ロボット

「グランベルム」レビュー

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この記事を書いた人

オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、YouTube登録者11万人。
個人的な視点で語るアニメ批評です。

評価 (23点) 全13話

あらすじ 過去に「魔法」が存在した世界。日常生活を送りつつも、内心鬱屈した思いを抱いていた女子高生の小日向満月はある満月の夜、世界から消滅したはずの魔力を持つ魔術師の「プリンセプス」になれるという戦闘の場、「グランベルム」の存在を知る引用- Wikipedia

ロボットがいらないロボットアニメ

本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は渡邊政治、制作はNexus

電気つけろ


画像引用元:グランベルム 1話より
©ProjectGRANBELM

物語は主人公がお弁当箱を洗うところから始まる。
時間的には日が暮れており、家の中にいるのに真っ暗で、
思わず「電気をつけろ」と言いたくなるような不自然な暗さだ。
この作品が作品全体を通して暗いですよとでもいいたげな陰鬱さを
1話冒頭から感じる。

忘れたお弁当箱を取りに学校に行くと、突然ロボットが現れる。
もう脈絡もなにもないほどの唐突さだ。
見てる側も何がどうなってるかよくわからない中で
ロボットに乗った少女たちがストレス全開で罵声を浴びせながら戦い出す。

戦う前にとりあえず状況を説明してほしいと思うほど、
いきなりよくわからない世界観にぶち込まれてしまう。
画面の中の登場人物は大盛りあがりで戦闘をしているが、
何がどうなってるかわからないのでついていけない。

主人公がピンチになると、どこからともなくロボットを召喚し乗って戦う。
操作方法は「イメージ」らしく、何度もイメージを連呼して動かせるようになる。
登場人物全員の演技が過剰だ。常に叫び、常に怒っている。
ここぞというときに感情を爆発させるならいいが、常に爆発させており、
少しは冷静になれと言いたくなるほど全キャライライラしている。

登場人物たちの感情の盛り上がりに見る側のテンションが追いつかない。

魔術師の子孫


画像引用元:グランベルム 2話より
©ProjectGRANBELM

この世界はかつて魔法があったものの、魔力が封じられている。
そんな中で数十年に1度、封じられた魔力を巡って「グランベルム」が開始し、
彼女たちは魔術師になることを願っている。いわゆるバトルロイヤルだ。
最後の一人になるまで戦い、最後の一人が魔術師になる。
そんな戦いに魔術師の子孫という自覚がない主人公が巻き込まれる。

本来は参加しなければいい話だ。
だが、彼女は自分の「承認欲求」と「自己確立」のために参加する。
理由はわからないが選ばれたものしか参加できないものに参加をし、
勝ち抜けば世界で唯一の存在になれる。
そんな「グランベルム」に彼女はアイデンティティのために参加をする。

かなり珍しい主人公だ。はっきいえば理由は若干弱い。
そんな弱い理由付けなのに、弱いからこそ彼女の行く末が気になる。
なにものにもなれてないと思ってる主人公が、なにものかになれるのか。
強い願いを持つものが居る中で動機が弱い主人公がどう変化していくのか。

いざこざ


画像引用元:グランベルム 4話より
©ProjectGRANBELM

「グランベルム」に参加しているキャラクターたちは
それぞれの願いや思いを抱えている。キャラクター同士にもいざこざがあり、
月1日、満月の日に行われるグランベルムにて、そんないざこざをぶつけあう。

はっきりいって戦闘シーンはつまらない。
1話からエフェクト頼りで、早く動かせばいいと思ってる勘違いタイプの
戦闘シーンであり、必要性のないところでスローを入れて
緩急のある戦闘シーンにしようとしているのはわかるが、テンポが崩れるだけだ。
演出でごまかしてるのに演出が弱い。

この作品でやりたいことは少女たちの物語であってロボットアニメではない。
ロボットアニメとしての動きへのこだわりや戦闘シーンの見せ所、
そういった部分を感じない。
ロボットがあくまで結果ありきの、少女たちの物語を描くための小道具でしか無い。

グランベルムも途中参加する人が居たり、誰と協力してもOKで
色々なところで色々なキャラが戦っているためごちゃついている。
1VS1で戦いが描かれるのではなく、乱戦が多い。

これならロボットバトルではなく魔法少女バトルのほうが良かったのでは?
と思う部分もあり、ロボットアニメという要素と魔法少女のバトルロワイヤルという
要素がうまく絡み合っていない。


画像引用元:グランベルム 8話より
©ProjectGRANBELM

序盤から色々と謎がばらまかれている。
魔術師の子孫ではないはずなのにグランベルムに参加できてしまった主人公、
他の魔法少女たちがグランベルムに挑む理由。なぜ一人だけ選ばれるのか。

そういった謎の説明が匂わせる程度のまま進んでいる感じが強く、
キャラクターたちのセリフも「いずれ分かる」みたいなものが多い。
謎の解説を後回しにされているようなカンジダ。

それだけにロボットバトルをしているときよりも、
ロボットバトルをしていないときのほうがそういった謎や、
キャラクターの掘り下げ、メインストーリーが進んでいる感じが強く、
ロボットバトルをせずにキャラ同士でいがみあってるほうが
この作品の面白さの真骨頂に思えてくる。

ただ、それでも似たような展開が非常に多く、
同じようなシーンを繰り返していることが多い。
それならばもう少し主人公と、その友人である「新月」を
掘り下げる尺に使ってほしいと見ていて感じてしまう。

人形


画像引用元:グランベルム 10話より
©ProjectGRANBELM

主人公は常に自分の存在価値を求めていた。
存在価値を求めたからこそ、特別な何かになるためにグランベルムに参加した。
だが、そんな彼女は作られた「人形」だったことが終盤分かる。
はなから作られた存在であり、人としての存在価値はなかった。
自信の存在価値が根底から揺らぐような終盤だ。

