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「異世界召喚は二度目です」レビュー

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異世界召喚は二度目です ファンタジー
異世界召喚は二度目です
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評価 ☆☆☆☆☆(8点) 全12話

TVアニメ「異世界召喚は二度目です」第二弾PV|2023年4月8日放送開始!!

あらすじ ある日、新たな人生における幼馴染である花柱夕陽を含む高校のクラスメイト全員が新たな勇者として前回の戦いから5年後のディスティニア王国へと召喚されてしまう。引用- Wikipedia

令和版ソードマスターヤマト

原作は小説家になろうで連載されていた小説作品であり、
全5巻で既に完結済みの作品。
監督は中西基樹、制作はスタジオエル

クラスメイト

なろうといえば異世界、異世界といえばなろうというくらい、
小説家になろうという作品は「異世界」を舞台にするのがテンプレートだ。
多くの作品の場合は突然召喚されたり、事故にあって死んでしまって
転生したりと色々あるが、この作品の場合は「クラス」まるごと異世界召喚される。

一人ではなく30人規模の異世界召喚という点は斬新であり、
更に主人公はこの「異世界」のことを知っている。
タイトルでも分かる通り、彼は「2度目」の異世界召喚者だ。
過去になんらかの理由で異世界に召喚され、
元の世界に戻ったはずなのにまた異世界に召喚される。

彼はそんな出来事に驚くよりも「ニヤニヤ」としている始末だ。
いきなり魔族と人間の戦闘に巻き込まれ、
クラスメイトが状況理解できずに慌てている中で、
彼は余裕で状況を理解し、ヒロインを守っている。

「5年前」にも異世界召喚があったらしく、
主人公が勇者として異世界の騒乱を収めたことは流れで理解できる。
この主人公の態度や表情が見ている側のストレスを溜め込む原因だ。
中二病をこじらせたような髪型で、異世界経験者だからこそ、
常に余裕の態度で「ニヤニヤニヤニヤ」と気持ち悪い笑みを浮かべている。

とてもじゃないがかっこいいと思えるようなキャラではなく、
自分のことをかつての勇者としらない異世界のキャラがあらわれ、
かつての勇者の話をするとニヤニヤし、
自分の実力を見せつけてくる。

2度目

主人公はかつての姿を見た目が違うらしいのだが、
そのかつての姿を見ている側は知らない。
主人公がかつての勇者であることが異世界の住民に知られると、
次々と「知り合い」がでてくる。

ドMな女騎士や魔法使い、騎士など色々と出てくるものの、
ろくにキャラクターの掘り下げも紹介もせずに、どんどんと出てくる。
主人公にとっては知り合いなのはわかるが、
見ている側にとっては初対面だ。

主人公が感動の再会を繰り返しても、
その感動やキャラクターたちの喜びが見ている側に伝わらない。
「トウマ」とやらが魔族を操って人間と戦争をしているらしいのだが、
そもそも、その「トウマ」とやらも誰だか知らない。

主人公も、異世界のメインキャラクターたちも
過去にどんな主人公とどんな関係性だったのか、
そもそもキャラクターがどんなキャラクターなのかも描かれずに、
勝手に物語がどんどんと進んでいるため、
2クールのアニメの1クール目をみていないような感覚だ。

物語における積み重ね、キャラクターの魅力を感じるような積み重ね、
そういった「積み重ね」が描かれていないため、
話にもキャラクターの感情にもついていけない。
スタートの時点で周回遅れの徒競走をさせられるような感覚だ。

「こういうの久しぶりだな!」
とかつての仲間と行動するたびに言うのだが、
初回を見ている側が知らないため、久しぶりもクソもない。

ヒロインである「夕陽」も主人公と幼馴染なのはわかるが、
それ以上の情報はまるでない。
本来なら彼女はメインヒロインのはずなのだが、
1話の時点で主人公とは離れて行動するため置いてけぼりだ。

