「Dr.Stone 龍水」レビュー

4.0
ファンタジー
スポンサーリンク

評価 ★★★★☆(86点) 全54分

あらすじ 司帝国との戦いが終わり、コールドスリープした司を救うべく動き出した千空たち。引用- Wikipedia

スポンサーリンク

地球は丸かった

本作品はDr.StoneのTVスペシャル作品。
1期、2期と続き、3期も予定されているが、
その前に単独の1時間作品として放送された。
制作は1期と2期と違い、トムス・エンタテインメント。
監督も松下周平に変更されている。

舞台劇

冒頭、まずは「劇」から始まる(笑)
Dr.Stoneが1期と2期で描いてきた物語、
そんな「千空」の物語を劇という形で見せている。
いわゆる「これまでのお話」だ。

1期と2期を見て居ない人でも、簡単にDr.Stoneという
作品を理解できるような簡単なあらすじになっており、
それをナレーションベースや過去映像を使ってみせるのではなく、
登場人物たちの「劇」という形で見せる手法は流石だ。

制作会社や監督さんは変更されているものの、
キャラクターデザインや作画監修の方が変わっていないこともあり、
制作会社や監督が変更された違和感が殆どない。

人類が石化され、科学技術が失われた時代。
そんな時代でも明るく、前を向いて生きる彼らの姿が、
TVSPでもコメディタッチで描かれており、
様々な問題を解決してきた彼らが今作では「船作り」に挑む。

携帯電話でさえ作り上げた「千空」だ。
船作りなど朝飯前のようにも見える、だが、巨大な船を作るためには人出も必要だ。
そんな人ではかつては敵であった「司」が起こした人類だ。
友情、努力、勝利。物語の積み重ねが、人と人のつながりが、
科学を、技術を発展させていく。

TVSPでも変わらないDr.Stoneらしさの思わずニヤニヤしてしまう。

誰を?

奇跡の洞窟を爆破されたせいもあり、
石化から復活できる復活液の在庫が少ない状況だ。
誰を生き返らすのかは重要だ。なにせ地球の裏側まで船で行かなければならない。
優秀な「船長」が彼らには必要だ。

そんな中で見つけたのが「龍水」だ。
復活した瞬間の彼のインパクトは凄まじい(笑)

「ははは!世界は再び俺のものだ!
俺は世界のすべてをほしい!そして世界は俺を欲しがったということだ!」

指パッチンをしながら石化状態から復活する龍水のインパクトは凄まじく、
あまりにも濃すぎるキャラクター設定に笑ってしまう。
自らが置かれた状況の理解も凄まじく、
60分しかないTVSPだからこそ、怒涛のテンポで物語も進んでいく。

「千空」という主人公すら食ってしまいそうな「龍水」というキャラ。
Dr.Stoneという作品はストーリーもさることながら、
その物語を綴るキャラクターたちの人間らしさと、
彼らの「熱い想い」がキャラの魅力にもなっている。
そんなDr.Stoneだからこそ、新キャラの魅力も凄まじい。

彼が登場して5分ほどで、龍水というキャラの魅力に取り憑かれてしまう。
そんな彼が船を動かすために要求してきたものが「石油」だ。
しかも、そんな石油を「龍水」は独占権を求める始末だ。
3千年の石化から目覚めて1日とたたずに、
「石油王」になるキャラクターなどどこに存在するだろうか(笑)

「通貨」の概念を生み出し、「商売」を作り出す。
今までのDr.Stoneには居なかった資本主義のキャラを登場させることで、
この時代に「経済」が生まれる。
人類の発展に経済は不可欠だ、経済もまた科学であり、
そこから生まれる「社会」もまた科学だ。

労働力や、各々が保つ力に対する「対価」に対し、支払われる紙切れ。
そんな紙切れが社会を動かす要因にもなる。社会が回れば科学も発展する。
私はDr.Stoneという作品がここまで「科学」というものに
踏み込むとは思わなかった。
単純な化学だけではなく、社会科学まで扱うこの作品にしびれてしまった。

