それでも町は廻っている

2016年6月29日

評価/★★★★☆(69点)

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これぞリアルな日常系。
憎たらしいまでに生々しい女子高生の日常アニメ

本作品は「ヤングキングアワーズ」で連載中の漫画作品。
制作会社はシャフト、監督は新房昭之

見出して感じるのは独特の空気感だろう。
主人公である歩鳥がバイトをする喫茶店で同級生との何気ない会話のシーンがあったかと思えば
学校で先生に怒られ、同級生と話す。
そこに強い「ギャグ」要素や強い「萌え」要素は一切ない。
淡々と、ひたすら淡々と主人公である「歩鳥」の日常を描いている。

ストーリー的にはちょっとお馬鹿な歩鳥を中心として、
彼女の周り取り巻く商店街の面々や、クラスメイト、兄妹など独特のキャラたちが
歩鳥といっしょにドタバタと何かを起こすものになっている。
メイド喫茶でドタバタと普通の話したり、おつかいをしたり、夜中に抜け出したり、
コインランドリーでうどんを食べたりと本当に普通の女子高生の日常だ
そこにアニメ的な要素は少ない

キャラクター的に見てもほんの一部のキャラクターを除いて生々しすぎるキャラクターデザインだ
決して美人ではない主人公「歩鳥」、美人で胸も大きい「」、
ハッキリ言って不細工な「」、キツイ顔のと普通の日常アニメならば不可欠といってもいい
美少女キャラクターやイケメンキャラクターが殆どいない。
クラスメイトが30人いれば1人は美人は居るが、あとはだいたい普通か、不細工だろうという
作者の考えが読み取れるほど生々しいキャラクターデザインだ

その分、各キャラクターの「癖」は強い。
ぶっ飛んだ設定やぶっ飛んだキャラクターデザインこそないが、
「こういう人物が自分の周りにも居る」と不思議な共感すら生まれるキャラクターたちは
憎々しいまでにリアルで現実的だ
普通のクラスメイト、普通の商店街のおやじ、普通の弟妹。
普通なキャラクターたちだからこそ、それぞれのキャラクターの癖が生まれており
アニメ的な過剰なキャラ付けではなく、何気ない日常の中のキャラ付けが面白い

その面白さを「演出」が後押ししている。
シャフトという制作会社の癖、過剰なまでのキャラクターの独特な描写が
何気ない日常の中での「笑いどころ」を「アニメ的ギャグ」に強制的に変換しており、
その強引ともいえる力任せなギャグが面白い。
人によっては「くどさ」すら感じてしまうかもしれない
だが、このくどさと強引さに思わず「負けて」笑ってしまう瞬間がある。
悔しいかな面白い、強引なのに笑ってしまう、力任せなのに思わず声を上げてしまう。

ギャグアニメとは言いがたい、あくまでも日常だ
だが、日常アニメだからこそ「キャラクター同士」の掛け合い、
主人公である「歩鳥」のバカっぷりがギャグアニメではいのに笑いに繋がっており、
ギャグアニメではないはずなのにギャグになっている

基本的に日常系ではあるので、最初の一話が気に入れば最終話まで
一気に肩の力を抜いて楽しめる作品だ。
また、最終話には視聴者を思わず涙ぐませてしまう良いストーリーが展開されており、
それまでお馬鹿だったストーリーのギャップも手伝って、思わず涙がうるっと来てしまう
最終話の締め方としては非常に気持のいい終わり方で作品が締められている

全体的に見て独特の雰囲気を持っている作品だ
普通のアニメがドラマだとするなら、この作品はミュージカルのような
大げさだが独特の味のある雰囲気を醸し出しており、
この部分は制作会社のシャフトの癖のある演出が効いているといえるだろう

独特の雰囲気の中でハイテンションなキャラによる緩い笑いをませており
ストーリーももう一度見たいと思うほど何故か味のある作品に仕上がっている
地味ではあるが、面白い。面白くはあるがなんか地味。
だが地味なはずなのに「記憶」に残る強烈なクドイまでの演出が見れば見るほど癖になる

そのクドさと過剰な演出が人によっては嫌悪感を抱いてしまうかもしれない。
さらに言えば日常系であるがゆえに起伏が薄く淡々と日常を描いており、
その起伏の無さが「つまらない」と感じてしまう人もいるだろう。
だが、その起伏の無さをくどい演出で補っており、
この作品の「雰囲気」や「空気感」に馴染んでしまえば楽しめるだろう。

ただ、欠点も幾つかある。
後半では非日常的な話がいくつかあり、前半と雰囲気が違いすぎる部分があった
これは原作がこのとおりなのだから仕方ないのかもしれないが、
唐突に謎の「宇宙人」話が挟み込まれた時はあまりにも唐突過ぎて反応に困ってしまった

更に前半では場面の切り替えの際に「たぬき」が一言ネタのようなものを一瞬しゃべるが
あれは正直居らないんじゃないかと思ってしまう箇所がいくつかあった、
1話に1~2回ならば我慢できるが、流石に3回を越えると
小ネタの面白さよりもウザく感じる点も多く、人によっては嫌いな箇所かもしれない。

だが、女子高生の「日常」を生々しく、同時にきちんとしたキャラクター付けで
キャラクター同士の会話の面白さが作られており、
その会話の面白さを「演出」で後押ししている
きっちりとアニメーションとして面白い「日常」アニメだったといえるだろう

原作がマダ続いていることもあり、個人的に2期を期待したいのだが
売り上げ的に2000枚前後と非常に微妙な数字だ
更に「紺先輩」を演じていた「矢澤りえか」さんが声優を引退されてしまっている
もし2期があっても「紺先輩」は違う人が演じられるのかと思うと少し残念だ。

だが、個人的には強く2期を期待したい。ぽこ。