「プラネット・ウィズ」レビュー

5.0
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ロボット
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評価 93点 全12話

あらすじ 「おれは、おれが味方したい人達の味方だ。そんだけだ!」過去の記憶を失いながらも、平穏に暮らしていた高校生・黒井宗矢。引用- Wikipedia

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正義と愛のロボットアニメ

本作品はTVアニメオジリナル作品。
監督は鈴木洋平、制作はJ.C.STAFF.

メイドと猫と委員長


画像引用元:プラネット・ウィズ 1話より
©水上悟志・BNA・JC/Planet With Project

1話から色々と謎だ。決して裕福とは言えない家で暮らす主人公、
そんな家にはメイド服をきた少女と「猫」の姿をした先生がいる。意味不明だ(笑)
唐突に出てくるきぐるみのような猫について一切説明がなくOPが始まり、
どこか懐かしさを感じるキャラデザやキャラクターたちの髪の色に、
何故か心踊らされる。

OPが終わるとでてくるのは「眼鏡の委員長」。
懐かしすぎるほどの「記号化されたキャラクター」が出てくる作品だ。
90年代、00年代のアニメの雰囲気をこの作品は漂わせている。
そんな雰囲気の中で主人公はなぜか「記憶喪失」だ。
彼がなぜ記憶喪失になったのかという謎を匂わせつつ、未確認飛行物体が現れる。

いろいろな要素が盛り沢山だ。それなのにこの作品はそれが欠点になってない。
色々な要素が出てくるたびに「ワクワク」してくる。
ストレートな見せ方とストレートなストーリー展開で突き刺さる見せ方だ。

未確認飛行物体と超能力


画像引用元:プラネット・ウィズ 1話より
©水上悟志・BNA・JC/Planet With Project

もう、めちゃくちゃだ(笑)
現れた未確認飛行物体のデザインは「平和」と書かれたコケシに
耳と複数の手がついた奇妙すぎるデザインをしており、
彼らの攻撃を受けると精神汚染のようなものを受け「幸せ」に包まれる。

そんな敵に相対するのは突然現れた超能力者たちだ。
もう、どれだけの要素を盛り沢山にすれば良いんだ!と思うほどの
二郎のマシマシラーメンを食べてるような感覚になる。
彼らは能力で空を飛んだかと思えば「装甲」を身にまとい、
ロボットアニメになる。とんでもないアニメだ。

だが、記憶喪失の主人公は「未確認飛行物体」を倒すわけではない。
彼は「超能力者」を倒す役目を負わされる。
敵と思った敵を倒す側ではなく、人類の味方に見える超能力者を主人公が倒す。
状況が本当に一切わからず、ゴチャゴチャしまくっているものの、
この「お祭り感」が楽しくて仕方ない。

話は全く見えない、だが、
見えないからこその面白さの見せ方をすることによって
続きが気になって仕方ない。

解説


画像引用元:プラネット・ウィズ 3話より
©水上悟志・BNA・JC/Planet With Project

全く見えない世界観を2話できちんと説明してくれる。
未確認飛行物体は「ネビュラ」と呼ばれる宇宙人の兵器のようなものであり、
彼らは地球人の進化を見守っていたものの「超能力」に目覚めた地球人の
力を封印しようとしている派閥と、その力の源を取り上げる穏健派に分かれている。

主人公はそんな穏健派であるメイドと猫に養われており、
主人公は自らの過去を思い出し、彼らに協力している。
それぞれがそれぞれの「正義」を掲げて戦っており、戦う理由がある。

地球人は進化を望み、襲ってくる敵をやっつけるため。
封印派は進化した地球人が暴走して滅びないように封印するために、
穏健派は力だけを取り上げ封印はしない。

かなりシリアスな会話をしているときも多いものの、
そんなシリアスな会話をしているのが「きぐるみ」同士で、
どこかゆるくシリアスになりきらない面白さがある。

1話1話の中でしっかりと謎を解き明かしながらキャラを掘り下げ、
毎回非常に気になるところで終わらせる引きの上手さもあいまって、
見れば見るほどこの作品にハマっていく。

戦闘シーン


画像引用元:プラネット・ウィズ 2話より
©水上悟志・BNA・JC/Planet With Project

戦闘シーンは非常にスピーディーに展開する。
撃ち合いや殴り合いといったものがほぼなく「技」と「技」のぶつかりあいだ。
3DCGで描かれてるからこその速さで描かれるロボットの動き、
ただ早いだけでなく、きちんと3DCGの欠点である軽さを演出によって、
重さという色付けをすることでリアルかつ重厚感あふれる戦闘シーンになっている。

