評価 ★★☆☆☆(35点) 全12話
あらすじ 一人前の魔導士を目指して、リガーデン魔法学院に入学したウィル・セルフォルト。 引用- Wikipedia
陰キャマッシュル
原作は漫画な本作品。原案を手掛けるのは
ダンジョンで出会いを求めるのは間違っているだろうかの大森氏。
制作はアクタス、バンダイナムコピクチャーズ
無能
この作品の世界はいわゆる魔法のあるファンタジーな世界だ。
若者の多くは魔道士に憧れ、魔法学院に通っている。
魔法絶対主義な世界で、魔法の才こそすべての世界だ。
主人公もまた、そんな魔法学院の生徒ではあるものの
「無能」の烙印を押されている。
初歩的な魔法すら使えず、知識、筆記テストだけは優秀なものの、
魔法が使えない彼は「無能」の烙印を押され、
多くの生徒や先生から彼は迫害されている。
そんな待遇にもかかわらず、彼は魔法学院に通い続けている。
侵略者から世界を守り、侵略者がこないように天に蓋をしている
メイジの頂点を彼は目指している。
幼馴染はそんなメイジの頂点にたっており、
彼もそこを目指している。
無能ではあるものの優しい性格で女の子に対して紳士な彼は、
クラスメイトの女子に好意を抱かれている。
もうわかりやすいくらいのヒロインらしいヒロインであり、
テンプレート感すら感じる。
魔法が絶対な世界で魔法が使えない、
そんな世界自体も「マッシュル」を彷彿とさせるものがあり、
連載開始時期やジャンルの違いを考えれば
パクリなどとはいわないものの、
アニメの放送時期が後ということもあって印象が被ってしまう印象だ。
キャラクターデザイン、作画もやや癖があり、
最近のアニメでありがちな「陰影」と「光」を
強調したような作画のせいもあって、画面全体が妙に暗い。
演出面でも気になる部分があり、ときおりCGにみえるほど
ヌルっと動くのは作画枚数の多さを感じさせるものの逆に違和感がある。
「目」のカットだけを意図的に強調したり、
構図やカット割りにこだわりを感じる部分も多いものの、
そのこだわりがやや空回りしている印象だ。
一言で言えば妙に「濃い」感じがある。
そんな濃い雰囲気の中で主人公は単位を稼ぐべく、
ダンジョンの中でモンスターを倒している。
無能な彼が、どうして学園で生き残れるのか。
それは彼に「力」があるからだ。
剣は魔法よりも強し
主人公が挑んでいるダンジョンには凶悪な魔物が住んでいる。
凶悪な魔物を倒せば単位をゲットできる、だが、命の危険がある。
それでも主人公は己の目的のためにダンジョンに潜り、
命のやり取りをし続けている。
そんな主人公を落とすためにエリート志向なクラスメイトが
彼の獲物を横取りしようとするものの、凶悪な魔物には勝てない。
優秀でエリートで魔法の才能のある生徒すら叶わない魔物、
そんな魔物に主人公が勝ってしまう。
たとえ魔法の才能がなくとも、彼には剣の才能がある。
魔法絶対主義なこの世界で、剣の才能は評価されない。
しかし、評価されない剣を振るうことで彼は
この世界に牙をむこうとしている。
激しいカメラワークとダイナミックな構図で描かれる
戦闘シーンの迫力は見事ではあるものの、やはり演出面の暗さは気になる。
画面が常に暗く見えづらい、そのせいで激しい戦闘シーンがよく見えない。
「ダンジョンの中」という光源がない場所だからこそ
自然な光の演出とも言えるのだが、その演出が
せっかくのアニメーションの魅力を落としてしまっている。
魔法が使えない主人公が剣で成り上がる。
この手のファンタジーや能力者ではありがちな展開だ。
マッシュルもそうだが、ブラッククローバーなど、
既存の作品の要素が非常に多い。
ドワーフ
ハイクォリティなアニメーションは素晴らしいものの、
それを素直に素晴らしいと受け止めきれない演出や、
既視感まみれの要素などいまいち1話からパットしない感じだ。
意図的に主観に切り替えたり、パーツを強調したり、
かなり構図にこだわっているのはわかるものの、
そのこだわりが面白さになっていない。
2話からは世界観が紐解かれていく。
この世界は異世界からの移民などもおり、ドワーフなどの種族も存在している。
有効的な異世界からの種族もおれば、そうでない種族もいる。
