たんすわらし

評価/★★★★☆(62点)

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おでんの大根のように面白さが染みてくる作品

本作品はアニメミライ2011という企画の1本
アニメーション制作は「プロダクションIG」、監督は「黄瀬和哉」

見出して早々OPが流れる。
25分しか尺がない作品でOPをつけるというのは尺が削られるため賭けだが、
この作品は「ストーリーの始まり」をOPの中で描きつつ曲を流す。
「ランタン♪リーリラン♪ランタンリーリーラン♪」
何とも甘いボイスでゆったりと歌い上げるオープニング曲とともに、
配送業者のトラックが走る光景が描写される、その配送車が主人公のもとに
「タンス」を届けるところから物語始まる。

この作品、作画による雰囲気作りが素晴らしい。
キャラクターデザインは日曜朝アニメのようなシンプルなキャラクターデザインだ
だが、背景を少し淡くクレヨンで描いたような質感にすることで
キャラクターと背景にメリハリを付けており、
この作品の「雰囲気」が冒頭から伝わり、冒頭からこの作品の優しい世界観に包まれる
曲と作画、背景による雰囲気作りが素晴らしくほっこりとできる空気感だ

そんな優しい世界観の主人公は「OL」だ。
お客様サービスセンターで働いてる普通のOLの彼女、
そんな彼女の家に「母」からタンスが唐突に送られてくる。
なんでタンスが送られてきたのかもわからず、彼女は1日を普段と変わらずに過ごし
ほろ酔い気分で家に帰ると「小太り」の少年がせんべいを食っている(笑)
更には朝起きると何故か朝食まで作られているし家まで綺麗になっている

その正体はたんすの「わらし」だ。
代々彼女の家に仕えている「たんすの座敷わらし」といえばわかりやすいだろう
毎日の生活に追われだらしない生活をしていた彼女だったが、
「たんすわらし」が家にきたことで少しずつ生活が変わっていく
料理が得意なたんすわらし、片付けが得意なたんすわらし、美容にうるさいたんすわらしなど
6人のわらしがそれぞれ彼女の生活を支える

唐突に始まった一人のOLと6人のわらし達の生活、
本当に何気ない日常の描写なのだが「まったり」とした雰囲気で
少しずつ主人公が変わっていくというストーリーが「ほっこり」と面白い。
決して子供向けやガチガチなオタク向けの作品とはいえない
だが「働いている」社会人ならこの「ほっこり」とした雰囲気になぜか癒されるはずだ

起承転結という要素で言えば弱いというより「起伏」を感じにくい。
ゆっくりと始まり、まったりと進み、ほっこりと変化していく
作風としては「地味」だが、地味であるがゆえにこの雰囲気にハマると
じんわりと染みわたるよう面白さがある作品だ
そして、その面白さがしっかり伝わった後に唐突に「別れ」が訪れる

優しい雰囲気、優しい世界、優しいキャラクターたち。
そんな空気だったからこそ唐突に訪れる「別れ」がぐさりと突き刺さる
最初は地味に感じた作品だったのに、見終わった後には強烈に印象が残り、
素直に「あ~おもしろかった」と言える作品だ

全体的に見て短編らしい素晴らしい作品だった。
内容しては地味ではあるものの、この作品らしい「雰囲気」づくりをしっかりとすることで
物語の世界観浸ることができ、優しい気持ちで見ることができる
そして最後には少しさびしい別れを描くことで作品の印象を強める
更に「最後のシーン」で思わず見ている側も「えぇ!?w」となる展開を入れることで
少し寂しい雰囲気から思わず笑ってしまう内容で作品を締めている。

キャラクターデザイン、ストーリー、背景。
断片的に見れば地味な印象しか覚えない作品だが
それが見事に合わさることでしっかりと面白い作品に仕上がっている
短編アニメだからこそのスッキリとした面白さと
エピローグ部分の「笑い」を入れることで見終わった後に
「もう一回見ようかな」と思ってしまう作品だ

疲れた社会人の方ならば見て響くものも多いだろう。
25分という尺でしっかりと「癒される」短編アニメだ
やりようによっては長いクールでもできるアニメだろう。
ちょっと例えは悪いかもしれないが「まんが日本昔ばなし」の現代版のような作品だ
短編アニメだからこその良さが出ている作品だが、この作品、
いや、この作品のような雰囲気の作品がもっと見てみたいなと感じた

いつか次回作の「食器棚わらし」が作られることを期待しています(笑)

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