日常

時季(とき)は巡る~TOKYO STATION~

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評価/★★☆☆☆(36点)

あくまでも東京駅のPVアニメ

本作品は開業100年目を迎える東京駅の記念として制作された
短編アニメーション。
YOUTUBEなどで公開されており、5分ほどの作品だ

見だして感じるのは背景描写だろう。
制作会社がA-1 Picturesということもあり、
しっかりした「背景の作画」は短編アニメーションという短い尺の中でも雰囲気を出しており、
「東京駅」という日本にある駅の中でも独特の雰囲気のある場所を鮮明に描いている。
キャラクターデザインもいわゆるアニメ慣れした人以外も見ることが考慮されたデザインだ

ストーリー的には東京駅で働いていた父親が亡くなった後に形見の時計をもらったヒロインが
父が働いていた思い出の場所を巡りながら、
父親との思い出や父親の事を考えてストーリーが進んでいく。
ただ、5分という枠では深い感動要素や劇的なストーリー展開が生まれているわけでもなく、
あくまでも無難に「東京駅」という場所でアニメを作ってみたという印象だ。

言い方は悪いがアニメーション専門学校でそこの学生が卒業作品で作ったような
ストーリーのレベルで、短編アニメーションで描写するストーリーの良さが出ているとはいえない。
それこそ尺がもう少しあったらストーリーにも面白みが生まれそうなのだが、
「東京駅をアニメで描写する」という目的に縛られすぎてしまい
東京駅の中と東京駅の外見を描写することに集中しすぎている。

作画自体は確かにプロの仕事で、ヒロインを演じられている「吉田聖子」さんの声質が素晴らしく
彼女のナレーションと背景作画の雰囲気のお陰で見れる作品にはなっているのだが、
はっきりいってしまうと印象に残らない。
同じ内容を実写で撮影してそのままアニメにしてみましたというような雰囲気も感じられるほど
雰囲気が「実写実写」しており、アニメーションの良さ、
アニメで作ることの意味をあまり感じられなかった。

全体的に見て雰囲気は素晴らしい。
東京駅という舞台の作画、ヒロインの声優、BGMが織りなす雰囲気は非常に素晴らしいが
その反面で「実写」らしさが出てしまっており、アニメーションとしての面白さがない。
東京駅という場所をアニメで描写するためのアニメであり、
それ以上でもそれ以下にもなれなかった作品という印象だ。

あくまでも「東京駅」のPVアニメであり、1つの作品として
この作品らしい特徴が「東京駅」という舞台以外で感じられなかった
5分ほどの短編アニメではありがちなストーリー以外を求めるのは厳しいところだが、
見ている間に見ている側の「感情」が刺激されず、淡々と見てしまう感じが強い
もう一歩ストーリーが練られていれば感動に繋がったかもしれないが、
そのもう一歩がなく、雰囲気でごまかしている感じが強い

ストーリーの中で「おぉ!」となる部分や
背景作画の中で「こんな所も描写するのか!」というような驚きはなく、
あくまでも無難なストーリーとあくまでも無難な部分の描写になってしまっているのは残念だ
ただ5分ほどの短編アニメで無難以上の出来栄えを求めるのは厳しすぎる意見だ、
逆に言えば「それなり」によく出来ている作品でもある。

ちょっと厳しい意見になってしまったのは逆にこれは私が「普段アニメを見すぎている」のも原因かもしれない。
普段あまりアニメを見ない人なら「アニメで描かれる東京駅の雰囲気」と「BGM」、
そしてヒロインのナレーションの雰囲気でストーリーを素直に受け入れることが出来、
感動することが出来るかもしれない。

私はアニメを見過ぎたせいか「雰囲気でごまかしている」部分が気になってしまい、
その雰囲気も5分という尺の中で作品の世界観に飲み込まれるほどの高い完成度では
なかったからこそ、アニメを見すぎている私には雰囲気の良さとストーリーが
響ききらなかった印象だ。

本当に個人的な意見だが同じ舞台、同じ内容でも「新海誠」監督なら
どういう作品になるのだろうかという考えが見終わった後に浮かんでしまった。
新海誠監督の短編アニメの完成度が他の短編アニメに比べて
雰囲気作りにおいては郡を抜いているため、そういう考えが浮かんでしまったのかもしれない。
この作品を見た後にもう1度この作品を見るのではなく
新海誠の作品が見たくなる・・・そういった意味では不思議な作品でした(苦笑)

「」は面白い?つまらない?

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