土鍋で炊く白飯だけ、それだけでも十分だ「甘々と稲妻」レビュー

評価★★★★★(85点)全12話
甘々と稲妻
甘々と稲妻

あらすじ 半年前に妻を亡くした高校教師犬塚公平は、男手ひとつで幼稚園に通っている幼い娘つむぎを育てていたが、料理がほとんどできないため、出来合いの食事や外食ばかりの日々を送っていた。
引用 – Wikipedia


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土鍋で炊く白飯だけ、それだけでも十分だ

原作はgood!アフタヌーンで連載中の漫画作品。
制作はTMS/3xCube、監督は岩崎太郎。

見出して感じるのは「ニヤニヤ」してしまう雰囲気だろう。
非常に明るくコミカルでリズミカルな曲が流れる中で
父と5歳の娘の生活が描かれる。

この曲はアニメでは非常に珍しい雰囲気の曲であり、
この曲調で不思議とアニメの雰囲気を盛り立てており、
自然に描かれるキャラクターの日常が何とも微笑ましく感じさせてくれる。

場面が変わるとキャラクターの心情をきっちりと反映するように
曲も変わる。明るい日常の中で垣間見える。
「母親が居ない」という重い設定を感じさせるときはコミカルさは残しつつも、
キャラクターの心情を感じさせる曲になっており、
「聞いているだけでも楽しめる」シーン作りになっているのは心地よさすら感じた。

そして娘の犬塚つむぎを演じている「遠藤璃菜」。
ばらかもんを見ていた方ならば印象に残っているだろう、
「久保田陽菜」を演じていた子役だ。

可愛らしく、本当に自然に「園児」を演じており、
子供だからこその純粋な可愛さを素直にキャラクターに投射しており、
1話が開始して5分もたたないうちに多くの視聴者が
この「犬塚つむぎ」というキャラクターに好感が持てるようになっており、
アニメアニメしていない「自然」な幼児キャラクターだ。

そして、そんな彼女の父親。
高校の数学教師であり、妻を失い娘と二人暮らしだが、料理だけは苦手。
なんとか生活している中で娘の「食への欲求」に気づき、
「美味しいご飯」を食べさせる努力をする。

もうひとりのヒロインとも言える「飯田 小鳥」。
初登場のシーンが糞ださいジャージ、アンダーリムな眼鏡と、ボサボサなおさげ、
そんなダサさをストレートに感じさせるキャラクターで大食い。
演じているのは「早見沙織」。

これだけで多くの人にとってはキャラクターの魅力を語らなくても、
よし見ようと思うだろうが(笑)、
ちょっと抜けた女子高生という感じが非常に可愛らしく、
彼女の行動や言動がいちいち可愛い。
玄関を開けたら椅子の上で三つ指ついて土下座しているヒロインなど
なかなかお目にかかれない(笑)

そんな3人が中心になって「料理」を作る。
はじめは土鍋でご飯を炊く。それだけだ(笑)。
料理やグルメを扱う作品としてははっきりって地味だ。

しかし、そんな地味な描写をもり立てる。
時間を掛けてきっちりと炊いたご飯を「一粒一粒」丁寧に描写する。
おかずも何もない、ただの「白飯」だ。
だが、その旨さがきっちりと見ている側にも伝わる。
日本人だからこそ伝わる「米の旨さ」が1話にはたっぷりと詰まっている。

この作品は料理の描写ももちろんしっかりしているのだが、
「素材」の描写が丁寧だ。
米粒だったり、大根だったり、ネギだったり。

料理に使う1つ1つの素材をほんとうに丁寧に描写しており、
1つ1つを丁寧に描写しているからこそ、
料理の過程が妙に生々しく、見ていて楽しいシーンになっており、
それが組み合わせってできる「料理」が本当に美味しそうに見える。
製作者側が「料理」をきっちりと理解し本気で描写しているのが伝わる。

食べた後のリアクションは至って普通だ。
昨今、孤独のグルメのドラマ化ヒット移行、グルメ漫画ブームであり、
クォリティの低いグルメ漫画ややたらと
リアクションの過剰なグルメ漫画も増えている。

そんな中でこの作品はおとなしい。
子供の素直な「美味しい」という反応や無邪気な食べ方、
大人の思わず出る「うまい」の一言、
女子高生は豪快に食べての一言。

見ている側の食欲を刺激する料理と食べた後の反応の描写は
いわゆる「飯テロ」的な破壊力を秘めている。
思わず白飯が食べたくなる、思わずハンバーグが食べたくなる、
思わずグラタンが食べたくなる。

料理のできない3人が不器用ながらも一生懸命に料理を作り、食べる。
この繰り返しなのだが、その繰り返しが微笑ましく、
繰り返しの中でキャラクター描写がしっかりと深まっていき、
繰り返していく中でキャラクターの日常が変化していく。

1話は白飯だけ、2話はそこに豚汁が加わり、3話ではハンバーグ、
4話ではグラタン。徐々にレベルが上がっていき、3人で作っていく。
微笑ましく、ほっこりと魅力的なキャラクターの日常を味わう事ができる。
日常の中での出来事が自然にギャグになっており、
思わず笑ってしまうシーンも多い。


全体的に見て非常に丁寧かつしっかりと作られた作品だった。
1つ1つの素材の描写を大切にし、料理の描写を丁寧に、
完成した料理を本当に「美味しそう」に登場人物が食べる。
料理が題材の作品においてもっとも重要な部分をしっかりと描き、
そこに魅力的なキャラクターの日常が加わることで、
1話から最終話までしっかりと楽しむことのできる作品だ。

欠点らしい欠点もない。
作画もやや怪しいところはたまーにあったが、
基本的には安定しており、料理の描写は常にクォリティが高い。

ただの料理アニメではなく、父と娘の関係性も丁寧に描かれており、
思わず「うるっ」っと涙腺を刺激されるような話も多い。
基本的に1話完結ですっきりと起承転結のあるストーりーになっており、
ほっこりと癒やされる作品だ。

更に親子の間に「女子高生」が加わることでほのかに恋愛要素も匂わせている。
1クール、1期の段階ではあくまで匂わせているだけではあるが、
早見沙織演じる女子高生の可愛さの破壊力は凄まじく、
彼女の行動や言動にニヤニヤしてしまう(笑)

個人的に久しぶりに1話1話集中して見てしまう作品だった。
私がグルメ漫画や料理アニメが好きなせいもあるのだが、
しっかりと描写される料理とその過程が見ているだけで楽しく、
過剰ではないリアクションと可愛らしいキャラクターと、
ずっと見ていたくなる作品だった。

売上的には残念ながら1000枚以下とかなり厳しい。
この手の作品はいわゆる売れる傾向の作品ではなく、
同じグルメジャンルの幸腹グラフィティも1500枚以下。
グルメアニメは販促面では厳しい部分は多いようだ。
好きなジャンルなだけに残念だ。

原作ではすでに幼稚園を卒業しているようで、
結構、作中の時間のすすみ方早いようだ。
売上的に2期は厳しそうなだけに原作を購入したいと思います。

甘々と稲妻 つむぎと作るおうちごはん (アフタヌーンKC)
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