新機動戦記ガンダムW

新機動戦記ガンダムW感想

評価/★★★★☆(64点)

新機動戦記ガンダムW感想

制作/サンライズ
監督/池田成→高松信司
声優/緑川光,子安武人,矢島晶子ほか

あらすじ
宇宙開発が始まった年をアフターコロニー(A.C.)歴1年と定め、人類は宇宙コロニーの開発を始めた。しかし地上・宇宙での紛争や様々な疾病、技術的な問題もあり、L1にてコロニーが初めて完成するまで100年を要した。地上の紛争は収まらず、宇宙ではコロニーが武力を背景とした地球圏統一連合に従属する形での支配が続いた。

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人間狂って結構、それが戦争だ

本作品は1995年に放映されたガンダム作品。

テレビシリーズとしては6作目となる。
それまでのガンダムと違い主要キャラが美少年ということで
多くの女性ファンを獲得した作品

本作品ははそれまでのガンダム作品とは関係がない。
それまでのガンダム作品で出ていたニュータイプなどの特殊能力の設定などもなく
ストレートなキャラ描写とややキザなセリフは女性向けとして
メディア展開したのは納得できる。

ただ、この作品はゴタゴタがある。
監督が半年で辞任し別の監督が別の番組と同時進行で制作と
こういったゴタゴタが内部であり、前半と後半では作品の印象も違う。
そういった意味で、ストーリーがブレている部分もあり
飲み込みづらい部分もある。

基本的なストーリーは主人公たちが地球へガンダムに乗って降下し、
秘密組織であるOZに対する破壊活動を行う、
そんな中で主人公であるヒイロ・ユイは敵の攻撃を受け落下、
ガンダムも失い自らも海外に漂着し、一人の少女に顔を見られてしまう・・・
彼はその少女に「お前を殺す」と宣言する。というところからストーリーは始まる

序盤のストーリーはキャラ描写を深める展開だ。
主人公であるヒイロ・ユイの極端な行動や言動は賛否両論だろう。
なにせ、作戦に失敗するとすぐに死のうとする、自爆しようとする、
正体バレたら殺そうとする、
言動も行動もかなり過激であり、芝居がかったセリフも
独特のキャラクターという印象を受ける

また他のキャラも同じだ。
ヒロインであるリリーナは、とてもじゃないがヒロインとは言えない(笑)
外見はたしかに可愛い部類に入るのだろうが、
気の強さやヒイロと同等、いやそれ以上に芝居がかったセリフは
素直に可愛いとは言えないヒロインだ。

そして敵としてのトレーズ。
まさに貴族のようなセリフと振る舞いを見せるトレーズ、
彼は最初から「ラスボス」の空気感を出しており、セリフも面白い。
ある種の美学を持って己の信念を貫くさまは敵でありながら魅力だ。
しかしながら、バラの風呂に入るような人物であることを忘れてはいけない(笑)

こういった癖のあるキャラが芝居がかったセリフでストーリーを運んでいく
ストーリーの方は序盤からかなり激しく、一話一話変化していく
確実に一話でも見逃したらついていけないハイスピードな序盤のストーリー構成だ
全49話という長尺なのだが、かなり圧縮されたストーリー展開と言える。

5人のガンダムパイロット達は、コロニーの工作員として
OZの施設にテロ行為を働いていく
圧倒的な強さを誇る5機のガンダムは子供ならその強さに惹かれるところだ。
大人目線で見ると「強すぎね?」と突っ込みたくなるところだが・・・
だがそんなテロ行為もOZに利用され、5機のガンダムパイロットは悩む

自分たちの行動の意味、自分たちのガンダムパイロットとしての資格、
彼らはまだ大人ではない少年たちだ。
しかしながら悩みながらも彼らは行動する、平和のために。

そんな強すぎるガンダムに対し、敵であるゼクス・マーキスは極端な機体を持ち出す。
トールギスと呼ばれたその機体は、恐らくガンダム史上最も極端すぎる機体だろう
なにせ最大加速を出せば並のパイロットなら肋骨にひびが入る、内臓を痛める(笑)
パイロットを無視した死を覚悟したものが使う決闘兵器。
むちゃくちゃな機体でガンダムに挑むゼクス・マーキスは騎士だ

だが、ガンダムパイロットたちの行動はどんどんと逆境になる。
コロニーを盾に取られ戦えなくなり、更にはコロニーにさえ裏切られる
逆境に逆境を重ね、自分たちの行動は正しいはずだと信じ、孤独な戦いを繰り広げる。

このようなストーリー展開がわずか17話のうちに進む。
前半のストーリー展開は非常に早い、キャラ描写を深めつつ進める
キャラ描写に関してはストーリーが進めば進むほど深まる。
恐らく序盤の2,3話の時点で芝居がかったセリフに嫌悪感を抱いた人は
見続けていても同じような気持ちが残るだろうが
序盤を「面白い」と感じた人は話が進めば進むほどキャラクターに愛着がわく

中盤からのストーリー展開は若干テンポが落ちる、
同時に一部キャラクターの暴走とも言える行為は賛否を呼び、
政治的要素や戦争要素がドンドンと濃ゆくなっていく
この部分は監督交代によるところが大きいだろう

更に中盤では2話も総集編に連続で使う。
総集編が2話あることには問題はないのだが、
2話連続という構成はなんとも言えなかった。
総集編もあまり工夫のある総集編とは言えない

