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「咲う アルスノトリア すんっ!」レビュー

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評価 ★☆☆☆☆(13点) 全12話

TV 『咲うアルスノトリア すんっ!』メインPV|2022年7月6日(水)TV放送開始!

あらすじ ここは全寮制の魔法学園都市《アシュラム》ペンタグラムと呼ばれる少女たちが〈真の淑女〉を目指し、教養や礼儀作法、そして魔法を仲良く学んでいます。引用- Wikipedia

究極の肩透かし

原作はニトロプラスが原作、NextNinjaが開発・運営を担当し
グッドスマイルカンパニーより配信されているソーシャルゲーム。
監督は龍輪直征、制作はライデンフィルム

すんすん!

1話冒頭から、かなり「わざとらしさ」を感じる作品だ。
主人公のあざとい、いわゆる萌え声な感じだったり、
「ですます口調」だったり、「すんすん」と何かを嗅いでいたり、
常に髪をさわっていたりと、令和の時代にここまで
「萌え」の要素を感じる作品は久しぶりだ。

主人公たちはなにかの「魔法」を習っているような学校に通っているようだが、
先生も生徒の数も少なく、どこか「寂しさ」や「退廃的」な雰囲気を感じる。
それでも彼女たちの日常は平和そのものだ。

年頃の女の子たちが同じ学び舎で魔法を学び、楽しく明るく元気に暮らしている。
キャラクターデザインは可愛らしく、作画のクォリティも高い。
一人ひとりのキャラクターのデザインにしっかりとした特徴がある。

ソシャゲ原作アニメといえばキャラ数が多い作品が多いが、
この作品は控えめなキャラクター数になっており、
メインキャラは5人ほどに絞られており、
あとはサブキャラが数名居るくらいだ。

彼女たちは魔法と教養、礼儀作法を学び紳士淑女になるために
この学園に通っている。
それ以上でもそれ以下でもなく、なにか大きな目的があるわけでもない。
平和な日常と平和な会話がひたすら繰り広げられているものの、
はっきりいえば毒にも薬にもならない会話劇だ。

日常萌えアニメ的なストーリーは特に何か引っかかる部分もなく、
キャラクターデザイン自体は可愛いものの、
思わず「カワイイ!」と思ってしまうような描写や
セクシーな描写があるわけでもない。

可愛い女の子の可愛さを楽しむ。
それ以上でもそれ以下でもない内容になっており、
1話のAパートでは彼女たちはスコーンを食べながらお茶をしてるだけだ。
トラブルといえば「ジャムの蓋があかない」くらいだ。

1話の前半の時点で色々ときつさを感じてしまう。
世界観もよくわからず、彼女たちが暮らす場所とは別に
「下界」と呼ばれる場所もあるようだが、
彼女たちが居る場所が天界的なものなのか、
それとも富裕層と貧民層が分かれてくらす場所があっての下界なのか。

そういった基本的な世界観の説明が殆どなく、
説明するキャラクターも居ない。
しかし、終盤で一変する。

WARNING

メインキャラ達が暮らしている平和な日常が描かれたあとに、
「WARNING」という文字のあとにどこか別の場所の風景が描かれる。
火をつけられた街、騎士たちによる市民の虐殺行為、
血みどろな惨殺行為の現場が映し出される。
それが今なのか、過去なのか、未来なのか、どこかのかすらわからない。

騎士たちの惨殺行為とメインキャラ達の日常になんの関係があるのか、
いつ彼らと相まみえるのか。
平和な日常とシリアスな戦闘シーンを描くことで、
作品全体に緊張感が生まれている。

彼女たちは大切に育てられているものの、
彼女たちの魔力を察知した「虫」と呼ばれるものが近づくことがある。
そんな虫退治をしたりする.
虫がいると騎士が来るらしいことはわかるのだが、
その騎士がなんの目的で彼女たちを狙っているのかがわからない。

2話になっても3話になっても、騎士たちと彼女たちの関係性や
立ち位置がわからず、この世界の情勢もいつまで経っても見えてこない。
彼女たちはいわゆる「魔女」的な存在で、
騎士たちは魔女狩りをしているのか?などと想像する余地はあるものの、
見ている側に提示される情報があまりにも少ない。

徐々に

原作ゲームをやっていればわかることがあるのかもしれないが、
アニメだけだと情報量が足りない。
毎話毎話挟まれる「Warning」のあとの映像の騎士たちの行動は気になり、
戦闘シーンのクォリティやシリアスな雰囲気は素晴らしいのだが、
それがいつまでたってもメインキャラと交わらない。

