ロボット

「LISTENERS」レビュー

1.0
ロボット
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評価 15点 全12話

あらすじ 人類が「ミミナシ」という謎の生命体に脅かされる世界。ミミナシに対抗して戦えるのは、戦闘メカ「イクイップメント」。引用- Wikipedia

エウレカみてぇななにか

本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は安藤裕章、制作はMAPPA。
シリーズ構成に「交響詩篇エウレカセブン」でおなじみの佐藤大

野暮ったい


画像引用元:LISTENERS 1話より
©1st PLACE・スロウカーブ・Story Riders/LISTENERS製作委員会

1話早々から暗く重い雰囲気で溢れている。
退廃した街でゴミ集めをスルことで生きている主人公。
そんな主人公のキャラデザが野暮ったい。
主人公と言わなければ主人公の友人、下手したらモブキャラくらいの
野暮ったさを感じるキャラクターデザインはシンプルに悪い。

ちょっと斜に構えたオリジナル感のある独特なキャラクターデザインにしようとして
結果的に失敗したと言いたくなるようなキャラクターデザインに
「主人公の魅力」というのをまるで感じない。
そんな彼のポエミーなモノローグを聞かされても特に何の引っ掛かりもなく、
展開自他も呆れ果てるほどこすり倒されたような展開だ。

主人公がゴミを集めてる中で大量のゴミの中で眠る少女を発見する。
もうせめて空か落ちてくればいいのにと思うほど使い古されたボーイミーツガールを
何のインパクトもない演出で見せてしまっているため、
ボーイミーツガールにおける「出会い」のシーンの面白さがまるで無い。
主人公とヒロインの出会いに何の面白みも衝撃もないボーイミーツガール。

しかも、ヒロインは主人公にセクハラされてると
勘違いして殴って壁にぶっ飛ぶというおまけつきだ。
久しぶりに押入れにしまった古臭い本を取り出したかのような
埃をかぶりまくった展開の数々に「王道の面白さ」というより
こすりまくった展開を今更やるのか?と思うような感覚になる。

1話の5分足らずでこの作品は「駄目な作品だ」と実感してしまう。
せめてゴミ山の中に居たのだから体に傷がついてたり、
服が汚れているならばこだわりを感じるが、
まるでお風呂上がりのごとくきれいな体だ。
アニメーションにおけるクォリティがシンプルに低い。

ロボット


画像引用元:LISTENERS 1話より
©1st PLACE・スロウカーブ・Story Riders/LISTENERS製作委員会

この世界には「ミミナシ」という謎の生命体がおり、
そんなミミナシに対抗する手段として「イクイップメント」というロボが存在し、
そんなロボットは体にプラグを刺す穴のあいている
「プレイヤー」しか操ることができない。

主人公が見つけた少女は記憶喪失のプレイヤーであり、
主人公は「イクイップメントとプレイヤー」に対して
強いあこがれはあるものの、憧れだけだ。
一歩踏み出せない主人公を新しい世界へ導くヒロインとの出会い。
この構図自体は悪くなく、先のストーリーも想像できる。

だがわくわくさせてくれない。
主人公が作ったイクイップメントにヒロインが接続し
それがロボットになる。出てきたロボットは何の印象にも残らないデザインだ。
ロボットアニメにおける「主人公機」がこれでいいのか?と思うほどの
あっさり感はロボットアニメの1話の期待感といううのをまるで感じさせない。

この作品はありとあらゆる面での演出が弱い。
エフェクトだよりになってる事も多く、
3DCGを使ったりしてしまうことで絵に違和感も生まれ、
肝心の敵のミミナシのデザインも何のこだわりも感じず、
黒いボヤーッとしたモヤみたいなデザインのせいで盛り上がらない。

主人公機の必殺技がオーラみたいなのを広げて敵を殲滅するという
派手そうだがアニメとしては面白みにかけるのも微妙なところだ。
作品を構成する要素としては王道なのに、
それを王道の面白さとして昇華しきれておらず、
ロボットアニメとしての動きの面白さを感じない。

パロディ?


