これぞシュールギャグアニメの最高傑作「革命機ヴァルヴレイヴ」レビュー

2015年9月18日

評価/★☆☆☆☆(15点)

スポンサーリンク

これぞシュールギャグアニメの最高傑作

本作品はサンライズ制作のアニメオリジナル作品。
分割2クールで放映されたが、本作品では1作品として扱う

監督はローゼンメイデンの松尾衡、キャラ原案にはD.Gray-manの星野桂,
シリーズ構成にはコードギアス 反逆のルルーシュの脚本家・大河内一楼、
音楽は『機動戦士Vガンダム』の千住明、
プロデューサーにはに『機動戦士ガンダム00』の丸山博雄などなど
色々なアニメタイトルがWikipediaに並んでいる
いきなり余談だが、Wikipediaでこういうふうに有名なアニメに携わったことが
記載されているアニメは「駄作」というジンクスは私の中にある。

1話から早々、大量の登場人物が出る。
平和な学園生活の中でキャラクター名を覚える隙がないほどに
大量のキャラクターを出してストーリーを進める
これで特徴的なキャラが多ければ覚えやすいのだが、
テンプレート的なキャラクターが多く、似通ったキャラも多いため判別もしにくい

キャラクターだけならまだしも色々な要素も詰め込んでいる感じが強い
言われなくても「最近のアニメ」というのがわかりやすい、
いわゆる「受ける」「売れる」要素を1話から入れまくっており、
そのせいで色々と雑だ。

例えば1話の時点でそれがわかりやすいのが教室のシーン。
主人公とヒロインが「イチャイチャケンカ」を授業中に始めるのだが、
それを見る生徒も注意するような先生もいない。
まるでそこに二人が居ないかのように背景のモブキャラが描写されているため
ものすごい違和感を生んでいる。

内容的にはテンプレート的、よくある展開だ。
平和な学園生活の送っていた主人公、
そんな主人公が住む場所でテロが発生する
逃げ惑う中、主人公の目の前に「最新機体のロボット」が現れる中でヒロインが死亡、
状況を打開するために主人公は「ヴァルヴレイヴ」へと登場する

多くのロボットアニメでよくありがちな展開であり、物凄いわかりやすい展開だ
だが、そのテンプレートでストレートな展開の見せ方、いわゆる「演出」が雑だ
セリフと台詞の間のテンポ、表情の描写など
本来は王道に描いていれば問題ない部分が妙にスカした感じの演出になってるせいで
王道な部分が王道に描かれておらず、
スカしまくった演出の後に妙に「溜めすぎる」演出もするせいで
フラストレーションが溜まる。

その反面で「ロボット」の描写は素晴らしい。
赤い閃光を撒き散らしながら拳を振ることで繰り出されるビーム、鎌、刀と
まるで「武士」のようなヴァルヴレイヴの戦闘シーンは
さすがは「サンライズ」と言いたくなるほど素晴らしい。
動き過ぎると「オーバーヒート」し、
オーバーヒート状態で「腹切」することで覚醒するという仕様も個人的には好きだ

更に2話以降も「ロボット」のデザインと描写は評価できるポイントだ
主人公機だけでなく敵機のロボットデザインも
少年心をくすぐる「無骨」かつ「巨大」な機体ばかりで
新機体が出るたびに思わず「おぉ!」と唸ってしまうほどだ

しかし、それ以外の要素が酷い。
たった一人(生身)に足止めされる軍隊、
身の潔白を証明するために裸になるという意味不明な行動、
学生だけのノリで独立国の建国、唐突に歌い出す、
いきなり何の脈絡もなくキャラが死ぬなど
荒唐無稽かつ唐突なストーリー展開だ

これが何話かに1度なら耐えられる。
だがほぼ毎話、登場人物たちのぶっ飛んだ行動や言動を見せられるため
非常に疲れる。ある意味「濃い」とも言えるのだが、
その濃さがくどすぎるため吐き気を催すような気分だ
濃ゆい要素をじっくりとした尺で描くため
余計にぶっ飛んだ行動が嫌なふうにしか伝わらない。

