ファンタジー

超高速茶番劇BJ「一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる」レビュー

一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる ファンタジー
画像引用元:©菱川さかく・SBクリエイティブ/闇ヒーラー製作委員会
スポンサーリンク

評価 ★★★☆☆(44点) 全12話

【闇ヒーラー】メインPV | 一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる

あらすじ 貧民街出身のゼノスは治癒師(ヒーラー)のライセンスを持たないまま冒険者をしていたが、さらに上を目指すパーティーのリーダーから貧民街出身は役立たずだからと金貨1枚だけ渡され、追放された。 引用- Wikipedia

超高速茶番劇BJ

原作は小説家になろうで連載されている作品。
監督は吉崎譲、制作はマカリア

虚無

この作品の世界では治癒士が優遇されており、
教育機関も有り、治癒士の地位が確立されている世界だ。
そんな世界で主人公は治癒士としての「ライセンス」をもたずに、
こっそりと治療をしてお金をもらっている。闇医者ならぬ闇ヒーラーだ。

そういう世界観なことは1話でわかるのだが、
この作品は無駄に時系列シャッフルを噛ましている。
1話からどばーっとヒロインが無駄にでてきて、
無駄にワチャワチャしているものの、どこぞの誰とも知らないヒロインが
大量に出てきてもなんの面白みもない。

とにかくヒロインを先に出したかったのは分かるが、
原作やコミカライズでしてないような時系列シャッフルを
アニメの1話からかましてるせいで、多くの視聴者を失っただろう。
1クールのアニメにおけるつかみを失敗している。

10年や15年くらい前の深夜アニメでは
この手の時系列シャッフルはよくある手法だったが、
どの作品もそれが成功したとは言い切れない。
そういった先人の経験や知恵を生かさず、意味のない
時系列シャッフルを噛ましている。

どこの誰とわからないヒロインたちが集まって
ワチャワチャしているが、虚無だ。
そんな虚無の中で茶番劇をやられても、本当になんの感情もわかない。

原作のある作品の1話からアニオリストーリーをぶちこむのは
本当に意味不明だ。

追放

2話からが本当の1話だ。
この作品はタイトル通り「追放系」であり、
貧民街生まれな主人公はとあるパーティーに拾われたのだが、
使えないと追放されてしまう、金貨1枚の選別をくれるのは
追放系の中ではマシな待遇と言えるかもしれない。

追放されて街をぶらついていると
逃げ出した奴隷のエルフを追いかける奴隷商と出会う。
傷つき倒れた奴隷のエルフを主人公はあっさりと買い取り、
そんな瀕死のエルフをあっさりと治癒する。
このシーン、わずか1分である(笑)

なろう系において主人公が奴隷をたすけてヒロインにするという
展開はこすり倒されすぎて新鮮味もクソもないのだが、
このスピード感だけは評価したい。ものすごいRTAだ。

主人公の治癒魔法は独学だ。
本来は治癒魔法を学ぶための学校に行きライセンスを取ってこそ
治癒士と名乗ることができるのだが、
貧民街生まれゆえにライセンスもなく、独学だ。

奴隷なヒロインからの感謝の言葉をきき、
主人公は「闇営業」の治癒士をやることを決める。
ものすごいスピード感だ。
1話のAパートだけで追放されて、奴隷ヒロインにであって、
貧民街の廃墟でもう一人のレイスなヒロインと出会う。

たしかにこの展開をたっぷりとやられても、
かったるいだけではあるが、1話のAパートだけで
二人のヒロインと出会い、Bパートになると更に
二人のヒロインがでてくる。相当なスピード感だ。

この展開の速さを考えると、逆に1話で
時系列シャッフルを噛ましてまで、ヒロインをドバドバ出して
アニオリストーリーをやったのは意味不明だ。

貧民街では3つの種族が争っており、
「リザードマン」と「ワーウルフ」と「オーク」が争っている。
そんな各種族のヒロインがでてくる。
2話のストーリー自体はそこまで悪くなく、
作画のクォリティも安定しているだけに1話のやらかしが気になる。