画像引用元:LISTENERS 5話より
©1st PLACE・スロウカーブ・Story Riders/LISTENERS製作委員会

2話であっさりとミミナシが元人間の成れの果てであることが分かる。
重要そうな設定をあっさりと出した割には何のインパクトもなく、
2話以降でキャラクターが多く追加されることで状況がごちゃついてしまう。
一応、ヒロインの記憶の手がかりを追うために色々なリスナーに合うという
目的はあるもののふわっとしている。

キャラクターの名前が色々なアーティストの名前が元になっているのは分かるが、
「だからどうした?」レベルでそこに意味があるわけじゃない。
1番わかりやすいのは5話かもしれない。
主人公たちは「殿下」の元を訪れる、元ネタはプリンスだ。

5話ではウェンディとリサという二人の女性キャラも出てくる。
もともとプリンスのバンドに居た二人の女性の名前が元ネタだ。
5話のタイトルもプリンスのアルバム曲のタイトルだ。

街の名前も「ペイズリーパーク」となっており、これもプリンスの
自宅兼スタジオの名前だ。
細かく色々なプリンスネタともいえるものが5話に詰め込まれているのだが、
それが物語を盛り上げたり面白くしてるわけでもなく
アーティストや楽曲のことを知らない人にとっては面白みにすらならない。

パロディとも言い難く、リスペクトといえば聞こえがいいが
ただ音楽ネタを盛り込んでるだけだ。
それに気づいて楽しめる人もいるだろうが、
それは別にアニメとしての面白さではない。

扱ってるアーティストの年代も1960年代から1990年代までかなり広い。
「交響詩篇エウレカセブン」でも音楽ネタがちょこちょことあったが、
この作品はそれをもっとやっているような感覚だ。
ただ、それが制作側の自己満足にしかなっていない。

ロードムービー


画像引用元:LISTENERS 2話より
©1st PLACE・スロウカーブ・Story Riders/LISTENERS製作委員会

一応、ヒロインに関係のある伝説のプレイヤーである
「ジミ・ストーンフリー」を探すというストーリーではあるものの、
そんな中で色々なプレイヤーに毎話のように会いに行く展開は盛り上がりに欠ける。

ロードムービーをやりたいのはわかるものの、これが2クールのストーリーなら
色々なキャラとの出会いの序盤ということで納得できるが、
この作品は1クールしか無い。

流石に1クールの作品で25名以上のキャラを出すのは無理があり、
出てくるキャラを活躍させるためのストーリーを作るために、
メインのストーリーが進まずに冗長になっており、
作品全体がごちゃついてしまっている。

物語の半分以上を新キャラが居る国に行き、その新キャラを描くという
ストーリーになってしまってる。
半分くらいキャラを減らしたほうが良かったのでは?と感じてしまうほど、
キャラクターが尺稼ぎにしかなっていない。

色々な音楽ネタやアーティストを1クールの中で出すために
無駄にキャラを増やしすぎた印象だ。
作品全体がキャラクターの多さに振り回されている。

主人公とヒロイン


画像引用元:LISTENERS 6話より
©1st PLACE・スロウカーブ・Story Riders/LISTENERS製作委員会

主人公とヒロインにあまり魅力がないというのも問題だ。
序盤からほとんど印象も変わらず、各話の話も二人の掘り下げより
新キャラの掘り下げの方に尺を取られてしまってるせいで
どうも影が薄くなってしまっている。

7話はほぼ主人公とヒロインの話がでない回だが、
逆に主人公とヒロインがでないほうが話が面白い。
主人公とヒロインに魅力がないからこそでないほうが面白くなってしまっており、
ロボットのデザインも主人公機よりほかのプレイヤーのデザインのほうが
主人公機っぽかったりする。

毎話でてくる新キャラは癖のあるキャラが多く有名声優が
演じてることも会って印象には残るが、そのキャラの癖と声優に
頼り切ってしまってる部分も多く、深いキャラの魅力はない。

終盤ででてくる敵の目的も「自我の枠を超えて人々がつながる」という
人類補完計画みたいなことを言い出す。
この作品は擦り尽くされたネタが多かったが、まさか令和になって
人類補完計画を持ち出してくるとは思わなかった。
唐突にエヴァの「心の中の世界」見たいのもでてくるのはやや呆れ果てる。