しかも、ロボットの戦闘シーンが短い上に少ない 
ロボットアニメなのだから、そこがまず見たい部分なのに、
どうでもいい学生たちによる独立国のゴタゴタやどうでもいい女同士の争い、
空気の読めないヒロインの行動の数々、どうでもいい恋愛模様、、
もう見ている最中に頭のなかに何度もどうでもいいという言葉が浮かんできてしまう

そして、ロボットアニメは昔から「ロボット」+「なにか」で構成している
その「なにか」でオリジナル要素を出している。
例えばガンダムで言えば「ニュータイプ」、コードギアスで言えば「ギアス」などだ
この作品では分かりやすく言えば「吸血鬼」だ

ロボットアニメ+吸血鬼。
このちぐはぐ過ぎる要素がうまくからみ合っていない。
「超再生能力」と「噛み付いた相手の体を乗っ取る能力」というわかりやすい能力、
それが「主人公」だけならまだ良かったかもしれないが、
話が進めば吸血鬼は増える。

能力に関しても不死身を利用して銃弾の盾にされたり、
お遊び要素としての「乗り移り」しか利用されず、
吸血鬼設定が必要だったのかすら疑問に感じるほどだ
乗り移りという便利な能力があるのだから、もっとかみつけよ!と
心の中で何度も思ってしまう。

そもそも主人公は人を襲う=噛みつく衝動について悩むのだが
別に普通に噛み付けば色々と問題が解決するのに
ウジウジと悩みまくるせいで余計に苛立つ。
もう早くかみつけよと何度も思ってしまう。
そんなに引っ張る必要が無いのに無駄に引っ張るのがこの作品の特徴だ

もう一人の主人公である「エルエルフ」の能力のほうがよっぽど面白い。
彼は「予知能力」に近い戦略を立てることが出来る
だが、別に予知能力ではないし吸血鬼でもないし、特別な能力も持ってない(苦笑)
これで彼も吸血鬼ならばその予知能力に納得できるのだが、
予知能力でもない、特別な能力でもないのに
本当の予知能力のような戦略の建て方はもはやギャグだ。
吸血鬼よりよっぽど役に立つ。

これでテンポが良ければ勢いに任せて「ギャグアニメ」として受け入れられただろう
だが、この作品はストーリー進行が遅い。
どうでもいい話を時間をかけて描くため、
テンポの悪さが致命的なまでにフラストレーションを貯める原因となっており、
荒唐無稽な要素がより荒唐無稽に見ている側に伝わってしまう。

更に同じような展開も目立つ。
「もう、何度この光景、このリアクションを見ただろうか」と感じるような
同じアニメの中でデジャヴを味わうほどだ
確かに「状況」は違うものの似通ったシーンが非常に多い。
話が進んでるはずなのに同じようなシーンを何回も見ているような感じだ

極論を言えばこの作品は
「こういうシーンをやりたい」「こういうのがやりたい」という
結果ありきで描いており、その結果に至るまでの過程の描写が甘く
その結果を描くための展開が突っ込みどころ満載になってしまっている
思いついたアイデアをそのままぶち込んでいる感じが強く、
そのせいで作品全体の「統一性」がなくなってしまっている。

ぶっ飛びすぎてギャグになっているアニメは少なくない
同じロボットアニメならば「STAR DRIVER 輝きのタクト」も
ある意味でぶっ飛んだギャグアニメのようなロボットアニメだが、
この作品はその「ギャグアニメ」になる領域すら飛び越してしまっている
はっきりいって「不謹慎」とも思える描写すらある。

私は今まで1200作品以上をレビューしてきたが
「不謹慎」という言葉をアニメの評価内で使うことは初めてかも知れない

見ていない人にも分かりやすく言うならば、
何の脈絡もなく死んだ女性キャラクターの「追悼コーナー」がネット上に設けられ
彼女の写真(水着写真など含む)をランダムに表示させており、
その下に「安らかに」というボタンが設置されており、見た人がそれを押す。
文章では伝わりにくいかもしれないが、
ちょっとドン引きするほど悪趣味かつ不謹慎な描写だ。

