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「転生したらスライムだった件」レビュー

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評価 ★★★☆☆(51点) 全25話

あらすじ サラリーマン三上悟は通り魔に刺され死亡し、気がつくと異世界に転生していた。ただし、その姿はスライムだった!引用- Wikipedia

実況プレイ的なアニメ

原作は小説家になろうで連載中の小説作品。
監督は菊地康仁、制作はエイトビット
いわゆる「なろう」と言われる作品達の代表格みたいな作品な。

キャラクリエイト


引用元:©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

転生したらスライムだった件、この作品はまさにそのタイトル通りな作品だ。
びっくりするほどひねりのないタイトルはある意味で
「なろう」らしいわかりやすいタイトル付けであり、
タイトルそのまんまな冒頭の始まりは違和感なく物語の世界に入っていける。

通り魔に刺されて死んだ会社員が転生中に「思った」ことが実現してしまう。
刺されて死にたくないと考えると「刺突耐性」を得る。
痛いと感じ、血が出てると思ったら「痛みを感じない」うえに
「血が出ない」体を得る。

なぜ、転生するときにそんな「願った」スキルを得ることができるのかは
よくわからないものの、童貞で死んだ彼は「賢者」のスキルも取得し、
草食系で終わってしまった彼は食いまくるという願望のもと
「捕食者」のスキルも経て異世界へと転生してしまう。

なぜ自分が転生できたのか、転生したときに複数のスキルを得たのか
そういったことはほとんど明かされないまま、彼は
死んだ際に願ったスキルを持ち、スライムの姿で
異世界で生きていくことになる。

ゲームで言えば1話の冒頭は「キャラクエスト」のシーンだ。
本来なら制限のある中でキャラを作るのがゲームではお約束だが、
この作品の場合は、そういう制限がなく望みが叶えられた状態で
異世界での自分が作られている。

いわゆる「チート」だ。
スライムの姿ではあるものの、彼は数々の特別なスキルを経ている。
スライムの姿で異世界でどんな事をなすのか、どんな展開になるのか。
最弱の姿でありながら最強になりえるスキルを持ってる彼の
活躍に対して期待感が生まれる。

チュートリアル


引用元:©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

異世界での彼の姿は紛れもなくスライムだ。
透明感のある液体のような体で手もなければ足もなければ目すらない。
自分がなぜ異世界に転生したのか、自分の能力も把握シてない状況で
彼は大賢者をの対話で自分のことを知る。

このシーンはいわゆるチュートリアルだ。
賢者(童貞)で死んだ彼が転生時に得た「大賢者」のスキルは
異世界の知識を聞いたら何でも教えてくれる便利なスキルだ、
聞かなければ教えてくれないのはある意味欠点ではあるものの、
彼は大賢者に聞くことで自分の体やスキルのことを知ってゆく。

キャラクリエイトのあとにチュートリアルという流れは
まさにゲームそのものであり、丁寧な説明と描写のおかげで
「わからない」ということがない。

そして彼はチュートリアルを経て「旅の目的」も得る。
この作品の主人公は異世界に転生しているため、
元の世界の彼の肉体はすでに無い。
それもあってか彼は「元の世界に戻りたい」とは考えない。

異世界でスライムとして彼は生きていきことを決め、
封印されている竜と友だちになり、彼の封印を解くことと、
同じように日本から異世界に来たものを探すのを目的にする。

これからこの目的のためにストーリーが進んでいきますよという
丁寧なストーリーラインを見せている。
ゲームで言えば主人公がメインクエストを受けた状態だ。

捕食


引用元:©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

主人公であるリムルは「捕食者」というスキルを持っている。
出会ったモンスターなどを「食べる」ことで、
そのモンスターの特性やスキルを自分のものにすることができるスキルだ。
この作品がもしゲームなら楽しそうな設定だ。

蛇を食べれば擬態を得て、蜘蛛を食べれば糸を出せるようになる。
捕食すればするほど彼はどんどんとスキルを覚えて、
どんどんと強くなることができる。
スキルは組み合わせることで新しいスキルに進化することもあり、
主人公が「成長」していく過程を見ながら感じることができる。

