「可愛いだけじゃない式守さん」レビュー

2.0
ラブコメ
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評価 ★★☆☆☆(32点) 全12話

あらすじ 不幸体質の男子高校生・和泉は同級生の式守とつきあっている引用- Wikipedia

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胸焼け

原作はマガジンポケットで連載中の漫画作品。
監督は伊藤良太、制作は動画工房

不幸体質

1話冒頭、ありがちな朝のシーンから始まる。
しかし、他の作品と違うのは主人公が「不幸体質」なところだ。
玄関の前にある石にはつまづき、鳥の糞をよければ転ぶ。
特に何かファンタジー的な設定があるわけでもないが、そういう設定のキャラクターだ。
特に何かそこに面白みのようなものが有るわけではない。

あくまでも彼の不幸体質は式守さんというメインヒロインを際立たせるためのものだ。
彼女はアイドルのような外見をしている可愛らしいヒロインだ、
そんな彼女と主人公は1話の時点で付き合っており、
不幸体質な彼をいつも守ってくれる。

彼女は「可愛い」だけではなく「かっこいい」。そういうヒロインだ。
「なんか僕よりも彼氏みたい」そんなOPのセリフどおりのキャラであり、
それ以上でもそれ以下でもない。
こういった彼氏よりもかっこいいヒロインというようなキャラは、
少し前の少女漫画原作のアニメでも見かける設定であり、
そこに新鮮味のようなものもない。

そもそも1話の冒頭で別にトラックが暴走しているわけでもないのに、
何かが起こることを想定してトラックから主人公を
式守さんが守っており、シーンにも違和感が生まれており、
やや無理のあるシチュエーションを作り出している。

式守さんの可愛いだけじゃない「かっこよさ」を主張したいのは分かるが、
そのかっこよさもよくわからない。
だらーっとした日常ラブコメであり、しかも、1話から付き合っている状態であり、
なにか進展したり、変化するわけでもない。
作画はそれなりにいいものの、かつての動画工房らしい
「フェチズム」を感じる描写が有るわけでもない。

話も1話の段階でパターン化しており、
主人公がナヨナヨしつつ、不幸体質で不幸な目に遭うシチュエーションにたいし、
式守さんがかっこよかったり可愛かったりする落ちで終わる。
ダラーっとしたテンポの悪さもあいまって、
中身の薄さというのが際立ってしまっている。

お、おう…

式守さんは確かに可愛らしさやかっこよさを感じる部分はあるものの、
そんな彼女に対して主人公があまりにもきつい。
「不幸体質」なのは設定上仕方ないが、なよなよとした見た目で、
言動もナヨナヨしている。

いわゆる「可愛い系」な男子なのは分かるが、
Twitter上で頬を膨らませて自撮りし可愛いアピールする
痛い勘違い男を見るようなそんな感覚にさせられる。
高校生という年齢設定のわりには中1くらいにも見えるような見た目であり、
そんな見た目の男子が「むむー!」とかいい出すのは流石に厳しいものが有る。

しかし、そんな姿に式守さんは頬を赤らめる。
一体、この主人公のどこに彼女がここまで惚れているのか。
それが見ている側に伝わらず、彼らがどのような過程で付き合ったのかが
序盤では描かれないこともあり、いまいちしっくりと来ない。

式守さんが「主人公」にとっての都合の良すぎるヒロインでしかなく、
彼女にふさわしい、彼女が好きになる理由が
いつまでたっても納得できず、そのせいで、
この作品の面白さを素直に感じることができなくなってしまっている。

テンポの悪さもこういった欠点をより
顕著に感じやすくなってしまっている原因だ。
原作はもともと4ページのマンガをTwitterで連載していたものらしく、
元々が4ページの漫画なんだなと感じるような間延び感が生まれている。

そこなのか?

3話でヒロインが主人公を好きな理由を一応は言ってくれる。
彼は不幸体質ではあるものの、それは欠点ではなく、
不幸体質だからこそ、人の痛みを知り、優しいのだと。

言わんとすることは分かるものの、その不幸体質がしゃれにならない。
ちょっとした怪我や事故、どこからともなく黒板消しが現れて
彼の頭上に落ちるくらいならまだしも、
過去には自宅に車が突っ込んできて大穴が開いている。

優しい優しくない云々が霞むレベルの不幸だ。
「式守さん」というヒロインを際立たせるための不幸設定なのは分かるが、
あまりにも「不幸」の度合いが強すぎるせいで、
優しいという彼の利点が消し炭になってしまっているレベルだ。

今はまだいいかもしれないが、結婚したら大変そうだ。
これがファンタジーバトルアニメかなにかで、
主人公が呪われていてどうにかするヒロインみたいなストーリーならばともかく、
そういったストーリーが有るわけでもない日常ラブコメで、
この特級呪物なみの不幸設定が作品全体の足を引っ張ってしまっている。

