ニメの製作現場に興味のある人、とりわけ「脚本家志望者」の人は見なくていい「ケイオスドラゴン 赤竜戦役」レビュー

2016年8月5日

☆☆☆☆☆(0点)

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アニメの製作現場に興味のある人、
とりわけ「脚本家志望者」の人は見なくていい

原作はウェブで連載されていた作品。
スマホアプリなども配信されており、本作品はクロスメディアの1つ。
監督は松根マサト、アニメーション制作はSILVER LINK.、CONNECT

見だして感じるのは独特な「くどさ」だろう。
ライトノベルとは違う、少し前のファンタジーノベルとも違う
どちらかというと古典ファンタジーのような「セリフ回し」になっており、
原作が「TRPGリプレイの手法をとった創作物」というのが
アニメからもひしひしと伝わってくる。

だが、それが直接の面白さには直結していない。
確かに独特な台詞回しで独特な雰囲気の作品にはなっているものの、
もう少しストレートに表現してほしい部分を
どうにも着飾りすぎた言葉で装飾してしまっているせいで、
「回りくどい」感じが強く出てしまっている

独自性を出したいのはわかる。
ライトノベルファンタジーとは違う古典的ファンタジー的な作品にしたいのはわかる
だが、脚本家のそんな自己主張が人によっては「うげ・・・」と感じるような
台詞になってしまっており、
おそらく1話の5分前後でこの作品を見るのをやめてしまう人もいるはずだ
それほど「セリフ」がくどい。

更に1話から大量のキャラクターを出す。
世界観を把握できていない状況でどんどんと大量のキャラクターを出す。
セリフのくどさ故に「キャラクターの名前」も覚えにくく、
キャラクターデザインも特徴的とは言いがたい。
というよりもキャラクターデザインも癖がありすぎる。
セリフのくどさ、キャラデザのくどさも相まって1話から人を選びすぎる

そして設定。
ネタバレになるが、この作品の主人公は「竜」と契約することで強くなる
ただし契約には「生け贄」が必要となっており、力を使うたびに生け贄が必要だ
ちなみに生け贄は文字通り、人の命。
主人公が戦うための力を得ようとすると親しい誰かを生け贄にしなければならない

この設定だけ見ると
「おぉ、鬱的な感じで面白いやんけ!」と思う方がいるかもしれないが
あくまで設定だけだ。
わざわざ親しい人を生贄に捧げたのに「竜の力」の描写が甘い。

それこそ一騎当千レベルの戦闘を見せてくれるのならば生け贄もわかるのだが
一対一の戦闘シーンで火出すくらいの描写しかしない、
毎回同じような必殺技で倒すため2話、3話位でワンパターン化してしまっている
根本的に戦闘シーンの演出も悪く、
まるで「仮面ライダー」のライダーキックのごとくワンパターンだ
戦闘シーンのセンスが無い。・

そう、この作品は全体的にセンスが無い。
「センス」を出そうとして、「才能のある人の作品」になろうとして
勘違いしたセリフ回しや勘違いした戦闘シーンになってしまっている。
原作のTRPGでは「虚淵玄、奈須きのこ、紅玉いづき、しまどりる、成田良悟」と
著名な脚本、小説家が参加しており、
彼らになろうとして、彼らが携わった作品を作ろうとして失敗している。

本来はどストレートかつ王道なファンタジーストーリーなだけに
無難に作れば、もう少し素直にこの作品を楽しむことが出来るはずだ
だが、虚淵玄作品のようにグロさを出そうとして
中途半端なグロシーン描写できておらず、
奈須きのこのような独自の世界観を出そうとして練り込み不足になっていたり、
成田良悟のような群像劇を描こうとしてキャラの描写不足と魅力不足になっている。
彼らの「いい所取り」をしようとした結果、平均以下になってしまっている。

簡単にいえば「突き抜けた」部分が1つもない。
この作品ならではの面白さが無く、どれもこれも平均か平均以下の要素でしかなく
いつまでたっても盛り上がらず、いつまでたっても面白くならない。

特にキャラ描写に関してはもう少しなんとかならないのかと思ってしまう。
物語の核にいるはずの「主人公」にいつまでたっても感情移入できない
この世界は基本的に戦争状態なのだが、
主人公は序盤「王が居なければ戦争は起こらない」と意味不明な主張があったり、
散々友人を生け贄にしたあとなのに「話し合いで戦争が解決する」とか言い出したり
あれ?馬鹿なの?と思わず言いたくなるようなセリフが多い

