「ゆるキャン△」レビュー

5.0
日常
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評価 ★★★★★(86点) 全12話

あらすじ オフシーズンの一人キャンプが好きな女子高校生の志摩リン。リンが富士山の麓で冬の一人キャンプを楽しんでたところ引用- Wikipedia

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ここをキャンプ地とする

原作は「まんがタイムきららフォワード」で連載中の漫画作品。
監督は京極義昭、制作はC-Station

一人キャンプ

1話冒頭からまったりとした雰囲気が流れている。
一人の女の子がキャンプ地へ向かい、そこでテントを立てる。
たった一人だ。そこには誰もいない。
手際よくテントを組み立て、手際よく準備をし、手際よく焚き火を起こす。
そこにトラブルのようなものはない。

淡々とかつ、何の盛り上がりもないキャンプ模様だ。
強烈に笑えるポイントや萌えれるポイントがあるわけでもない、
キャラクターデザイン的にもいかにもな萌えキャラではなく、
いわゆる一般受けしやすいキャラクターデザインだ。

安易なセクシー描写があるわけでもない。
本当にただ女の子がキャンプしてるだけだ(笑)
驚くほど淡々と見せられるキャンプ模様になぜだか笑ってしまう、
淡々とだが丁寧に「キャンプ」を描いている。

キャンプの細かい建て方など、他作品でキャンプシーンを描くにしても、
ここまで細かくは描かないだろう。
冬の時期の人が少ないキャンプ地でのキャンプをじっくりと描いている。
松ぼっくりを集め、薪を集め、火をつける。

ナレーションに大塚明夫を起用しており、
女の子のひとりキャンプの模様を彼のダンディな声でナレーションすることで
何故か笑えてきてしまう。

そして飯、まず描かれるのは「カップラーメン」だ。しかもカレー味。
寒い中で美味しそうにラーメンを啜る姿は可愛らしく、
正直、同時期に放映していた「ラーメン大好き小泉さん」よりも
ラーメンが食べたくなるほどうまそうだ。

この作品の基本はコレである。
山へいき、キャンプをし、飯を食べて終わる。
そこになにか大きな事件やストーリーが展開するわけでもない。
あくまでも「キャンプが好きな女の子の日常」が描かれており、
それ以上でもそれ以下でもない。

変わらない日常のちょっとした変化

いわゆる日常系と呼ばれる作品は変わらない日常を楽しむ作品だ。
その1点をブレずに集中して掘り下げ、細かく描くことで、
きちんとした雰囲気作りができており、
話が進めば進むほど一人ひとりのキャラクターの魅力が深まっていき、
この「ゆるいキャンプ」を一緒に味わえる。

本来はもっと別の要素を入れるだろう。
それだけでは話を膨らませきれず、マンネリになるからだ。
しかし、この作品は他の要素を入れない。
キャラクターも無駄に増やさず、メインのキャラとサブキャラの区切りを
しっかりとつけ「徐々に変化」していく彼女たちの心情を感じられる。

この作品の主人公である「志摩 リン」はキャンプが好きな女の子だ。
しかし、他人とワイワイと楽しむキャンプではなく、
「一人で」するキャンプが好きな子だ。
他人と関わることはあまりせず、友人も少なく、
キャンプをするときも一人だ。

彼女にとっての変わらない日常、そんな日常に変化が訪れる。
それが「各務原 なでしこ」だ。彼女は元気な女の子だ(笑)
山梨に引っ越してきたばかりの彼女は山である種の遭難をしており、
そんな中で「志摩リン」に出会うことで物語が動き出す。

2人が出会ったことで徐々に2人が変化していく。
この「変化」が本当に繊細だ。
独りが好きな女の子と一緒に楽しみたい女の子、
対照的とも言える2人が徐々に、本当に徐々に「仲良く」なっていく。
この作品のストーリーの芯はそこであり、急激に進むわけではない。

たまたまであった2人の少女が一緒に何かを食べたり、
一緒に寝たりする中でゆっくりと関係が変わっていく

君の名を

「各務原 なでしこ」は「志摩リン」と出会ったことで
キャンプの魅力にハマっていく、それまでキャンプをシたことがなかった彼女が
たまたま出会った「志摩リン」とのキャンプで、その楽しさにハマり、
学校で「サークル」に入り、どんどんキャンプにハマっていく。

「志摩リン」にも変化が訪れていく。
彼女は「一人」が好きな女の子だ。それゆえに、
なでしこにサークルに誘われても怪訝な顔を浮かべるほどだ。
しかし、そんな彼女に「なでしこ」はガンガンと迫っていく(笑)

いきなり「志摩リン」がキャンプをしているところにやってきて鍋をする。
そんな強引な行動から、二人が仲良くなり、名前を呼ぶ。

「起きなよ、なでしこ」

他の日常アニメでは1話で済ますような些細なシーンでしか無い。
だが、この作品はそんな些細なシーンすらも決定的なシーンであり、
彼女が彼女の名前をささやくように言っただけで、
見てる側のテンションが上がり、仲良くなってることを感じさせる。

たまたま出会って、LINEで交流するようになり、お土産を渡す仲になり、
二人でキャンプをしに行き、みんなでもキャンプをする。
文章ではたった2行のできごとを1クール掛けてゆっくりと描いており、
この丁寧さが染み渡るような面白さを醸し出している。

特に「LINE」というコミュニケーションツールの描き方は
この作品だからこそのものとも言える。
一緒にキャンプをしていなくても、ネットがつながっていれば
いつでも会話でき、いつでも自分が見た光景をそのまま相手に写真で伝えられる。

現代的な少女たちの、今だからこその「交流」の描き方を、
「LINE」という媒体の描き方は印象的だ。
ただの文字のやり取りでしか無い「LINE」を
登場人物たちに読ませることによって温かみを生み、
彼女たちのLINEの交流をこっそりと覗き見てるような感覚にさせてくれる。

初心者

なでしこは、キャンプ初心者だ。
そんな彼女だからこそ、ときには志摩リンに教わりながら、
ときには野外サークルのみんなに教えてもらいながら、
キャンプの知識をつけていく。

彼女がいることでキャンプの知識がない人でも、
彼女と同じようにキャンプについて知ることができ、
思わず見たあとにキャンプをしたくなるような
そんなキャンプ導入アニメとしての優秀さも感じさせる。
事実、このアニメの放送のあとに多くのオタクたちが
キャンプ場に足を運んだのは言うまでもない笑

そんなキャンプの雑学や知識を描く一方で、
志摩リンはのんきに一人キャンプをしている。
仲良くなったからと言って常に一緒にキャンプをするわけではない。
友達の時間と、自分の時間は別だ。彼女はそれを割り切っている。

なでしこが野外サークルのキャラたちとキャンプ初心者だからこその、
あるあるや活動を描きつつ、
同時に志摩リンのひとりキャンプの様子を描くことで、
バランスのいい作品に仕上がっている。

中盤からは原付の免許を取ったことで行動範囲を広がり、
自由にどこでもキャンプをしにいく彼女の姿に
愛おしさすら感じてしまう。

そんな愛おしさを後押ししているのが料理の描写だ。
カップラーメンや、餃子鍋、スイーツ、アイス…
キャンプの中で彼女たちが食べるものが本当に美味しそうで、
思わずよだれがたれてしまいそうになるほどだ。

山のそばでやることが多いキャンプだからこそ、
そこには「温泉」もつきものだ。
他の日常アニメでの温泉シーンはサービス回だが、
この作品の場合はそういった邪な目ではなく、
純粋に温泉が気持ちよさそうに見える描写になっており、
思わず箱根あたりに今すぐ行きたくなる気分にさせてくれる。

