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オオカミ少女と黒王子」

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評価/★★☆☆(32点)

オオカミ少女と黒王子 評価

全12話
監督/八田鮎子

あらすじ

高校1年の篠原エリカは、友達相手に話を合わせるために彼氏との恋愛話を語るが、本当は彼氏どころか恋愛経験そのものがない。友達に怪しまれ始めて嘘も限界になってきたとき、街で見かけたイケメンを盗撮して自分の彼氏として写真を見せることでその場をしのごうとする。だが、なんとその彼は同じ学校に通う佐田恭也だった。事情を打ち明け彼氏のフリをしてもらうことを承諾してもらったが、恭也は優しげな見た目とは正反対の腹黒ドS男子だった。

8話までは駄作、8話からは名作

原作は別冊マーガレットで連載中の漫画作品
監督はカサヰケンイチ、制作はTYOアニメーションズ

見出して感じるのは独特の演出だろう。
小さい画面から徐々に画面を大きくしたり、歩く脚を背景にかぶせたりと
「意味があるのか」どうか分からない微妙な演出が目立つ
細かく時系列をシャッフルしたり、シーンをぶつ切りにしたりと文字演出したりと
微妙な演出が非常に多く、ソレが効果的に作用していない
原作からこうなのかと思って検索をかけたが、別にそうでもないようだ

そしてストーリー。これまた「タイトル」から想像できるとおりだ。
ついつい世間体や友だち関係を気にして嘘をついてしまうヒロインと
そんなヒロインの嘘に付き合い彼氏の振りをするドSヒーロー、
最初は嘘の関係だったが・・・という二人の日常、以上だ。

もう、このたった二行ほどの文章から想像できる限りのことを詰め込みましたと
いわんばかりの「ありきたり」かつ「平凡」な内容になっており、
いわゆる少女漫画っぽいストーリーと少女漫画でありがちなシュチエーション、
少女漫画でありがちなキャラクターでしかなく、
王道といえばそれまでだが、あまりにもどストレート過ぎるj

更にヒロイン。少女漫画においてヒロインは重用だ。
だが、この作品のヒロインには「感情移入」することが難しい
見栄のため、見せ掛けの友情のために平気で分かりやすい嘘をつく
自業自得で次から次にトラブルを生む。
はっきりいってしまえばイラつくタイプの「バカ」なヒロインであり、
男性から見ても女性から見ても「ムカ」っとくる言動と行動が多い

そしてヒーロー。
黒王子という肩書通り、物凄いイケメンで普段はやさしいのだが
実はドSという何のひねりもない設定。
そして、この「ドS」部分がこのヒーローの最大の特徴のはずなのだが、
ドS要素が薄い。最初こそヒロインのことを「犬」など呼んだり、
召使扱いしたりするのだが、後は思い出したかのように冷たい態度で接するくらいで
ドSというよりはツンデレだ

少女漫画界、アニメ界に存在するドSキャラクターに比べれば甘すぎる
ヒーローである以上、ヒロインをいじめすぎてはいけないのかもしれないが
あまりにも中途半端なドSキャラであり、
黒王子という肩書の割には「黒さ」が足りない
セリフやキャラクター描写よりも「櫻井孝宏」さんの演技に救われてる部分が大きい。

話が進めば進むほどオオカミ少女のオオカミ要素も
黒王子の黒要素もどんどん薄まっていく。
オオカミ少女はただの恋する少女に、黒王子はツンデレ王子に。
嘘の恋人同士のはずが、あっさりとヒロインが本当に惚れてしまう

もう少しストーリーの積み重ねや丁寧なキャラクター描写があれば
「王道」という評価ができるかもしれないが、
サクサクと進むストーリー展開は悪くないものの
恋愛もので大切な「心理描写」が甘く、
更に稚拙な演出のせいで余計に面白みを感じない。

恐らく同じシーンでも原作なら面白いと感じるかもしれない。
ズレた演出のせいでせっかくのシーンの盛り上がりや、
キャラクターの感情の描写が甘くなってしまっている。
はっきりいってしまえば序盤から中盤までは王道な内容を
平凡に仕上げてしまっている。

この作品は王道なストーリーと王道なキャラクターによる作品だ
だからこそ、そのストレートに「王道なシーン」をどう演出し、どう見せるかが
アニメ化において最も重用なところであり、
漫画という動かない媒体とは違った見せ方と表現をし、
王道なシーンを「どう盛り上げるのか」がアニメ化における原作に対する
最低限のリスペクトだろう。

本来は「サクサク」進む王道ストーリーが面白いはずだ。
最近の少女漫画原作アニメならば、
もっと回りくどい展開やドロッっとした展開になりがちなのだが、
この作品は嘘のカップルがあっというまに普通のカップルになり、
キスまでの展開が恐ろしく早い。時系列の変化も物凄い激しい。
気づいたら1年過ぎている。