メインヒロインが1話で
置いてけぼりをくらうというのはある意味で斬新ではあるものの、
そこに面白さがあるわけではない。

これで彼女が主人公の旅について行けば、
異世界が初めてな彼女を通して主人公の1度目の旅の内容やキャラを
説明しないといけないキャラクターとして機能したかもしれないが、
置いてけぼりにしたせいで、彼女と同じく見ている側も
1話で置いてけぼりになってしまった。

主人公が魔族と人間との戦争をどうにかするために
一人旅する流れになる。
1話で散々でたかつての親衛隊や、幼馴染キャラは出てこず、
2話では新キャラが出てくる。

魔族大陸にわたりたい「ルリ」という少女と出逢うものの、
戦争中のため魔族大陸に人間の大陸からは渡れない。
このどうでもいいストーリーをだらーっと描いている。

その道中も意味不明だ。
巨大なクラーケンと戦って、そのクラーケンを「イカリング」にして食べる。
私達の世界のイカリングそのものだが、使っている食材は
巨大なクラーケンだ。
主人公が剣でカットすると勝手にリング状になるようなのだが、
色々と突っ込みどころが凄まじい。

あっさりとかつての知り合いである「リヴァイアサン」と出会っており、
このリヴァイアサンとも過去になにかあったようで、
主人公に惚れ込んでいるようなのだが、
過去になにがあったのかはダイジェストで1枚絵で
3分もかからずに描かれてるだけだ。

そうかとおもえば、今度は魔族の王が呪いによって
結婚させられそうになっている話になる。
ぽっと出の魔王というキャラになんの感情もわかず、
そんな魔王が結婚させられそうになってる!という展開になっても、
心底どうでもいい感じだ。

結局は主人公が結婚式に乱入して結婚はなかったことになる。
展開自体も何度も見たことのある展開で新鮮味はないに等しい。
そんな魔王とも、2話から一緒に居たルリとも
あっさりとお別れで主人公は別のところに行く。

思い出したかのように…

5話では置いてけぼりにした幼馴染の話が描かれる。
彼女と主人公が過去に何が合ったかがようやく描かれるものの、
肝心の主人公は今は彼女のそばには居ない。

一応、この作品は主人公と「クラスメイト」がまるごと
異世界召喚されているのだが、主人公と幼馴染以外は
ほとんど描写されず、名前すら出てこない「モブ」だ。
異世界から召喚された人物は規格外の力を持っているようなのだが、
その規格外の力というものがどの程度のものなのかもわからない。

クラスメイトが召喚された意味が物語の中で感じず、
居ても居なくてもどうでもいいキャラクターが非常に多い。
主人公が異世界召喚二度目という強みを物語の中で活かしきれず、
キャラクターも設定も活かしきれていない。

ずっと見ている側は知り合いの知り合いにいきなり
ファミレスに誘われて「おごるから」と行ってみたら、
その知り合いの知り合いの知り合いが更に3人くらいやってきて、
彼らだけがわかる話をしているような感覚だ。
見ていていたたまれなさと、早く帰りたいという気持ちが生まれる。

はいはい…

中盤以降もやってることはかわらない、
主人公が戦争を止めるために各地を回って、
各地の嫁、もとい知り合いと出会って「久しぶりだな!」となって
適当な回想でキャラ紹介をし、なんやかんやあって別のところに行く。

馬車の中でひたすら会話を繰り広げたりと、
露骨に「作画枚数」が少ないアニメーションをひたすら見せられる。
1話から作画のクォリティはかなり低いものだったが、
中盤あたりから更に作画のクォリティは落ちる。
6話の馬車のシーンなど、6話の8割が馬車の中だ(苦笑)

ドラゴンが村を襲い、村から人がなぜか忽然と消える事件の
真相を考えるのだが、それを馬車の中ですべて済ませる。
ミステリー小説の真似事をいきなり始めるのだが、
それが面白いわけでもない。