もう少し自分が強くなろうとすれば感情移入できるかもしれない。
生け贄で竜の力を借りなくても自分でなんとか出来るように
少しくらい鍛える場面があってもいいはずなのだが、
特に身体面で成長しようとしない。

ドラゴンボールで言えば「元気玉」しか使わない孫悟空状態だ
界王拳もなければ超サイヤ人もなく、かめはめ波すらない。
この島の王になる!と序盤叫んでいるのだが、
特にそんな努力はしない、困ったときの竜頼みだけで成長しない主人公だ

他のキャラも基本的に酷い。
というより「テレポート機能」があるのかと思うほど
遠くで別れたはずのキャラクターがいきなり何の前触れもなく現れたり、
そんな唐突なキャラは基本的に「空気を読めない」ため、うざい。

そもそもキャラクターの行動や言動が結果につながらない事が多すぎる
脚本家が「予想できない展開」「予想裏切る展開」にしようとして
結果として積み重ねや伏線を無視した盛り下がる展開ばかりになってしまっている
ストーリーのテンポも妙に遅くなったり、
尺稼ぎのような「間」が生まれている時もある

戦闘シーンの演出も全体的に「もっさり」している。
まるで5年位前のアンドロイドスマホのようなもっさり具合、
「え?そこにカメラ?」と言いたくなるようなアングル、
戦闘シーンを面白くしようという、やる気を感じられない

終盤のストーリーも「グダグダ」だ
この作品の根幹である「生け贄」システムがおかしくなる。
そもそも、きちんと設定を練ったのか?と突き詰めたくなるほどガバガバで
主人公の親しいものの魂と肉体を捧げることで力を使えるはずなのだが、
竜側が「親しいと認めない」設定が出てきたり、
「ゾンビ」状態になったものを生け贄にできるなど
後出し設定が増える上に、後出し設定の描写がめちゃくちゃだ

全体的に見て純粋につまらない作品だ。
著名な小説家、脚本家のいい所取りをしたかったのはわかるが
話が進めば進むほどガバガバになっていく設定、
話が進めば進むほど成長しないキャラクターたちと
物語への没入感もキャラクターへの感情移入もできずに終わってしまった

これが一人の「模倣」ならよかっただろう。
だが色々なところから模倣した結果、模倣にすらなれない駄作に成り下がっている
そんな脚本ではやる気を失ったのかアニメーション部分の出来も酷い
特に戦闘シーンの演出のぐだぐだ感、謎の音楽や演出など
ズレた演出のせいで酷い脚本をよりひどく感じさせてしまっており
脚本的には盛り上がっているのはわかるが、見ている側には何も伝わらない

特に終盤のストーリーのどうでもよさは異常だ。
主人公は「この島の王になる」と序盤で宣言しているが、
ワンピースに例えるならルフィが「海賊王に俺はなる!」といってるのに
ゾロがずっと山登りしているのを見せられてるような感覚だ

1クールでストーリーを終わらせるために
無理やり主人公を「王」にさせるためのストーリー展開になっており
二度と使わないと宣言した後にあっさりと竜の力を使っちゃう主人公が
よくわからないまま王になって終わりだ。
主人公そっちのけで周りが行動しまくり、傍観者になって成長しない主人公など
もはや主人公ではない。

生け贄に関しても主人公がたどり着いたのは
どうせ残りの命少ないんだし、生け贄にしても
「転生すればいいじゃない」という極論にたどり着く。
これできちんと完結しているなら良かったが
2期や続編のための「伏線」まで最後に描写したのは本当に呆れてしまった

なお売り上げは当然爆死だ。
イベントチケットが特典として付属しているのだが数字すら出ていない
出ている声優陣が新人ばかりではなく、有名な声優も多数出ており
こんな状況、こんな作品を作って「イベントチケット」をつけてしまうのは
図々しさすら感じてしまう。

本当にひどい作品だった。
あまりにも酷すぎてネタになり、ギャグアニメのようになる作品は少なくないが
この作品は酷い方向にも「突き抜ける」事がないためネタにすらならない
純粋につまらない、本当にその一言でこの作品の評価が終わってしまう作品だ

なお、余談だが関係者がこんなことをTwitterでつぶやいている

深夜の勢いで呟きますが、アニメの製作現場に興味のある人、とりわけ「脚本家志望者」のひとは本日7/2(木)から放送開始される『ケイオスドラゴン 赤竜戦役』を騙されたと思ってぜひ録画しておいてください。マストです! #chaos_anime #ケイオスドラゴン #ケイオスのある暮らし

— 太田克史 (@FAUST_editor_J) 2015, 7月 1

何の冗談だろうか?(苦笑)