日常

「女子かう生」レビュー

日常
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評価 ★★☆☆☆(21点) 全12話

あらすじ 残念美人のもも子を中心に、クール系メガネのしぶ美&癒し系ちびっ子まゆみの3人が過ごす楽しい高校生活♪引用- Wikipedia

サイレントなアニメという試み

原作はWEBコミックアクションにて連載中の漫画作品
監督は佐々木勅嘉、制作はアニメーションスタジオ・セブン
1話5分ほどの短編アニメ

完全サイレント


引用元:©若井ケン/双葉社・「女子かう生」製作委員会

この作品はかなり挑戦的な事をしている。
なにせ、一切キャラクターたちが喋らない。
描かれてる内容は女子高生のなんて事のない日常であり、
登場人物もこの手の日常アニメを2.3作品見れば
同じようなキャラがいると言えるほど普通のキャラクターだ。

そんなテンプレータ的かつ特徴など一切ないキャラクターの
なんてことのない日常がサイレントで描かれる。
キャラクターたちにセリフらしい台詞は一切無い。

一切台詞がないからこそキャラの動きと表情と、
漏れ出てくる息づかいや台詞ではない呻きなどで
キャラの心情を見てる側が読み取る事で作品として成立している。
非常に面白い試みだ。

わずか1話5分の女子高生の日常アニメで
この作品はチャップリンのような事をしようとしている。
かなり大胆かつ挑戦的な作品だ。

サイレントなシチュエーション


引用元:©若井ケン/双葉社・「女子かう生」製作委員会

ただ、サイレントの意味があるのか分からない時が多い。
例えば女子高生が朝の占いで悪い結果がでる、
その結果通りに不運なことが日中起こるけれど、
友達のおかげで最悪なことにはならなかったという話がある。

この話の中でカラスに襲われかけたり、
空き缶で転けそうになったりとアクションシーンもあるのだが、
その動きが特別面白いわけではない。
サイレントだからこそコミカルな動きによる面白さを追求すべきだがやや甘い。
試みは面白いだが、サイレントであることの良さを作中で活かしきれていない

これでシチュエーション的にも声が出しづらい中での
日常ならより面白かったかもしれない。
作中では「電車」のように声を出さない、出せないシチュエーションの話もあり
そういうときは「サイレント」である異意味合いもきっちりとある。

しかし、今作ではあえて声が普通に出せる場所でも
声を出していないからこその違和感も生まれてしまっており、
あえてサイレントにこだわってる意味がよくわからないときもあるのが
残念でならない。

フェチズム


引用元:©若井ケン/双葉社・「女子かう生」製作委員会

1話5分、しかもサイレントな作品だが妙に
フェチズムあふれるシーンが有る。
特に「太もも」の描写には強いこだわりがあり、
太ももが活かされるストーリー展開やシーンも多い。

ただ、そのフェチズムめいたシーンもこの作品の雰囲気の中では微妙だ。
あくまでも日常かつまったりとした雰囲気で描かれる作品なだけに、
そこに「エロ」が差し込まれるとその雰囲気が少し壊れてしまう。
妙にアップになる下半身や胸の大きなキャラの胸の描写など
ややセクシーな描写は好みが分かれるポイントかも知れない。

直接的な描写こそ無いが「下着が見えそうになる」というシーンも何度かあり、
このキャラクターデザイン的にそんな露骨なセクシーなシーンが
あまり似合わないのが残念なところだ。

最終話


引用元:©若井ケン/双葉社・「女子かう生」製作委員会

最終話のラストシーン、主人公が帰宅するシーンでこの作品は終わる。
他の日常作品ならばなんと事ないシーンだろう。
しかし、この作品はある意味衝撃的展開だ。

なにせ主人公が「ただいまー」と普通に喋って終わる(笑)
1クールサイレントを続けてきたのに、
あえて最後に喋らせるという展開はたしかに面白くはあるのだが、
この作品の醍醐味である「サイレント」であるという
前提を崩して居る部分でもあり、賛否が分かれるポイントかも知れない。

これが1クールでなく、2クールや4クールくらいの溜めがあっての
ラストの一言ならもっと効果的にこの仕掛が作用したかもしれないが、
1クール1話5分にも満たない尺だと、
作品の根底を崩すようなラストのし掛けとしてはやや溜めが足りない感じで
終わってしまった感じだ。

総評:試みは面白い


引用元:©若井ケン/双葉社・「女子かう生」製作委員会

キャラクターたちに一切セリフがないサイレントアニメという
試み自体は非常に面白かった。
しかし、その試みが作品の中で効果的に作用してる話が少なく、
「喋れない」環境での女子高生の日常ではなく、
敢えて「喋らせない」女子高生の日常になってしまってるのが残念だ。

ただ、ほんわかとした作品の雰囲気は悪くない。
キャラクターもテンプレート的でありながら1クール終える頃には
馴染み深いキャラクターになっており、1クールではなく
もっとこのサイレントアニメを見たかったと感じさせる魅力はある。
2クール、4クールと続けて最後にあのラストの展開を見たかった。

そう感じる魅力のある作品であり、色々と惜しいと感じてしまう。
サイレントアニメという要素は新しいが、新しいだけで、
それが面白さに直結していないのが最大の欠点かもしれない。

個人的な感想:評価が難しい


引用元:©若井ケン/双葉社・「女子かう生」製作委員会

雰囲気やサイレントな点など面白い部分は多かったが、
なんともいい難い作品だ。

「となりの関くん」のように授業中だからこそキャラ同士の会話はなく、
ヒロインの心情のみで物語が展開していく作品もあったが、
あの作品もある意味でサイレントな作品なだけに方向性としては似ており、
「喋ってはいけない」というシチュエーションも授業中だからという
舞台設定がきちんとあった。

しかし、この作品にはない。
敢えて喋らせないことが面白さになってるのか?と疑問に思う部分もあり、
1話5分なら数えるほどのセリフ量であることも考えると、
普通にセリフがあっても同じような面白さだったのではと思ってしまう。

BDでは「アドリブセリフ付き本編」が収録されてるようで
それはそれで逆に気になってしまう(笑)
アドリブとはいえ台詞があるバージョンと無いバージョンを
比較してもう1度見てみたら評価が変わる作品かもしれない。

「」は面白い?つまらない?

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