しかし、徐々に彼女たちがいる場所に近づいている雰囲気がある。
毒にも薬にもならない彼女たちの日常が描かれつつ、
その平和な日常が崩壊するかもしれない要素が迫ってくる。
「原作ニトロプラス」なのも見る側の期待感を煽ってくる。

4話、5話、平和な日常がひたすら描かれると同時に
騎士たちの血みどろの行動も描かれる。
いつ交わるのか、いつ戦うことになるのか、いつストーリーが進むのか、
見ていると色々と疑問に感じる部分がいつかわかるはずという
期待感が常に付きまとう。

しかし、流石に中盤くらいになると日常描写に飽きてきて、
早く騎士たちと相まみえてくれと思ってしまう。
6話では彼女たちが「下界」に降りることになる。
彼女は騎士だけではなく「普通の人間」にすら、その姿を見られてはいけない。
しかし「なぜ」見られてはいけないのかはわからない。

下界という場所だからこそ、騎士たちに出会うリスクも有る。
彼女たちの行動の噂を「騎士たち」が耳にしたりする展開もあり、
いつ出会ってもおかしくない流れが描かれる。

そんな状況が中盤から続く。
話が動きそうで動かず、騎士がやってきそうでこない。
終盤になってもその状況は変わらない。
「あれ?もしかしてこれは何も起こらないのでは?」
と不安になってきてしまう。

なにも!何も起こらないのである!

可愛いキャラのかわいい日常以外特になにもないまま
1クール続く。
その間に騎士のパートが描かれて不穏さを感じさせ、
いつか彼女たちと相まみえるのだという「期待感」をずっと
この作品は感じさせている。

終盤になると騎士たちは市民たちを虐殺しているわけではなく、
「異端者」と呼ばれるものを退治していることがわかる。
異端たちは子どもたちを集めたり、「聞くもの」と呼ばれる
平穏の世を壊す異端の存在と何かを企んでいそうな情報を
彼らは手に入れる。

それがどう「彼女たち」と関係しているのかがいまいちわからない。
そんな状況で彼女たちが住まう場所に騎士たちが近づいてくる。
ようやくなにかが起こる、ようやく騎士と彼女たちが交わる。

しかし、それは肩透かしで終わる。
結局交わらない。時代が違うのか何かしらの魔法なのか
よくわからないが、最後まで何もかも意味不明なまま終わってしまう。
続きはゲームで!と言いたいのかもしれないが、
ココまで何もわからないとゲームをやる気が一切おこらない作品だった。

総評:どういうことだってばよ…

全体的にみて期待感だけはあった作品だった。
可愛らしいキャラクターデザインのキャラクターと
クォリティの高い作画で描かれた少女たちの日常、
そんな日常を描きつつシリアスなムードを漂わせる騎士たちが
徐々に彼女たちに近づいてくる。

いつ彼女と彼らが交わるのか。そんな期待感を常に感じさせながら、
結局、肩透かしで終わってしまう。
クリスマスの朝に枕元にあるプレゼントを開けたら
何も入っていなかったみたいなガッカリ感はあまりにも酷い。

気になる方は原作で!という感じで、
あくまでこの作品は前日端的な立ち位置でキャラ紹介だけを
やるのが目的なのだろう。

制作側も仕方なく、こういう肩透かしなストーリーとキャラの
見せ方しかできなかったのかもしれないが、
とんでもない期待外れ、肩透かしのせいで
1クール見た時間を返せと思わず思ってしまうほどの作品だ。

最初からなにもない日常系を1クールやるならばともかく、
なにかあると思わせているからこそたちが悪い。
キャラの可愛さ以外評価できる要素もなく、
肩透かしなストーリーもあいまって評価が最悪になってしまった作品だ。

個人的な感想:説明してくれ…

本来は説明するべき部分を説明していないため、
ゲームをプレイしていないと本当に何もわからない。
アシュラムとはなんなのか、彼女たちが目指す真の淑女とは、
聞くものとは?といろいろ気になる部分はあるが一切説明してくれない。

なるべく原作ゲームの説明をしないでゲームに繋がる
ストーリーのアニメを作れと言われた結果が
この作品なのかもしれないが、土台無理な話だ。

原作ゲームの方も今年の5月に再始動という感じで
半年以上期間メンテナンスによる改善アップデートを行ってきたようだが、
評判は悪く、売上も悪いようだ。
アニメ化の効果もあまりあったとは感じず、
おそらくは半年かそこらでサービス終了になりそうだ。

原作も含め何がしたかったんだと感じる作品なのかもしれない。

「咲う アルスノトリア すんっ!」は面白い?つまらない?

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