「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」レビュー

3.0
ロボット
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評価 ★★★☆☆(56点) 全12話

あらすじ リオン・フォウ・バルトファルトは、ある日突然前世の記憶を思い出し、自分が前世でプレイした乙女ゲームの世界にいることに気がつく引用- Wikipedia

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乙女ゲームの破壊者

原作は小説家になろうで連載していたライトノベルな本作品。
監督は三浦和也、福元しんいち、制作はENGI

乙女ゲーム全否定

1話冒頭、主人公は乙女ゲームを全否定しながら乙女ゲームをプレイしている。
彼は妹に弱みを握られ、ゲームを攻略するハメになり、
課金要素まである乙女ゲームを徹夜で100%攻略した結果、倒れ、階段から落ちてまう。
彼が目を覚ますと、さっきまでプレイしていた乙女ゲーで、
しかも「モブ」に転生してしまっていることに気づくところから物語が始まる。

いわゆる異世界転生ものだ。
乙女ゲームを舞台にした作品は「はめふら」以降増えているが、
この作品は乙女ゲームが舞台でありながら、悪役令嬢でも、ヒロインでも、
主人公でもなく「モブ」であることが特徴だ。

本来なら、物語に干渉しない、干渉する必要性もない。
ゲーム内では名前すら出てこないキャラクターだ。
それゆえに主人公は「モブはモブらしく」生きようと決めていたのだが、
唐突に、貴族とのお見合いをキメられてしまう。
彼はゲームで培った攻略情報をもとに、自らの運命を変えるために扮装する。

この作品の面白いというか、ややぶっ飛んでるのは、
乙女ゲームといいながら、元からSLG的な要素があり、課金要素もあり、
ファンタジーな異世界でありながら、ロボットやパワードスーツまで
出てくる始末だ(笑)
元のゲームの要素のつめ混み具合の凄さにやや突っ込みたくなるものの、
そんなとんでもないゲームだからこそ主人公にも運命を変える余地がある。

学園で理想のお嫁さんを見つけるために、
モブとして平和に暮らすためにも、彼は
本来の「ヒロイン」や「主人公」たちと相まみえることになる。

モブでいたいのに

彼はあくまで「モブ」でありたいと思っている。
しかし、ゲームの攻略情報と課金アイテムを手に入れる手段を
知ってしまっているがゆえに、其れを使えば使うほど、
彼の立場はどんどんと上がっていく。

この手のゲームを舞台にした異世界転生ものだと
攻略情報や先の展開を知っているがゆえに、
俺のつえーの限りを尽くす展開が多いものの、
この作品の主人公は普通、モブでいたいという思いがあるからこそ、
自らの力をひけらかすようなことはしない。

しかも、序盤から彼が知っているゲームとは少し違う展開が訪れる。
本来は主人公と攻略対象のイベントのはずが、
そこにはゲームの主人公ではない別の女「マリエ」がおり、
ゲームの主人公の立場を奪っている。

1話の段階では乙女ゲームやこのゲーム自体のキャラ自体に
否定的な彼だったが、ゲームではなく眼の前の現実の
「人間」として存在しているからこそ、
あざといと感じていたヒロインも魅力的に見え、
彼女たちが可愛そうな目に合うのを放っておけない。

主人公にも、見る側にも予測させないストーリー展開を
序盤から描くことで、自然と主人公に感情移入し、
シンプルに先が気になる展開を見せてくれる。

マリエの存在のせいでゲームのストーリーとは
違う方向に向かっていく展開に、
主人公も、視聴者も予想できない。

作画

ただ、ストーリー自体はいいものの、キャラクターデザインの癖は強い。
乙女ゲーム的な世界観のキャラクターデザインだといえばそれまでだが、
主人公を含め、ややクドさを感じるキャラクターデザインであり、
攻略対象の男性キャラや女性キャラ含め、可愛さやかっこよさをあまり感じにくい。
2022年のアニメというよりは2000年代前半くらいの
ギャルゲーやエロゲー原作の深夜アニメのような印象だ。

このキャラクターデザイン濃ゆさのせいもあって、
日常パートでの作画の怪しさは常に漂っており、
作画崩壊こそしないものの、ふとした瞬間のキャラの顔の作画に
「ん?」っとなってしまう。
中盤になると作画を省略するための演出も悪目立ちしている。

その一方で戦闘シーンはかなり頑張っている。
この作品は世界観のもととなった乙女ゲームの世界観が
めちゃくちゃのせいか、パワードスーツによる戦闘シーンもある。
パワードスーツのデザイン自体は主人公機はゴテゴテの無骨なデザインに対し、
攻略者たちは流線型のスマートなデザインだ。

高速に動くロボットと、ドスドスと動く大きなロボット。
まるで別世界の作品のロボット同士の戦いというのは
ロボットアニメ好きとしてはスパロボ的なワクワク感を感じさせてくれる。
しかも、主人公機の武器はスコップだ(笑)

00年代のロボットと、80年代のロボットの戦い。
ややアップの絵やワンパターンな動き、止め絵の多さや、
主人公機が強すぎるがゆえに圧倒的な戦闘シーンになることが多く、
余り盛り上がりのある戦闘シーンにはなっていないものの、
イキる攻略対象相手に、あおりイキり散らす主人公という構図が
作品の面白さにもなっている。