この作品は序盤から丁寧だ。
捕食しスキルを獲得すればきちんとそれを説明してくれる。
やや説明のくどさを感じる部分はあるものの、
きちんとどんなスキルを得たかというのを説明することで、。
得たスキルをどこでどんなふうに使うのかが気になってくる。

仲間


引用元:©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

まさにゲームのように話が進めば進むほど仲間が増えていく。
「スライム」の姿の彼はスライムでありながら圧倒的な魔力とスキルがある、
強さこそ絶対である魔物たちにおいて彼の存在は従うべき存在であり、
彼に救いを求めたり、戦った後に服従したりしてどんどんと仲間が増えていく。

そんな中で主人公であるリムルは一匹一匹に「名前」をつける。
この世界における「名前」はゲームで言えばネームドモンスターだ、
ゴブリンですら名前をつけてもらえばネームドモンスターになり、
普通のゴブリンではありえないほどの力と姿が変化する。

名前を付ける行為は魔力を大量に消費するものの、
圧倒的な魔力があるからこそ大量のモンスターに名前をつけることができる。
大量の雑魚モンスターでさえ全てがネームドモンスターとなって
彼の仲間になる。

ネームドモンスターになった彼らはかなり強くなる。
ただでさえ主人公であるリムルが強いのに、その仲間も彼によって強化され
どんどんと大量の仲間を増やしていき、
それが新しい敵を引き寄せることになるものの、
その敵がまた仲間になっていく。

どんどんと仲間が増える感覚は「幻想水滸伝」を彷彿とさせる。
この作品はアニメではあるが、ゲームをシているような感覚になる作品だ

まちづくり


引用元:©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

仲間が増えてくるとリムルは彼らの主として「暮らし」の安定を考える。
ゴブリンの村は技術力がなく、服もボロボロ、家もボロボロ、
そんな中で彼はドワーフを街へと勧誘し、まちづくりを始める。
仲間が増えると、彼らが住む家が新しく建てられて街もどんどん発展していく。
最初はぼろぼろだった村が街へと発展していく様子は面白く、
シミュレーションゲームのまちづくりをシているかのような感覚になる。

これが、このレビューを見てる人たちに伝わるかわからないが
ドラゴンクエスト7の「移民の町」に近い。
住人を集めて発展していく感じはまさに移民の町だ。
村が町になり、更に街になり最終的には国になる。

「発展」していくさまは淡々と描かれはするものの、
どんどんと街が発展していく様子はこの作品の面白さの1つだ。
RPG的な要素を秘めつつ、どうぶつの森や牧場物語のような
シミュレーションゲームの要素も秘めている。

主人公


引用元:©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

彼は元々魔法使いになる寸前の中年男性だ。
本来、アニメや漫画や小説の主人公は「感情移入」させることが大事だ。
だが、この作品の場合はそういう感情移入させるタイプの
主人公の描写とは違う。
彼は冷静な行動と思考で非常に淡々と物事に対処する。

ときおり、ふざけたりパロディセリフを言ったりする
ユニークさも兼ね備えているものの、あまり感情的に行動したり
声を荒げて感情をむき出しにすることも少ない。
何か自分の街や住民にトラブルが起これば困ったなーと思った後、
そのトラブルに淡々と対処する。

彼のセリフにいらっとしたり、行動にストレスを感じることがない。
そのときの状況に合わせた「最適」な行動や立ち回り、
兼ね備えた交渉術で他のキャラクターとの関係性を深め、
愛らしいスライムの姿がその淡々とした部分をいい意味で中和している。

ある意味で彼は主人公というよりも「プレイヤー」だ。
異世界を舞台にしたゲームをどこか楽しんでプレイしているような感じであり、
視聴者は彼がそのゲームをプレイしてる姿を見てるような感覚だ。
簡単に言えば「ゲーム実況者」と、その視聴者のような関係性だ。

物語の主人公としては淡々としすぎてるが、
ゲーム実況者としてはその淡々さがちょうどいい。

テンポ


引用元:©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

ただストーリーのテンポはかなり遅い。
主人公である「リムル」がキービジュアルでも描かれてる人間の姿になるまで
8話もかかっている。やってることといえば仲間集めとまちづくりくらいで、
6話くらいまでメインストーリーが進んでるようで進んでいない。