「不幸体質」というのがギャグで済まされない。
話のパターン化もひどく
「あー、こうなるんだろうな」というのが見ている間に予想できてしまい、
予定調和なストーリーになんの面白さも見いだせない。

サブキャラ

1話から式守さんと主人公以外の、いわゆるサブキャラも多く出ている。
彼らが活躍しだすのは中盤くらいからだ。
そんなサブキャラの視点で描かれるサイドストーリー的な
「式守さん」の描写のほうがよっぽど、式守さんという
ヒロインの魅力を描けている部分が多い。

特に「狼谷さん」はサブキャラの中でも存在感が有る。
彼女は真面目で運動神経もいい美人だ。
式守さんと主人公が付き合う前から主人公と交流があり、
図書委員として仲良くしていた。

そんな彼女の密かな思い。
好きな人の「幸せ」を願い、そんな幸せのために自分の幸せを
押し殺している彼女の思いは切ない。
彼女の視点で見ると、初めて「主人公」の魅力が際立ってくる。

そんな彼女の思いも「式守さん」は察する。
同じ人を好きだからこそ、同じ人が好きな人同士だからこその思い。
完璧を求められる彼女達に「完璧」を求めてこない男の子。
2人の恋する少女の結果の分かっている恋の駆け引きはせつなく、
だが、甘酸っぱい。

路線変更

中盤の7話と8話、「狼谷さん」というキャラクターのお陰で
ようやくこの作品の面白さを感じることができる。
作画の気合の入れぶりも、この8話は段違いに入っており、
最終話のようなストーリー展開だ。

もっと序盤にこのエピソードが描かれていれば、
作品全体の印象は変わったかもしれない。
彼女のエピソード、その後に描かれるエピソードも素晴らしく、
完全に式守さんと主人公と食ってしまっている感じは否めないものの、
中盤からサブキャラが目立ってくることでこの作品の面白さも出てくる。

サブキャラを活用することで序盤から中盤の時点で
すでにマンネリになっていた「可愛いだけじゃない式守さん」という
オチも減り、物語に膨らみも生まれている。
明らかに作品が路線変更したことを感じるターニングポイントだ。

7話あたりから明らかにこの作品が面白くなり、
中盤からサブキャラを活かしつつエピソードを描き、
終盤には式守さんや主人公の「過去」を描く。

不幸体質な彼の過去は神にさえ願ったほどだ。
何がしたいかわからない、主体性のなかった彼女は、
「かっこいい」自分の前でも笑顔で居てくれる少年に出会った。
そんな二人の終盤のデートは微笑ましさすら感じさせてくれる。

不幸体質設定も終盤は序盤ほどひどいものがなく自然であり、
「遊園地のアトラクションにのっている」最中に寝るという
イラっとくるムーブはかましてくれるものの、
2人だけの空間と告白と主人公らしい行動は
スッキリとした1クールの終わりを迎えていた。

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総評:強烈に人を選ぶが…

全体的にみて1クールの前半と後半でだいぶイメージが違う作品だ。
序盤は「可愛いだけじゃない式守さん」というヒロインと、
不幸体質の主人公を掘り下げきれておらず、
ワンパターンな日常ラブコメはマンネリ化しており、
主人公の魅力も全くもって感じられない。

しかし、中盤からサブキャラが目立ち始めることで、
作品の方向性がいい意味でかわり、
そのおかげで主人公とヒロインの魅力の掘り下げに繋がり、
終盤のデートの盛り上がりにもつながっている。

ラブコメでありながら1話の時点ですでに付き合っているという
関係性の変化の描写の難しさが序盤は足を引っ張っていた印象だが、
中盤からはそこからもう1歩踏み込んだ関係性の変化と進歩を
描くことでラブコメらしい面白さを感じることができる作品だ。

中盤から面白くなる作品では有るものの、
序盤はかなり人を選ぶ作品になってしまっており、
1話切りしてしまった人も7話くらいまで見ると
作品の印象も変わるかもしれないが、
7話くらいまで見るのは人によっては厳しい作品かもしれない。

色々と評価に困る作品だった。

個人的な感想:2期は…

個人的には2期をみたいとまでは感じない作品だった。
確かに序盤に比べ中盤くらいから面白くなる作品ではあるものの、
あくまでも日常ラブコメであり、キャラクターたちの
日常と二人のイチャイチャを楽しむ作品だ。

そのイチャイチャの部分がすでに1クールでお腹いっぱいであり、
ある程度区切りもついているだけに、
2期を見たいという気持ちにはつながらない作品だった。

「可愛いだけじゃない式守さん」は面白い?つまらない?

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