チート

主人公はまともな教育を受けていない。
それだけに自分の「ヒーラー」としての能力の高さを自覚していない。
毒を受けた腕を見て、腕を切り落とし、再生させるなんていう
偉業をあっというまにやってしまう。
普通のヒーラーならやれないようなことでさえあっさりだ。

ヒーラーとしてだけでなく、戦闘力も高い。
いきなりワーウルフが襲いかかってきても傷1つすらつかない。
序盤から日常を描きつつ主人公の凄さを描きつつ、
複数のヒロインを一気に登場させている。

そのテンポ感自体は評価したいものの、
テンポがいいだけに、3人の亜人ヒロインの掘り下げや深見は薄い。
亜人同士の抗争も、なんのために争っていたんだ?というレベルで
あっさりと解決してしまう。

ギャグ

ありとあらゆる要素が高速だ。
話の展開もキャラの登場のさせ方も、展開自体も、
ぱっと始まり、ぱっと終わる。
心做しかキャラクターの会話ですら早口気味だ。

このスピード感もあり、序盤からこの作品を
「ギャグ」として捉えることができる。
4話から女騎士が新キャラとしてでてくるのだが、
ろくに人の話も聞かずに主人公を捕まえようとしたり、
「唯一の欠点」が複数あったりと、間の抜けたヒロインだ。

彼女が探している「亜人の仲裁者」は主人公なのだが、
そうとはしらずに主人公の家に泊まったりする。
貧民街の問題など、この世界の問題はシリアスではあるものの、
キャラ描写がギャグチックだからこそ、ライトに楽しむことができる。

追放した側

チートな主人公を追放した側は当然大変なことになっている(笑)
これもまた追放系なろう作品のお約束だ。
主人公の代わりに治癒士を雇うものの、全くうまく行かない。
主人公が居たときには「無傷」で依頼をこなすパーティーとして有名だった。
だが、それは主人公が居たからこそだ。

貧民街生まれのヒーラーである主人公の実力を勘違いし、
自らの力と信じていたパーティーの評価が一気に地に落ちる。
再び主人公を仲間に取り入れようとするものの、
あっさりと断る。

もう主人公には居場所が有り、自らの価値がわかっている。
中盤のこのエピソードで主人公が自らの居場所を手にれたことを
主人公自身がきちんと感じていることを実感させてくれる。

「もう遅い」

テンプレ的な展開ではあるものの、裏を返せば王道だ。
ただ、それだけでなく主人公に見限られた
元パーティメンバーが何かを企むやつにそそのかされ
「闇落ち」するという展開もテンプレだ。

そのテンプレ部分もサクサクと高速に進めているがゆえに
不快感や「つまらない」という感情すら感じさせないままに
次の展開へ行くような印象を覚える。

ゴーレム

元パーティーメンバーは地下ギルドによって
失われれた魔法で巨大なゴーレムに変えられている。
主人公は治癒こそチートであり、治癒と同じ理屈で身体強化もでき、
どんな攻撃ももろともしない。

それだけなら理解できるのだが「医療用」のメスを使い、
攻撃手段も持ち合わせている。
闇落ちした元パーティーメンバーを破壊しながらも再生する、
ヒーラーだからこその戦い方、元仲間の救い方はこの作品らしいものだ。

追放して「ざまぁ」ではなく、利用するためとはいえ
貧民街から救い出してくれた元パーティーメンバー、
使えないと追放したとはいえ「1枚の金貨」をくれたことで
今がある。それを主人公はきちんと自覚している。

ざまぁ!して終わりではなく、
きちんと話のオチをつける丁寧さを感じさせるが、
同時に作画のクォリティはどんどんとオチていく。

別の治癒士

中盤で主人公は別の治癒士に出会う。
普通の治癒士が治癒できなかった重度な火傷、
それ直したことで「王立治療院」の「特級治癒士」と出会う。
この展開自体も異様に早く、そんな特急治癒士の依頼を受けて
王立治療院に行くことになる。

