機動戦士ガンダムAGE MEMORY OF EDEN

評価/★★★☆☆(57点)

機動戦士ガンダムAGE MEMORY OF EDEN 評価

全150分
監督/綿田慎也
声優/江口拓也,神谷浩史,花澤香菜,井上和彦,遠藤綾ほか

あらすじ
決して交わるはずのなかった2つの運命――。地球連邦軍司令官フリット・アスノの息子、アセム・アスノ。ヴェイガンの民のため戦いに身を投じる戦士、ゼハート・ガレット。 彼らは刹那の時間、ともに過ごし、友情を育み、時に衝突しながらも同じ宇宙(そら)を眺めた。しかしやがて皮肉な別れの時が来る。

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機動戦士ガンダムAGE、この作品は本当はここまで面白くなる可能性を秘めていた

本作品は機動戦士ガンダムAGEの特別編
比較的人気の高かった「アセム編」を中心としたストーリー構成がされており、
約1時間の追加シーンの挿入や設定の変更や追加がされている。
なお、監督も脚本家も変更されている(笑)

見だして早々、「そうきたか!」と感じる設定の変更がされている。
アセムとヒロインであるロマリーの関係が「幼なじみ」になっている。
この改変だけで既にロマリーが幼馴染キャラとして最初から確立しており、
アセムに対する態度の可愛さが出ており、自然とこの二人に感情移入できる。
たった1つの設定の変更でここまでキャラクターの魅力が変わるとは思わなかった。

更に初戦闘。
余計なキャラクターを省いていることで戦闘シーン自体も見やすくなっており、
アセムの初戦闘時からゼハートと戦っていることで、
アセムの初戦闘がより印象深く、より面白くなっている。
戦闘シーン自体も「傷ついたスラスターをわざと爆発させ姿勢を崩して避ける」など
思わず「おぉ!」と言ってしまうほどの魅力を秘めた戦闘シーンになっている

追加された戦闘シーンは本当に素晴らしく、
AGEの姿は素直に「かっこいい」と思うほどの演出になっており、
盾で受け止めながら剣を振るう様子はまるで騎士のようだ。
大剣を振り回しながら空中から襲撃し、接近したらビームソードで追撃と
魅せる戦闘シーンを繰り広げている。

更に序盤から中盤のアセム編の学生生活シーンは大幅に追加シーンがあり、
TV版では微妙だったロマリーが生き生きとしており、キャラクターの存在意義が強くなっている
特に合宿シーンなど、この話を入れたおかげでより「アセムとゼハート」の関係性が強くなり
そしてキャラクターがきっちりと立ったロマリーがそこに入ることで、
3人が仲良く暮らしていた頃をより強調し、
より終盤のシーンにより強く意味合いを持たせることができている

3人の別れの日である卒業式の日でのシーンも
ロマリーの行動がきっちりとストーリーに意味があり、
キャラクターの立場の変化を描写する演出もあり、
アセム編の面白さを「MEMORY OF EDEN」でようやくきっちりと味わうことが出来たと感じる
TV版で感じた物足りなさを補いまくりだ。

本当に、本当に驚くほど面白くなっている。
少しストーリー構成を変更しただけ、少し設定を追加しただけで
これだけキャラクターに感情移入することができ、これだけ素直に面白いと感じることが出来るんだと
感じると同時に「なぜ最初からテレビシリーズはコレができなかったんだ」と苛立ちも感じる(苦笑)

しかしながら、学生編が終わってしまうとストーリー展開がかなり早くなってしまう。
総集編なだけに仕方ないのは分かるのだが、
本編を見ていないとついていけない展開が急に多くなってしまい、
丁寧に描いていた学生編から急に雑になってしまった印象だ。
明らかに描写不足のキャラクターもおり、総集編だけ見ても「誰だ!?」と思うキャラも多いだろう

尺が限定されている中で「アセム編」を中心としたストーリー構成になっており、
前半から中盤はアセム視線でアセム編、終盤はゼハート視線でキオ編が描かれており
前半のアセム視線の学生生活はいいのだが、中盤から終盤までの展開は
かなり慌ただしくなってしまっており、前半が丁寧な描写だっただけに荒さが目立つ。

ただ終盤のゼハート目線のストーリー展開は新鮮さがあり、
TV版では描ききれなかった「ゼハート」の深い重圧のようなものを感じることが出来る
彼の苦渋の決断が彼目線で描いたことによって生まれており、
TV版を見ていないと終盤のストーリー展開はついていけないが、
総集編だからと割り切れば、ゼハート視線での展開による面白さも秘めている

特筆すべきは最終決戦でのゼハートが乗る「レギルスR」だろう。
追加された新規シーンでの重圧の中でのゼハートの一騎当千の活躍ぶりとアセムとの戦い。
獣のようなレギルスRのかっこ良さ、戦闘による機体の破壊、戦闘の動き、
そして二人のキャラ描写をしっかりしたからこそ生きてくる演出で二人の戦いを締める。
このシーンをスタッフが描きたかったんだなと感じるシーンだ。

全体的に見てアセム&ゼハート視線の総集編としては素晴らしい出来栄えだ。
本編では感じなかったキャラクターの魅力、本編では感じなかった戦闘の面白さ、
そういったロボットアニメとしての面白さが総集編になってようやく感じることができ
特にアセム編の面白さはTV版本編は何だったんだと感じるほどだ。

ただキオ編に入ってからのカットし過ぎな展開は尺の都合を考えれば仕方ないが
この監督、この脚本家、このスタッフで三部作でフリット編、アセム編、キオ編と
3つ作られればガンダムAGEという作品はもっと評価される作品になっただろう。
そう思う要因がこの総集編には多く詰まっていた。
それだけに2時間30分という尺しかこのスタッフに割かれなかったことが残念だ

私個人としてAGEという作品はあまり好きではなかった。
だが、この作品で「AGE」に対する見方がかなり変わった。
後半の展開の雑さや、本編を見ていないとストーリーにきちんとついていけないという
あくまで「本編を見た人向け」の作品になっているため高い評価はしにくいが
アセム編が好きだった、アセム編は面白かったと思った人は見て損はない作品だ。

本当にこのクォリティで三部作また四部作つくれればAGEという作品は化けた。
TVアニメ本編が駄目だから余計にそう感じるという点はあるが、
きちんと芯の通ったストーリーと素晴らしい戦闘描写は本編にはなかった魅力だ

ぜひ、この監督と脚本家さんに「フリット視点」「キオ視点」での
AGEの総集編を作って欲しいと感じてしまう。
売り上げ的には厳しいかもしれないが・・・

少なくともAGEという作品はこの作品のお陰でだいぶ救われたといえるだろう。

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