ぎんぎつね

評価/★★★★☆(64点)

ぎんぎつね 評価

全12話
監督/三沢伸
声優/金元寿子,三木眞一郎,関俊彦,小野賢章,藤村歩ほか

あらすじ
まことは、神使の狐・銀太郎が見える、神社の跡取りの女の子。不思議な力を持つ銀太郎ですが、やる気はないし口も悪い。そんな稲荷神社が舞台のハートフル神社ファンタジー.

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冬に見たい。きつねとミカンと少女の物語。

本作品はウルトラジャンプで連載中の漫画作品
内容的には「少女漫画」で連載しているような内容だが、まさかのウルジャンだ(笑)

見だして感じるのは「癒やされる空気感」だろう。
雨が降る中で大きい傘をさす少女と大きな狐のキャラ、ゆっくりとした音楽が流れる中、
ゆっくりと「物語の始まり」を感じさせる空気から神社に住む少女の朝が描かれる
高いレベルの背景作画の中でシンプルな人間のキャラクターデザインが映え、
そこに神様の使いである狐の「銀太郎」が同じ絵の中で描写される。
このなんともない空気感はこの作品で感じられる暖かさの象徴だろう

そして、その空気感はストーリーの暖かさにも直結する。
神様の使いである狐が見える「少女」、そんな少女はまだ少女であるために未熟だ
「狐」が好きなみかんを餌にクラスメイトの占いをせがみ、占いが結果通りにいかないと苛立ちをぶつける。
だが、きちんと自分を見つめなおし彼女は少しだけ成長する。
何百年も生きてきた「狐」もまた、そんな彼女にツンツンとした優しさを見せる
1話のストーリーはきちんと「起承転結」ができており、
読み切りでの話が1話というのが納得できる内容になっている

その後のストーリー展開も基本的に1話が基板となっている。
ヒロインの周囲で起こる人間関係やトラブルを神の使いである「銀太郎」の力を借りたり
相談したりしながら、暖かな空気を出しつつ日常を描写している
はっきりいって「それ以上でもそれ以下でもない」といえばそれまでなのだが、
逆にいえば1話を見て気に入ればこの作品の全話を楽しむことが出来るし、
1話を見て微妙だなと思えば全話見ても微妙だろう。
期待以上の内容はないが、期待以下の内容にはならない。

キャラクターも安定している。
特に「銀太郎」はガタイのいいガチムチな狐だが、
演じている三木眞一郎氏の「ツンツン」とした演技が魅力的なキャラクターに仕上げており、
思春期らしい悩みや言動や行動をしがちな「ヒロイン」をツンツンしながらも支える様子が微笑ましい
ミカンをねだりつつ、ヒロインの愚痴を聞く様子など何とも言えない可愛らしさがある(笑)
つんつん狐が少女に振り回され顔を赤くする様子はケモナーの方々の気持ちが少し分かりそうになるくらいだw

話が進むとキャラクターも増えていくが、大体のキャラクターが最初の印象はあまり良くない。
だが、意外な一面をあっさりと覗かせキャラクターの魅力がふっと深まる
淡々とした描写やゆっくりとしたストーリー展開の中でしっかりと「キャラクター」を魅せることで
日常描写と作品の雰囲気をしっかりと作ることができ安定した内容に仕上げ
話が進めば進むほどキャラクターに感情移入することができ、話によっては「ほろり」と泣かせに来る。

本来キャラクターが増えるとこういった日常描写やキャラ描写が中心のストーリーは
面白さが散漫になってしまうこともあるが、
この作品はキャラクターが増えるほど物語の面白さが増している
キャラクター同士の掛け合いから生まれる心理描写、少しずつ変わっていくキャラクターが
きれいな背景作画と「豊富な表情」の描写でよりキャラクターへの愛着を強めることが出来る
話が進むたびにキャラクターの変化がしっかりと感じることが出来、
キャラクターの立ち位置もしっかりとしたものになっていく。