社会が生まれれば「文化」も生まれる。
そんな経済が生まれた中で「相場操作」をする「 幻」に笑ってしまう(笑)
それだけでなく、「偽金」で人を操る姿は流石だ

大空へ

石油を探す過程で千空は「空」を飛ぼうとする。
空を飛ぶ技術は科学の塊だ。
しかし、そんな科学の塊のはずなのに「気球」づくりの工程は3つしかない。

麻布を編み込み、火で空気を膨張させ、空を飛ぶ。
恐ろしく単純な仕組みだ。だが、そんな単純な作業が面白い。
「千空」一人では無理だ。
手芸部のユズリハが、石神村の人々がいるからこそ成り立つ。
数万キロの「糸」を作り、糸を布にする。

途方もない時間がかかりそうな作業を、更に千空が「織り機」を作ることで
効率化し、布ができていく。
この過程の面白さ、目的のものを作るために、違うものを作り、
組み合わせていく「過程」の面白さがDr.Stoneの面白さだ。
わずか60分の作品でしかないのに、この作品はここまで築き上げてきた
Dr.Stoneの面白さが詰まっている。

布が生まれたからこそ、ファッションという文化も生まれ、
その中で経済が回っていく。
科学技術の発展と共に、より文化的かつ社会的な暮らしにも変化していく。

地球は丸い

できた気球に乗れるのは3人だ。そんな3人はくじで選ばれる。
そんな中でも空へのあこがれを止められないものがいる、
「クロム」だ。
この時代で化学を追い求めた彼、知ってはいる、だが、聞いただけだ。
彼は自分の目で、みたい、確かめたい。

地球は丸いんだと。
クロムが気球の上で、空の上で初めて見る景色を見たときの
「感動」は見ている側にも伝わってしまう。
地球の丸さを、地球の全てを知りたいと科学者である彼が思い、
貪欲に知識を求める姿はこの作品のもう一人の主人公だ。

3人の主人公をのせた気球は西へ、西へ。
そして「積乱雲」へと挑む。
空の旅は一筋縄ではいかない、風を読み、鳥に怯え、積乱雲と挑まなけばならない。
空に逃げ道なんて無い、一歩間違えば「死」がそこにある。
そんな死に彼らは怯えない、彼らは常に前を向き、挑み続ける者たちだ。

人が空を飛ぶ。それだけこの作品は面白い。
たった60分の作品でしか無いのに、笑い、感動でき、泣いてしまう。
Dr.Stoneという作品の魅力がたっぷりとつまった60分だった。

スポンサーリンク

総評:地球は丸かった

全体的にみて素晴らしいTVSPだ。
制作会社と監督の変更という不安はあったものの、
そんな不安と吹き飛ばしてくれる素晴らしい作品に仕上がっており、
大海原へ旅立つために「空」を飛ぶ彼らの物語が60分でまっすぐに描かれている。

龍水という新キャラが登場したことで、貨幣という概念が生まれ、
経済が生まれ、社会が成り立ち、ファッションという文化が生まれる。
社会もまた「科学」だ。
化学だけではない、社会という名の科学までを扱うDr.Stoneの
底の見えない面白さをこの60分でがっつりと感じさせてくれる。

人が石化し、3000年以上経過してしまった世界。
そんな世界で海に旅立つために「空」を飛ぶ。
シンプルな物語の中でキャラクターの魅力が全開に描かれ、
シンプルな物語がより際立っている。

欲を言うならば、この作品を映画で見たかった。
あと30分くらい日常話や何かを追加すれば
十分、90分の映画作品になったはずだ。
そこをあえて60分のTVSPにしてしまうのは粋ともいえるが、
1Dr.,Stoneファンとしてはこの作品をスクリーンで見たかったと
感じてしまう作品だった。

「Dr.Stone 龍水」は面白い?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください