日常

セルフ二次創作「mono」レビュー

3.0
monoi 日常
画像引用元:©あfろ/芳文社・アニプレックス・ソワネ
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評価 ★★★☆☆(56点) 全12話

TVアニメ「mono」ってこんなもの!<第1弾PV>|2025年4月放送開始!

あらすじ 写真部の部長・牧之原の卒業により部員の雨宮さつきは意気消沈していたが、友人でもう1人の部員の霧山アンからの激励により部を再興させる決心をする。 引用- Wikipedia

セルフ二次創作

原作はまんがタイムきららキャラットで連載中の漫画作品。
監督は愛敬亮太、制作はソワネ

夢中になれるもの

主人公は高校生になったばかりの女の子だ。
中学生では特に何かをしていたわけではなく、
「夢中になれるもの」が彼女にはない。
そんな彼女は入学式で写真を取っていた部長に憧れ、
写真部に入ることになるというところから物語が始まる。

シンプルな導入ではあるものの、この手の日常+趣味な作品としては
もはや使い古された導入なのだが、そんな憧れた部長があっさりと卒業してしまう。
主人公は写真部としての1年間、部長ばかりを撮っていた、
「撮りたいもの」というのが今の彼女にはない。

そんな主人公のことを好きな霧山 アンもまた
主人公と同じく写真部に入り、1年間、主人公のことを撮影しつづけている(笑)
原作はゆるキャンと同じくあfろ先生であり、
そんなあfro先生らしい可愛らしいキャラクターの日常は
緩く優しくくすくすと笑える。

1話からかなりスピーディーな展開だ。
写真部の部長に憧れて写真部に入る、普通の日常アニメならここまでで1話だ。
しかし、そんな導入は5分ほどで消化し、
オークションでカメラを落札して受け取りに行くと、
駄菓子屋な漫画家のお姉さんと出会い、そんな漫画家なお姉さんの漫画の題材になる。

ものすごい慌ただしい1話だ。
漫画家な女性の漫画のネタになる、アクションカメラを使うJKの日常を
漫画にするという「メタ的」な要素も面白く、
そんな漫画家なお姉さんのねたになるために様々な場所に
写真を取りに行くことになる。

部長が居なくなったことで「カメラ」というものに向き合い、
ほんとうの意味で夢中になれるものを1話で主人公は見つける。
色々なカメラで、色々なものを撮ってみたい、
まだ見ぬ写真を、日常を主人公は求めてゆく。

映画研究部

2話なると廃部を防ぐために映画研究部と合体する(笑)
1話の展開も怒涛だったが、2話も予想外の展開が多く、
奇想天外な展開とキャラクターたちのノリと会話のテンポが心地よい。

日常の中の「カメラ」をテーマにしており、
主人公たちの部活動としての写真を撮るためのカメラや
映画を撮るためのカメラだったり、2話ででてくる
漫画家の友人は「モトブログ」を撮るためにカメラを使っている。

カメラはあくまで道具だ。
カメラは写真も動画もいつでもどこでも自由に取れる。
様々なカメラがあり、その用途は様々な。
そんな様々な用途をキャラを変え視点を変え毎話のストーリーに仕上げており、
カメラのそばにある日常を1話1話丁寧に描いている印象だ。

そんな日常の中で「山梨が舞台のキャンプ漫画」の聖地巡礼をしたりする。
ものすごいメタ的なエピソードだ。
同じ原作者の漫画作品の聖地を同じ原作者の漫画が原作のキャラが
巡礼する様子を我々が見ている(笑)

カメラで撮影し美しい景色を残すことはできる。
だが、リアルに見るのには叶わない。
いくら高画質になっても、VRなどが発展しても、
「その場所に実際に行って見る」感動には叶わない。

様々な場所に赴き、それを体感していく。
カメラがテーマでありつつも、そんなメッセージ性を感じる作品だ。
カメラは撮影している人が見ている景色を切り取るものだ、
だからこそ「日常」というジャンルとは合っているのかもしれないと感じさせる。

様々な場所に訪れるキャラクターたちの日常を、時折、
色々な「カメラの目線」で見せてくれることで、見ている側が
彼女たちの日常をカメラをとしてみているような感覚になり、
同時に映像の新鮮さも生まれる。

日常アニメの1つの魅力である「背徳感」も感じさせてくれる作品だ。

あくまで日常

この作品はあくまで日常アニメだ、
いろいろな場所にメインキャラが訪れたり、
彼女たちのなんてことのない日常を淡々と描いている。
中盤になると新しいキャラが出てきたりと、
マンネリを防ごうとしているのを感じるストーリーが中盤からでてくる。

ただあくまで主人公と同じ部活の二人、そして漫画家とその友人の
5人がメインキャラとして描いており、
その5人の日常を1話1話積み重ねている。

エピソードによっては主人公不在なこともあるくらいだが、
それでも話がきちんと成立するのは、
きちんとメインキャラの5人がキャラ立ちしているからであり、
サブキャラに至るまでしっかりと愛着が湧く。

1話あたり2エピソードずつ
展開することによって話も間延びせずにダレることも
マンネリを感じさせることもなく描いている。

日常アニメは一歩間違えばダレる、一歩間違えばマンネリになる。
その1歩を間違えずにまっすぐに進んでいる印象を受ける。

名所巡り

ただ中盤くらいからカメラ要素はどんどんと影を潜め、
いろいろな名所をひたすら巡っているだけな印象を受ける話も多い。
山梨や長野、あのあたりの周辺をひたすら巡る、
その中で色々とカメラなどを最低限絡めてはいるものの、最低限だ。

楽しいことをしていると夢中になってしまって写真を撮ることを
忘れたなんてことは現実でも多いが、
まさにそんな感じで「カメラ」の要素は思った以上に薄くなり、
中盤からは完全に旅アニメだ。

それが面白くないとはいわないのだが、主軸が薄まっている感じもあり、
「ゆるキャン」はキャンプをしに行く物語だからこそ、
色々な名所や名物料理が毎回訪れてでてきても違和感はなかった。
しかし、この作品は本来はカメラが主軸であり、
そのカメラをやや強引に使って旅をさせている印象だ。

それでも旅の中で感じたことを、かけがえのない青春の日々を

ゆるキャン

心霊ネタも妙に多いのだが、
たまに同作者の「ゆるキャン」のキャラがさり気なくでてきたりもする。
序盤でメタ的に「ゆるキャン」を出していたのだが、
メタですらなくガチでゆるキャンのキャラがでてくると、
そこに頼りすぎている感が強くでてしまっている。

これで同じ世界のスピンオフならばわかるのだが、
この世界ではゆるキャン的な漫画が存在するという設定になっているからこそ、
やや意味がわからない感じになっている。

ゆるキャンでも訪れた場所や、ゆるキャンのキャラがでたりと、
「二次創作」的な作品になってしまっている感じがある。
ちらっとサービス的にでてくるならばまだしも、
作品全体として「ゆるキャン」に頼りすぎている感は否めない。

ゆるキャンと同じく「水曜どうでしょう」ネタも多く、
ややワンパターン感が生まれている。

映画

終盤、部活動として映画を撮ろうということになる。
彼女たちの部活は写真部と映画研究部が合体したものであり、
そんな部活動としての成果を残そうとしている。
映画を撮影する中で終盤の11話で幽霊部員であり
新キャラが投入されるのはかなり大胆なストーリー構成だ。

彼女たちが撮るのは「ホラー映画」であり、
1クールの中で心霊ネタをこすり倒していたのも
終盤で作用しているとは言えなくもない。

1クールの中での主人公の成長、変化も感じさせるラストは
きちんとした区切りも生まれており、
やや気になるところはあるものの日常アニメとして
しっかりと腰を据えて楽しめる作品だった。

総評:セルフメタアニメ

全体的に見て「ゆるキャン」の作者らしい雰囲気を
きちんと感じさせるアニメになっており、キャラクター描写や
ストーリーなど安定した日常作品を作り上げている。

ゆるキャンと違い、この作品はカメラが主軸であり、
序盤はそんなカメラネタも多く、独自性が出ているのだが、
中盤からはカメラよりも日常、日常よりも観光という感じになっており、
このあたりは好みが分かれる要素かもしれない。

心霊ネタや水曜どうでしょうネタ、ゆるキャンネタなどもかなり多く、
特にゆるキャンネタに関しては、ゆるキャンの
キャラクターそのものをがっつり出してしまっているのは、
メタ的なネタを超えて、セルフ二次創作のようにすらなっている。

その当たりがやや気になるところではあるものの、
写真部と映画研究部が合体した部活に所属する女の子の日常としての
成長と変化も1クールできちんと描かれており、
肩の力を抜いて楽しめる作品だった。

個人的な感想:日常アニメ

今年は本当に日常アニメが多い、
どれもこれも特色がきちんとあり、きちんと区別化されている。
日常アニメブームが終わりもうだいぶ経つ印象だが、
そんなブームが終わったなかで、あえて日常アニメをやるという
意気込みがあるからこそ面白い作品が多いのかもしれない。

今後も様々な日常アニメが生まれることを期待したい。

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