ポエミーな台詞回しも多いせいで話もセリフも頭に入ってきづらい。
そもそも音楽をテーマにした作品なのにろくに演奏シーンも歌うシーンもない。
この当たりがこの作品にある違和感の原因かもしれない。
マクロスのごとく歌ってもおかしくない世界観なのに歌わない。
歌が失われた世界という設定でもあるのか?と思うほどだ。

おそらく世界観の設定的にそのあたりにも理由はあるのは分かるものの、
考察させようとしている感じの情報の小出しっぷりが鼻につき、
そしてそれが「時代錯誤」とわかっていない。
そもそも、考察したいと思わせるほどの魅力がこの作品にはない。

最終決戦


画像引用元:LISTENERS 12話より
©1st PLACE・スロウカーブ・Story Riders/LISTENERS製作委員会

最後の戦いになっても結局はエフェクトだよりの戦闘シーンだ。
最初から最後までロボットアニメとしての矜持を何1つ感じない。
むしろロボットである必要あったのか?と聞きたくなってしまう。
ヒロインの正体も明らかになり、そんなヒロインを取り戻すために主人公が
プレイヤーとなりヒロインとぶつかる。

展開自体は熱いものの盛り上がるわけでもなく、
「制作側がこういうシーンをやりたかったんだな」というシーンを
ひたすらに見せられる最終話はそういう意図が透けて見る感じが強く、
なんかよくわからないうちにハッピーエンドになる。

都合よく生きていた二人だったり、色々と消化しきれない部分が多く
「なんだかなー」という感じで終わってしまう作品だ。

総評:制作の自己陶酔型アニメ


画像引用元:LISTENERS 9話より
©1st PLACE・スロウカーブ・Story Riders/LISTENERS製作委員会

全体的に見て制作側がやりたいことを詰め込み見すぎて瓦解したアニメだ。
有名なアーティストをモチーフにしたキャラを出し
「交響詩篇エウレカセブン」の焼き直しをしようとしたのは分かるが、
1クールで焼き直すのにはそもそも無理があるストーリーにも関わらず、
それを気にせずキャラと音楽ネタをぶち込んでしまっている。

洋楽のネタを分かる人は楽しめる部分はあるものの、
わからない人にはそもそもネタであることすらわからない部分もあり、
パロディなのかリスペクトなのか元ネタ探しをさせたいのか、
ちょっとよくわからない感じになってしまっている。

ロボットが出てくるものの、ロボットアニメとしての面白さはこの作品にはない。
主人公機のデザインは悪く、戦闘シーンもエフェクトだよりで動きの面白さはない。
エウレカセブンの焼き直しだからロボットを出したのかもしれないが、
出すなら出すでもう少しそこにこだわってほしいところだ。

エウレカセブン、洋楽、ロードムービー、ボーイミーツガール。
この4つが全部バラバラになってしまっており作品としてのまとまりがなく、
1つ1つの要素を掘り下げきらずに上滑りしっぱなしだ。

シンプルに見ていて盛り上がらず面白みにかける。
「結局アレは何だったんだ?」と思うような設定も多いが、
そこを深く考察するだけの魅力もない。

もう少しキャラクターや要素を削ってシンプルに纏められたら
面白い作品になったかもしれない。そういう可能性は感じるものの、
可能性止まりで終わってしまった作品だった。

個人的な感想:妥協


画像引用元:LISTENERS 12話より
©1st PLACE・スロウカーブ・Story Riders/LISTENERS製作委員会

「カゲロウプロジェクト」を手掛けたじん、交響詩篇エウレカセブンの佐藤大。
この両者がぶつかりあって、お互いに譲らずに妥協もせずに生まれた。
そんな印象を受ける作品だった(笑)
おそらくどちらかが譲ったり妥協したりすれば、
ここまで要素てんこ盛りな作品になることはなかったはずだ。

制作側が噛み合ってなかったことが見てわかってしまう、
そんな作品はある意味で面白く、やりたいことと見せたいことは
すごくわかりやすい作品なだけに、そういうやや穿った目線で見れば
この作品も楽しめる…かもしれない。

「」は面白い?つまらない?

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