また中盤以降のキャラの心情や立ち居位置の変化も激しい。
一話でも見逃せば「え?なんで捕まってるの?」「え?なんで狂ってるの?」と
確実に戸惑うこと間違いないストーリー展開は確かに刺激的ではあるが、
めまぐるしい展開はついていくのが大変だ。

同時に登場人物たちが乗る機体も、しょっちゅう変わる。
主人公であるヒイロユイは機体にこだわりがなく、
自爆させる、海に捨てるなど平気でやってのける人物であり
そういった意味では機体にこだわりがなく他の機体に乗ることには違和感がない。

しかしながら、他の登場人物もいろいろな機体に乗る。
主人公だけで、ガンダムW→ガンダムヘビーアームズ→ガンダムW→メリクリウス
ウイングガンダムゼロ→リーオー→ガンダムエピオン→ウイングガンダムゼロ
と、全49話で乗り換えまくりだ(笑)

ガンダム史上、これだけ色々な機体を乗り換える主人公というのもかなり珍しい
同時に早いストーリ展開と相まって、この機体の乗換が
余計にストーリーを混乱させやすい。
また後半から新キャラも登場し、更に主人公たちの立場に変化を与える

終盤、変化した立ち位置が更に変化する。
特にヒロインであるリリーナ・ピースクラフトの立ち位置の変化は
あまりにも急激で終盤の詰め込みすぎを物語っている
誰が敵で誰が味方でどんな組織があるのか、
一度混乱しだすと頭の中で整理するのが大変だ。
そこにさらに新組織が出てきたするのであわただしい(苦笑)

しかしながら終盤は確かに詰め込み過ぎではあるが、
生き様と生き様がぶつかり、最終話の人間臭くなったヒイロや
それぞれのキャラクターの「生き様」を描ききったのは賞賛したい

作画の面ではときおり、キャラの表情などに違和感があったり
使い回しのシーンがあったりする場合もあるが、それほど気になるものではない。
戦闘シーンも激しく動き、多く登場するガンダムやMSなどの機体はロマンを感じる

主人公機であるウィングはまるで鳥のように変形し、
バスターライフルという大型ビームで打ち抜き、
デスサイズは鎌を持ち、ヘビーアームズは大量の火気で攻める(サンドロックは・・・w)
そして最も男子の心をくすぐるのはガンダムエピオンとトールギスだろう

トールギスは前途したように並のパイロットなら乗るだけで骨にヒビが入る
まるで騎士のような姿の機体は男子の心を掴んだはずだ。
そしてガンダムエピオン。
これはもう男のロマンの塊のような機体だ。

このガンダムはビーム兵器やガトリングなどの射撃武器を一切持たない。
ビームソードなどの近距離武器のみしか持たない
まるで存在そのものが一人の騎士のようなガンダムだ。
ガンダムで重要である「機体」という面では、高評価したい

ただパワーバランスの面では疑問を感じる。
主人公たちがなかなか死なないのは仕方ないとしても
同じ機体でも主人公が乗るかモブキャラが乗るかで大きく攻撃力や防御力が違うのは
戦闘シーンでの違和感を産んでしまっていた。
この点はガンダムWで気になって仕方ない部分だ

また声優さんに関しては当時も人気だった声優さんを使い
安定した演技をしているので安心して見れる。
ただ気になるのは藤原啓治さんだ、彼の演技については何も文句はないのだが、
ガンダムWに登場するモブキャラの多くを担当しており、たまに混乱してしまう。
この点に関しても気になる部分だ。

全体的に見てこのガンダムWという作品は私は異質に感じる。
もちろん最も異質なのはガンダムGであることは否めないが、
ガンダムWはそれまであったニュータイプなどの特殊能力は一切なく、
主人公はガンダムや自分の機体にこだわらない。
更に主人公たちは終盤こそ組織化したが、序盤から終盤間際までは
組織に属してですら居ない。

ただガンダムを武器として使い、ただ相当な訓練をしたパイロットが乗る。
彼らは誰の手助けもなく、自らが住んでいたコロニーのため
自らの意思で地球へと戦いを挑む。
孤高という言葉がまさにふさわしいガンダムといえるだろう

それだけに全体的に見て重い。
パイロットたちは序盤を除き、ほとんど逆境の中で考え悩み
時に暴走しながら、苦しみ考えぬきながら自分の正義を貫く
そんな彼らに影響を受けながら多くの人物が動き、争いが起き
ストーリーを運んでいく

そんな重さをごまかすように芝居がかったセリフや
美少年、美男子キャラが生きてくる。
重いストーリーの中でこそかっこいい男が生きてくる
これが軽いストーリーならギャグでしか無い(笑)

生きたキャラクターが重く苦しい騎士道ストーリーを紡いでいく
それがガンダムWだ。
ただ好みがわかれる面もある、キザっぽいセリフや
美少年的な外見、めまぐるしい立ち位置や組織の変化など
好みがわかれてしまう点も多々あることは否めない。

しかしながら一話の時点で嫌悪感を感じなければ
テンポの早いストーリー展開が最終話まで一気に楽しめるはずだ。

個人的には何年かに一度、ストーリーを忘れた頃に見返す作品だ。
何度も見ているはずなのにいまいちストーリーが記憶に残りにくいが
登場機体は好きです。
現在、小説では続編も作られておりOVAなどの展開も期待したいところです。