もっとも着替えシーンなどでの
下着の描写など妙に凝っているのはご愛嬌だろう笑

変化

この作品確かに変わらない日常が描かれている。
しかし、変化がないわけではない。
決してテンポが悪いわけではない。
毎話のように実際のキャンプ地へキャラクターは足を運んでおり、
色々なキャンプ地で色々なものを食べ、
色々なキャンプ道具を使う姿を見せてくれる。

だからこそダレない。
テンポの悪さも感じず、マンネリ感も出ない。
ただキャンプをして、ただ女の子が仲良くなっていってるだけだ。
しかし、そんなシンプルな要素をきちんと掘り下げ丁寧に描写するからこそ、
この作品の見所が見てる側にきっちりと伝わり、そこに夢中になれる。

そんな中での変化。
志摩リンという少女は「一人」が好きな少女だ。
友達はいるものの、キャンプに誘うわけでもない。
キャンプは一人で楽しむもの、それは彼女がキャンプ道具をもらった
祖父のスタイルなのかもしれない。

それゆえに最初はなでしこも少し警戒しており、
なでしこが野外キャンプサークルに入っても、
そんなサークルのメンバーとキャンプをする流れにはなかなかならない。
しかし、そんななでしことの交流の中で
「誰か」とキャンプをする面白さと楽しさに気づく。

一人のキャンプは一人のキャンプの、
みんなでやるキャンプはみんなでやるキャンプの面白さがある。
彼女がそれに気づき、みんなと一緒にクリスマスキャンプをやる姿は
1話の志摩リンからは想像もできなかったことだ。

「なでしこ」との出会いが彼女を変えたことを感じさせる
ストーリー構成の素晴らしさ、1話と最終話で
きっちりとキャラクターが成長し、変化しており、
それをしっかりと感じられる。
全12話という尺を本当にうまく使っており、ゆったりとしたテンポなのに、
無駄のないストーリー構成は最後の1シーンまで楽しむことが出来る作品だ。

総評:そうだ、キャンプをしよう

全体的に見てよく出来た作品だ。
「キャンプ」という本来はアニメ映えしにくい要素を、きちんと掘り下げ、
丁寧に背景を描写し、その中で二人の女の子が徐々に仲良くなり、
独りでしかキャンプをしなかった少女がみんなとキャンプをするように
なるまでの過程を1クール掛けてしっかりと描いていた。

この作品はあえて例えるなら「TVの旅番組バラエティ」だ。
お笑いやドラマではなく、芸能人が地方におもむき、
そこの料理を食べ、地元の人とのトークで癒やされる。
そんなTVの旅番組をアニメ化したような作品だ。

ゆく先々の絶景、美味しそうなご飯の数々、
キャラクターの生き生きとした表情、まったりとしたストーリー展開。
全てが「ほどよい塩梅」で作られており、
ストレスフリーでほっこりと最初から最後まで見れる作品だ。

ただ、その反面で地味さはある。
1話の雰囲気が気に入れば最後まで見ることができるが、
1話の雰囲気を退屈に感じたり、面白いと感じなければ
飽きてしまう作品だろう。
逆に言えば1話を気に入れば最後までしっかり楽しめる作品だ。

個人的な感想

個人的にはツボな作品だった。
キャンプ自体に何1つ興味がない私だが、
それでも「キャンプ楽しそう」と感じさせてくれるほど雰囲気がよく、
所々に感じる「水曜どうでしょう」っぽさが、
水曜どうでしょう好きにはたまらないポイントだろう(笑)

本当に余談だが、
最終話で本当に水曜どうでしょうが出てくるは思わなかった。
あのカブにまたがる姿がまさかアニメ内で見れるとは思わず、
ちょっとテンションが上ってしまった(笑)
知らない人には何1つ伝わらないネタだろうが、
あえて作中に盛り込んだ制作陣を個人的に称賛したい。

「ゆるキャン△」は面白い?つまらない?

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  1. 匿名 より:

    不躾ながら訂正させて頂くと、現在はCOMICFUZにて移籍連載中です。

    5.0 rating