主人公機は他の機体に比べて小柄だ。猫をモチーフにした機体は
スピーディーに動き、敵の技を回避し、そこから機体には不釣り合いな
「ギガキャットハンマー」で一撃必殺の攻撃をすることで敵を倒す。
敵の技を時にはくらい、時には避け、時にはカウンターを決めることで
すきを突く戦い方をしている。

普通のロボットアニメと違い「武闘派」な戦い方だ。

力の代償


画像引用元:プラネット・ウィズ 4話より
©水上悟志・BNA・JC/Planet With Project

序盤ではなぜ「サイキック」の力が封印されなければならないのかがわからない。
だが中盤で彼女たちの「暴走」した姿を見ることで納得できる。
力を使いすぎれば、彼女たちの力の源である「龍」の力に飲まれ、
龍自身になってしまい自我を失い暴れる。大きな力には代償がともない、
代償があるからこそ封印するか取り上げようとするものが居る。

自身の力が何なのか、自分がなんのために戦ってるのか。
それを知ったらからこそ人類側のサイキックたちは
サイキックであることをやめようとする。

余計な引き伸ばしが一切なくスピーディーに展開するストーリーはめまぐるしい。
だが、謎が解き明かされていく中でそれをキャラクターたちがキャラクターなりに
受け止め変化し成長していく様がこの作品の面白さでもある。

悩みと変化


画像引用元:プラネット・ウィズ 9話より
©水上悟志・BNA・JC/Planet With Project

それぞれがそれぞれの「正義」を掲げ戦っている。
その正義に悩むこともある、しかし、彼らは自らの正義のために戦う。
主人公は物語の中盤で問われる

「生身のお主に問う。誰の味方で、誰の敵じゃ!」

酒厨咽喉はサイキックたちを襲い力を奪っている、
「ネビュラ」とやってることは変わらない。
結果的に封印して生気を奪うか、奪わないかだけの違いだ。
力を奪われることは人類にとっては変わらない。
人類とネビュラの間にいる主人公だからこそ答えを出す。

「俺は俺が味方したい人の味方で、俺が倒したい奴の敵だ!」

真っ直ぐだ。彼は彼の思いのまま戦う。
真っ直ぐな主人公が心地よく、それぞれが戦う理念があるからこそ、
見てる側は全員に感情移入してしまう。
この作品の戦闘は「価値観」のぶつかり合いだ。

誰しもが正義で、誰しもが傲慢で、誰しもが悪でもある。
しかし、己の中にある「信念」を貫き通そうとしている
技と技、信念と信念のぶつかり合いは熱い。
物語の中盤でこの作品はまるで2クールアニメの最終話のような戦いを見せてくれる

本来は2クールかけてやるような内容を6話に収めている。
7話からはもう2クールだ。この作品は4クールの内容を1クールに
圧縮して描いているような作品だ。

考え方の変化


画像引用元:プラネット・ウィズ 8話より
©水上悟志・BNA・JC/Planet With Project

主人公は戦うべき相手と戦い、自分の戦い理由を貫き通した。
だからこそ「もうこれ以上戦う理由はない」と感じている。
彼は別の星からやってきた少年だ、地球は本来、彼の星ではない。
彼はすべてを失った少年だ、復讐だけが彼を支えていた。それがなくなる。

サイキックたちの中にも自身の力の怖さを知り、
それゆえに「封印派」にまわるものも居る。
1度は戦いに敗れたものがもう1度守るために戦おうとするものもいる。
事実を知ったからこそ価値観の変化が生まれ、もう1度自らの正義を正す。

序盤では存在感がなかったキャラが中盤から活躍する。シンプルな展開だ。
だがシンプルがゆえに燃える。この作品に出てくるキャラの価値観の変化、
考え方の変化に納得できてしまう。全てのキャラを愛せてしまう。
例え「世界を本当に封印」してしまっても、彼の価値観を否定はできない。

それでも、それにぶつかりあう価値観が居る。主人公だ。
すべてを失って地球に来て、そんな中で彼は新しいものを手に入れていた。
失って初めて気づく大切なものだ。だからこそ、もう1度彼は戦う。

宇宙人の身勝手な価値観に、宇宙人の身勝手な価値観が抗い、
地球人も己の価値観で反抗する。

「俺は…俺が味方したい人たちの味方だ!そんだけだ!」

1度折れた主人公がもう1度立ち直る、そんな王道な展開に涙腺を刺激される。
例え辛くても前に進まないといけない。一歩を踏み出さないといけない。
それがこの作品のテーマでもある。
そんなテーマを熱く、熱く主人公が貫き通すことで彼の主人公としての
存在感が確立される。

