The無難、だが無難だからこそ染み渡る面白さがる「城下町のダンデライオン」レビュー

2015年9月23日

評価/★★★★☆(65点)

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The無難、だが無難だからこそ染み渡る面白さがる

原作は4コマ漫画な本作品。
監督は田谷典昭、アニメーション制作はプロダクションアイムズ

見だして感じるのはどこかで見た感じのキャラクターデザインだろう
髪型と髪の色で特徴を出している感じが非常に強く
1話から大量のキャラクターが出るため、
一人も覚えきれないまま1話が終わる感覚だ

こういってしまうと「欠点」のように聞こえてしまうかもしれないが、
個人的な感覚になってしまうが、この作品は最近のアニメというよりも
少し懐かしい2000年代の有象無象の深夜アニメのような印象を覚える作品だ
例えば「吉永さんちのガーゴイル」、例えば「狂乱家族日記」、例えば「ぽてまよ」、
あの年代のアニメ特有の「空気感」といえばいいのだろうか。
そういうものを仄かに感じさせる。

古臭いわけじゃない、テンプレート的という感じでもない、
文章で表現するのは若干難しい感覚だが、
言葉で表すなら高校時代の同級生にあったような「久しぶり」というような感じだ
この「空気感」は久しぶりに「あー深夜アニメ見てるなー」という
10年位前の自分に戻ったような不思議な感覚にさせてくれる。

決して作画がいいわけではない、決して刺激的な設定やキャラデザがあるわけではない
非常に「丁寧」に1つの作品を作るための要素を考えられており、
淡々としてはいるものの「丁寧」に作られているため
その淡々さがあるからこそ、その丁寧さを感じられ
「じわ、じわじわ・・・」っとした徐々に湧き上がるような面白さを感じさせる。

はっきりいって作画に関しては時折、明らかに崩れているところもある。
他の作品なら欠点でしか無い作画崩れなのだが、
この作品の場合、作品の不安定ぶりが逆にこの作品らしい「雰囲気」を
生む要素になっている

ストーリー的には「日常系」というジャンルなのだろうか。
とある普通の11人家族、だが、家族の長である父親は「国王」であり
9人の兄弟姉妹たちは街中に設置されたカメラで監視されつつ日常を送りながら
「次期国王」になるため、それぞれが行動したりしなかったりしている
という感じだ。 

原作が4コマということもあり、1話と11話、最終話を除くと
「1話あたり複数エピソード」で構成されておりテンポよく物語が進む。
11人家族というキャラクターの多さから掘り下げ不足になる可能性もあったが、
この「1話複数エピソード」構成のおかげで
多いキャラクターにきちんとスポットがあたる。

序盤の段階では印象不足でよくあるキャラデザのキャラにしか見えないキャラが
話が進むときっちりと「掘り下げ」られることで
多いキャラクターを「無駄」にせずにきちんと作品を形づくるうえで利用しており、
更に1話の段階で多いと思ったキャラクター一人一人にも
サブキャラクターがそれぞれおり、そのサブキャラが居ることで
メインの9人の兄弟姉妹が引き立つ。

本来は主人公であるはずの「茜」が他のキャラがメインの回の時は
若干影が薄い時もあるのだが、影が薄くとも主人公としての存在感は素晴らしく
他のキャラのメイン回にさりげなく絡み、リアクションをする彼女が
素直に「可愛い」といえる。

自分の兄が同級生に告白されている現場居合わせ、赤面してる様子、
若干嫉妬している感じなど「萌え」とは違う
なんとも言えない可愛らしい主人公だ。
キャラクター本来の「可愛らしさ」がにじみ出ており、
演じている花澤香菜さんの演技がそれを後押ししており、
声優だよりではないキャラクター本来の魅力が出ている

この作品は根本的にキャラクターの使い方が上手い。
11人家族+サブキャラと4コマ原作とは思えないほどのキャラ数なのだが
そんな多いキャラクターを無駄にしておらず、
物語を構成するために「必要な要素」としてきっちりと使っている。
最近のアニメの場合、大量のキャラを使い余している作品が多いため
きちんと一人一人のキャラに存在意義と存在感があるのは好感が持てる。

