
でキャラ描写が深まるならまだしも特に深まるわけではない。
確かにメインヒロインである「ユティカ」は可愛らしかったが、
ルパン一味は置いておくとしてTVスペシャルオリジナルキャラクター達の魅力を
作中で感じられない

そもそも大事なキャラクターの「赤ん坊」は結局誰の子供なのだろうか?
国の王子が大事そうに抱えている写真があったりしたのだが
結局誰の子供かわからず、ただ宝石を出すためだけのキャラだ
正直必要性を一切感じない。

確かにキャラデザに違和感はあったものの作画のレベルはそこそこ高く、
新しい声優さん達も慣れてきた感じがある。
それなのにもっとも重要な「脚本」が継ぎ接ぎだらけのペラペラでは
せっかくの作画や声優陣、ルパンというキャラクターの魅力を殺しているだけだ

個人的に1番気になったのはルパンが撃たれすぎているということだろう。
今作でのルパンは心臓間際に一発、更に終盤は発狂した王子から数発と
相手が撃つ前に銃を撃ち落とすような芸当もなく銃を構えるわけでもなく、
体で受け止めてばかりだ(苦笑)
怪盗としてのルパン三世の魅力が今作ではまるで感じられなかった。

来年もあるのだろうか・・・正直ココ数年のルパンで面白いと思ったものはない。
新声優に変わった「血の刻印」は若干、盛り返した感触はあったものの
それ以降はまた同じ駄作路線だ。

来年もあれば見てしまうのだろう
今度のルパンは面白いはずだ、去年あれだけ酷評だったんだ、今年こそはと。
そんな視聴者の、そんなルパンが好きな人たちの気持ちを裏切らない作品を
来年こそは作り上げてほしいと切に願います。

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