あまり作画の予算が多いとは感じない作品ではあるものの、
あえて「CG」を使わずに、手書きの作画による
ロボットの戦闘シーンを描いている制作陣の努力を感じられるものの、
もう少し予算があれば迫力のある戦闘シーンが生まれたかもしれないのに
と感じるようなもったいなさが漂ってしまっている。

モブなのに…

マリエの正体は序盤の段階で主人公にも見ている側にも察しがついている。
あまり情報を小出しにせず、変に引き伸ばさず、
5話でストーリーが一区切りついているテンポも悪くなく、
サクサクと進むストーリーが心地良く、この作品のいいところだ。

敵キャラもわかりやすい。
学園に通う貴族たちは「貴族」としての傲慢さが凄まじく、
主人公やヒロインたちに悪態をつく。
そんな彼らに対し、主人公がときに力を、ときには後ろ盾を利用し、
やり返す姿がコメディとしてのギャグにもなっている。

やりすぎれば彼の「師匠」が彼を止めることで、
主人公のいきりが不快感ではなく、きちんとしたギャグになっている。
モブ故に主人公やヒロインたちとの恋愛関係はありえないとも思っており、
それがヒロインと主人公とのすれちがいラブコメも生んでいる。

そんな主人公ではあるものの、ゲームのイベントをしっており、
キャラクターたちのことも知っているからこそ、
どこか「俯瞰」して彼らを見てしまう。
先のゲームのイベントで必要だから、本来のゲームの主人公だから、
知っているからこそ、どこか一歩離れてみてしまう。

自分はモブだから、この世界はゲームの世界だから。
そんな彼のスタンスとは裏腹に、彼に影響され、
本来の主人公が、本来の攻略対象たちが、悪役令嬢が変わっていく。

モブではいられない

モブに徹しようとする主人公ではあるものの、
彼は序盤から「モブ」に徹しきれていない情がある。
眼の前でヒロインが傷つけられていれば立ち上がり、
誰かを助けるために、自分が助けたいと思うものもを助けたいと思う。
いい意味で欲望に、自分に正直な主人公だ。

だからこそ、モブではいられなくなっていく。
どんどんと上がる立場、一歩間違えば「戦争ルート」に入ってしまう危険、
彼を取り巻く状況がゲーム通りに行かなくなればなるほど、
彼は「モブ」ではいることが難しくなっていく。

そんな主人公の意思に引っ張られていくように、
周りのキャラも変わっていく。
貴族としてのホコリしかなかったようなキャラたちが、
自分は特別ではないと思っていたヒロインが、
成長し変化していくキャラ描写がこの作品の魅力でもある。

そんな変化が、モブでいようとした主人公にも影響していく。
俯瞰し、メインキャラに関わらないようとモブに徹しようとした彼が、
「人」である彼らの心に突き動かされる。
もう、彼はモブではいられない。

「今だけは役目を超えてもわがままを押し通させてもらう!」

モブという役目を超えた先、その先にある物語を
見たいと思わせてくれる作品だった。

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総評:このタイトルでロボアニメだとは思わないじゃん?

全体的に見てキャラデザのバタ臭さと作画の悪さと省略は
かなり気になるものの、その欠点を差し置いても
ストーリーとキャラクター描写が素晴らしい作品だった。
乙女ゲームのモブに転生してしまった主人公がモブとしての自分に
縛られながらも、最後はその役割から解放される。

貴族社会でガチガチに固められたこの世界で、
ゲームだからこそ、最初は「俯瞰」して周囲の人物も見ていた彼が、
自分の欲望を押し通すためとはいえゲームの情報を活かしながらも、
徐々にメインキャラに関わり、関わったことでメインキャラが変化し、
成長し、最後には主人公自身をも変える。

ストーリーがまっすぐに描かれており、
敵キャラは清々しいまでにクズであり、そんなクズな敵に対して、
主人公もクズな態度で彼らを圧倒する面白さと、
それでもモブに徹しようとする彼に愛着を持ってしまう。

最初は敵役だった悪役令嬢や攻略対象の5人も、
主人公とのかかわり合いの中で変化していき、
その変化がキャラの魅力につながっている。
とくに攻略対象の5人こと5バカは愛すべき馬鹿だ(笑)

ロボットアニメとしても、あえてCGを使わない手書きの作画による
戦闘シーンはアニメーションとしての面白さが物足りない部分はあるものの、
手書きだからこその1枚絵の「圧」を感じさせる描写になっており、
作品全体の予算は少ないのを感じさせる日常パートはあるものの、
制作側がそんな予算の中でなんとかしようとしている意思を感じてしまう。

もっと予算があれば、もっと面白くなったに違いない。
そう感じさせる魅力がこの作品にはあるのは
制作陣の努力の賜物だろう。

個人情報:事前情報

Wikipediaすらみずにいきなり見始めたこの作品だったが、
まさかこのタイトルでロボットアニメだったとは予想外だった(笑)
ロボットアニメとしての要素は3割くらいだったものの、
ロボットデザインは個人的に好みだった。

2期があるかどうかはわからないが、
続きが見たいと感じさせる魅力のある作品であり、
もし2期があるならば、もっと予算を増加させた
2期が見てみたいところだ。

「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」は面白い?つまらない?

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