メイジのトップは天に蓋をすることで「やつら」と
呼ばれる侵略者の侵入を防いでいるものの、それがいつ開くかわからない。
魔法学園はそのための学園だ。
優秀なメイジを生み出し、侵略者からこの世界を守る。
1万のドワーフを、たった1人の魔法使いが倒した。
そういった過去があるからこそ、魔法が絶対主義な世界になっている。
キャラが多い
そんな世界で主人公は幼馴染に、好きな人とならび立つために
魔法使いの、メイジのトップになろうとしている。
たったそれだけの理由ではあるものの、
その「幼馴染」の描写がほとんどなく、幼馴染という
設定ぐらいしか無いため、そこまで必死に主人公が食らいつくことに
あまり納得ができない。
物語の起承転結の起が描かれずに、物語が始まってるような感覚だ。
序盤は世界観の説明や主人公がいかに凄いのかという
戦闘シーンがひたすら繰り返される印象で、
無駄にキャラクターも多く出てくるものの、
一人ひとりの掘り下げが甘く、ただ嫌味なだけのキャラが多い。
そんな嫌味なキャラが主人公を舐めて因縁をふっかけることで
物語を作ろうとしているものの、キャラの印象には残らない。
エリート志向な同級生が1話で主人公の邪魔をしようとし、
4話でもエリート志向な別の同級生が主人公のバイト先である
ドワーフの酒場を馬鹿にする。やってることが変わらない。
選ばれしメイジになるためには6年間で
「7200」の単位数が必要だと説明されるものの、
無駄に数字が大きくしているだけのようにも感じるほど数字に意味がない。
ダンジョンの中では魔物に単位が設定されており、
ある意味「レベル」の代わりなのはわかるが、なろう系と同じく、
そのレベルの数字がどんどんでかくなってるだけで意味を感じない。
色々とシチュエーションは変わっているものの、
主人公を舐めて因縁をふっかけてくる魔法使いに、
主人公が苦戦しつつも、俺つえーで圧巻するという
流れを繰り返している印象だ。
チーム戦
中盤ではチーム戦が開催され、
1話で主人公につっかかってきたエリート志向な同級生を
チームに加えて、別のエリート志向な同級生と戦うことになる。
この間に仲良くなる展開などがあれば話は違うが、
険悪な中でチームを組んでいる。
当然、主人公に対して嫌悪感MAXな彼は
利用されたことも、自分が眼中にないこともいかり、
チーム戦の中でも主人公に勝負を仕掛けて襲ってくる。
すると主人公がこんな事を言う
「なにをいっているんだ…?シオン!?今ここで!?どうして!?」
彼にとってはチームを組むことも侮辱的だ、
しかも半ば騙されたような形でチームを組んでいる。
彼の苛立ちもごもっともだ。
自分がチーム戦に出るために特に仲が良くない同級生を利用していることも
彼の心中も主人公は一切配慮していない
ハリー・ポッターでいえば、ハリーが特に仲良くないマルフォイと
同じチームでクィディッチに挑むようなものだ。
マルフォイ的なシオンも過去にはハリー的な主人公に
歩み寄ろうとしたものの、主人公がガン無視した過去がある。
主人公は自分の目的しか見えておらず、
そのために他者を利用しすぎだ。因果応報な展開でしかない。
シオンが怒りを彼にぶつけているのに
「どうして戦うんだ!?ボクと君が戦う理由がない!」とのたまう、
色々と厳しい主人公だ。
普段はウジウジとしているのに、何か気に入らないことがあると
ブチギレてワーキャー言ってくる様は
陰キャっぽい感じが凄まじく、好感を持てない主人公だ。
好感が持てない主人公に対して好感をもってない嫌味なキャラを
主人公が鉄拳制裁する、イキった敵にイキり返す、
ざまぁな展開を繰り返し続けてる。
アニメーションのクォリティ自体は高いものの、
同じような演出も目立つ、とにかくカメラを動かし、
主観視点などを織り込むことで臨場感をうもうとしている。
たしかによく動くアニメーションではあるものの、
ワンパターンな演出が多い。
暗い画面でエフェクトを派手にする、
すると陰影が強く出るため迫力が生まれて
かっこいい絵にはなるものの、ダンジョンだろうがどこだろうが暗い。
主観視点も臨場感を出る演出の1つだが、
ただ走ってるだけでの主観視点など不必要だ。
