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テレ東風旅番組アニメはどうでしょう「ざつ旅 That’s Journey」レビュー

3.0
ざつ旅 -That's Journey- 日常
画像引用元:©石坂ケンタ/KADOKAWA/「ざつ旅」製作委員会
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評価 ★★★☆☆(42点) 全12話

TVアニメ『ざつ旅 -That's Journey-』PV第1弾|2025年4月放送開始!

あらすじ 漫画賞の新人賞を受賞した漫画家志望の女子大生・鈴ヶ森ちかは、ある日、編集部に新作のネームを3本持ち込んだものの全ボツを食らってしまう。心が折れそうになったとき、唐突に胸の中に溢れてくるものがあった引用- Wikipedia

テレ東風旅番組アニメはどうでしょう

原作は漫画な本作品。
監督は渡邊政治、制作はマカリア

情熱大陸

見出して感じるのは「ナレーション」のインパクトだ。
この作品はいわゆる日常アニメであり、タイトル通り
主人公がいろいろな場所に旅をするアニメだ。
漫画家として新人賞を受賞したはいいものの、連載があるわけでもなく、
出版社にネームを見せて没を喰らいまくる日々だ。

そんな悩む中で彼女は「水曜どうでしょう」的な旅番組をみて、
SNSで旅行先のアンケートを取ることにする。
そのツイートがバズってしまった結果、彼女は旅に出ることになる。
「上の方」に。

ざっくりとした目的地も何をするかも決めない雑な旅、
タイトル通りな作品であり、それ以上でもそれ以下でもない。
だが、そこに冒頭でふと「情熱大陸」でおなじみの
窪田等さんがナレーションを挟むことによって
どこかアニメというよりはTV番組でも見ているかのような気分になる。

訪れる場所のさりげない雑学や知識をナレーションで挟むことによって、
主人公の雑な旅の雑さがいい意味で紛れる。
テレ東というより地方番組のよくわからない地方芸能人が
旅をしている、そんな感覚を覚えるような作品だ。

旅番組

雑な旅故に宿の予約すらしていない。
「出川の充電旅」のごとくホテルにいきなり訪れ
「今日宿あいてませんか?」と尋ねる姿はまさにそれだ。

水曜どうでしょう的なノリで、地方の旅番組的なテイストを入れつつ、
出川の充電旅的な要素もある。
旅番組的な要素をひたすら作品の中に入れている感覚だ。
会津若松に訪れホテルにとまり、温泉に入り、朝食バイキングを楽しむ。
本当にただの旅だ、それ以上でもそれ以下でもない。

特に1話と2話は主人公の一人旅であり、余計に地味だ。
この主人公になにかフックがあれば別だが、
特にこれという魅力はなく、一人で旅番組をやるような
クラスの芸能人ではない感じの旅番組を見ている感覚だ。

色々な観光名所を巡って「すごーい」というだけでリアクションの幅も狭い。
新しい刺激を求めて、創作意欲を出すための旅、
そんな中で苦手だった「牡蠣」を食べたりと変化もある。

最も大きな変化は2話の終盤だ、一人ではなく二人旅が始まる。

女子旅

1話と2話の途中までは一人旅だが、2話の終盤で友達との二人旅が始まる。
そうなってくると、いわゆる「ワチャワチャ感」も生まれ
日常アニメとしての面白みもほんのりとにじみ出てくる。
毎話のように温泉やお風呂に入るシーンが有り、
それもまたどことなくテレ東の旅番組っぽさがある(笑)

水曜どうでしょうやテレ東の旅番組でありながら
漫画家な主人公に密着する情熱大陸でもある。
色々なTV番組が悪魔合体しているような作品だ。
そのあたりを一切隠しておらず、パロディ元がわかりやすい。

主人公の友人や主人公の後輩、二人旅を序盤は楽しんでいく。
序盤をすぎると主人公の漫画の師匠や、師匠の友達の漫画家と
3人旅もしだす。
旅という趣味ができたからこそ、彼女の世界が徐々に広がっていく。

世界を広げた後に、もう1度一人旅をして自分を見つめ直したり、
地味ではあるが本当に少しずつ主人公の変化は垣間見える。
二人旅や3人旅、誰かとの旅を経験したからこそ、
一人旅でのみかたにも変化がああ。