そんな治癒士が治癒を学ぶ場所で治癒士が行方不明になる事件が起こっており、
主人公はその調査をすることになる。
本来は治癒士になるためには通う場所、この世界での常識や
一般的な治癒士の知識を主人公は学んでいく。

ただ、これもなろうテンプレ的な展開であり
「目立ちたくない」主人公なのに目立ってしまい、
「俺なんかやっちゃいましたか?」を繰り返す(笑)
このテンプレを光の速さで消化していく。

イキったクラスメイトが主人公につっかるものの、主人公の本気に圧倒される。
学院ではえらい治癒士による「総回診」があったりと、
序盤は「ブラックジャック」のような作品だったのだが、
中盤からは白い巨塔のようになってくる。

院長選挙が控えており、その裏でおきた行方不明事件。
権力と医療と事件、まさに白い巨塔だ。

医療

主人公の医療はチートじみてはいるものの、
一般的な治癒士の治癒能力はそこまで高くない。
救える命と救えない命がある、それを実感してるからこそ、
権力、金に溺れるものもいる。

序盤は貧民街のものを中心に治療しているが、
中盤になると貴族階級に対する治療やエピソードになる。
序盤と中盤で話の雰囲気や趣が違い、
「異世界医療もの」として様々な角度で描こうとしているのは分かる。

わがままな貴族相手に顔の傷を残さずにどう治療するのか。
教授的な立ち位置のキャラは部下に責任を追わせようとするものの、
主人公がチートな治癒魔法でなんとかしてしまう。
まるで医療ドラマ的な「私、失敗しないので」的なノリだ。

権力やお金ではなく「治療士」でありつづける。
それが主人公であり、治療士の本髄だ。
そういったことを描きたいのは分かるものの、
ラストの締りが悪い。

子安武人

これまたメタ的なテンプレなのだが、
子安武人さん演じる人が良さそうなキャラには裏がある(笑)
彼は復讐のために13年前の事件を調査しており、
主人公に協力を仰ぎ、真相にたどり着く。

復讐を遂げようとするものの、主人公が全て救ってしまう。
そんな事件の裏で黒幕的な存在が降り、その存在は謎のままだ。
ラストで新キャラがでて2期を匂わすのも
なろうではよくある展開であり、
最初から最後までそういったテンプレが多くある作品だ。

これで2期があるならば期待したいところだが
果たして…

総評:光より早いテンプレなろう

全体的に見て独特のテンポ感で作られている作品だ。
特に序盤は追放されたかと思えば、大量のヒロインがあっというまに揃い、
トントン拍子に治療院ができて、闇ヒーラーとして
主人公が活躍しだし、追放系らしくざまぁする。

異様なまでのテンポの良さと、そのテンポの速さに流されない
クールな主人公というのが独特のシュールさを生んでおり、
特に中盤からの学園編では、なろうらしいイキリはありつつも、
そのあたりもサラサラっと流して描いてしまう。

この独特なテンポ感のおかげでギャグチックになっており、
台詞回しやキャラのすっとぼけた会話劇、
テンプレ的ななろう要素をまるで茶番劇のように流して描いてる。

その一方で序盤はブラックジャック、中盤からは白い巨塔、
終盤はドクターX的なニュアンスがでてくる。
医療ものと異世界という要素となろうらしい要素を
うまく合わせている部分もある作品だ。

ただ、話が進むほど作画が悪くなるのは気になるところだ。
1クールの1話のつかみをあえてアニオリでやるのも意味がわからず、
つかみに失敗してしまっているのももったいない。

今から見るという人がいるならば1話を飛ばすことをおすすめしたい。

個人的な感想:くせになる

1話こそいろいろと厳しい作品だったが、
2話以降は独特のテンポ感がくせになり、
色々と欠点はあるものの、本作品でやりたいことはきちんと感じられた。

1クールで残っている謎が多すぎるのは気になるところだが、
いつか2期があることを期待したい。

「一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる」に似てるアニメレビュー

「一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる」は面白い?つまらない?