たしかによく動くうえに迫力のあるアニメーションだ、
しかし、そこに面白さが伴っていない。
ダンジョン
終盤になると優秀なクラスメイトとともに
ダンジョンに潜ることになる。
魔法が使えないものなりに彼らの役に立とうとするものの、
主人公は優秀な魔法使いの前では荷物持ちでしかない。
そんな主人公だからこそ選別意識の強い
「エルフ」は主人公を認めない、
無能者だからこそパーティーで目立つことができない。
しかし、ピンチが起これば別だ。
序盤でも嫌味なクラスメイトがダンジョンでピンチになったところを救い、
中盤では別の生徒をダンジョンでピンチになっていたところを救い、
終盤でもダンジョンでピンチになった仲間を救う。
もうダンジョンで出会いで求めてるのか?と言いたくなるほど
ダンジョン内で同じような展開をと繰り返している
主人公のことをなめていた生徒が、
ダンジョンで主人公に救われたことで主人公を見直す。
1度ならわかるが、何度も同じような展開を見せられており、
それでしかキャラの掘り下げができないのかというほど
ワンパターンだ。
終盤は主人公の本当の力も明かされ、
仲間とともに強敵を倒すという王道展開ではあるものの、
作画に関しても終盤は序盤のような凝った演出もなく
平坦に物語が終わってしまった印象だ。
2期が決定しており、2期ありきなストーリー構成であり、
1期は序章なのはわかるものの、
個人的にピンとこないまま終わってしまった作品だった。
総評:ダンジョンの中でイキるのは間違っているだろうか
全体的に見て既視感が強い作品だ。
魔法が絶対の世界で主人公が魔法を使えない、
その設定だけでもマッシュルやブラッククローバーなどの作品があり、
そこから実は身体能力がチートな主人公が成り上がっていく。
いわゆるなろう系的なノリが強い。
展開も似たりよったりな展開が多く、
主人公のことを舐めたクラスメイトや同級生が、
ダンジョンの中で主人公に救われたことで見方が変わったり、
エリート志向なキャラが主人公に因縁をふっかけてきたりと、
同じような展開が同じように続いてしまう。
主人公自体も己の目的のために周囲が見えておらず、
普段はうじうじナヨナヨとしたキャラなのにダンジョンの中では
イキりまくる姿のギャップはきついものがあった。
同じような設定のマッシュルは
「ギャグ」だからこそ受け入れることが出来たが、
それを真面目にやっているような本作は厳しいものがある。
要素やキャラ設定もよく言えば王道、悪く言えばテンプレであるがゆえに
先の展開も予想できてしまうがゆえに面白みも薄い。
大本のハリーポッターともかぶるキャラもおり、
この作品らしいキャラクターの魅力というのをあまり感じられない。
アニメーションのクォリティ自体が確かに高いものの、
こだわりまくった演出が空回りしている感じが凄い。
光を意識した陰影の撮影はかなりどぎついものになっており、
作品全体がとにかく暗い。
暗い中で派手なエフェクトを入れれば確かに迫力は生まれるものの、
エフェクトだよりになりすぎている部分もある。
カメラの切り替えもかなり頻繁で、動いているキャラを立体的に
撮影したり、アップにしたり、時に主観にしたりと、
とにかくカットが頻繁ではあるものの、
「意味のない」主観映像なども多く、
たしかに映像表現のこだわりを感じるものの、
それがアニメーションとしての面白さになりきっていない作品だった
2期でこの序章からどうストーリーが動くのかは気になるものの、
この調子で進むなら2期は見ないかもしれない…
個人的な感想:やってることが…
ダンジョンで出会いを求めるのは間違っているだろうかと
同じ原作者の作品ではあるものの、
やってることがかなり似通っている。主人公の目的、
ダンジョンに潜りまくったりと、やってることがあまり変わらない。
ダンジョンで出会いを求めるのは間違っているだろうかとの
大きな違いは主人公像を含めたキャラ立ちだ。
この作品は個人的にどのキャラも好感をもてず、
特に主人公が好きになれないまま1クール終わってしまった。
2期でこの印象が変わることを期待したい。
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