更に基本的に登場人物はメインキャラクターの優秀さを際だたせるために
その他大勢のキャラクターの知能レベルを極端に下げており、
だからこそキャラクターの言動、行動の数々が「馬鹿なのかな?」と思うほどだ
戦争の最中に「文化祭開きます!」という発言などこの作品を見ていなくても
「え?どういう状況?」と思うはずだ
ちなみに文化祭は結局描かれない。

キャラクターに感情移入していれば
こういう「ぶっ飛んだ」発言も受け入れられたかもしれない
だが、この作品は「感情移入」させる余地を与えてくれないため
ぶっ飛んだ発言を見ている側が受け入れることができない。

ちなみに「文化祭開きます!」とヒロインが言っている最中、
主人公は他のヒロインを「強姦」している(苦笑)
ぶっ飛んだ発言とぶっ飛んだ行動、一緒に見せられてもお腹いっぱいどころが
胃に直接無理やりぶち込まれているような気分になる。

これが序盤だけならまだいい。
いきなり平和ボケをしていた学生が戦争に巻き込まれ、勢い任せに独立したのだから
未熟な部分や若さ故の過ちが目立つ描写があってもおかしくはない。
そこから登場人物たちの成長を描くことでストーリーの厚みが増すはずだ
だが、この作品はそんなことはしない。

メインキャラクターの成長ではなく、
それまで全くスポットが当たっていなかったキャラクターが
唐突に重要なキャラになったかと思えば死んだり、
掘り下げが始まったのか?と思ったら死ぬ。

もう少し自然な話の流れや積み重ねの中でのキャラクターの死亡ならわかるのだが、
物語における「積み重ね」や伏線なんてものはなく
盛り上がりどころを作ろうとしてキャラクターを殺してしまっている。
キャラクターの「死」の描写が積み重ねの甘さゆえに軽く感じてしまい、
軽い死の描写に大胆にリアクションのするキャラの反応についていけない

そもそもメインキャラクターも「忘れ去られた」かのように登場しないキャラも居る
明らかに「キャラクター」を登場させすぎたせいで存在価値の薄いキャラが多すぎる
もう少しキャラクターを削っても話として全く問題がなかっただろう
メインキャラクターであるはずのパイロットたちも担当回が終われば掘り下げもなく
ただの戦闘要員に成り下がり、死ぬシーン以外の掘り下げはない。
ヒロインだったはずのキャラクターも終盤、行方不明状態なのに誰も心配しない

そして終盤、2クール目の中盤辺りから「詰め込み」が激しくなる
散々引っ張った要素をあっさり片付ける、引っ張らなくて良い要素を引っ張りまくる。
新しい伏線や設定をどんどん追加していく。
これが1クール目からきっちりと「匂わせている」伏線や設定ならばいいが、
ぽんっ!っと、どこからか新しい設定が出て来る

終盤の展開の雑さは凄い。
とてもじゃないが「終盤」とは思えないほどのストーリー展開と
突っ込みどころ満載の展開であり、
「あれ?もう2クールくらいあるのかな?」と思うほどだ
逆に言うとこの終盤でこの作品の「ネタアニメ感」が極まってきており、
個人的には大爆笑しながら見ていた

キャラクターは成長しない、学習しないキャラクター、ブレまくるキャラ、
ヒロインはあっさり主人公を売る、モブキャラ大量虐殺、馬鹿すぎる大人、
もはや笑わずに見ることのできない超展開ぶりはギャグアニメとして極まった感が強く
ロボットが戦闘しているシーンよりもキャラ同士のいざこざをもっと見せろ!と
思うほどギャグアニメとして素晴らしい「笑い」を生んでいた