だが、王族の証である「超能力」を持っているというのが基本設定にあるのだが
この超能力設定は「別に無くてもいいんじゃ?」と感じることが多い。
監視される中で日常生活を送りつつ、他の兄弟姉妹と次期国王の座を
「ふわっ」っと狙ったり狙わなかったりする日常で十分に話が作れており
そんな中での能力使用シーンが特に面白いと感じるわけでもない

もう少し日常系の中で使いやすい能力ならばよかったのだが
バトル作品レベルの能力もあり、この作品の中で必要性を感じない能力が多い。
ガチガチに能力を使用して次期国王の座を狙うのもこの作品らしく無いので
「能力」自体、この作品には必要なかったかもしれない。

更に言えば、9人の兄弟姉妹たちが色々な出来事をきっかけに
国王選挙挑むようになるのだが、そのきっかけの描写が弱い。
もう少し尺があれば「国王選挙」に挑むきっかけや理由も深く描けたかもしれないが
時間の経過も早く、サクサクっと進んでいる感じが強い。
逆に言えば妙な引き伸ばしやひかかりがなく見やすさも生んでいるのだが・・・

キャラクター一人一人がきちんと立っており魅力的なのだが、
その魅力が1クールと言う尺の中に押し込められている感じが強く、
はっきりいって1クールでは「もったいない」と感じてしまう作品だ
前述した能力も2クールや4クールの尺ならば必要性を感じたかも知れない

同時に1クールできっちりと「まとめて」いることも評価したい
この作品は物語の本筋と結末である「次期国王選挙」を最後まできっちりと描いている
2期前提のストーリー構成や、続きは原作でね!というアニメ作品が多い中で
この作品は1期1クール全12話という尺をきっちり余すことなく使い
1つの作品を綺麗にまとめ上げていた

全体的に見て非常によくまとまっている作品だ
尖ったキャラクター要素やひねった設定などはなく、
少し前の深夜アニメのような若干地味ではあるものの深夜アニメらしい面白さと
突き抜けた部分がないからこそ細かい部分まで丁寧に作り上げており
1話複数エピソードのおかげでダレることもなく
大量のキャラクターをバランスよく使い
「城下町ダンデライオン」という作品らしい面白さを醸し出していた

あえて欠点を言うならば「突き抜けた」面白さはない。
良くも悪くも1~3話の序盤の面白さが安定して続いている感じが強く、
強烈に「面白い!」といえるような作品ではない
言い方は悪いのだが良くも悪くも「無難」な作品だ
だが、無難な作品が最近少ないだけにこの「無難」さが妙に突き刺さる人も多いだろう

強烈な萌えも、強烈なエロも、強烈な設定もない。
1つ1つの要素が地味であるもの、
男性でも女性でも子供でも大人でも楽しめるアニメになっている
少し前の深夜アニメのような雰囲気があるものの、
同時に「朝アニメ」として4クールくらいガッツリ見たかった感じはある。

1クールで綺麗にまとめ上げていることも評価したいのだが、
同時に魅力的なキャラクターが多いだけに
もっとキャラクターたちの日常を見ていたかったと感じてしまう部分もある。

だが、1クールという少ない尺の中でも
きっちりと「物語」の積み重ねでキャラクターの描写が深まっており
物語の本筋である「国王選挙」も本当に最後の最後まで誰になるかわからない状況で
最終話の30分という尺で一人一人にきちんとスポットを当て
ほっこりと最終話が終わる。
1つの作品をきちんと「見終わった」感覚は原作のある作品で久しぶりに味わった

無難に始まり、無難に終わる。
だが「無難」な作品だからこそ誰でも楽しめる「娯楽」としてのアニメらしい
作品になっていたと言えるだろう。
1話の段階では面白さを感じにくいかもしれないが
3話、4話あたりまで診てもらうとこの作品の面白さがわかるはずだ

超個人的で余談ではあるのだがED曲が妙に耳に残ってしまった(笑)
はにかむー。