ギャグも滑り気味であり、会話劇自体が面白いわけでもないのに、
ミステリー小説の真似事をしたところで面白くなるわけがない。
散々会話したあとの戦闘シーンも、
作画のクォリティがアレなせいでお察しレベルだ。
話が進めば進むほど作画枚数がどんどん削られていき、
1枚絵を下から上にカメラを動かすだけのシーンまで出てくる。

依存

再会するすべての女性キャラクターはもれなく
主人公に対して惚れており、主人公に依存している。
唐突に主人公が5年前に消えてしまったせいもあるようだが、
積み重ねもなく無条件に出会う女性キャラクターのほぼ全てが
主人公に惚れてる現状は独特の気持ち悪さもある。

それだけなら、いつもの異世界ハーレムとして理解できるが
「敵」も主人公に依存している。
男性ではあるものの、いわゆるメンヘラなキャラクターであり、
主人公のことが好きすぎるあまりに彼に依存し、
彼以外のものを滅ぼして二人だけの世界を作ろうとしてる始末だ。

物語の主軸に主人公が存在するのは当たり前ではあるものの、
この作品の場合は過剰なまでに「依存」しているせいで、
気持ち悪さが生まれている。

主人公の強さ、凄さ、魅力を強調するために
キャラクターに過剰なまでに主人公に依存させることで
キャラクターを描写しているような印象だ。

敵である「トウマ」はしっかりとしたキャラクター描写をしており、
なぜ彼がここまで主人公を求めるのかという流れも描かれているが、
これも過去回想で全て語られる。
根本的に「1回目」の異世界での行動やストーリーの
見せ方がわるいせいで、
2回目の話やキャラにこちら側の感情が追いつかない感じだ。

戦争

終盤には戦争が始まってしまう。
序盤からほとんど出番のなかった主人公の親衛隊や
幼馴染もそんな戦争に参加し戦う。

「あ、そういえばいたな」と思うレベルのクラスメイトも参加しているものの、
モブ以下でしかない。
作画のクォリティがアレなせいでクォリティも低く、
止め絵ばかりの戦闘シーンに何の面白みもない。

序盤から中盤までの戦闘シーンは特に展開的な面白さもないため、
作画を削るのはまだ理解できるが、
山場である終盤の戦闘シーンでさえ作画のレベルが低く、
盛り上がるものも盛り上がらない。

主人公が1回目の旅で出会い、2回目の旅で再会した
キャラクターも戦争に参加するものの、
掘り下げも印象も甘いキャラクターが再登場したところで
「あーこんなキャラでてたな…」くらいの感想でしかない。

とあるメインキャラが敵に操られ洗脳された状態で
再登場したりするが、心底どうでもよく、
敵側の「悲しい過去」が描かれたところで
戦闘が盛り上がるわけでもない。

もう、こんな止め絵まみれなら
同じ時期にやっていた作品のように「ドット絵」にしたほうが
絵的な面白さが生まれるのにと感じてしまうほど、
アニメーションとしての面白みがまるで無い。

尺の問題のせいか戦闘シーンの展開も異様に早く、
敵の四天王的な存在が終盤の3話くらいでどんどん退場していく。
本来なら原作などではもう少し丁寧に描かれてるのかもしれないが、
アニメでは尺の都合か、盛り上がるはずの戦闘シーンで
話も作画も可能な限り省略されている印象だ。

雑に物語をすすめ、雑にキャラクターを描き、雑に戦闘シーンを描いている。
そのせいで、キャラクターたちが己の命をかけて戦闘をしているのに、
そのキャラクターへの思い入れもなく、戦闘シーンも面白くならない。
流石は「ジビエート」と同じ制作会社だ。

終盤の四天王的な存在の一人と主人公の戦いも、
敵が本当の力のようなものを出してから3分とたたずに終わる。
この敵との戦い自体も5分くらいしか描かれていない。
尺の都合もあるのかもしれないが、終盤になればなるほど
雑さが極まっていく。

忘れてた

最終話に4話くらいで出てきた魔王が再登場する。
出番としては本当に少ないキャラクターだったため、
私のように一気見していないと忘れてる可能性があるほど
存在感がうすすぎるキャラクターだ。

