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登ったのは人間関係という険しい山「ヤマノススメ サードシーズン」レビュー

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評価 ★★☆☆☆(39点) 全13話

あらすじ 思いっきり山登りを楽しむ中高生山ガールたちを描いた『ヤマノススメ』。
待望の『サードシーズン』が、いよいよ開山!引用- Wikipedia

登ったのは人間関係という険しい山

本作品はヤマノススメの3期。
1期は5分枠で1クールだったが2期は15分枠で2クールだったが、
3期は15分枠で1クールとやや縮小された。
3期の前にOVAが劇場で先行公開された。
監督は山本裕介、制作はエイトビット。

4年ぶり。


引用元:(c) しろ/アース・スター エンタ―テイメント/『ヤマノススメ サードシーズン』製作委員会

前期から4年たってることもあり、当然「未視聴」の視聴者が居る。
それをきちんと意識してか1話は「キャラ紹介」をしており、
各キャラの立ち位置と作品の雰囲気がしっかり感じられる1話になっている。

「ヤマノススメ」らしい山の景色と山登りの様子をきっちりと描写しつつ、
過去を少し振り返りながら描かれる1話の印象は素晴らしく、
OVAで「がっかり」していたヤマノススメファンも、
ヤマノススメの面白さと魅力をしっかりと感じられる。

2期では断念した「富士山」へのリベンジを匂わせ、
3期への期待感を募らせてくれる。

オフシーズン


引用元:(c) しろ/アース・スター エンタ―テイメント/『ヤマノススメ サードシーズン』製作委員会

作中での季節が秋になっている。
当然、「登山」が主軸の本作品に置いて色々と厳しい季節だ。
リベンジを掲げている富士山も雪などの問題から「来年の夏」まで
先延ばしになってしまい、せっかく1話で期待感を上げておきながら
落とされてしまう。

そのせいか3期は「山登り」ではなく、
山を登る少女たちの「日常」が中心になってしまっている。
1期~2期にかけてきちんと山登りの楽しさや、
山登りの意味をキャラクターを通して感じることが出来たが、
3期はそういった「山登り」の要素が薄い。

序盤こそ登山靴を買ったり、その登山靴を試すために山登りするのだが、
序盤をすぎると日常描写がかなり増えてしまう。
1期や2期とはやや雰囲気が違う。

成長と世界観の広がり


引用元:(c) しろ/アース・スター エンタ―テイメント/『ヤマノススメ サードシーズン』製作委員会

3期では日常描写を中心にすることで、
より「ヤマノススメ」という作品のキャラクター描写を深めようとしている。
1番わかりやすいのは主人公である「あおい」だろう。
彼女はいわゆる「ぼっち」な女の子であり、
クラスメイトとはろくに喋ったこともない。

そんな彼女が何気ないきっかけから「クラスメイト」としゃべるようになり、
ひなたの手助けもあって、ひなた以外にも同級生の友だちができる。
ベタベタな展開ではあるもののぼっちだった彼女の「成長」がきちんと感じられる。
「山登り」を通じて成長した彼女だからこそ、
彼女の世界観が広がり、関係性が広がっていってる。

そして広がったからこそ、元々の関係性が揺らぐ。

ギスギス


引用元:(c) しろ/アース・スター エンタ―テイメント/『ヤマノススメ サードシーズン』製作委員会

終盤の7話からギスギスしっぱなしだ。いわゆるシリアス展開とも言える。
主人公である「あおい」にいろいろな友人が増えたことで、
幼馴染の「ひなた」とすれ違ってしまう。
電話だったり、予定だったり、さりげないすれ違いだ。
そのすれ違いが重なっていき、二人の関係性が悪くなっていく。

この話を5話も続けてしまう。正直引き伸ばしすぎだ。
他のアニメならば2話分の尺しか無い話ではあるものの、
ギスギスした雰囲気が放送ならば一ヶ月以上も続いてしまったことになる。

前半から序盤までの二人の関係性が嘘のようなキャラ描写の中で、
せっかく「珍しい組み合わせ」ででかけている話も、
素直に楽しみきれない。

キャラクター描写や関係性を深めるためにシリアス要素や、
ギスギスした雰囲気はたしかに必要な部分ではあるものの、
もう少しコンパクトに纏められなかったのかと感じてしまう。

終わりよければすべてよし


引用元:(c) しろ/アース・スター エンタ―テイメント/『ヤマノススメ サードシーズン』製作委員会

ただ、なんやかんやできれいに話をまとめて仲直りする。
シリアスな展開の長さと仲直りまでの道のりが長かったものの、
話自体は決して悪くない。あくまでも引き伸ばしただけだ。

キャラクターが成長し、世界観が広がり、新たな関係性が生まれ、
一難あって友情が深まり、また成長する。
二人が気まずくなり、色々あって仲直りをし、以前よりも仲良くなる。
ストーリーの流れとしてはきれいだ。
引き伸ばし過ぎなければもう少し素直に楽しめたかもしれない。

だが「ヤマノススメサードシーズン」の印象としては
ギスギスした印象が強く残ってしまう。
これで2クールならば、さぁ、ここから富士山へリベンジだ!という
展開まで描けたのかもしれないが、1クールがゆえに
さぁこれからだというところで終わってしまったのが残念だ。

総評:2クールで見たかった


引用元:(c) しろ/アース・スター エンタ―テイメント/『ヤマノススメ サードシーズン』製作委員会

全体的に見て色々と惜しかった作品だ。
ヤマノススメを1期から見てきた人にとっては愛着のあるキャラの日常と、
成長と関係性の変化と進展が面白くはあるのだが、
「ヤマノススメ」の主軸である山登りの要素が薄く、物足りない。

キャラクター描写を深めて「富士山」へのリベンジに至る前の、
準備期間のようなものなのだが、
4年ぶりの3期なのに肝心の山登り要素が薄れてしまったのは残念だ。
これで2期と同じように2クールならば、この残念感はなかっただろう。

原作は現在16巻まで出ており、アニメは7巻あたりまで描かれている。
正直2クールできるだけの原作ストックは十分にあったのに、
1クールの尺しか取れなかったのがゆえに、
中途半端な感じになってしまっていた。

これで4期が決まっていたなら、もう少し高い評価が出来たかもしれない。
正直「続編ありき」な3期だ。
4期があれば評価は変わるかもしれない。
この勢いのまま4期が近いうちに作られることを期待したい作品だ。

個人的な感想:ここなちゃんは可愛いなー


引用元:(c) しろ/アース・スター エンタ―テイメント/『ヤマノススメ サードシーズン』製作委員会

今季は露骨に「ここなちゃん」と他の3人の格差が目立っていたが、
最初から最後までぶれない可愛いキャラだった。
2期の時点で彼女の存在は大きかったが、ギスギスした雰囲気の中での
彼女の存在はより大きなものだった。

フォースシーズンの情報は今のところ無く、BDの売上も2000枚前後。
ただ2期の売上も3000枚前後だったため、
原作の売上や配信が伸びれば4期の可能性もあるかもしれない。
好きな作品なだけに4期あたりで綺麗に作品を締めてくれることを
期待したい。

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