変な「ひっかかり」がなく少女漫画原作特有のドロッとした部分も少なく
性的な表現などもほぼなく、すっきりとした非常に見やすい作品だ。
先の展開が予想しやすいストーリーではあるものの、
その予想よりも先にストーリーが展開していくため
グダグダしたり飽きたりはしない。むしろ予想ができるため安心感がある。

王道ストーリーがサクサクと進む感じは爽快感すら生まれており、
はい、嘘のカップルになりました。はい、恋愛感情生まれました。
はい、嫉妬しました。はい、正式カップルに成りましたと
弾むようなストーリー展開は評価すべきところだろう。
爽快感とテンポの早さはありつつも少女漫画の「抑えるべき所」と
「萌えるポイント」をきっちりと描写しているからこそ、
ストレートな面白さになっているはずだ

特に付き合いだしてからのリア充っぷりは「爆死」しろと思うほど
イチャイチャしており、喧嘩してもあっという間に仲直りする。
本来なら喧嘩して仲直りまで1話かけるところ
この作品は1シーンに収めている、ソレがこの作品の面白さにつながっているのだろう
今から見る方は「8話」あたりまで見てもらうと
この作品本来の面白さが伝わるはずだ

だが、そんなこの作品の面白さをアニメでは生かしきれていない。
きちんと作れば見やすくストレートで「王道」な少女漫画アニメとして
もっと面白い作品になったはずだ
私は少女漫画原作のアニメは苦手な場合が多いのだが、
この作品は低評価をしているものの苦手な感じはなく、
それだけに余計に「面白くできる」のに「面白くできていない」もどかしさが強い

特に後半以降の新キャラである「チャラ男」がしつこいくらいに
ヒーローを「チャラ男」への道へ引き込もうとする展開は妙な面白さがある(笑)
恐らく本来はチャラ男にいくら誘われても一途なヒーローの魅力を深める展開なのだが
執拗にチャラ男道に陥れようとするチャラ男の行動や言動があまりにも面白く
若干ギャグアニメ的な面白さまで垣間見えており
2人のデートシーンはギャグアニメのごとく思わず笑ってしまう。

しかし、その反面で作画が後半になるほど不安定になってしまっており
最終話では作画崩壊まで起こしている
主人公やヒロインが「誰?」と言いたくなるほどになっており、
少女漫画アニメでもっとも重用な「ヒーロー」のかっこよさすらない。
内容の面白さと作画のレベルが比例してしまっているのは残念だ

全体的に見て王道な作品を凡作に仕上げてしまった作品だ
いかにも少女漫画的にキャラクターたちと、分かりやすいストーリー展開は
シンプルであり「ベタ」ではあるものの本来は王道らしい面白さがある。
だが、その王道なシーンを稚拙な演出で仕上げてしまっていることで
王道の面白さが影を潜めてしまい、結果として凡作になっている

特に前半はそれが顕著に感じられ面白くなってくるのが「8話」というのが非常に遅く、
序盤から中盤までこの作品の欠点ばかり目立ってしまい、
終盤からようやくこの作品の面白さが垣間見えるのは本当に残念でならない
この後半のノリや演出がもっと前半にあれば、
全体的な評価はもっと変わっただろう。

前半は青春恋愛もの、後半はラブコメと作品の印象がまるで違う。
ヒロインを可愛いと思うのも、ヒーローをかっこいい?と思うのも後半だ
8話以降じゃないとキャラクターに感情移入できないというのは非常に厳しく、
それだけに残念だ
今から見る人、または1話切りシてしまった方は飛ばし気味でいいので
8話以降を是非身て欲しい、この作品の本来の面白さが伝わるはずだ

原作はかなり売れている作品なようだが、予算がなかったのだろうか
声優さん的には実力派であり新人はおらず、前半の作画は安定していただけに
後半からの作画の不安定さ、最終回の作画崩壊は余計に目立っている
稚拙な演出も「予算がないから」と考えれば受け止めることもできるかもしれないが、
累計240万部突破している原作のアニメ化が低予算だったとは思いたくない

DVDの売上も爆死だ。
イベントチケットを付いているののにも関わらず1巻は数字すら出ていない
イベントチケットがついてるのに数字が出ないのは前代未聞だ
2期の可能性は非常に薄いだろう
せっかく終盤が面白かっただけに残念だ

個人的に例のチャラ男の恋愛事情が物凄く気になる。
終盤いきなりフラグを立てていただけに、彼の恋愛事情を見たいがために
原作を買ってしまいそうな勢いだ・・・w

「」は面白い?つまらない?

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