救いたい


画像引用元:プラネット・ウィズ 10話より
©水上悟志・BNA・JC/Planet With Project

封印派も穏健派も地球人を救いたいという気持ちは同じだ。
このまま力が進化し飲み込まれるなら封印してしまったほうが良いという封印派、
力を制御する心を身につけるまで見守るために力を奪おうという穏健派、
どちらも正しく、どちらも間違っている。だからこそ熱い。
殴り合い、技をぶつけ合い、互いを傷つけ合うことでしか答えを見いだせない。

最初はスピード感あふれるぶつかりあいだ。
そこから武装をつけ、技をぶつけ合い派手な戦いに、
更に巨大化して重厚感あふれるぶつかり合いへと変化する。
ハイスピードな戦闘シーンから重厚感あふれる戦闘シーンへのつなげ方は
しびれるほどのロボット魂を見せつけてくれる。

ロボットアニメが好きな人に「これが見たかったんだ」と感じさせてくれる。
ロボット愛溢れる戦闘シーンには私は涙を流した。
言葉で表すなんて野暮だ、ロボットアニメ好きならば10話を見てほしい。
そう言い切れるほどの戦闘シーンだ。

宇宙人と宇宙人による人類を巡る戦い。人類はただ傍観しているだけだった。
だが、戦いの流れを変えたのは人類の一太刀だ。
人類が穏健派の味方をしたからこそ、穏健派が勝利した。
宇宙人同士の戦いでありながら、人類の選択だ。

そして最後の戦いに挑む、最大の存在である「龍」に。

エピローグという名のラストバトル


画像引用元:プラネット・ウィズ 11話より
©水上悟志・BNA・JC/Planet With Project

10話から5年の月日が流れる。それぞれがそれぞれの立場で成長している。
戦いを通じて起こった心境の変化と影響が5年という月日と
姿の変化で感じさせる。それぞれが一歩進み、歩み寄った結果の関係性だ。

暴走する龍も、かつては一人の宇宙の民だった。
長い月日とおのが信念の果に暴走し、戻れなくなってる存在だ。
孤独と正義感が肥大化した存在だ。
最終話でもこの作品の「価値観のぶつかり合い」は変わらない。
一歩踏み出しぶつかり合い、歩み寄る。テーマにブレが一切ない。

かつては戦い、ぶつかり合ってきたものと協力しもっと大きな脅威に挑む。
一歩進んだからこそ、変化を受け入れたからこそ、
相手の価値観も受け入れたからこその「協力」だ。
正義を貫き通すだけではダメだ。相手を受け入れ見方を変え、
自分の価値観を変化させなければならない。

それは龍にたいしても同じだ。相手を悪ときめて、敵ときめて、戦うのではない。
価値観をぶつけ変質してきたこの作品が最終話で
「正義とはなにか」という答えを出す。
愛をもって相手をゆるす。それが出来て初めての正義だ。

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総評:これがロボットアニメだ!


画像引用元:プラネット・ウィズ 10話より
©水上悟志・BNA・JC/Planet With Project

全体的に見て、本当に、本当に素晴らしい作品だった。
1クールという尺の中で描くのが難しいロボットアニメというものを、
あえて4クールで描くような内容を
1クールに押し込めることでこの作品は完成している。
早い展開、1秒も見逃せない、無駄なシーン、無駄なキャラが一切居ない。

その中で描かれるのは「価値観」のぶつかりあいと
「正義とはなにか」という事だ。視点がかわれば、
価値観が違えば正義は悪にもなり得る、悪は正義のもなり得る。
勧善懲悪ではないロボットアニメで問われてきたストーリーを
この作品は1クールで非常にうまく描いている。

この作品に明確な「悪」は存在しない。誰もが自分の正義を信じてぶつかっている。
それぞれの価値観で、それぞれの正義を貫きぶつかりあう。
だからこそ戦闘シーンが燃える。
3DCGで描かれる戦闘シーンはスピーディーさと重厚さをかけあわせており、
特に10話の戦闘はロボットアニメ好きならば涙を流すほどだ。

一人ひとりのキャラクターもキャラ立ちしており、決して霞まない。
一人の一人の物語、価値観、正義があるからこそ
どのキャラクターも好きになってしまう。
「好きな角度から見ればいい、この物語を」
という作中の台詞はまさにこの作品にふさわしい。