魔力に選ばれた「新月」という少女のために全てお膳立てされている。
主人公の存在も、戦ってきた少女たちも、全ては彼女に対する試練だ。
友人が魔力で作られた人形だと知っても「新月」は
魔力をなくすために魔術師を目指すのか?というストーリー展開は素直に面白い。

ただ、この「新月」がなんでそこまで魔力に愛されているのかというのが
よくわからず、彼女自身のキャラクターとしての掘り下げや魅力も薄い。
本作は過剰な感情表現やセリフが多く、それゆえに「敵」となるキャラのほうが
キャラ立ちしていることのほうが多い。

「敵」キャラに「主人公」が存在が食われてしまっている。
ある意味でそれは「人形」たる存在の主人公の対比だったかもしれない。
そう思う部分はあるものの、そんな中で主人公は自身の消失を受け入れ、
「新月」は友人の消失と魔力の消失を天秤にかけ、それでも魔力の消失を願う。

自身が戦ってきた理由、それを叶えれば親友が消える。
それでも少女たちは戦う。終盤の盛り上げ方は強い期待感をつのらせてくれる。

ん?


画像引用元:グランベルム 13話より
©ProjectGRANBELM

ただ、その期待感は大きく裏切られる。この作品は一応ロボットアニメだ。
制作側もロボットアニメとして見せ所を作りたかったのだろう。
何故か最終話はパロディだらけだ。
ちょっと突っ込みどころが追いつかないレベルのパロディだ。

ファンネルはいいとして、ニュータイプ演出、シロッコ、ラストシューティングなど
「ガンダム」で見たことがある!と思わず口からこぼれてしまうほどの
ガンダムパロディだらけのシーンで最終話は構成されている。
この作品自体ももともと色々な作品を彷彿とさせる要素はあった。
それでも「ロボット」という要素でそれを若干ごまかせていた。

だが、最終話はそんな「ロボット」の要素すらパロディになってしまっている。
後から膝カックンを喰らって肩から崩れるようながっかりさだ。
パロディが気になって最終話の内容がうまく頭に入ってこない感覚になるほど、
あまりにもひどい。ギャグアニメの中でやるような
パロディロボットバトルシーンを真面目な作品でやってるようなものだ。

結局、ストーリー的には色々と「なかった」ことになる結末ではあるものの、
「新月」という少女がなぜ選ばれたのか、最後に来た転校生は誰なのか?と
視聴者に解釈を投げかけるような要素を投げかけたまま終わってるラストは
モヤモヤとした消化不良が残る作品だった。

総評:妙なものを見た


画像引用元:グランベルム 9話より
©ProjectGRANBELM

全体的に見て掴みどころのない作品だった。
制作側のやりたいこと、意図すべきことは見えるものの、
魔法少女バトルロワイヤルとロボットアニメという要素がちぐはぐで、
感情を爆発させるキャラクターに感情移入しづらく、
敵キャラのほうがキャラ立ちしてしまってるせいで主人公たちの印象が薄い。

ロボットアニメという要素があるからこそ色々な作品を
彷彿とさせる要素がごまかせていたものの、
その要素すら最終話でなぜか意味のわからないパロディまつりにしてしまって、
最終的にはそれが気になってしまって最終話の内容が頭に入らない。

物語も、少女たちの葛藤や悩み自体は面白いものの、
「結局あれはなんだったんだ?」と思う要素もちらほらあり、
視聴者側に解釈を投げてる部分も多く、
キャラクターの掘り下げも甘い。

ロボットアニメとしても演出だより、エフェクトだよりな部分が目立ち、
「やったか!?」→「やってませんでした」みたいな展開も多く、
似たような展開を繰り返しているのも目立っていた
そもそも、ロボットアニメではなく魔法少女バトルで良かったのでは?と
感じる部分もあり、いまいちいろいろな要素が噛み合ってなかった印象だ。

ロボット自体のデザインは悪くなかったものの、活かしきれておらず、
色々ともったいなさは感じる作品だったものの、
結局、ロボットと言う要素が蛇足になってしまっていた作品だった。

個人的な感想:うーん


画像引用元:グランベルム 2話より
©ProjectGRANBELM

私はロボットアニメが好きであり、この作品も楽しみで見出したが
結局、心躍るようなシーンが1つもなかった。
作品の内容の善し悪しはともかく、ロボットアニメの場合はどこかしら
心躍り興味を惹かれるシーンがあるが、この作品にはそれがない。
それが最終話で痛いほどわかってしまった。

結局、オリジナルを作れていない。
リューナイト、グランソード、魔神英雄伝ワタルなどの
SD、二頭身なロボットの良さを感じず、
二頭身なロボットでSDガンダムパロではなく、ガンダムZやガンダムの
パロディをするのもちょっと理解しがたいところだ。

せっかく手書きのロボットアニメなのに、ロボットアニメとして燃えない。
動きとしてはよく動いているのに、そこにロマンを感じなかったというのが
1番わかり易い表現かもしれない。

放送後に作画監督、ならびにロボットデザインの方が

「僕も実はあまりパロディはしてほしく無かったのですが・・・
難しいですね・・しょうがないと言うか・・・。
もう数人、外部からロボコンテマンを呼べていたらなあ、
とか色々 まあ難しいのです
ロボットアニメを作ったこと無いアニメスタジオで、
係わった全員ができるだけのベストを頑張ったのです・・・」

とTwitterで言っており、そもそも愛のないパロディだったのも本当に残念だ。
それだけロボットアニメを作れる人が少なくなってしまったというのも
現実問題としてあるのかもしれないが、それでも、
パロディに逃げてほしくはなかった。

残念だ。

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