主人公の目的は同じ転生者に会うことと、封印されてる竜の封印を解くことだ。
ただ後者は方法を探すのではなく、自らの体内の取り込んで
「封印を解析」するという手段を序盤から見つけており、
封印解除されるのを待っているだけだ。

もう1つの目的である同じ世界からた転生者などに会うことだが、
これも6話の段階で出会っている。
ある程度、序盤に掲げられた目的が達成されてしまっており、
その後の展開は「どうしたいんだろう」と感じることが多い。

丁寧ではある。だが、悪い意味で丁寧すぎる。
2クールという尺の余裕があるからこそのゆったりとしたテンポではあるが、
正直ゆったりしすぎてるストーリー展開だ。

これは見終わった後に調べてわかったことだが、
2クールで原作で言う「4巻」までしか終わっていない。
つまり1巻あたり6話もかけて描いている。
多くのラノベのアニメ化の場合、1巻あたり3話ないし4話だ。
普通のラノベアニメの1.5倍の尺で描いているためテンポの悪さを感じる

繰り返し


引用元:©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

街大きくして、仲間がどんどん増えて、たまに敵が現れたりするが、
主人公の能力が強すぎるおかげでほとんど苦戦しない。
というよりも強敵が現れたとしても最悪「捕食」してしまえば終わりで、
せっかく色々なスキルを取得していってるのに、
絶対的すぎるスキルのせいで主人公の戦闘シーンがいまいち盛り上がらない

ストーリー展開も同じようなことを繰り返している。
敵が現れて仲間が増えて、敵を捕食し強くなり、街が大きくなる。
どんどんと仲間が増えて、強くなり、発展していく街は
わかりやすい面白さはあるものの、ストーリー展開がワンパターンで
やや見ていて飽きてくる

これでテンポが良ければ気にならない部分もあるかもしれないが、
ダラダラと描いてしまったことでそのワンパターンさが目立ってしまっており、
中盤以降はやや飽きてしまう部分もある。

戦闘シーン


引用元:©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

ただ戦闘シーンはかなりド派手だ。
魔法やスキルを使った際の演出の迫力は素晴らしく、
戦闘シーンの多い作品だからこそきっちりとこだわった描写と演出は
きちんとした見ごたえのある戦闘シーンになっている。

特に中盤の「オーク」との戦いの際のオート戦闘モードや、
終盤の「カリブディス」という巨大な敵との空中戦など
迫力あふれるシーンに仕上がっている。

だが、そんな気合の入った戦闘シーンもオチががっかりしてしまう。
強敵も食らってしまえばいい、喰らえ無いようなデカさの敵は味方の魔王任せと
途中までの戦闘シーンの描写は素晴らしいのに、
オチのワンパターンさやあっさり感に拍子抜けだ。

2クールで主人公であるリムルが負けることはない。
この手の作品でありがちな「俺TUEEE」な作品であり、
敵が強敵でも「恐怖」を感じたり、仲間が倒されて怒りに震える様子もない。
緊張感のあるシーンやハラハラするシーンというのがなく、
そういった意味でもストレスがない戦闘シーンだ。

キャラクター


引用元:©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

この作品のキャラクターはかなり多い。
主人公たちの仲間になる際に「種族」ごと仲間になることが多く、
新しい種族の仲間が増えると3,4人のキャラクターが追加され、
更にそこに人間のキャラクターも居る。

しかし、この作品の場合、2クールと言う尺できちんと時間をかけて
描いているおかげで一人ひとりのキャラクターの印象がしっかり残る。
それぞれの種族がそれぞれの種族らしい戦い方をし、
主人公によって名前をつけられることで姿が変化することで
更にそのキャラクターの印象が深まるようになってる。

ただのゴブリンやリザーマン、オークに至るまでしっかりと
一人ひとりのキャラクターが掘り下げられ、
「リムル」というスライムを皆、崇拝するように慕っている。

この手の作品にありがちな「女性キャラクターの多さ」はあるものの、
どのキャラクターも「リムル」に好意を向けてはいるが、
それ以上に尊敬の念も向けているため、
見かけ的にはハーレムだが、そこに恋愛要素がない。