見終わった後に「面白かった」という素直な言葉が漏れる。
最高の作品だ。

個人的な感想:いやぁ面白かった


画像引用元:プラネット・ウィズ 12話より
©水上悟志・BNA・JC/Planet With Project

本当に素直に面白かった。終盤は少し早い展開だったものの、
そこ以外はほとんど気にならず、一気に見てしまう面白さがあり、
ロボットアニメとして純粋な面白さを感じられる。
あぁ、これぞロボットアニメだ、これが見たかったんだと
見ていて口から漏れ出してしまうような作品だ。

久しぶりに良い「ロボットアニメ」を見れたという余韻にひたり、
余韻に浸りすぎたのか盛大に体調を崩してしまった(笑)
みなさんも熱中しすぎて体調を崩さないように気をつけつつ、
この素晴らしいロボットアニメを是非、ご覧頂きたい。

コメント

  1. 白石さんの制服姿はアリ派 より:

    とても好きな作品のレビューを見つけましたのでついコメントしちゃいました。長文失礼します。

    この作品が正義とは何か?力とは何かを考えさせる題材なのは間違いないありませんが、それと対極にある「愛と赦し」もまた大きなテーマであったと個人的に思っています。
    主人公は序盤、確かに私怨で戦っていました。しかし、様々な人々と交わり、6話では完全に街を守るために戦って、9話では仲間を守るために戦っていました。
    彼の変化を正義の価値観だけで語るのは難しく、もう1軸の何かが必要だなと考え、ずっとそれが何なのかを答えられないまま話が進んでいきました。
    でも答えは作中ですでに何度も出ていました。それが「愛」でした。

    主人公の価値観を変えたのは単純な地球人を守りたいという正義感というより、自分を救ってくれた人、守ってくれた人、好意…すなわち愛をくれた人を守りたかったからという話だったのかな?って思いました。

    序盤は私怨で戦っていたところを4~6話で正義に目覚め、8~9話でそれが愛に変わった、そんな感じです。笠さんの仰る、正義感だけなら龍を倒して終わりだった話がそうは為らなかった理由、それこそがネビュラの提唱する愛が進化を促す力であることの証左であって、正義からは力と孤独しか生まないという話に帰結したのかなと思います。

    作中で分かりやすく主人公に愛を教えてくれたのは委員長ですが、個人的には銀子の存在もとても大きかったのかなと思いました。銀子は主人公からすれば贖罪の相手であり、何故自分に良くしてくれるのか理解の出来ない存在だったと思います。愛の進化種族の義務だからだと思い、長いことその答えを聞くことを恐れていたのかなと…。

    だから11話の屋上のシーン、あそこの質問はとても勇気のいる一歩だったと思います。銀子がそれを正面からちゃんと受け止め、それでもなお愛で包み込む選択を取った。これが最上の救いだったのかなと思います。
    主人公が龍を心から許せた一番の要因は銀子で、銀子が龍に感謝することが出来たのは主人公が龍を許せたからという一連の流れは美しかったです。そこからの先生の嬉しそうな証明宣言からのじいさんの言葉に涙する龍のくだりは完全にオーバーキルでしたね。

    好きな角度で見ればいい。

    楽園の民のこの言葉が小憎くたらしく刺さる作品でした。

    他には特にBGMと音響の素晴らしさに触れたいです。BGMは田中さんの良さ全部出ていてあまりにも素晴らしく、特に9話の主人公が人々を夢から掬い上げるシーンのあの物悲しさだけで終わらないなんとも言えない救いの混ざったあの1曲。至高の一品だったと思います。
    それと戦闘シーンでの音響!これまた格別でした。
    笠さんの仰る戦闘描写に重みがついてた要因の1つは「音」だと思います。特に10話の徐々に巨大化していく一連のバトルは顕著だったと思います。ちゃんと音が段々と重たくなっているんですよね。低音も最初はあえて小さく流し、巨大化するごとに段々と大きくしていってます。
    ハンマーとパイルがぶつかりハンマーが砕けるまでの一連の音付けは最高クラスの出来だったと思います。
    音響で言うとシドニアの騎士にかなり近いもので映画館栄えが凄そうでした。

    惜しむべくはあまりにも知名度が低く話題にならなかったことでしょうかね?予算を広告にまで回す余裕が無かったのかもしれません。しかし知っている人は知っている良作アニメには違いありません。ニコニコ一挙とかどえらい評価になってましたしもっと多くの人に知ってほしい1作でした。

    だからこそレビューしてくれた方を見つけ思わずはしゃいでしまいました。重ねて長文すみません。