日常

「万聖街」レビュー

日常
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評価 ★★★☆☆(56点) 全6話

「万聖街」日本語吹替版第2弾PV

あらすじ 心優しい悪魔・ニールは、親友であるライブ配信者の吸血鬼・アイラに誘われ、人間界で暮らすことを夢見て万聖街にやってきた。引用- Wikipedia

中国式日常コメディ

原作は中国のWeb漫画作品。
中国ではWebアニメとして放送されており、
本来は1話5分のものを日本語吹き替えし1話30分
1クール6話にまとめている。
総監督はMTJJ、顧傑、制作は寒木春華動画技術有限公司。

コミック風

1話冒頭、作画の「癖」を感じる部分がある。
キービジュアルを見てもらえばわかると思うが、
この作品は普通の日本のアニメと比べるとキャラクターの
「縁」が太く、アニメのキャラクターデザインというよりは
1枚のイラストや漫画を見ているような感覚になるデザインだ。

そんなキャラクターデザインの作画で描かれるキャラクターが
この作品は細かく動いている。
作画が凄いことを表現するために「ぬるぬる」という言葉を使う場合が多いが、
この作品の場合はキャラクターデザイン的に「ぬるぬる」というよりは、
細かい動きというのが正しい表現に感じる。

喋っているキャラクターの目の動き、主要なキャラクターたちが
悪魔や吸血鬼といったファンタジーな生物だからこそ
生えている耳やしっぽ、翼が1シーンの中で細かく動いている。
だからこそ見ているだけで楽しい。

この作品は深夜アニメとして放送されているものの、
別に下ネタや血液表現があるわけでもないゆえに、
「朝」や「夕方」に子供向けとして放送していても問題ないほど、
優しい世界観が広がっている。

彼らの「服」も季節によって代わり、
それがよりキャラクターの印象を深めている。

日常

この作品はいわゆる日常ギャグアニメだ。
主人公は悪魔であり、そんな彼が人間界で暮らすことを夢見て
知り合いの吸血鬼に誘われて人間界にやってくるところから物語が始まる。
あくまでも日常アニメだ。

彼らが悪魔や吸血鬼だからこそ、
その暮らしぶりを描いているだけで、それがギャグになり、
1話1話の物語になっている。

本来は1話5分で日本語版はそれを30分構成にするためにつなげているだけだが、
1話5分だからこそ1エピソードの中での起承転結もスッキリしており、
サクサクと彼らの物語が描かれる。

1話はメインキャラクターたちの掘り下げと印象付けだ。
主人公と同じアパートに暮らす悪魔、吸血鬼、天使、狼人間。
そんな彼らが「人間界」で暮らしている様を丁寧に描いている。

人間界に憧れる悪魔、昼間は眠い吸血鬼、真面目な天使、
主人公のことを「魔王ではないか?」と怪しんでいる運が悪い
マッチョな狼人間。
1話で4人のメインキャラクターをきっちりと印象付け、
それぞれがしっかりとキャラ立ちしており、魅力がある。

ギャグに関しては「ギャグ」そのものが
人によって笑える笑えないの差が大きいものだが、
この作品のギャグは爆笑するようなものではなく、
あくまでも彼らのキャラクター性を生かした日常ギャグであり、
「クスクス」と笑いつつキャラクターへの愛着を深められるものだ。

悪魔らしくない悪魔

主人公であるニールは悪魔としては落ちこぼれだ。
本来なら人間にいたずらしたりする悪魔、
だが、彼はうまくいたずらができない心が優しい悪魔だ。
そんな彼が人間界で自分らしく幸せそうに暮らしている。

そんな幸せな日常が描かれつつ不穏な雰囲気も漂わせている。
ニールの中に封印されている「魔王」、
そんな魔王の存在を日常の中でほのかに匂わせる。
だが、この作品はそこまで重くならない。

ときおりニールの中の魔王が目をさますこともあるが、
シリアスなムードが一瞬漂うものの長続きすることはない。
そんなシリアスの中でもギャグが描かれているため、
あくまでも「日常ギャグ」のスパイスとしての
シリアス要素だ。

話が進むほど少しつづキャラクターも増えてくる。
天使の妹、ニールの兄など一人ひとり丁寧に出しつつ、
話も賑やかになっていく。それが無駄なキャラクターではない。
ニールの恋、ニールの中に眠る魔王を知っているもの、
キャラクター一人一人に出てくる意味がきちんとある。

この手の日常ギャグアニメの場合は
ネタが尽きると新キャラを出し、キャラを使い捨てにするパターンもあるが
この作品は1度出したキャラクターはその後も継続的にきちんと出てくる。
丁寧に一人ひとりのキャラクターを描いている印象だ。

日常があったからこそ

終盤で主人公の中の魔王が目覚めてしまう。
シリアスなムードが全開になる中で
彼は友を、兄を、好きな人を助けるために「自己犠牲」への道に進む。

自分の中の闇と向かい、克服する。
シンプルな展開ではあるもののい中盤の盛り上がりを生んでいる。
ただ、このシリアス要素に関しては
「必要だったか?」と思う部分もある。

このあたりの魔王設定は実はアニオリ設定だったらしいのだが、
そう感じるほど別になくても物語は成立するなくらいの印象であり、
日常ギャグアニメ部分だけで十分、独自性と面白さがあるため
日本のアニメで言う「謎シリアス」のような印象を受ける設定だ。
アニオリ感が強く感じる付け足しだ。

特に終盤はそのアニオリのせいもあってか
新キャラがどんどん出てくる感じが強く、
序盤から中盤は丁寧にキャラを出していたのに対して、
終盤はやや新キャラの扱いが雑になっている部分があるのが
若干気になって終わってしまった。

ただ2期の制作も決定しているようで、
新キャラたちも2期で掘り下げがしっかりとされることを期待したい。

総評:謎のアニオリ要素は必要だったのか?

全体的にみて尖った要素こそ無いものの、
全6話という短い尺の中でメインキャラクターをしっかりと印象付け、
そんなメインキャラクターたちの日常を丁寧に描くことで、
彼らに愛着がわき、そんな彼らの日常をくすくすと楽しめてしまう作品だ。

ややキャラデザに癖はあるものの、可愛らしいデザインをしており、
それぞれの立ち位置がしっかりとしたキャラクターだからこそ、
日常ギャグが映える。
作画のクォリティも短編アニメでありながらしっかりとしており、
日本のアニメにはない雰囲気を味わえる作品だ。

ただ、その一方で「魔王設定」だけはやや謎であり、
アニメオリジナルの設定というのがわかってしまうほど
やや異物感が生まれてしまっていた。
終盤も全6話という話の都合もあるかもしれないが、
やや登場人物の増える速度が上がっておりゴチャゴチャしている感が
生まれてしまっていた。

2期の制作も決定しており、魔王の問題は1期の時点で解決してるっぽいので
2期からは純粋な日常アニメになるかもしれないだけに
より、期待したいところだ。

個人的な設定:意外と…

中国アニメのギャグの場合は文化の違いを感じる時があるが、
個人的にはこの作品ではそれ感じず、
全6話まったりとみることができる作品だった。

2期も決定しているようで、掘り下げ不足のキャラも終盤が多かっただけに
そんな彼らが掘り下げられることを期待したい。

「万聖街」は面白い?つまらない?

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