そんな魔王とリヴァイアサンがともに「トウマ」と戦う流れになる。
もう1度言うが最終話だ(苦笑)
もう1話くらいあるならわかるが、ラスボス的な立ち位置との敵との
戦闘が始まるのが最終話なのはあまりにも遅く、
あっという間にリヴァイアサンと魔王はボロボロにやられている。

一応、魔王という強い存在のはずなのだが、
戦闘シーンがカットされるほど弱いのかもしれない。
主人公とトウマとの戦いは流石に止め絵の連続ではないものの、
相変わらずのクォリティだ。

一応苦戦はするものの「トウマ」との戦いは終わる。

意味はあったのか…?

召喚されたクラスメイトはトウマの魔力によって
元の世界に返されるものの、本当に最後まで意味がない。
トウマが病んで犯した罪の数々はなぜかそれで許されるのも謎でしか無い。
彼のせいで多くの犠牲者が生まれ、命を失ったものも居る。
それなのにほとんどお咎めなしだ。

主人公は主人公で元の世界に戻らずに異世界に残る。
これ自体はまだ理解できる、
しかし、そこに「幼馴染」もついてくる(苦笑)
元の世界には彼女の家族やら友人やらもおそらくはいると思うのだが、
そんなことより男を選んでいる。

ほとんどいる意味のなかった魔王だったり、
獣王の娘だったりと、
メインキャラクターのはずなのに存在感が無いキャラクターが
あまりにも多すぎる作品だった。

総評:こっちは初見なんですが?

全体的に見て雑すぎる作品だ。
二度目の異世界召喚、クラスメイトまるごと異世界召喚という
個性はあったものの、クラスメイトは召喚された意味がまったくなく、
2度目の異世界召喚も関係性が既に構築された内輪話を
ずーっと聞かされてるような気分になるだけの設定になってしまっている。

このあたりは原作からの問題もあるのかもしれないが、
アニメーションという媒体でその欠点を薄めたり、
この作品の良さというものを出せていない。
特に作画に関しては序盤から低クォリティで、
中盤からは止め絵が目立ちまくりだ。

ストーリー構成も無理やり1クールで作品をまとめるためなのはわかるが、
そのせいで四天王的な存在との戦闘があっさりしすぎていたり、
明らかに原作からカットされた部分があるのだろうなと感じるところが
原作を読んでなくともわかるほど出てきている。

見終わったあとに軽く調べた結果、
本来は国王が1度目の召喚のあとに主人公を恐れて
元の世界に転生させる原因になっていたり、
幼馴染を含め各キャラの活躍もごっそり削られてたり、
物語の根幹に関わるようなキャラも削られている。

1クールにまとめるために削りに削った結果、
無味無臭な作品に仕上がってしまっている。
本当に雑な仕事っぷりとはこのことだなと感じられる作品だった。

個人的な感想:比較すると…

この作品の前に「神無き世界のカミサマ活動」をみたせいもあるのだが、
神無き世界のカミサマ活動も低予算な作品だったが、
あの作品は低予算なりの工夫がみえることもあって、
見ていて楽しい作品だった。
予算が少ない中でも面白いものにしようという努力を感じられる作品だった。

しかし、この作品はそういう努力も工夫もない。
ただただ予算のなかで予算通りの作品を作っており、
原作に対する愛情も感じられない。

「1クール」で作品をまとめるというのが前提だからこそ
仕方ない部分もあったのかもしれないが、
流石にカットしすぎて作品の面白さや魅力まで
削ぎ落としてしまっている。

最初から最後まで雑さが目立ってしまっている作品だった。

「農民関連のスキルばっか上げてたら何故か強くなった。」レビュー
評価 ☆☆☆☆☆(6点) 全12話 あらすじ 超一流の農民を目指し、農民関連のスキルのレベル上げに奔走する主人公のアル・ウェインは、ある時遂に全ての農民スキルのレベルを10にすることに成功する。引用- Wikipedia

「異世界召喚は二度目です」は面白い?つまらない?

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