イケメンなキャラクターも多く、このあたりのキャラクターバランスの良さが
男女ともにこの作品を受け入れられてる部分なのだろう。
いささか「敵」の描写は薄く、強敵感あふれるキャラクターが少ないのは
残念ではあるものの、2クールでキャラクターを使い余してる感じがない。
多いキャラクター同士の関係性もしっかり描くことで、
よりひとりひとりのキャラの印象が残るようになっている

終盤


引用元:©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

終盤になるといきなり旅立つ、主人公であるリムルが関わりを持った
同じ日本から来た少女の思いを受け継ぎ、彼女が気にしていた
同じ異世界からやってきた少年少女たちの行く末を見に行くためだ。

ただ、かなり唐突な展開であり、それまで魔獣だの魔王だのと戦ってたのに
いきなり地味な展開になってしまう。
王都に一人でおもむき、異世界召喚されてしまった子供達の先生になる。
正直2クールもやってきた終盤としては地味であり、
よくわからないストーリー構成だ。

しかも2期が決定している。
決定しているならもう少し、サブエピソードを交えて
「カリブディス」との戦いを最終話で描いてリムルの旅立ちの
シーンで終わっても良かったはずだ。
逆にもう少しテンポを早めてストーリーをもう少し切りの良い所まで
進めて終わりでも良かったはずだ。

物凄く中途半端な所で終わってしまったのは残念ではあるものの、
2期に期待したい部分も大きいところだ。

総評:もう少し勢いが欲しかった


引用元:©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

全体的に見て、この作品が何故ヒットしたのかは見ていて分かる作品だ。
まるでゲームのように最強キャラクターをクリエイトし、
モンスターを食べることでスキルを取得していき、
多くの仲間を集めてシミュレーションゲームのようにまちづくりをする。
この作品は「ゲームの面白いところ」をうまく作品に落とし込んでいる。

そしてストレスが一切ない作り。
敵が現れても苦戦したりすることはあれども負けることはない。
ド派手な技と戦闘で「圧倒」して勝利し続ける。
キャラクターも嫌味なキャラクターは少なく、魅力的なキャラクターたちが
どんどんと集まって仲良くなり、そして戦うさまは面白い。

非常に丁寧な作りとバランスの良いキャラクターたち、
そしてストレスがないストーリーは肩の力を抜いて楽しめる。
どこか他人がゲームをプレイしてるさまを見てる「実況プレイ」的な
要素も秘めており、感情移入ではなく、ゲームをプレイする主人公を
見ているような感覚にもなる作品だ。

ただ丁寧な作りと引き換えにストーリーのテンポは悪い。
「俺TUEEE」すぎるがゆえに散々引っ張った敵なのにあっさりと倒されたり、
丁寧なストーリー展開なのにオチがあっさりとしすぎて、
盛り上がるようで盛り上がらないもどかしさを感じる。
2期を想定したためかストーリー的にも中途半端な所で終わってしまい、
もう少し、2クールの積み重ねを感じるラストで終わってほしかった所だ。

ただ、だからといってつまらないわけではなく、
スライムになった主人公や彼の中に取り込まれた竜の封印がどうなるのか、
暗躍する魔王たちの行動や、勇者など気になる所も多く、
「2期」に期待したい部分は大きい。

2期ではテンポがもう少し上がることを期待したいところだ。

個人的な感想:ヒットするのは分かる


引用元:©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

転生物や、俺TUEEEというだけで嫌いな人もいると思うが、
この作品は色々なゲームの要素が混じってる作品であり、
「なろう系」と呼ばれる作品の中でも
確かにこの作品はヒットした理由がわかる。

最近の流行りである異世界転生要素や俺TUEEE要素はあるものの、
90年代のラノベの雰囲気も少しあり、
余計な先入観を一度捨てて見てみたら、意外と楽しめる作品かもしれない。

個人的にはもう少し歯ごたえのある敵が出てくることを期待したいが、
2期はそういう展開もあるようなので、
2期を楽しみにしたいところだ。

「」は面白い?つまらない?

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