しらんぷり

2016年6月29日

評価/★★★☆☆(44点)

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見て見ぬふりをしてはいけないのは分かるが・・・

本作品はアニメミライ2012という企画の中の一本
監督は宮下新平、制作は白組。

見出して感じるのは強烈にくせのある作画だろう。
原作がいじめ問題をあつかった有名な絵本らしく、
「しらんぷり 絵本」で画像検索してもらえば原作の絵も見ることができるが
その原作の絵をそのまま動かしたようなアニメだ。
まるで鉛筆でそのまま書いたようなキャラクターデザインを動かしている。

原作の絵をそのまま動かすというのは単純なようで難しい。
この作品の原作の「絵」の荒々しさを
そのままアニメーションの中に取り入れたかったという制作側の意図も伝わり、
強烈なクセのおかげでメッセージ性が生々しく伝わる

この作品はいわゆる「学校の道徳の時間で見せられるアニメ」だ。
いじめを見て見ぬふりをする「僕」を主人公に添え、
そんな僕を見ている人に重ね合わさせるようにメッセージを取り入れている。
「いじめがだめ」「いじめが悪いこと」というよくあるメッセージではなく、
「いじめを見て見ぬふりをするのもダメなことなんだよ」というメッセージだ。

特にいじめっこが「僕」に対し「いじめを黙っていろ」と脅迫するシーンは
小学生という立場だからこその「凶器」と「狂気」が秘められており、
ちょっと怖いくらいなシーンだ。
「いじめっ子が怖い」「いじめっ子が最大の悪」という分かりやすい立場だが
その分りやすい「悪」を「悪」として強烈に見ている側に植えつける。

だが、その強烈なメッセージ性が娯楽としての「アニメ」の面白さがなくなってしまっている。
確かにこの作品は「いじめ」問題を扱ったアニメ作品として優秀だろう
しかし同時にアニメミライという企画において
この作品を私は少なくとも「劇場」という「大きなスクリーン」でみたいと思う
アニメ作品ではなかった

学校の道徳の時間に見せられたら子供の自分なら何かを思ったかもしれない。
もしいじめの現場を見ていたらなにか行動をしたかもしれない
そういう「子供」に対しての教育的メッセージ性は強い作品だが、
アニメとしての楽しさはこの作品では感じられなかった

全体的に見て久しぶりに「道徳アニメ」を見た感覚だ
いじめという難しい問題をアニメの中であえて原作の絵をそのまま動かすことで
癖の強さが同時に強烈なメッセージ性に繋がり、
見ている側に「いじめ問題」を強く意識させる素晴らしい道徳アニメだ

だが同時にアニメとしての面白さは少なく更に色々と都合のいい部分も多い。
中盤の「いじめっ子の反撃」など少し現実味がない部分など
話が進めば進むほど色々と変に「創作臭い」部分があるのも事実だ
ラストの主人公の卒業式での行動なども変に作られた作品臭さが強く
メッセージは伝わるのだがストーリー展開のわざとらしさも気になる作品だ

更に「いじめ問題」を投げかける作品なため明確な解決策などを示してはいない
主人公である「僕」の前に「いじめっ子」と「いじめられっ子」が出てきて
「僕」にいじめ問題を抱えさせる。
そんな僕の目の前に現れるおでん屋のおじさんが「しらんぷりはいけない」と諭すが、
このおじさんはしらんぷりしなかったために、自らの屋台を壊されてる始末だ

私が変にひねくれてるだけかもしれないが、
「しらんぷり」しなかった結果のおでん屋のおじさんが一番不幸になってしまっており、
どうにも腑に落ちない部分が残ってしまった。
このおでん屋さんがあんまり流行ってなさそうなだけに大人の立場で見ると
余計に色々と心配になってしまう

実際の学校の授業などでも流れてるのもの納得な作品だが、
同時に色々と気になる部分もある作品だ
個人的には「先生」がいじめ問題の解決に何も役立たない所が
妙にリアルだと感じてしまった(苦笑)