機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争

機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争感想

評価/★★★★★(85点)

機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争感想

制作/サンライズ
監督/高山文彦
声優/浪川大輔,辻谷耕史,林原めぐみほか

あらすじ

一年戦争末期、地球連邦軍が新型ガンダムを開発しているという情報を掴んだジオン公国軍の特殊部隊「サイクロプス隊」は、機体を奪取すべく北極の連邦軍基地を襲撃する。しかし作戦は失敗し、目標物は宇宙へ飛び立ってしまう。

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忘れないよ、バーニィ

本作品はガンダムとしては初のOVA作品
また声優である浪川大輔さんが子役時代に主人公として出演した作品だ。
ガンダムシリーズとしては最年少の声優

基本的なストーリーはサイド6に住む小学生を主人公とし
小学生の主人公から見た一年戦争末期という非常に異色的な作品だ。
主人公はMSにすら乗らない、パイロットでもなく兵士でもない
ただのサイド6に住む小学生、これが最大の特徴だ

序盤、主人公は戦争の悲惨さを一切理解していない。
普通に小学校に通い、家では銃を使ったゲームで遊ぶ。
自らが住む町でザクとジムの戦闘が起こっても、
恐怖心は一切なく好奇心で被弾したザクを撮影しに行く
更には乗っていたパイロットに拳銃を突きつけられても恐怖しない

本当にただ普通の男の子だ。
軍人の階級章1つで嬉しそうな表情を浮かべ、MSや軍人、
ジオン軍に対してかっこいいとすら感じる
この子がどう「ガンダム」のストーリーの主人公として活躍するのか?
1話や2話の段階では全く判断できないところが面白い部分だ

3話以降は主人公は好奇心からジオン軍のバーニィという
兵士と共に行動するようになる。
だが、あくまでも彼は普通の小学生だ、自分が死ぬということを全く自覚しない
危険過ぎる行動とそれに巻き込まれるバーニィは
まるで兄弟のように接する。
そして4話終盤、主人公は戦争に巻き込まれる。

平和と戦争の対比、丁寧に積み重ね人物描写を繊細にし
6話中3話で戦争の中の平和を描き、残りの3話で悲惨さを描く
ただの普通の小学生の前の前で起こる戦闘、
昨日までしゃべっていたオジサンが打たれ自爆をし
昨日まで遊んでいた公園がなくなり、同じ年齢の子供が死んでいる。

そして少年は戦争を目の前にしてもバーニィに対する憧れを捨てきれな
彼がきっと死んだ仲間のためにも戦ってくれる、
彼がきっとガンダムを倒してくれる、
子供がかっこいい大人に憧れ期待するのと同じように新人パイロットであるバーニィに
無垢な期待を寄せる。

そんなバーニィは逃げようとする。
少年に嘘を言ったまま、惚れた女性をおいたまま、部隊の無念を引きずったまま。
だが、彼は空港の何気ない女性の電話を聞き自分の本当の気持ちをさらけ出す。
この「何気ない女性の電話」という演出が、憎いまでのセンスを感じた。
そのバーニィの決意に対し、主人公は
「大好きだよ、バーニィ」と無垢に答える。

二人だけで壊れたザクを修理し、二人だけでガンダムを壊すために奮闘する。
二人だけの小さなジオン軍。
そして、バーニィはザクでガンダムに挑む。
二人の戦いは結末から言えば意味のない行動だったかもしれない、
だが彼らは確かに戦争をした。
小さな小さなポケットの中で起こった戦争は少年の心に深く刻まれ大きく成長する。

たしかに古いだけ合って癖のあるキャラクターデザインや
戦闘シーンの少なさで不満に感じる部分もある。
だが、たった6話、たったの3時間で少年から見た戦争の中の日常と悲惨さ
そして少年の成長というストーリーをこの作品は描ききっている。

全体的に見て驚くほどの完成度が高い。
ガンダムという作品の魅力が3時間の中にぐっと圧縮され
そこに「少年」という要素を足して描いた作品だ。
少年が本当に子供で、大人が大人らしくストーリーを積み重ね、
戦争の虚しさを訴えている。

もう一度見ても確実に終盤は涙を流してしまうだろう
いや、展開が分かっているからこそ2回目以降のほうが涙をながすのは早いかもしれない
何度見ても飽きない、何度も見たくなってしまう。
私はポケットの中の戦争がガンダムの中で一番好きかもしれない。

そしてDVDのCMで更にやられた。(↑の動画)
最後の最後まで見た人の心に残る、本当にいい作品だ
忘れないよ、バーニィ。