全体的に見て素晴らしいギャグアニメだった。
序盤の段階からギャグにつなげるための荒唐無稽な展開や、
キャラクターたちの唐突な言動と行動を見せらる中で
普通の「ロボットアニメ」の戦闘シーンを見せられ、
中盤で「これってロボットアニメなのか?」と思わされるのだが、
終盤の終盤で素晴らしいギャグを魅せつけてくれる。

いわゆる「フリ」が効いている。
1クール目はキャラクターの知能レベルを下げることで
シュールギャグ要素が強く描かれており、若干好みが分かれるギャグ要素だ
2クール目の序盤から中盤くらいまでは割とまじめに
1クール目の伏線や設定を回収しつつ、
もしかしたら「ロボットアニメとして面白くなるのか?」という
予感を視聴者に感じさせておいて、落とし穴に落とされ笑い地獄にハマってしまう

この素晴らしいストーリー構成にすっかりと騙されてしまった、
まんまと脚本家の「仕掛け」にハマってしまって余計に強い笑いにつながっていた
大量に用意される突っ込みどころに誰も突っ込まない。
視聴者も「突っ込む」前に次のネタがどんどんと終盤は追加されていくため
大量の「ボケ」にツッコミが追いつかず爆笑しかできない

ギャグアニメとしては2クール目の真面目な部分がやや欠点だが、
ギャグアニメとして見れば「80点」くらいの作品だ。
しかし、本来この作品はSF・ロボットアニメだ

ギャグにしか見えないキャラクターの行動、言動、演出の数々、
やりたいことをやりたいだけやるという詰め込み具合のせいで
その「やりたいこと」を演るための過程が雑になってしまっており、
ギャグのようにしかなっていない。

ロボットアニメとしてみてもロボットデザインは非常に優秀なのだが、
戦闘シーンも序盤を除くと「ワンパターン」な演出ばかりで飽きる
またこの作品の決定的な欠点は「ライバルキャラ」が敵に居ないことだ

ガンダムで言えばシャア、コードギアスでいえば枢木スザクのように
主人公に相反する「敵キャラ」がおらず、
戦闘シーンもモブキャラが強いロボットに乗って味方と戦うため
「戦闘シーンの盛り上がり」が必然的に薄くなってしまう。
ライバルキャラとの熱い戦闘ではなく、キャラクターの死でしか
戦闘シーンの盛り上がりを作れていない

更に最終話。
いろいろな伏線は無視だ、強制的に風呂敷を畳み込んだ感じが強く
思わせぶりにたまに描いていた「200年後」も特に必要性を感じないまま終わり、
本来描かなければならないことをエピローグで強引にまとめたり、
まるで「打ち切り漫画」のような投げっぷりだ
新たな「敵」が何の脈絡もなく最終話のラストで出てきた時はもはや爆笑だ

例えば主人公は人間に戻りたかったはずなのにそれもできない、
もう一人の主人公は吸血鬼の始祖ともいえる
「マギウス」との共存を望んでいたのだが、マギウスは全滅。
もはや何1つ目標が達成できていないのに
ハッピーエンドみたいな描写をされても大困惑だ、
はっきりいってバッドエンドで終わっている

それと、これは書くかどうか迷ったのだが、
この作品は「ガンダムSEED」からパクりすぎだ
細かい部分、シーン、要素などガンダムSEEDを見たことがある人なら
「あ・・これって・・・」と思う部分がいくつもあるはずだ
あの作品も問題があったが、この作品はSEEDが名作に思えるほどの駄作だ

ウケ狙い、やりたいことの詰め込みで2クールという尺では溢れかえってしまっており
結果的に1つの作品として「破綻」しているような感覚だ
今から見る方は決してまじめに見てはいけない
ギャグアニメを見る気持ちで見ればこの作品は名作だが、
SFロボットアニメとして見るならばこの作品は作品としての形をなしていない。

ある意味で「凄い」アニメではある。
Wikipediaによると優秀なアニメスタッフを集めている感じがするのに
ここまで見事に空中分解している作品は中々お目にかかれない
いろいろな意味で「歴史」に残る作品といえるだろう

スポンサーリンク