シャーマニックプリンセス」

2016年6月29日

評価/★★☆☆☆(37点)

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魔法使いの女たち

本作品は1996年に制作されたOVA作品
監督は本郷みつる

私は今までに1200本のアニメを見てきてレビューをしてきたが、
この作品で初めて「冒頭のセリフを聞き逃す」体験をする(苦笑)
思わず音量調整を間違えたのかと思い巻き戻し音量を上げて再生するのだが
恐らく「風が出てきそうだな」といっているセリフをようやく聞き取れる
山寺宏一さんの渋すぎる声は悪くないのだが、
唐突に喋るうえにボソッとした喋り方なので聞き逃してしまったようだ

そして「濃ゆい」キャラクターデザイン。
90年代特有の塗りました感の強い髪色と目の大きさはやや癖が強く、
無駄に露出の多い服装なのも人によっては気になるところだろう
画面も全体的に暗く、どことなく「ドロッ」っとした空気感が序盤から流れており、
空気が重い。

ストーリー的にも1話からやや難解だ。
魔法の世界で魔力の源である「ヨルドの座」が奪われる
命令を受け地球で、その「ヨルドの座」を探すというストーリーなのだが、
その「ヨルドの座」というのが何なのかというのが語られず、
登場人物たちも「知り合い」なのに見ている側は誰だか知らない
説明不足な部分が非常に多く、話が進むと徐々に分かっては来るのだが
色々な要素が序盤から「拒絶感」を産んでしまっている

登場人物たちも妙に「ギスギス」としており、
殺伐とした空気感じで行われる魔法による戦闘シーンも
動きの激しさや戦闘シーンの面白さというよりも、
その「ギスギス」「ドロッ」とした感じを引津ってしまっており、いまいち盛り上がらない

ただ、その盛り上がらなさと雰囲気が悪いわけじゃない。
まるで「少女漫画」のような女性キャラクターの「ドロッ」っとした心理描写は
作品の雰囲気に合っており、その雰囲気と心理描写通り
まるで「少女漫画」のようなストーリーだ(笑)

「ヨルドの座」を盗んだのはヒロインの昔の恋人であり、
そのヒロインに対立しているのは昔の恋人に思いを寄せるライバル。
分かりやすく「三角関係」が序盤から見ている側にストレートに伝わり、
任務のために昔の恋人を殺そうとするヒロインと、
愛の為に昔の恋人を守ろうとするヒロインの対立が
「ファンタジー世界」での少女漫画ストーリーがうまく作られている

はっきりいってファンタジー要素は結構どうでもいい。
もう、序盤からドロドロと少女漫画のようなストーリーが展開し
ヒロイン同士が見えない火花をバチバチを弾かせて、
女の口喧嘩をしまくる(笑)
もう、あまりにも荒唐無稽かつ殺伐とした女同士の争いが
逆に「ギャグ的」な面白ささえ感じる。
魔法などのファンタジー要素は喧嘩の手段でしかない

雰囲気は殺伐とシリアスな雰囲気なのに私はこの作品で何度笑ったろうか。
本編とのギャップがありすぎるOP、独特すぎるED、
いいタイミングでさっそうと現れる元恋人、
ストーリーの中で対して意味のない学園生活シーンetc…

やりたい事は伝わるのだが、色々な部分がチグハグになってしまい
はっきりいって余計な要素が多い。
そのせいでまるで「ギャグ」に見えてしまう展開やセリフだったり、
心理描写の甘さのせいで色々と腑に落ちない所や唐突に感じてしまう部分も多い
全6話という尺のせいでいろいろな設定を最大限に使いこなさせておらず、
宙ぶらりんになってしまっている感じが強い。

だからこそ、もったいなさを感じる。
ファンタジーな世界感でファンタジーストーリーではなく
「少女漫画的ストーリー」を描写するのは新鮮であり素直に面白く、
ややストレートな心理描写やセリフ回しではあるものの、
バチバチと火花の音が聞こえそうな三角関係模様は先の展開が気になるようになっている

ただ、その「面白い」と素直に言えそうな部分を
色々な余計な設定やドロッっとした空気感、癖のあるキャラクターデザインなどが
素直に「面白い」と言いづらくしており、
冗長ぎみなストーリーも丁寧といえば聞こえはいいが、ややテンポが悪く感じる所も
この作品を余計に素直に楽しみづらくしてしまっている

さらに言えばこの作品は全6話なのだが、
ストーリー的には4話で完結している。
5話と6話は「過去編」となっており、監督も変わってしまっている。
それまでにキャラクターに愛着が湧けば楽しむことができるともいえるのだが、
「蛇足」的な感じが強い。

確かに1話から4話までにわかりづらかった部分が過去編を見ることで
しっかりと分かるのだが、1話~4話のあの独特な雰囲気がなくなってしまったのは残念だ
逆に過去編を1話~2話でやっていれば、
序盤のこの作品に対するとっつきにくさもなくなったかもしれない。

全体的に見て非常に癖の強い作品だ。
雰囲気や空気感、キャラクターデザインなど「万人受け」しづらい要素が多く
ストーリー的に面白くなってくるのは中盤からであり、
雰囲気こそいいのだが唐突な展開や間延びしたテンポなど欠点も多い。

だが「少女漫画的ストーリー」と「ファンタジー」の組み合わせから生まれる
独特の空気感とキャラクターのストレートな心理描写は
見れば見るほど独特の「魅力」をこの作品から感じることができる。
だが、逆に言えばがっつりと見ないと魅力が伝わりづらく、
人によっての好みが大きく別れる作品だ。

この作品は間違いなく好みが分かれる
それほど癖が強いのだが、同時に「味」のある作品だ
ドロッっとした世界観、一見唐突かつ荒唐無稽にもみえるストーリー展開、
明らかに使いこなせていない設定などチグハグ感じのせいでギャグにも見える、
だが、話が進むとそのチグハグ感じが妙にハマってしまい、
鮮明に描き込まれた「背景」とファンタジーな世界観にふさわしいテイストの作画が
この作品の「味」を個性豊かなものに仕上げている。

90年台のOVAだからこそなのかもしれないが、
このアニメの作画は本当に素晴らしい。
「少女漫画的ストーリー」と「ファンタジー」な世界観を洗練した作画で作り上げており、
だからこそ、最後まで見れる作品になっている。
テレビアニメなら予算的にこの作画は無理だったかもしれない。