ただ、本当に少しずつであり、明確な変化は薄い。
非常に地味であることは間違いない。
やってることは基本的に1話から殆ど変わらず、
場所が変わって観光しているだけのアニメだ。

水曜どうでしょう

この作品のどうでしょう要素はかなり強い。
主人公がランダムで旅先を決めるのもサイコロの旅をモチーフにしており、
香川に行けば、あの3人が食べたうどんをたべ、深夜バスにも中盤には乗る。
文字でのセリフ演出なども水曜どうでしょうパロディなのはわかるが、
それがパロディネタというより、定番になってしまっている。

このあたりはかなり気になる所であり、中盤以降は作画のクォリティも
かなり怪しくなっていく。特にキャラクターの作画は怪しく、
そんな危ういキャラの作画の下に異様なまでにリアルな背景があるため、
絵が浮いてしまっているような感覚になってしまう。
背景と料理の作画だけは崩さない!という意気込みを感じるが、
終盤になるとほぼ背景が実写だ(苦笑)

見ていると慣れては来るのだが、演出やリアルすぎる背景など、
ストーリー的な部分が地味であり、動きを出せるような作品ではないからこそ、
そういった部分に力を入れようとしているのは伝わる。
LINEを使った通話シーンなど作画枚数を減らすための演出の1つであり、
あくまでも旅をする場所の「雰囲気」を見せたいんだということは感じる。

各地のどこか、みている人が「行ったことがある」場所が
1つは出てくるかもしれない、行ったことがなくても
テレビで見たことのあるような場所がでてくることだろう。
そういう場所が出てくると思わず親しみを感じてしまう。

変化

地味ではある、本当にひたすら地味だ。ただ、この作品はそれでいい。
温泉シーンという適度な刺激がありつつ、各地を旅する女の子をみせる、
1話からほぼパターン化しているが、パターン化してるからこそ
予想外の展開もなく、1話から最終話でいい意味でも悪い意味でも安定している。

そんな変化がなさそうな1クールの旅の中で
メインキャラクターたちは変化している。
主人公も漫画家として1歩進み、後輩は受験をし、友達も夢が決まる。
旅は明日からまた頑張るための1歩だ、その1歩を踏み出すために旅がある。

その1歩1歩を確実に旅の中で感じさせてくれる。
旅先だからこそこぼれ出る本音、旅先だからこそ知らなかった素顔、
色々なことを旅先で喧嘩をしていた友達と仲直りすることもある。

少しずつ成長した主人公は自らの経験を漫画に落とし込む。
1クールで地味ではあるものの、きちんと成長が見えて終わるラストは
悪くないと感じさせてくれる作品だった。

総評:アニメでTVの旅番組をやってみた結果

全体的に見てアニメというよりはテレ東あたりの旅番組を
見ているかのような独特のゆるさがあり、それを狙った演出の数々も多い。
ほぼ実写な背景や食べ物をきちんと見せ、ナレーションによる解説、
旅番組でみたことのある展開や場所、演出の数々を
アニメという媒体に落とし込んでいる。

実写のバラエティ番組をアニメに落とし込んだらという
非常に面白い試みをしている一方で、序盤はキャラクターが弱く、
ただただ観光地を見せられているだけな感じが強い。
中盤あたりからキャラの掘り下げや関係値が深まっていき、
日常アニメとしての良さがでてくると良さがでてくる。

やってることは本当に地味であり、テンプレート的で
観光地の場所を変えただけな感じはあるものの、
終盤ではきちんとメインキャラの成長を感じさせる展開がきちんとあり、
それが1クールという区切りにもつながっている。

低予算感のある作画ではあるものの、
その低予算の中でうまいこと旅アニメを作っている。
その低予算の中での工夫が「テレ東」感につながっていたのかもしれない

個人的な感想:しっくり

序盤こそあまりしっくりとこず、だらーっと見てしまう感じがあったのが
制作側の工夫や演出意図が見えてくると、
作品の方向性もわかり、キャラも馴染んだことで楽しめた作品だった。
1クール一気に見たほうが逆に面白いと感じやすい作品かもしれない。

名作というには3歩くらい足りないものの、
まだ見ていないという人は序盤だけでもチェックしてみてほしい。
水曜どうでしょう的なノリで始まるテレ東旅番組に
癒やされるかもしれない。

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