日常ストーリーを1つずつ積み重ね、丁寧にキャラクターを出し、
しっかりとキャラクターを使い「作品の世界観」と「空気」を作り上げている
無駄なキャラクターや、かぶっているキャラクターが居ない。
それぞれのキャラがそれぞれの立ち位置で影響し合い、徐々に成長ていく物語は地味ではあるが、面白い。

それだけに序盤から中盤までの淡々とした描写や刺激に欠けるストーリーのせいで
1話で見るのをやめる方や変わらない感じの内容に見るのをやめてしまった方が居るかもしれない。
だが、できれば6話くらいまで見てほしい。
メインのキャラクターが揃う6話あたりまでストーリーを見ると、
不思議とこの作品の世界観とキャラクターが好きになってるはずだ。

全体的に見て地味ではあるが面白い作品だ。
序盤から終盤まで基本的にストーリー自体は淡々とした日常ものなのに
話が進むほどキャラクターに愛着がわき、話が進むほどキャラクター描写が深まっていく、
結果としてキャラクターにどんどん魅力を感じ、淡々としたストーリーが面白いと感じるようになっていく
丁寧なストーリーの積み重ねが結果として作品全体の面白さに繋がっているといえる作品だ

はっきりいってしまえば、この作品は深夜アニメ向きじゃない
それこそ朝や夕方の子供向けアニメとしても全然問題なく、
NHKなどで放映して問題ないほど健全な日常ものだ。
さりげない日常描写の中できちんとキャラクターの成長も描けており、
神社に本当に銀太郎のような「狐」がいるかもしれないと感じさせるほど雰囲気作りが素晴らしい作品だ

それだけに大きいお友達向けの深夜アニメで放映されてしまったことが残念でならない。
原作ストックの問題もあるのだろうが、朝や夕方などで1クールではなく4クールくらい
がっつりと彼らの暖かい日常ストーリーを味わいたいと感じる作品だ

だが、逆に淡々としすぎた日常描写は好き嫌いが分かれやすい。
狐や亀などしゃべる神の使いが何匹も現れるが戦闘シーンのようなものは一切なく、
いわゆる「萌え」的なシーンやセクシーなシーンはない。
健全な少しファンタジーな日常アニメであり、刺激が少なく地味だ

地味なだけに作品としての面白さが伝わるのが物語中盤以降というのも好き嫌いが分かれやすいポイントであり
伝わったとしても地味であることは変わりがない。
キャラクターが魅力的だからこそ淡々としたストーリーが面白いと感じるが、
そのキャラの魅力がしっかりと分かるのは中盤からであり、
そういった意味でも今から見る方はできれば4話くらいまでは様子を見ていただきたい。

自然なキャラクターの魅力、自然なキャラクターの可愛らしさ。
この作品にはアニメ特有のへんなわざとらしさがなく、
そういったものを見ていくうちに自然と面白い感じることが出来る作品だ
じわ・・・・じわ・・・じわ・・・と面白さが沸き上がってくるといえばわかりやすい
メインのキャラからゆっくりとキャラ描写を深めていき、
終盤ではモブキャラとしか思ってなかった「運転手」までスポットが当たる。
それがきちんとストーリーの積み重ねの結果としての「運転手のストーリー」だからこそ
この作品を面白いといえる要因になっている。

それだけに1クールで終わってしまったことがもったいない。
ただ1クールだけでも物語を「しんみり」と締めており、
最後の最後までしっかりとこの作品の暖かさを味わうことが出来た。

だが残念なことにDVDの売上がかなり厳しい。
アニメによる原作の売上アップ効果で2期があるかもしれないが可能性は薄いだろう
面白い作品なだけに2期の可能性が低いのは残念でならない。

個人的にはヒロインの父親が3話で「グロい」セリフをさらりと言ってしまうシーンがお気に入りだ(笑)
亀が車に轢かれる様子をあれだけ鮮明かつ明るく説明し、
それがギャグになってしまうはギリギリのシーンだろう、ヒロインの父親は終始良いキャラクターだったw

余談ですが2期がないことをみこし、原作を購入してしまいました
あとどこかのメーカーさん「ハル」のぬいぐるみ販売してもらえないでしょうか
あのモフモフ感を味わいたい・・・w